夜こんなアルバムを聴いていた時もありました。
アイスランドの火山噴火の影響が、とうとう私の身近にも及んできました。
4月21日に甲府「桜座」に藤井郷子カルテットが来るというんで、
楽しみにしていたのですが・・・。
何と!藤井さん達は今フランスにいるとかで、
飛行機が飛ばす日本に帰ってこられないらしいんですよ。
今回の公演は延期になってしまいました。残念!
さて、今日の話題。
昨日の「高野雲の快楽ジャズ通信」で、ピアノ・トリオ好きが求めているは癒しだというtommyさんの発言を巡って、番組中ちょっとした論争があったのですが、
ピアノトリオ好きが求めるのは“癒し”なのか!?~放送第81回『プレスティッジ時代のマイルス黄金のクインテット』(3)
その話と、tommyさんのブログにUPされている中域スピーカーのホーン&音響レンズを変えたら、『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』が良く鳴るようになった
という話を読んで、思い出したことがありました。
10年ちょっと前、仕事に疲れて帰ってきてからよく聴いたアルバムの話です。
当時はジャズ新譜にあまり興味がなくて、古いアルバムを聴いていました。
で、なぜかコンテンポラリーのアルバム。
このレーベルのストレートな音質が好きでした。
極めてオーディオ的ですよね。
1枚目はこれ、ヴィクター・フェルドマンの『ジ・アライバル・オブ・ビクター・フェルドマン』(1958年rec. CONTEMPORARY)です。メンバーは、ヴィクター・フェルドマン(vib,p)、スコット・ラファロ(b)、スターン・リービー(ds)です。当時はCDを持っていましたが、今持っているのはOJC盤レコード。
ジャケットのおふざけを良しとするか否か?私は面白いと思いますけどね。何といってもベーシストのラファロが参加しているのが重要。やっぱりラファロのベースって品位があると思います。このアルバムを聴いていると、この後エバンスのトリオに起用されるのは必然的な気がするんですよね。
フェルドマンがヴァイブラフォンとピアノを弾き分けているとこころがお洒落だと思います。西海岸の爽やかさに程よい情感が漂いつつお洒落というのが良いのです。演奏にはきちんと筋が通っていますしね。A面1曲目《サーペンツ・トゥース》から気分は軽やかになります。ラファロのウォーキング・ベースが特に良いです。仕事疲れにはこれですよ。
私が好きなのはA面ラスト《スポージン》とB面ラスト《サテン・ドール》。ミディアム・テンポの快適な演奏です。美メロな曲、お洒落な演奏、粋なアレンジ。気分が良くなります。《フラミンゴ》のようなしっとり泣かせるバラードも入っていますし最高です。
*
あと2枚。
『ハンプトン・ホーズ・トリオVol.1』(1955年rec. CONTEMPORARY)です。メンバーは、ハンプトン・ホーズ(p)、レッド・ミッチェル(b)、チャック・トンプソン(ds)です。当時はCDを持っていましたが、今持っているのはビクター盤レコード。
これはブルージーだけれどコテコテにならない、やっぱり西海岸ならではの小気味良い演奏です。私が思うジャズ・ピアノ・トリオのステレオ・タイプは意外とこれだったりします。エバンスの『ワルツ・フォー・デビィ』じゃないんですよ。このエバンス・トリオ、実は一癖ある結構手ごわい演奏なんです(笑)。
*
シェリー・マン&ヒズ・フレンズの『マイ・フェア・レディー』(1956年rec. CONTEMPORARY)です。メンバーは、シェリー・マン(ds)、アンドレ・プレビン(p)、ルロイ・ヴィネガー(b)です。これも当時はCDを持っていましたが、今持っているのはコンテンポラリー盤レコード。
これはマンの歌うドラムが何と言っても聴きどころ。なんとも軽快でスインギー。聴くうちに気分が”ホクホク”してきます。そこにプレビンのかなり重厚でかつ品位のあるピアノが加わり。更に”ズンズン”安定したヴィネガーのウォーキング・ベースが支えるという、これもかなり鉄壁なピアノ・トリオなのです。で、演奏しているのがミュージカル「マイ・フェアレディー」の名曲群。文句あるか~っ(笑)!
アンドレ・プレビンいうと、ロンドン交響楽団などの指揮者のイメージのほうが強かった私に、プレビンのジャズ演奏を強く認識させたのがこのアルバムであります。録音も特に良く、マンがブラシでスネアを”スコンッ”と叩く音の気持ち良さといったら、もうオーディオの快楽ここに極まれりなのです。
*
仕事に疲れて帰ってよく聴いていたのが、コンテンポラリーのピアノ・トリオばかりだったというのが笑えます。ちなみに、これら3枚は決して癒しだけではないと思いますよ。
これらに加えて、なぜか『ゴールデン・サークルのオーネット・コールマンVol.1』を時々聴きたくなったというのが自分でも不思議です(笑)。
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コメント
いっきさん、こんばんは。
これらのアルバムは、オイラもレコードで持っています。ラファロものはCDでも再購入。
'70年代ジャズ聴きはじめの頃は、ずいぶんコンテンポラリーにはお世話になりました。ブルーノートまでは、まだ行けませんでした(笑)。
スクリーンミュージックが好きだったオイラを、ジャズに近づけてくれた感謝すべきレーベル。当時、アンドレ・プレヴィンが、クラシックの指揮者に転向したのはショックでした。
これらのジャズは、今思うに癒しというよりオシャレ系、サロンジャズでは?あと、気分的には当時のパーティミュージックかな?
まぁ、白人上流階級インテリのためのジャズであることは確かです。題材的にはコマーシャルなジャズと云われても仕方がないアルバムも多いのですが、あまりいわれない(笑)。
どこかにスイングジャズの香りを残しているように思います。
投稿: tommy | 2010年4月20日 (火) 03時20分
いっきさん
おはようございます。
>これらに加えて、なぜか『ゴールデン・サークルのオーネット・コールマン Vol.1』を時々聴きたくなったというのが自分でも不思議です(笑)。
>ちなみに、これら3枚は決して癒しだけではないと思いますよ。
これ、当然のことです。
きわめて「真っ当」なジャズ聴きの生理現象です。
逆に、
仕事で疲れている時に聴きたい=猫撫で声な癒ししミュージック
という発想自体が、安直かつ短絡的なのです(笑)。
仕事で疲れているからこそ、
「鼓舞されたい!」
「疲れた心に喝を入れたい!」
「苦いコーヒーを飲む感覚で、まったり心に微量の刺激が欲しい」
という気分になることだってありますよね?
オーネットの『ゴールデン・サークル』を聴きたくなる いっきさんは、骨の髄までジャズファン!(笑)
「どうせ、疲れて帰ったサラリーマンが聴きたいのはピアノトリオだろ~よ」などと、安直に括られたらたまったもんじゃありませんよね?!(笑)
この思いが、私の「それってピアノトリオ好きをバカにしていると思うんだよね。ピアノトリオ好きに対する偏見だと思いますよ。」発言に繋がるのです。
投稿: 雲 | 2010年4月20日 (火) 08時33分
tommyさん。こんばんは。
>これらのアルバムは、オイラもレコードで持っています。
ほぼ定番のアルバムですからね。
当時私はCDとレコードをたくさん持っていなかったので、
この手の定番ものが多かったです。
>スクリーンミュージックが好きだったオイラを、ジャズに近づけてくれた感謝すべきレーベル。
そうなんですか。
コンテンポラリーって、そういう効用もあるんですね。
>これらのジャズは、今思うに癒しというよりオシャレ系、サロンジャズでは?あと、気分的には当時のパーティミュージックかな?
そんな感じがしますね。
>まぁ、白人上流階級インテリのためのジャズであることは確かです。
そうですね。で、東海岸の黒いジャズとは違うわけです。
>題材的にはコマーシャルなジャズと云われても仕方がないアルバムも多いのですが、あまりいわれない(笑)。
俗っぽくならない品位が保たれているせいかも?
>どこかにスイングジャズの香りを残しているように思います。
安直ですが、白人主体だからじゃないかと思います。
投稿: いっき | 2010年4月20日 (火) 20時53分
雲さん。こんばんは。
>きわめて「真っ当」なジャズ聴きの生理現象です。
なるほど。そうなりますか。
>仕事で疲れているからこそ、
>「鼓舞されたい!」
>「疲れた心に喝を入れたい!」
>「苦いコーヒーを飲む感覚で、まったり心に微量の刺激が欲しい」
>という気分になることだってありますよね?
ありますあります。
気分はその時々で色々です。
今何かまさになんでも聴いています。
ブログを書くためという理由もありますが(笑)。
>いっきさんは、骨の髄までジャズファン!(笑)
はははっ、そうなっちゃうんでしょうね(笑)。
>「どうせ、疲れて帰ったサラリーマンが聴きたいのはピアノトリオだろ~よ」などと、安直に括られたらたまったもんじゃありませんよね?!(笑)
そうなんですが、
最近、癒しを求めるお疲れ気味のオヤジ・ジャズ・ファンが多そうだというのも薄々感じます。
なので、tommyさんがおっしゃることにも一理あるとは思います。
>この思いが、私の「それってピアノトリオ好きをバカにしていると思うんだよね。ピアノトリオ好きに対する偏見だと思いますよ。」発言に繋がるのです。
雲さんや私のようなジャズ・ファンからすれば全くその通りだと思います。
でも、そう思う人は今や少数派なのでしょう。
投稿: いっき | 2010年4月20日 (火) 21時06分
>でも、そう思う人は今や少数派なのでしょう。
なんでしょうね、実情は。
さびしいかぎりです。
投稿: 雲 | 2010年4月20日 (火) 22時07分
>さびしいかぎりです。
ほんと、寂しいです。
投稿: いっき | 2010年4月20日 (火) 23時07分
まぁ、まぁ、そう嘆くことでもない。
中国があるではないか(笑)。
中国で、今からジャズ聴きを育てれば大丈夫だよ。
'60〜'70年代の高度成長期の日本に似ているので、
人口が多い分、可能性も高いと思うよ。
投稿: tommy | 2010年4月21日 (水) 00時02分
tommyさん。こんばんは。
>中国で、今からジャズ聴きを育てれば大丈夫だよ。
げげっ、これまたワールド・ワイドな(笑)。
最近の中国って盗作のイメージ。
創造をせずコピーするやつは嫌いだ~っ。
って言いながら、昔の日本もオリジナリティーなかったっけ?
松下もマネシタと揶揄されたりしてましたね。
関係ない話になっちゃいました(笑)。
日本のジャズを憂う私なのです。
投稿: いっき | 2010年4月21日 (水) 22時55分
ジャズ聴きも絶滅しそうになったら、
トキみたいに中国から輸入すればいい(笑)。
あぁ、これからはクローンって手もありますね。
いっきさん"ジャズ聴き"クローン・タイプA。
ジャズ聴きってDNAに記録されるのかな?(笑)。
投稿: tommy | 2010年4月22日 (木) 00時35分
tommyさん。
>ジャズ聴きも絶滅しそうになったら、
>トキみたいに中国から輸入すればいい(笑)。
いっそのこと恐竜みたいに絶滅したほうがカッコイイかもしれませんよ(笑)?
ジャズ聴きのDNA記録。どうなんでしょ?
10年以上前に読んだブルーバックスには、後天的なものをDNAに転写する逆転写酵素があるとかないとか書いてあった気がしますが、今そのあたりの研究はどこまで進んでいるのか知りません。
投稿: いっき | 2010年4月22日 (木) 01時02分