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ブラッド・メルドーの叙情曲集

ブラッド・メルドー話題の新譜いってみよう!

これ、日本盤はボーナス・トラック&メルドーの解説付きで¥3,570です。
私はと言えば、もちろん安い輸入盤を買いましたよ(笑)。
HMVマルチバイ特価ならば約半額で買えるんです。

P116 『ハイウエイ・ライダー』(2009年rec. NONESUCH)です。メンバーは、ブラッド・メルドー(p,pump organ,key)、ジェフ・バラッド(ds,per)、マット・チェンバレン(ds,per)、ラリー・グレナディア(b)、ジョシュア・レッドマン(ts,ss)、オーケストラです。ブックレットのメンバー表記が適当です(笑)。ジョシュアがソプラノ・サックスを吹いているのに、テナーと記載されていたり、ジョシュアが参加しているのに記載されていなかったりと・・・、ノンサッチさんしっかりして下さいよ。

と、ノンサッチ・レーベルにダメ出しから始まったわけですが(笑)、このレーベル、最近話題盤を連発しています。なんたってメセニー、メルドー、ジョシュア、フリゼールなどがレーベルのアーティストですからね。このレーベルはもともと現代音楽、宗教音楽、民族音楽などを取り扱っていたのですが、ワーナーのジャズ部門閉鎖の関係でジャズマンの受け皿になったんですよね。ジャズマンに好きなことをやらせてしまう姿勢に拍手!

ジョシュアの『コンパス』、フリゼールの『ディスファーマー』、メセニーの『オーケストリオン』ときて、今回はメルドーの『ハイウエイ・ライダー』。ひと癖あるコンセプチュアルなアルバムのオンパレードです(笑)。

さて、このアルバム、『ラーゴ』以来久々のジョン・ブライオンとのコラボレーション・アルバムとのこと。スイングジャーナル誌のインタビュー記事によれば、このアルバムは旅をイメージしたもので、家から出発して道路を走り、最後には家に戻るということらしいです。2枚組CDの1枚目は”行き”で、2枚目は”帰り”のイメージ。

聴いてみると確かにそういう感じになっていました。曲のタイトルもイメージに沿うものになっていて、なかなか壮大なアルバムでした。旅の風景を綴る一大叙情曲集と言ったら良いでしょうか。メセニーが自分の頭の中にあるメセニー・ワールド(桃源郷)をサウンド化しているのが好きな私としては、このアルバムのメルドー・ワールドも気に入ってしまいました。

DISC1の1曲目《ジョン・ボーイ》の出だしを聴いてちょっとビックリ!なんかめちゃくちゃ優しいメロディーを弾きはじめちゃったのです(笑)。まっ、よく聴くとやっぱりちょっと捩れてますけどね。バックにはパーカッションが軽く被さっています。そこにホーン&ブラスが被さってくるとフォーキーな室内楽風。途中で突然短く咆哮するホーン&ブラスが違和感ありあり。さすがはメルドー、一筋縄ではいきません。

続く《ドント・ビー・サッド》は郷愁フォーク。オーケストラも加わっています。同レーベルのフリゼール、メセニーにといい、やっぱりアメリカンフォークは皆さん共通の基盤としてあるんでしょうかね~。ジョシュアのテナーがフィーチャーされるのですが、この人あんまり個性が無いですよね(笑)。クラシカルに淡々と吹いているのは確かに曲に沿うものだとは思いますが・・・。メルドーが弾くポンプ・オルガン(足踏み式オルガン?)は懐かしい響きです。《アット・ザ・トールブース》は前曲に連なる短いピアノ・ソロ。

《ハイウエイ・ライダー》はメルドー・トリオで演奏。人力ドラムンベース。e.s.t.に通じるサウンドです。マット・チェンバレンはドラムンベースが上手い!この手のリズムはやっぱりチェンバレンですよね。バックに薄く被さるシンセの音がオシャレですよ。なんとも繊細で陰影感漂う美メロ曲とサウンドが私のお気に入り。カッコイイです!DISC2の《イントゥ・ザ・シティ》も同傾向の曲。で、こちらはドラムがジェフ・バラード。バラードのドラムンベースのほうが躍動感があるかも?バラードも凄いドラマーなのでした。

《ザ・ファルコン・ウィル・フライ・アゲイン》は、ジョシュアのソプラノを含むカルテットでの演奏。曲調もあるのでしょうが、キースのヨーロピアン・カルテットに通じるサウンドです。個人的にはこの手のサウンドが好きです。ジョシュアの軽やかなソプラノはとても気持ち良いのですが、ヤン・ガルバレクのような個性とは無縁。全編パーカッションなのが曲を軽やかにしています。後半はボイス群(子供の声含む)も加わっていかにもナチュラルに。

《ナウ・ユー・マスト・クライム・アロン》はストリングス&ベースの室内楽曲。静かな内なる決意表明?そのまま続けて《ウォーキング・ザ・ピーク》へ。ピアノとドラムが加わり徐々にピーク(頂上)へと盛り上がり、ゴングが”キンコンカン”。そこへおもむろにジョシュアのテナーが入ってきます。音は良いんだけどひたすらクール。続くメルドーはワールド全開。左右バラバラ弾きをかまします。ジョシュアとは好対照ですね。で、再びゴングが”キンコンカン”。正に頂上から辺りを見下ろす感じの雄大さで終了。

41分19秒。一挙に聴けます。
いわゆるジャズだけでは括れないメルドー・ワールド。素敵です!

DISC2は62分53秒と長め。旅先の状況と帰ってきてからの旅の回想も入っているからでしょう。もうめんどうなので解説はしません(笑)。と言っておきながら、気になる曲もありますのでちょっと解説。《カプリチオ》はユダヤ?東欧?ジプシー?風なエスニック・サウンド。手拍子が入っているので、まるで民族舞踊のような曲です。これなんか聴くと、メルドーもニューヨーク系一派だというのを実感します。いわゆるジャズ度は2枚目のほうが高いということも付け加えておきます。

オーケストラのアレンジもメルドーがしているんですよ。ちょっと普通のアレンジと違う感じですが、これこそメルドー・ワールドなのでしょう。メルドーの音楽家としての実力が遺憾なく発揮されたアルバムだと思います。

メルドー恐るべし!必聴!

スイングジャーナルさん!
これをゴールドディスクにしなきゃダメだって(笑)!

と言っておいて。
その後、何度か聴いたら、DISC1はいいのだけれど、DISC2はネタ切れに思えてきました。2枚目のいわゆるジャズ度が高いのはネタ切れのせいで、ありがちなジャズになっちゃったのではないかと思う次第。

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ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

素晴らしいレビューです。

関係ないかもしれませんけど、それにつけてもe.s.t.は惜しいですよね。生で聴いたことあるだけに、これからが楽しみだったのです。

投稿: kasttbs | 2010年4月 3日 (土) 22時18分

kasttbsさん。こんばんは。

はじめまして。
どうもありがとうございます。
勢い任せの書き殴り状態なのでお恥ずかしいです。

>それにつけてもe.s.t.は惜しいですよね。生で聴いたことあるだけに、これからが楽しみだったのです。

e.s.t.を生で聴かれたとは、羨ましいです。
そうですねよね~。惜しいです。
実は私、あまりe.s.t.は聴いておらず、最近になってやっと良さを認識したんです(汗)。
なので、慌てて『ヴァイアティカム+ライブ』を買ったところなんですよ。

投稿: いっき | 2010年4月 3日 (土) 23時02分

こんばんは。
昨日、ブログあげたとき、見にきたんです。出先なので、携帯からになってしまうと、とらばアドレス拾えないので。


スベンソンが事故でなくなるほんの少し前に、なんだか、彼の曲の魅力にやっとこさきがついたんです。あ、演奏はすごいと思ってたんですが、、。
だから、アルバムはそれなりにあるんですが、あまりブログに取り上げなかったので、後悔しました。

このアルバムは気に入りました。急いでかいたので、誤字脱字だらけでした。ま、いつもなんだけどね。(笑)ライナーも一応みてたんですが、ジョシュアいるのに、トリオ演奏になってたなあ、ってのは、覚えてます。

とらばしたいので、とらばアドレス教えてくださあい。

投稿: すずっく | 2010年4月 4日 (日) 21時13分

すずっくさま。こんばんは。

私も昨日ブログを見させていただいてましたが、ちょっと細かい用事がありまして、今やっと落ち着いた感じです。

e.s.t.は1枚だけ持っていたのですが、恥ずかしながら、何と言いますか、私の感度が鈍かったということで(涙)。
YouYubeの動画を見てから、これはなかなか凄いんじゃないかということになり、これから聴いてみていこうと思っているところです。

メルドーのこれはいいですよね。
私もかなりのお気に入りです。
これは今年のベスト5入りか(笑)?

トラバアドレスは
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/511944/34060032
です。

すずっくさまの感性に溢れたレビューはいつも楽しく読んでいます。

私もすずっくさまのブログへコメント&トラバさせていただきます。

投稿: いっき | 2010年4月 4日 (日) 21時45分

もう一度、飛ばしました。。
どうーーかな。。

投稿: すずっく | 2010年4月 7日 (水) 18時23分

すずっくさま。こんばんは。

トラバ入りました。
お手数かけました。
ありがとうございます。

投稿: いっき | 2010年4月 7日 (水) 19時21分

最初から最後までつながっているような気が、聴いていてしてたのですが、いっきさんの解説を読んで納得!でした。ジャズとクラシック的(現代音楽的?)なオーケストラの使い方のボーダーレスな感じも、このレーベルだからこそ、という面もありますね。

久しぶりに壮大な構想に基づいた(と思われる)いいアルバムに出会いました。でも、同レーベルから出た「オーケストリオン/パット・メセニー」もある意味そういう面では壮大なので、久しぶりでもないのかな?

TBさせていただきます。

投稿: 工藤 | 2010年4月18日 (日) 15時52分

工藤さん。こんにちは。

>ジャズとクラシック的(現代音楽的?)なオーケストラの使い方のボーダーレスな感じも、このレーベルだからこそ、という面もありますね。

おっしゃるとおりだと思います。

>久しぶりに壮大な構想に基づいた(と思われる)いいアルバムに出会いました。

アルバムにストーリー性を持たせるのは、最近の一般的なジャズ・ファンには賛否があるんでしょうけれど、私はこういうのが好きですし、良いと思います。

>同レーベルから出た「オーケストリオン/パット・メセニー」もある意味そういう面では壮大なので、久しぶりでもないのかな?

メセニーも壮大ですよね。そして奇抜です(笑)。

TBありがとうございます。
私からもTBさせていただきます。

投稿: いっき | 2010年4月18日 (日) 17時30分

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