寺島靖国の「PCMジャズ喫茶」は毎度の展開!
今日のミュージックバードの「PCMジャズ喫茶」は、FM福岡でジャズ番組「楽しいジャズ」のDJをされていた日比野幸恵さんでした。
私にとって音楽的には刺激皆無。またかの選曲ばかりでした(笑)。
まずは日比野さん選曲。ビル・エバンスの『エクスプロレーションズ』から《イスラエル》。やっぱり女性だとこうなるんでしょうね。女性ジャズ・ファンのステレオ・タイプです(笑)。澤野工房も好きだなんて話もありました。
ここで岩浪さんからピアノ・トリオの流行について話がありました。オスカー・ピーターソン、ビル・エバンス、澤野工房という流れだとか。まあ、ずいぶん大雑把ですが、日本ではそうなるんでしょうね(笑)。岩浪さんからは「ビル・エバンスは鍵盤の真ん中の音域ばかり弾いて、広がりのあるピアニスティックなピアノは弾かなかった。それはピーターソンと逆で反動。」なんて話がありました。寺島さんは「ジャズは反動の歴史。」と言っていました。なるほど。そのビル・エバンスに対して寺島さんは「内にこもった暗さが嫌だ。」と言っていました。その美意識が素敵なのに・・・。もう勝手に何とでも言って下さいって感じです(笑)。
寺島さんがエバンスのライブを見に行った時、会場が”チ~ン”となり途中から眠っている人もいたなんて話へ。日本のジャズ・ファン。どうなんでしょうね~。世界一だったはず(笑)。
そこから「ブルーノート東京」の話へ。寺島さんは、ハンク・ジョーンズのライブを見たそうですが、ドラム近くの一番前の席に座ったそうで、気分が良くなってついうっかりステージにビールグラスを置いてしまったんだとか、で、気付いて戻した後に、店員さんが来て怒ったんだそうです。寺島さんは「ブルーノート東京」は大嫌いだと言っていましたよ(笑)。入った瞬間にその権威主義的で「オレが一番だ。」的な雰囲気が嫌いだと言ってました。権威主義をとことん嫌う寺島さんなのでした(笑)。
次は岩浪さん選曲。澤野工房のボーカルが好きということで、ニコレッタ・セーケの『マイ・ソング』から《ユア・ソング》。寺島さんは今一だそうな。またまたアルバムの1曲目(笑)。ここで日比野さんから澤野のジャケットが好きなんて話が出て、山中千尋のファースト・アルバムのカモメが飛んでいるジャケットがイイなんて言うと、寺島さんは「山中千尋知っていますか?気が強くてね~。」と。またまた出ました!最近毎回一度は山中千尋さんの話題になりますね~(笑)。
次は寺島さん選曲で、ウラジミール・シャフラノフの『アイル・クローズ・マイ・アイズ』から《ホエン・ア・ジプシー・メイクス・イズ・ヴァイオリン・クライ》。寺島さんからは、この人のアルバム『ホワイト・ナイツ』からピアノ・トリオに入ったなんて話もありました。かけた曲は「僕のこの1曲。」だそうです。哀愁の曲。なんとなく《枯葉》を思い起こす曲でした。またか~、もうこの手の曲と演奏は耳タコ。
ラジオ番組の話がチラッと。「NHK-FMとかのジャズ番組は「なんとか特集」というのが多いがどうしてかな~。」と寺島さん。ディレクターの太田さんからは「作りやすいから。ある意味やっつけ仕事。」との答えがありました。
日比野さん選曲でブロッサム・ディアリーの《ゴー・アウェイ・ウィズ・ミー》。ニューヨークに行った時にライブを見て買ったCDだそう。この曲はディアリーのオリジナルだそうです。オリジナルと聞いてちょっと心配そうな寺島さんでしたが、聴き終わったら気に入ったみたいでした。
日比野さんは名刺の肩書に「ジャズ愛好家」と書いているそうで、「珍しいですね。」と寺島さん。ちなみに寺島さんは名刺の肩書に「全日本ジャズ喫茶発展連盟副会長」と書いているんだそうです。架空の組織なんだそうで、「会長でなく副会長と控えめなところがいいんですよ。」と寺島さん。いかにもらしいですね(笑)。
ピアノ・トリオとボーカルばかりなのでそれ以外という寺島さんのリクエストを受け、岩浪さん選曲でアーネット・コブの《ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥ・ミー》。次の寺島さんの選曲に合わせて、岩浪さんがジャズを好きになってからの原点。黒人ソウルテナー好きということでの選曲です。テキサス・テナーです。なんともソウルフルでゆったりした演奏がなかなかいい感じでした。「新鮮でした。」と日比野さん。「アメリカの中心は牧場があり石油が出るテキサスのような田舎にある。ニューヨークは違う。」と岩浪さん。なるほどね。
今CDは売れないので、ディスクユニオンは店が終わったら行商したらどうか?なんて話も出てきました。アメリカではミュージシャンがライブにCDを持ってきてサインして売るので、日本でも皆そうしたらいいのになんて話も。この手のCD販売不振話も最近番組で頻繁にしてますね。う~ん、深刻だ!
寺島さん選曲。寺島さんのジャズの原点。かけるのを躊躇するものがあると言いつつ、「10歳の頃聴いて脳裏に入ってジャズの原点になったのではないか。」というもの。松尾和子の《君待てども》。「番組始まって以来の快挙で愚挙。」と寺島さん(笑)。これは私もテレビの懐メロ番組で聴いたことがあります。隔世の感がありますね。これに近い私の曲はビリー・ジョエルの《ストレンジャー》かな?私にとってのジャズはこの頃からニューヨークなのでした(笑)。
「ジャズ・ファンは歌謡曲を下に見ている。今かけたのも歌謡曲という人がいる。」と寺島さん。歌謡曲でしょ(笑)。「情緒を低く見る。若い頃は私もそうだったが、ジャズが分かってきたところで、ジャズは”情”だと思った。だから力任せに弾く女性ピアニストはダメ。」と続けます。ジャズを思い入れで聴くのが寺島さん。アリだとは思いますが、それって相手無視の自分勝手でもありますよね?どうもこの論旨には”エゴ”が感じられて好きになれない私なのです。少なからぬ影響力を持つ寺島さんだけに、もっと音楽(ジャズ)に対しては謙虚でもいいんじゃないかと・・・。
習っているトロンボーンの話もチラリ。寺島さんはもう10年やっていて、最近どうも行き詰っていて、習いにいくのも滞りがちなんだそうです。習っている先生に今後はどうしたら良いか相談したら、譜面を読めるようになったらいいんじゃないかと言われたそうです。なんかそこまでして習うのもどうかと・・・?トロンボーンをやってて楽しそうじゃないもん。「メグの会」で寺島さんにお会いした時、「楽器をやったほうが良いですよ。」と勧められた私なのですが、ちょっと説得力にかけるような・・・(笑)?
寺島レーベルから出た松尾明トリオの新譜に《ホテル・カリフォルニア》が入っているのが、寺島さんらしくないので他の人が選曲したんじゃないかと、巷で話題にっているそうです。これは寺島さんが選曲したそうで、寺島さん的には自然で、人を一面でとらえてほしくないというようなことを言っていました。
日比野さん選曲でチェット・ベイカーの歌。1986年のライブ録音で《アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー》。これを聴いて日比野さんはチェットが好きになったそうです。この味がなんとも良い感じだと私は思います。寺島さんはダメだそう。寺島さんも岩浪さんも渋谷のパルコ劇場で晩年のチェットを観たそうですが、椅子に座ってうつむいたままで演奏し、アンコールもしなかったそうです。人の凋落をまざまざと感じたと言っていました。チェット観たかったな~。
この選曲に関連して番組での選曲の話へ。「PCMジャズ喫茶」ではプロデューサーもディレクターももうちょっとマニアックで良いと言うそうです。でも寺島さんはオーディオ・ファンやマニアでない人など色々な人が聴いてるので、マニアックなものは控えているそうですよ。そのご意見には賛同しつつも、この番組での寺島・岩浪両氏の選曲、私的には今一です(笑)。
「メグの会」にマニアックな人が来て、¥50,000のヨーロッパEP盤をかけてほしいと言ったなんて話も。その人から、スイングジャーナル誌3月号のEP盤特集で寺島さんがポピュラーなアメリカ盤ばかり紹介していたのを暗にダメ出しされたそうです(笑)。寺島さんは上記と同様にマニアックに過ぎるのでなくポピュラーなほうが良いとのご意見でした。なるほどね。
先程のハンク・ジョーンズのライブ話。「ハンク・ジョーンズは基本的に哀愁ではない。ジャズではない。人の醜さや哀しさがない。単にピアノの音が出てくる。」と寺島さん。それがハンクのピアノなんで、そこに機微を聴き取らないと良さは分からないと思います。
岩浪さん選曲でニッキ・パロットのベース弾き語りで《ブラック・コーヒー》。「名前が良くない。」と寺島さん。それはあんまりです(笑)。日比野さんはレイチェルZ・トリオのベーシストとして、パロットが好きとのことでした。聴いた寺島さんは「1回聴けばいい。」とのこと(笑)。岩浪さんは今度ジャズ批評誌にこれのレビューを書くそうです。
日比野さんはライナーを読みたいので輸入盤でなく日本盤を買うという話からライナーの文章の話へ展開。岩浪さんが「寺島さんのライナーは面白い。」と言ったことから、青木和富さんのライナーの話へ。岩浪さんは、青木さんが自分のことばかり書くので、10年くらい前に「自分のことばかり書くな。」と言ったことがあるんだそうです。でも、青木さんはそんなことは意に介さなかったとのことです(笑)。私は青木さんのフリー・ジャズのライナーは昔から嫌いじゃないので、この話は面白く聞きました。
青木さんは下町のせんべい屋さんの息子なんだそうですね。ジャズ喫茶「タカノ」に入り浸っていたせいで、スイングジャーナル誌に推薦されたそうですよ。
続いて寺島さん選曲でアービー・グリーンの《ラブ・レター》。「トロンボーンは人間の声に聴こえてダメ。」というトロンボーン嫌いの日比野さんに、「艶っぽい音色を聴けばトロンボーン嫌いがなくなるんじゃないか。」と寺島さん。ポップスですな~。聴いた日比野さんは「いいですね~。ロマンティック。」とトロンボーン嫌いが少しは払拭されたみたいです。めでたしめでたし(笑)。
ラストは日比野さん選曲で何度か話に出たレイチェルZの93年録音から《ナーディス》をかけようとしていたのですが、その後トークが長くなって番組の残り時間がなくなってしまい、ボツ。次回ゲストに来た時にかけるそうです(笑)。レイチェルZはエバンス的なところから始まりフュージョンに行ったりしています。「堅い人が多い日本のジャズ・ファンには色々やる人は好まれない。」と寺島さん。堅いジャズファンね~。
渋谷の「Ours/Hours」の店主との話。このお店はオリジナル盤やアナログ機器を売っているお店として知る人ぞ知るお店です。なんでも一番人気がないミュージシャンはチャーリー・ミンガスとのこと。「ベースは魅力だが、自分の音楽性を前面に出すところが良くない。」と寺島さん。あははっ、それはそうなんでしょうけど。メルドーの『ハイウエイ・ライダー』とかは絶対嫌いですよね(笑)。人気がない2番目がマッコイ・タイナーで3番目がハービー・ハンコックだそうですよ。ハービーについても寺島さんはかなり嫌っていました(笑)。
今回の放送は考えさせられること多数でした。
*
本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバードの
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」を
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。
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コメント
>またまた出ました!最近毎回一度は山中千尋の話題になりますね~。
面白いですね~(笑)。
一方、山中嬢はといえば、今回のSJ誌の連載でも、ジャズオリンピックの金メダル獲得は寺島靖国氏!と書いているように、互いが持つ媒体で、チクチク合戦が続いている模様です(笑)。
投稿: 雲 | 2010年4月11日 (日) 08時08分
雲さん。おはようございます。
ほんと、チクチク合戦、続いていますね。
寺島さんも同業者に論争相手がいないので、今は山中さんがいい相手になっているんでしょう。
なんだかんだ言ってお互いに楽しそうなのでいいんじゃないかと思います(笑)。
投稿: いっき | 2010年4月11日 (日) 08時56分
いっきさん、こんばんは。
那須のお母さんの三回忌で、昨日、今日は長距離移動。
パソコンのない生活をしていました。
外に出るのは疲れますね(笑)。
昨日の"女子ジャズ"の島田さんが云うには、
日本のミュージシャンは、お店にCDを置くよりも
ライブハウスで手売した方が売れるそうです。
「ジャズは本人が手売」が、これからのメインですね(笑)。
渋谷のパルコ劇場のチェット・ベイカーのライブは
'86年にたった一度だけ来日した時のことです。
カメラマンのブルース・ウェーバーの写真展のイベントゲストとして
行われたもので、もう演奏する気力は無かったという話。
写真展の被写体はチェット・ベイカーだったのですが、
・・・その写真集知っていますか?いい本ですよ。
投稿: tommy | 2010年4月11日 (日) 23時26分
tommyさん。こんばんは。
>那須のお母さんの三回忌で、昨日、今日は長距離移動。
お疲れ様でした。
>「ジャズは本人が手売」が、これからのメインですね(笑)。
ライブを観に来てくれるような人しかCDを買わないということですね。
寂しい時代になりました(涙)。
>カメラマンのブルース・ウェーバーの写真展のイベントゲストとして
>行われたもので、もう演奏する気力は無かったという話。
そうなんですか。
>写真展の被写体はチェット・ベイカーだったのですが、
>・・・その写真集知っていますか?いい本ですよ。
知りませんでした。
見てみたいです。
投稿: いっき | 2010年4月12日 (月) 00時29分
大学生時代からの趣味がこうじて、定年退職後、九州の田舎でちんけなJazz&Drink Hancockを営業しています。しかし、最近のJazz喫茶は、低音量でBGM程度のJazzをながし食事がメインの店が多い中、当店は、ただ大音量の店とは異なり、楽器の音がリアルに再生されていると自負しています。北九州市に来られた際には、是非、お立寄り下さい。
投稿: 花ちゃん | 2012年2月 6日 (月) 00時01分
花ちゃんさん
こんばんは。
>当店は、ただ大音量の店とは異なり、楽器の音がリアルに再生されていると自負しています。
少なくなりましたね。リアル・ジャズ喫茶。
凄いスピーカーを見ただけでも自負の程は分かります。
>北九州市に来られた際には、是非、お立寄り下さい。
もしも行くことがありましたら、是非おじゃまさせていただきます。
投稿: いっき | 2012年2月 6日 (月) 01時14分