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このカルテットもなかなか良いです。

ディスクユニオン界隈では話題になっていた1枚。

P137 『トロティニョン エル・マレク ホール パレマーツ』(2004年rec. naive)です。メンバーは、バティスト・トロティニョン(p)、デヴィッド・エル・マレク(ts)、ダリル・ホール(b)、ドレ・パルメルツ(ds)です。2005年に発売されたのですが、当時はブログはやっていないので、ジャズ・ブロガーの間での反響はどの程度だったか知りたいような。

本作、4人の名前がアルバム・タイトルなのでリーダーはいないのでしょうが、実質ピアノのトロティニョンとサックスのマレクの双頭カルテットだと思います。曲も2人で5曲ずつ提供していますからね。

トロティニョンはピアノ・トリオの『FRUID』で有名になりました。本アルバムと同じくナイーブ・レーベルのアルバムです。私はこの人の現代的でスマートなハーモニー・センスが好きです。で、繊細過ぎないところもいい。結構ガンガン弾いてくれるんです。このくらいの温度感、熱くなる時はなるけれど、クールな視線は残しているところが絶妙のバランス。

マレクは、またまた登場のマイケル・ブレッカー系譜の現代テナー吹き。私って結局こういうサックスが好きなんですよね(笑)。キレのある良く通る音色でメカニカルになり過ぎないフレージングでバリバリ吹いてくれます。いいサックス吹きだと思うのですが、ちまたの評判は上がらないのがおしいところです。

こういう2人なので、バンドのサウンドはコンテンポラリー・バップ。トロティニョンが参加していたムタン・リユニオン・カルテットにも通じます。ただし、あちらはムタン兄弟のベースとドラムがかなり前面に押し出されていますね。ムタン・リユニオン・カルテットについては この双子は只者じゃない! を参照。こちらもカッコいいバンドです。ピアノはピエール・ド・ベスマンにチェンジしています。新作『ソウル・ダンサーズ』がジャズ・ブロガー間で話題なので、気になってはいるのですが未購入(その後購入)。

本作の話に戻ります。曲は2人が書いているけれど、聴き流すとどちらが作った曲かを判別するのは難しいと思いました。バンド・サウンドのイメージは統一されているということです。

気になる曲がいくつかあります。《ベース・オン・トップ》はルー・ドナルドソンがやりそうなファンキーな曲なのですが、この人達がやると当然スマートになります。ただしスマートになっても、マレクが熱く吹いてくれるし、トロティニョンも結構濃く熱くやってくれるものだから薄味にならないところが面白い。こういう演奏はなかなかできないと思いますよ。センスがいいと思います。

《ブイブス》は高速4ビートで、ムタン・リユニオン・カルテットのサウンドにかなり近い感じ(笑)。この曲はトロティニョンの曲ですが、あちらはムタン兄弟が作曲しているのにイメージは近いんです。曲が始まってしばらくしたところのトロティニョンの独奏が強烈。右手と左手がバラバラで右手の高速弾きに左手の低音メロディー被せるのは、上原ひろみなんかも得意とする弾き方。現代精鋭ピアニストのテクニックは凄い!続くマレクのソロも熱い熱い。で。ピアノ・ソロは右手のウネウネ高速フレーズがこれまた強力。

《イン・ア・ドリーム》はドラムがマレットで叩くスピリチュアルなバラード。マレクもトロティニョンも結構ブラックなジャズをよくわかっています。ヨーロッパ系にありがちなクラシックの匂いは控えめなのです。それは全般に言えることで、このくらいのクラシックの滲み具合が私にはとても心地よいです。《334》は美しいバラード。トロティニョンが冴えまくってます。

4曲しか取り上げませんでしたが、いずれもカッコいい曲でメロディーも美しいです。このアルバムはヨーロッパのコンテンポラリー・バップに描く私の理想型かも?

パティスト・トロティニョンの今度出る新作『スイート』は、マーク・ターナーとジェレミー・ペルトが全編に参加したクインテットのライブ盤。これは買いですよね!楽しみにしています。

アルバム名:『DRE PALLEMAERTS』
メンバー:
BAPTISTE TROTIGNON(p)
DAVID EL-MALEK(ts,ss)
DARRYL HALL(b)
DRE PALLEMAERTS(ds)

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