雲さんならではの”パウエル愛”に溢れた番組。
今日は風が吹いてめちゃくちゃ寒かったです。
桜が満開なんですけどこの寒さは一体何?
昨日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」は「渡欧後のバド・パウエル」。
番組詳細は jazz blog 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。
こちらには番組中でかけたCDの購入リンクもあります。
「快楽ジャズ通信、ポッドキャスト編」 も是非お聴き下さい。
まず、バド・パウエルの渡欧などについてはディレクター嬢から。
内容については 放送第78回「渡欧後のバド・パウエル(2)」 を参照願います。
なるほど、そんな感じだったのですか。フムフム。
BGMは雲さんが好きな『アット・ザ・ゴールデン・サークルVol.3』から
《スウェーディッシュ・パストリー》。長尺曲なのでかけられなかったもの。
雲さん21歳、人間の死について考えさせられたのが、パウエルの映像だそう。
《アイル・キープ・ラビン・ユー》をBGMにパウエルがひたすら歩いている映像。
これを見た後、それまで絶頂期のパウエルを聴いてきたのに、
晩年も聴くようになったそうです。
「晩年の演奏からはわびさびを感じる。」と雲さん。
この映像は私も見ました。
ジャス喫茶「いーぐる」で雲さんが「バド・パウエル特集」をやった時にかけました。
これは本当にインパクト大な映像でしたよ。
「ピアノを弾く毎に命を削っていっているんじゃないかと思う。」と雲さん。
精神病治療のせいもありパウエルには躁/鬱状態の波があります。
最初の1曲は調子の悪い時の演奏。
ゴールデン・サークルでの未発表演奏の中から選曲。
『バドイズム』から《コンファメーション》。
ゴールデン・サークルでの調子の良い演奏は、
前述の『アット・ザ・ゴールデン・サークル』に収録されています。
未発表で比較的調子の悪い演奏が入っているアルバムが『バドイズム』。
長いので途中フェードアウト。
確かに絶不調。テーマからヨレヨレ。
アドリブもなんだかな~。辛い。でもね~っ、く~うっ、たまらん。
これを最初にかけた雲さんはエライ!
パウエルを聴くということは、これも知っておく必要があります。
でも、ジャズ初心者はくれぐれも聴かないでねっ(笑)。
(以降緑字は、曲を聴いての私の感想などです。)
「CDは酷です。こういうのが音源として残ってしまうのは。」と雲さん。
次は調子の良い時のパウエル。
『ポートレイト・オブ・セロニアス』から
《ゼア・ウィル・ネバー・ビー・アナザー・ユー》。
私は、このアルバムがかなり好きです。
こちらは何とも言えない哀愁漂う演奏。
こういう味は簡単には出せないんですよね。
成熟したパウエルもいいんですね~。
最近はこういうのに感動しちゃう私です。
次は親しみやすい聴きやすい演奏。
この時期は前期のようなテクニックはなくなってしまったのですが、
かわりに獲得したのは”味”。リスナーに味わいをもたらしています。
後期パウエルを代表する演奏。
後期パウエルが良いという人は皆さんがイイと言う曲。
『バド・パウエル・イン・パリ』から《ディア・オールド・ストックホルム》。
このアルバムは寺島靖国さんも良いと言っていましたよね。
当然ですが、寺島さんは後期パウエルを良しとしています。
雲さんが言っていたとおり味のある演奏。
深いと思います。
指がもつれた個所はたくさんありますが、それも含めての味わいです。
ドラムがバランス的に前に出て、”スッタカラッタ”の祭りのタイコのようなのに、
それでもしみじみ聴かせてしまうパウエル。
『イン・パリ』(『ショー・ナフ』)から《ニューヨークの秋》。
しみじみした秋という演奏。テナーのバルネ・ウィランが参加。
死ぬ時は、帰巣本能なのか?NYに戻ったパウエル。
NYに戻る前にはこの曲ばかり弾いていたそうです。
ウィランの渋いテナーの後ろで美しく伴奏するパウエル。
ソロになっていきなりの高音を転がすロマンチックな展開。
う~ん、この演奏も素敵ですよね~。
雲さんの曲前トークがこの曲を余計に良く聴かせてくれます。
「これ泣けますね。」
「ウィランのソロの後のパウエルの出だしの和音を聴いただけで泣けます。」
と雲さん。
しみじみした曲が2曲続いたので、躍動感のある曲。
バド・パウエルのことを献身的に支えた、フランシス・ポウドラに捧げた曲です。
(フランシスとパウエルの関係は、映画「ラウンド・ミッドナイト」になっています。)
パリ(ヨーロッパ)最後の録音。
『ブルース・フォー・ビュッフェモン』から《ウナ・ノーチェ・コン・フランシス》。
ラテン・タッチのリズムと哀愁のメロディー。
なんか、寺島さん好みそのもの?
まっ、こういうやつの良さは私も認めます。
フランス語のタイトルには基本的に弱い私(笑)。
次もフランシス・ポウドラ関係。フランシスが自宅録音していた音源から。
しみじみした演奏で、パウエルの歌も聴けちゃいます。
『リラクシン・アット・ホーム 61-64』から《クリスマス・ソング》。
さすがパウエル・フリークの雲さん。
こんなアルバムまで持っていたんですね。
これもかなりのヨレヨレ系?テープが伸び気味で音程が不安定なのかも?
パウエルにこんなクリスマス・ソングを弾いてもらうなんて凄い。
それを聴ける私達も幸せ(笑)。
音だけ残るのは酷な場合もありますが、こういうのが遺されたことは素晴らしい。
テープが悪いけど引き込まれてしまうピアノです。
「かけたいものはたくさんあるのですが、後期パウエルは聴けば聴くほど
自閉症に、鬱な気分になってしまう。」と雲さん。
なので、最後は溌剌として俺はピアノを弾くために生まれてきたぞという演奏。
デクスター・ゴードンの『アワ・マン・イン・パリ』から《ライク・サムワン・イン・ラブ》。
CDにボーナス・トラックとして入っています。
私が持っているのはレコードなのでこれは入っていません(涙)。
これはパウエルのソロで始まる出だしからもう”ウルッ”と来ます。
そこからテンポアップして、明るいけれど哀愁が溢れています。
う~ん、これは胸に迫ってきますよね。いいっ!
ミシェロのベース、クラークのドラムも上手いですよねっ。
今回は”ウルウル”満載なパウエルが聴けました。
パウエル・フリークの雲さんならではの選曲と解説。
”パウエル愛”を感じました(笑)。
<アフター・アワーズ編>
ディレクター嬢は今日が最後。
来期からはディレクターが変わるんだそうです。
番組も大幅リニューアル、乞うご期待!
そして、来週からはジャズ・カフェ 「スコット・ラファロ」 のオーナー tommy さんが
毎週ゲスト出演します!
パウエルをBGMに、「ディレクター嬢とのお別れは悲しいよ~。」トーク。
女子ディレクターAさん、本当にお疲れ様でした!
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