ピエラヌンツィ大好きな西山さんは楽しそうでした。
昨日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」は「エンリコ・ピエラヌンツィ特集」。
ゲストはジャズ・ピアニストの 西山瞳 さん。
番組詳細は jazz blog 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。
こちらには番組中でかけたCDの購入リンクもあります。
「快楽ジャズ通信、ポッドキャスト編」 も是非お聴き下さい。
西山さんのときおり出る大阪弁とイントネーションが
カワイイ感じです。
写真の落ち着いた雰囲気とはちょっと違い、
喋り方は親しみ感と愛嬌があります。
西山さんはある時期エンリコ・ピエラヌンツィ一辺倒
だったそうです。
でも最近はピエラヌンツィから離れたいという意味もあって、
あまり聴いていないとのことでした。
「西山さんのピアノはピエラヌンツィのイメージはない。」と雲さん。
「イメージ的にはハンコックだと思いました。」と言うと、
西山さんは「ハンコックは聴いていません。高校生で止まって、
それ以降聴いていません。」とのお答え。
今はジョン・テイラーやステファノ・バターリャをよく聴くそうです。
フランス、イタリアのピアニストをよく聴くんだそうです。
ジャズを始めたのはチック・コリアとビル・エバンスを聴いたから。
エバンスはジャケ買いで、チックは帯買いなんだそうです(笑)。
エバンスは『アンダーカレント』。
チックは『ナウヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス』。
後者はリターン・トゥ・フォーエバーや電気のイメージが強かったチックの
ピアノ・トリオが新鮮だったそうです。
雲さんは《マトリックス》がブルースだと気付くまでに時間がかかったそうで、
ならばピエラヌンツィのブルースを聴いてもらいましょうということに。
ウンブリア・ジャズ際のライブ。
『Un'alba Dipinta Sui Muri』から《ブルース・ノー・エンド》。
雲さんが最初に聴いたピエラヌンツィのアルバムだそうです。
なるほど低音を中心に弾く面白いピアノ・ソロ。
独特の音センスを感じます。
(以降緑字は、曲を聴いての私の感想などです。)
雲さんは「硬質なピアにズムで”ドスン”と迫る感じがする。」と言います。
西山さんによれば、ピエラヌンツィはたくさんのレーベルに録音していて、
レーベルによって感じが変わるとのことでした。
西山さんのおすすめ。CAM JAZZレーベル。
『ニュー・ランズ』(『チャイルド・イズ・ボーン』というタイトルで復刻)から
《アイ・ラブ・ユー》。
西山さんはこのアルバムを全部コピーしたそうです。
マーク・ジョンソンのベース、ジョーイ・バロンのドラムとの最初期のトリオ。
ピエラヌンツィらしい、ヨーロッパの匂いのするピアノです。
基本、エバンス系なんですけどね。しなやかな音遣い。
ジョンソンのしなやかなベースとバロンの繊細なドラムがからみ。
品格があるピアノ・トリオ演奏です。
「今のトリオ演奏とはだいぶ違う。」と雲さん。
「マーク・ジョンソンが疾走する。勢いがあっていい。」と続けます。
「ピエラヌンツィはエバンスに似ている。」とも。
西山さんは一緒にやっているベーシストの方から
「マーク・ジョンソンのベースはいいから聴いてみたら。」と言われて、
ジョンソンが参加するトリオでピエラヌンツィを聴くようになったそうです。
最近の同メンバーのトリオ演奏。
『ドリーム・ダンス』から《キャッスル・オブ・ソリチュード》。
西山さんと雲さんの選曲が一致。
なるほどね~。聴き比べると確かに違います。
録音が骨格のしっかりした音になっているからかもしれませんが、
醸し出す香が濃厚になっています。
音の陰影感が増しているんですね。
ラテン・リズムとメロディーが哀愁を帯びてイイ感じです。
どことなくチック・コリアの《スペイン》に通じるメロディー。
「進化、深化している。」と雲さん。
「独特の世界。円熟味を増している。」と西山さん。
「マーク・ジョンソンが大人の色気を発していていい。」と雲さん。
このCAM JAZZレーベルは音がいいです。
「オーディオ・ファンがこのレーベルがいいというのがわかる。」と雲さん。
ならば、このレーベルのクラシックのピアノ・ソロ。
原曲からインプロビゼーションに入るのでジャズ・ファンも楽しめます。
『エンリコ・プレイズ・ドメニコ・スカルラッティ』から
《ドメニコ・スカルラッティ作曲K531/インプロ》。
これはもうクラシックの録音。
響きのいいホールの残響を豊かに録音しています。
いや~っ、立派なクラシック演奏です。
さすがはヨーロッパのピアニスト。格調が高いです。
これはもう育った環境が違うとしかいいようがありません。
こういう味は一朝一夕には出せないのです。
「自由奔放に気持ちよさそうに弾いている。」と雲さん。
「インプロが面白い。変わるところがすぐわかる。」と西山さん。
ちなみに原曲をしらない私はどこで変わるのかちょっと?でした(涙)。
西山さんのアルバム『パララックス』から。
このアルバムは雲さんお気に入りで1日何度も聴いたこともあるそうです。
雲さんは《ジ・アザー・サイド・オブ・ミッドナイト》の人力ドラムンベースが好き。
色々な演奏があるというので選曲に迷っていました。
「西山さんのピアノは馬場さんのギターと重なると相乗効果で世界が広がる。」
「馬場さんのギターは暖かいパット・メセニーという感じ。」と雲さん。
時間をかけて練り上げて曲を作ったという馬場さんのギターが加わった
《インビジブル・ワールド》をかけることになりました。
ギターは確かに暖かいパット・メセニーです(笑)。
曲想がパット・メセニー・グループな感じです。
私はこの世界観は好きです。
馬場さんはかなりメセニーに影響されているように思います。
後半の盛り上がりでは微妙にカート・ローゼンウィンケル風フレーズも
入っているところが、今時のギタリスト。
「広がりが感じられます。」と雲さん。
馬場さんは見た目は地味な感じなんだそうですが凄いギター弾き。
藤井隆に似ているということでインパクトがあるとか(笑)。
このバンドはずっと関西でやっているそうで、
このアルバムはバンドの皆で作り上げたのだそうです。
雲さんお気に入りの人力ドラムンベースは一発録りだそうで、
ドラマーの方は普段クラブ系のリズムもやっていて慣れているとはいえ、
一発録りは凄いという話も。
最後も西山さんの選曲。
クラシック演奏もあったので、ジャズっぽい曲で締めましょう。
『シーワード』から《フット・プリンツ》。
このアルバム、寺島さんが自著で推薦していましたね(笑)。
テーマの後ベース・ソロなんですが、これがなかなかいいです。
リズムのノリがヨーロッパですが、私はこういうのも好きです。
メロディーは香高い感じ。
ベースとドラムの積極的なからみもいいです。
西山さんのトークは誰かに似ているかと思ったら、
賀来千賀子を気さくにした感じのような・・・違うかな(笑)?
ライブ情報は 西山瞳さんのブログ をご覧下さい。
4月にはエンリコ・ピエラヌンツィ特集があるそうで、
マニアの集まりの様相を呈するのだとか(笑)。
<アフター・アワーズ編>
西山さんがしゃれで《枯葉》をエンリコ・ピエラヌンツィ風にアレンジ。
西山さんのピアノと雲さんのベースとのデュオ。
なるほどね~。確かにこんな感じかもしれませんね~。
私、ピエラヌンツィのアルバムはリーダー作他8枚持っているわりには、
いまいち特徴は把握しきっていないので”感じ”レベルです。
凄く快適で心地よい演奏でした。
これはエンリコ・マニアのオタクな世界です(笑)。
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