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のたうつベースとファナティック・アルト!

先月「快楽ジャズ通信」「ジャッキー・マクリーン特集」の収録を見学したました。
ゲストはアルト・サックス奏者の纐纈雅代さん。
纐纈さんの生アルト演奏に接して背中が”ゾワゾワ”したことはブログにUP済。
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-0b7f.html

機会を作って下さった高野雲さんに感謝!

そんな体験をしたからには、纐纈さん参加のアルバムを聴いてみたいと思い、
鈴木勲さんのアルバムを買いました。

P56 『ソリチュード フィーチャリング纐纈雅代』(2008年rec. Sony Music Direct)です。メンバーは、鈴木勲(b,syn)、纐纈雅代(as)、中村恵介(tp)、塩本彰(g)、板垣光弘(p,syn)、小松伸之(ds)、川口弥夏(ds)です。鈴木勲さんはこのアルバム録音時に75歳、何なのでしょうこれは!超お元気です。最近の高齢の方には”お年寄り”という言葉が当てはまりません。

鈴木さんはウッドベースにエレキベースの弦を張っています。ライナーノーツに鈴木さんは、「私はいつも、他とは違った個性的な音色を追求しているのです。」と書いています。ベースの音は大蛇がのたうちウネルが如く。こんなベースは他では聴いたことがありません。暴れっぷりがまたお見事!ということで、上記のとおり75歳が信じられないのです。

こんなパワフルで個性的なベーシストにフィーチャーされちゃった纐纈さんも凄いではありませんか?纐纈さん、実に堂々と渡りあっています。纐纈さんのアルトにはもう一言しか思いつきません。”ファナティック(熱狂的な、狂信的な)・アルト”!アルバム冒頭の曲《キャラバン》でドラム・ソロのイントロに続いて登場するアルトの”ビヒャー”を聴けば、納得してもらえると思います。

この曲の収録時、初めのソロが終わったところで纐纈さんは倒れたんだとか。そしてドラムソロの間に復活したらしいです。もちろんワンテイク録音。渾身のブローなのでした。

”ファナティック”という言い方は、ジャズ喫茶「いーぐる」のマスター後藤雅洋さんが自著で、ジャッキー・マクリーンのアルトに対してよく使われるのですが、私は纐纈さんのアルトにもその称号を与えたいのです。そういう意味では「ジャッキー・マクリーン特集」のゲストとして、纐纈さんは正にピッタリなのでした。

こんなやんちゃなアルトを吹くのが若い女性だというのは、今時の”肉食系女子”を表しているんじゃないでしょうか?でも、普段の纐纈さんはためらいがちな喋りなのですよ。

2曲目《ソリチュード》は、バラードでベースとアルトのデュオ。鈴木さんののたうつベースに優しく包まれながら、纐纈さんが素直に自分を出していると思います。纐纈さん、これぞバップな堂々の吹奏です。番組収録時に聞いたのですが(雲さん、番組ネタばらしご容赦)、ちょっとリハーサルのような感じで演奏したら、それが本テイクになってしまったらしいのです。いや~っ、実にジャズではありませんか。

このアルバム。とにかく楽しいアルバムなのです。これって、鈴木さんのおもちゃ箱なんじゃないかと思います。上記のように、サックス・トリオあり、サックスとのデュオあり、セクステットでのファンクあり、ギターとのデュオあり、ベース・ソロありとフォーマットも色々で、スタンダード曲のアレンジも斬新。シンセを入れたり、アルトを多重録音したりと、ジャズの伝統にあぐらをかくようなところは微塵もありません。アグレッシブに挑んでいます。

《マイ・フェイバリット・シングス》のリズムやテンポを様々に変えるアレンジも面白いですよ。纐纈さんのアルト・ソロも痛快!ギターとのデュオ《ラウンド・ミッドナイト》は、名演だと思います。カッコいい!鈴木さんのオリジナル《バンブー・ダンス》は、4ビート/8ビート、スロー/ミディアム/アップ・テンポを目まぐるしく行き来し、その上でトランペット、アルト、ピアノがクール/ホットなソロを展開するカッコいい曲。ラスト《やさしく歌って》は、自分で弾いたバックグラウンド・シンセとのオーバー・ダビングでベース・ソロ。スケールがデカイ!

鈴木勲さん、とんでもない77歳(今年)のベース弾きです(笑)。
そして、纐纈雅代さんにはこのまま突き進んでほしいと思いました。
雲さんがこのアルバムは面白いとおっしゃっていましたが、納得!

P57 鈴木勲さんと言えば、昔のアルバムでは『ブルー・シティ』(1974年rec、TBM)が好きです。メンバーは、鈴木勲(cello,b)、菅野邦彦(p)、渡辺香津美(g)、井野信義(b)、小原哲次郎(ds)です。鈴木さんのアルバムは、他に『ブローアップ』(スイングジャーナル誌日本ジャズ賞)と『タッチ』『黒いオルフェ』も持っています。

これはレコードも持っていますが、写真のXrcdも持っています。ビクターで開発した高音質CD。今となっては貴重なプレミアもの?CDなのです。レコードとCDで音質比較して、CDの音に近いカートリッジやイコライザー(真空管自作)の組み合わせはどれか試したこともあります。

鈴木さん、こちらではチェロでソロを弾いています。若き日の渡辺香津美のブルージーなギター、菅野邦彦の繊細で美しいピアノも良いです。でも2人とも本場とはちょっと違う日本的なノリや音が当時の日本ジャズを感じさせます。私は鈴木さんのオリジナル曲《45丁目(8番街)》が特にお気に入りです。

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コメント

いっきさん

こんばんは。
纐纈さんのCD購入されたんですね。

アドリブが終わった後に“気絶した”という《キャラヴァン》、どうでしたか?

ああいう、一音に命削ってます!っていう感じのアルトの音圧は、なかなか打たれるものがありますよね。


投稿: | 2010年2月 6日 (土) 21時42分

雲さん。こんばんは。

>纐纈さんのCD購入されたんですね。

纐纈さんの生アルトを聴いたら、このアルバムは買わずにいられませんでした(笑)。

>アドリブが終わった後に“気絶した”という《キャラヴァン》、どうでしたか?

これぞファナティック・アルトです(笑)。気に入りましたよ。こういう勢いのあるアルトは貴重だと思います。記事にもそのトピックを追記しておきました。

>ああいう、一音に命削ってます!っていう感じのアルトの音圧は、なかなか打たれるものがありますよね。

それは強く感じました。纐纈さんにはこの方向性で突き進んでほしいと思いました。

投稿: いっき | 2010年2月 6日 (土) 22時18分

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