« のたうつベースとファナティック・アルト! | トップページ | 「PCMジャズ喫茶」のゲストは守屋純子さん(その2) »

「PCMジャズ喫茶」のゲストは守屋純子さん(その1)

今日のミュージックバードの「PCMジャズ喫茶」のゲストは守屋純子さんでした。
スイングジャーナル誌2月号で、寺島さんと対談していたので、
そのラジオ番組版が聞けるということで楽しみにしていました。

寺島さんの決まり文句がまたまた飛び出しました。「今日は妙齢な美女がいらしています。」それしか表現方法がないんですか(笑)?
さて、守屋さん。ちょっとせっかちみたいで、前のめりぎみの喋りです(笑)。で、少々ハスキー・ボイス。寺島さんによるとかなり声が大きく、マイクを遠ざけてもマイクにどんどん近づいてくるんだとか?かなりパワフルな方のようです。

守屋さんは早稲田大学とのことで、寺島さんの後輩にあたるとか。早稲田のハイソサエティー・オーケストラに所属していたそうです。守屋さんは高校3年の時にジャズを聴き始め、きっかけはジャズ喫茶「いーぐる」のウエイトレスと知り合って、「今はジャズを聴かなきゃダメだ。」と薦められたからだとか。「いーぐる」に行って、その知り合いからオスカー・ピーターソン、バド・パウエル、キース・ジャレット『フェイシング・ユー』を聴かされたらしいです。その時「ジャズが分からないから面白い。」と思ったそうです。

実は私も、オーディオ的要請からジャズを聴き始めましたが、もう1つ、ポップスやロックなど分かりやすくて聴き飽きつつあったということもあります。ちょっと聴いただけでは分からない(口ずさんだり、メロディーが覚えられない、リズムにのれない)ジャズが面白かったのです。そういう意味で守屋さんの最初のジャズ観には親近感を覚えました。

で、興味深いのは聴かされたジャズ・ピアニスト3人です。個性的にしてある意味ジャズの多用な側面を上手い具合に凝集網羅しているのです。さすがは「いーぐる」のウエイトレスなのでした。こういう空間を通して人から人へジャズ観の伝搬が行われていくことが、実は凄く重要なのではないかと思う、今日この頃の私です(笑)。

守屋さんの話に戻ります。それまでクラシックをやっていた守屋さんは、『ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル』《パリジェンヌ・ソロフェア》を耳コピーして、それが売りでハイソサエティー・オーケストラに入ったんだそうです。でも、当時はこの曲しか演奏できなかったそうですよ。

なぜ、パウエルをコピーしたかというと、キースは何をやっているか分からなかったし、ピーターソンは素晴らしいけれどあれほど指が動かないと思ったそうで、残ったのがパウエルだったからとのこと。上記の曲はピアノ・ソロなので、他の楽器がないぶん音をコピーしやすく、テーマがあって、リズムがあって、全部Cだし、分かりやすかったとも言っていました。

続いて、モンク・コンペで作曲賞を獲得した曲《プレイグラウンド》をかけて、こういう曲が良い/悪いの話へ。新譜『スリー・アンド・フォー』からかけました。ちょっと陰りがあるジャズらしい曲で、これが賞を受賞したのも頷けるものでした。寺島さんがスイングジャーナルで言っていたアルマーニ的な曲という話もありましたよ。この曲の感想を巡って、守屋さん側についた岩浪さんに対して、寺島さんはご不満そうでした(笑)。余談ですが、モンク・コンペの審査委員長はロン・カーターとのことでした。

守屋さんがなぜこれまでピアノ・トリオを録音しなかったかについては、ピアノ・トリオの名盤は多くて、なかなか新しさを出せないのに対して、ビッグ・バンドの名盤はピアノ・トリオに比べれば少ないので、何か新しい価値を付け加えることができると思い、ビッグ・バンドを優先させてきたからとのこと。ビッグ・バンドは編曲諸々が大変なので、若いうちにやっておきたかったというのもあるとも言っていました。

で、6枚目のアルバムなので、そろそろピアニストとしてピアノ・トリオを出しておきたいと思ったそうで、何かいいものは作れなくても良いからということで、見切り発車したんだとか。

いい音楽は、良いところと悪いところがわかるものという話から、守屋さんは「自分の悪いところは、うるさい。弾きすぎてしまうところ。」と言っていました。そして「間をとるほうが難しく。だからカウント・ベイシーやデューク・エリントンは凄いんだ。」と言っていました。ここで岩浪さんから「守屋さんは喋りも間がありませんよね。」と発言があり、「それはその人の性格が演奏にあらわれているからです。」と守屋さんも認めていました。

寺島さんからは「誰とは言いませんが、手数が多いピアニストは、よく喋る人が多いですよね。」なんて話もありました。多分寺島さんは例の方の事を言ってます(笑)。だから訥弁な人はピアノも訥弁だそうです。守屋さんは「たまに、ちょっとしか喋らないけれど絶叫型のサックスがいるが、それは絶叫型が本心なんです。」とも言っていました。なるほど!わかるな~それ。

続いて岩浪さん推薦曲。守屋さんの同アルバムから《ディア・オスカー》。曲をかける前に守屋さんが面白いことを言ってました。「ライブではソロが5コーラスでも良いが、CDは2コーラス。5コーラスやっても良いのは天才だけ。キースのスタンダーズやブラッド・メルドーなら良い。」と。で、曲がかかります。曲後に寺島さんが言っていましたが、私もテーマの最初の部分が《ジョードゥ》に似ていると思いました。スインギーで楽しい曲でした。

ここで、ビッグ・バンド・リーダー女性ピアニストということで、秋吉敏子さんの話へ、守屋さんは全て好きだそうです。で、「私が言うのもさしでがましいが。」とことわったうえで、「秋吉さんはビッグ・バンドをやめてからピアノが上手くなった。」と言っていました。ビッグ・バンドをやっていると色々大変なので、ピアノの練習があまりできないらしいです。そして、もう80歳になる秋吉さんがピアノが上手くなるのは凄いバイタリティーだと感心していました。寺島さんは相も変わらず色気のないピアノとか言ってました(笑)。

この続きは明日UPします。

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

|

« のたうつベースとファナティック・アルト! | トップページ | 「PCMジャズ喫茶」のゲストは守屋純子さん(その2) »

寺島靖国のPCMジャズ喫茶」カテゴリの記事

コメント

話にもちょっとでてくるので、聞いてみよ、、
いーぐるは夜しか営業してないのかな。。

投稿: すずっく | 2010年2月 7日 (日) 09時22分

すずっくさま。こんにちは。

新潟は大雪で大変ですね。

「いーぐる」の営業時間は
平日:AM11:50~PM11:50
土曜:PM2:00~PM11:50
(朝日カルチャーセンターの講座がある時はPM3:30~)
です。

ホームページ
http://www.02.246.ne.jp/~unamas/eagle.html
をご覧下さい。
「diary」「note」も是非。

投稿: いっき | 2010年2月 7日 (日) 12時25分

あ、二時からでしたか!
前に昼間に通って営業してたので、お昼ごはんたべよ(違うか。。)、って、おもったんでした。携帯からGoogleしたけどわかんなかったんでーす。

投稿: すずっく | 2010年2月 7日 (日) 17時55分

はい、そうです。
土曜はそうなっています。
朝日カルチャーセンターの講座の時は3時半からなのでご注意願います。
今度「いーぐる」にもお立ち寄り下さい。
って、私は「いーぐる」の営業マンではないのですが(笑)。

投稿: いっき | 2010年2月 7日 (日) 20時59分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「PCMジャズ喫茶」のゲストは守屋純子さん(その1):

« のたうつベースとファナティック・アルト! | トップページ | 「PCMジャズ喫茶」のゲストは守屋純子さん(その2) »