ボヤンZの音楽性に惚れています。
ボヤンZってご存知ですか?
正確に言うとボヤン・ズルフィカルパシチ。
下を噛みそうな名前なので略してボヤンZ。
セルビア出身のジャズ・ピアニストで今はフランス在住。
この人を知ったのは、後藤雅洋さん著「ジャズ選曲指南」に、ピアノ・ソロ・アルバム『ソロブセッション』が掲載されていたからです。ボヤンZは、フランスのベーシスト、アンリ・テキシェに見出されたそうです。この本を買った頃の私はこの方面のジャズには全く疎かったのですが、その後色々聴くうちに結構お気に入りとなりました。
ジャズ喫茶「いーぐる」の掲示板でボヤンZの来日を知り、六本木スイートベイジルにライブを見に行きました。1stステージがボヤンZのソロで、2ndステージがジュリアン・ルロ・グループに参加(エレピ)。ピアノを剛腕で弾き倒していましたよ。ライブ後のサイン会では、握手してサインをもらいました(笑)。前腕の太さが私の上腕と同じくらいの太さ、まるでプロレスラーのようだったので、ビックリ。
今日紹介するのは昨年出たアルバムで、ボヤンZ/テトラバンドの『HUMUS』(2008年rec. Universal Music France)です。メンバーは、ボヤンZ(p,rhodes,xenophone)、ジョシュ・ローズマン(tb)、セバスチャン・ロックフォード(ds)、ラス・ゴラー(el-b)です。4人編成なのでテトラバンド。
コンテンポラリー・バップ・アルバムです。ボヤンZはバルカン半島出身ということで、バルカン音楽に由来するエスニック風味の曲もあります。ジョシュ・ローズマンとセバスチャン・ロックフォード作の曲が各1曲、他の7曲はボヤンZが作曲しています。グゼノフォンという楽器はボヤンZ専用に調整したフェンダー・エレクトリック・ピアノのようで、前作から使用しています。
このバンドのポイントは、ピアノとローズを巧みに使い分けるボヤンZの勢いのある演奏と、ローズマンの熱いトロンボーンにあります。エレクトリック・ベースとドラムが作り出す程よくタイトなファンク系ビートに乗って、繰り出されるホットでパワーのあるピアノ/ロースとトロンボーンが気持ち良いです。
曲によっては歪んだローズとバリバリ吹くトロンボーンが不良性/猥雑性を感じさせて、こういうサウンドが好きな私には非常に楽しいものがあります。ジャム・バンドを聴く人にはこういうテイストの良さは分かっていただけることでしょう。とは言っても決して粗いだけではなく、考えられた曲の構成やニュアンスを意識したサウンドからは緻密な計算も見え隠れします。
最近の私は型に嵌まったお行儀の良いジャズには余り魅力を感じないので、こういうテイストのあるジャズを聴く傾向にあります。ボヤンZのジャズは、バルカン音楽、ロック、クラシックなど色々な要素とのハイブリッドで、非常に現代的でカッコいいジャズだと、私は思います。そしてボヤンZでなければできない音楽をやているところに惚れています。
ボヤンZは今回のアルバムで7作目ですが、私は他に『コレニ』、『ソロブセッション』(前述)、『トランスパシフィック』(サインをもらった)、『ゼノフォニア』も持っています。つまり『コレニ』以降全部買っていることになりますね。ボヤンZに出会うきっかけとなった「ジャズ選曲指南」には感謝なのであります。
アルバム名:『HUMUS』
メンバー:
Bojan Zulfikarpasic(p, rhodes, xenophone)
Josh Roseman(tb)
Sebastian Rochford(ds)
Ruth Goller(b)
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