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纐纈さんはマクリーンと同じで個性的です。

今夜の「高野 雲の快楽ジャズ通信」「ジャッキー・マクリーン特集」
ゲストはアルト・サックス奏者の纐纈雅代(こうけつ まさよ)さん。

番組詳細は 「快楽ジャズ通信」ブログ編 をご覧下さい。
こちらには番組中でかけたCDの購入リンクもあります。

「快楽ジャズ通信、ポッドキャスト編」 も是非お聴き下さい。

今回の番組収録は見学させていただきました。
その時の模様は 纐纈雅代さんのアルトに背中が”ゾワゾワ”! をご覧下さい。

P1_7 まずジャッキー・マクリーンのプロフィール。
いつものようにディレクター嬢から。

雲さんが「マクリーンのことをどう思いますか?」と質問。
纐纈さんからは
「上手い。パーカーと比較すると劣るけど、かなり上手い。」
「人間としては上手い。」と、
面白い回答が返ってきました。
アルトサックス奏者としてはパーカーは神であり別格。
マクリーンは人間としては上位に位置するということです。

雲さんはこの一言が”ツボ”だったのです。
私もこれは言いえて妙だと思いました。
雲さんと横で見学していた私は爆笑。
纐纈さんには座布団3枚はあげたかったです。

パーカーが人間離れしているのに対してマクリーンは人間臭い。
纐纈さんは「マクリーンは兄ちゃんみたい。」とも言っていました(笑)。

音程がフラットしていることについて。
纐纈さんは「アンサンブルをする時は気になるけれど、
それとは違うところを目指していたんだろう。」と言います。
で、「言いたいことがいっぱいあるぞ、という気がする。」と雲さん。

雲さんが「纐纈さんは演奏中言いたいことがあるんですか。」と質問。
纐纈さんは「自分を自由とか解放したいと思っています。」と回答。
曲のことも考えていないんだとか。
「なんだろう、欲求ですね。なんで生きているのかと似ている質問。」と続けます。
「サックスがあるから吹いている。だから上手くならない(笑)。」なんてことも。
纐纈さんにとってのアルト演奏は、自然発生的な欲求なんでしょうね。

纐纈さんの普段の練習について。
ロング・トーンの練習をやってから倍音の練習をやるとか。
倍音練習は音色が良くなるためにやるそうです。
そして曲の練習は全然しないらしく、曲は本番だけだそうです。
「練習は運動で言えば筋トレみたいなもの?」と雲さん。
「そんな感じです。」と纐纈さん。
練習最後に本番のテンションで曲をフリーに吹くこともあるそうです。

まずは纐纈さんのおすすめで、雲さんとも一致した曲です。
『デーモンズ・ダンス』から《スイート・ラブ・オブ・マイン》

私はこの曲が好きです。
哀愁がありつつ前向きな気持ちになれる曲なんです。
(以降緑字は、曲を聴いての私の感想などです。)

これを聴いて思い出したのです!
これ、鈴木勲の『ブルー・シティー』に入っている《45丁目(8番街)》と同曲!
このアルバムについてはブログに書いています。
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-c0e6.html
ネットで検索したらウディ・ショーと共作とのこと。
鈴木さんのアルバムにフィーチャーされた纐纈さんがこの曲を選ぶところが、
巡り合わせの妙ではありませんか?
番組収録中に思い出していれば面白かったのに、残念!

この曲調にマクリーンのアルトがベスト・マッチ。快調です。
続くウディ・ショーのトランペットも渋く。
ちょっと変わったピアノ・ソロのコード使いもなかなかいい感じ。
いいな~この曲と演奏。

「こういう旋律にマクリーンのアルトが合う。」
「しんみりした曲に哀感のあるアルトがマッチしている。」と雲さん。

次は雲さんが好きな曲。
デクスターとの共演。熱気がありいかにもジャズ。
雲さんが考えるジャズのイメージはこういう演奏。
『ザ・ミーティング』から《ルー・デラ・アルプ(アルプ通り)》
デンマークのカフェ・モンマルトルでのライブです。

この曲、私も好きな曲です。
雲さんの好きな曲にデクスターの《ラ・クワフール》があるのですが、
タイトルがどちらもフランス語で、曲(コード)の響きも似ている感じ?
で、私もこういう曲調が好きなんです。”ツボ”メロディー(笑)?
マクリーンの途切れ途切れのフレーズがいかにもこの人。
その場その場で言いたいことを音にしています。
対するデクスターの物語のあるフレーズ。これもさすがです。
2人のソロが好対照。
バックではアレックス・リールがドラムでガンガン煽ります。

纐纈さんの感想は「面白い。マクリーンはそのまんま。」でした。
「デクスターは安定していて30秒くらいさきを予測している。」と雲さん。
「ここで笑わせたいというところに話をもっていくような感じ。」
「対するマクリーンは1秒くらい先しか考えていない(笑)。」
「その場その場で言いたいことを吹く。刹那的。」と続けます。
纐纈さんも演奏も刹那的だそうで、先は考えられないそうですよ。

次は鈴木勲『ソリチュード』からタイトル曲
前回ゲストの時は《キャラバン》をかけたのですが、
今回は鈴木さんのベースと纐纈さんのアルトでデュオ。

鈴木さんに見守られつつ纐纈さんがアルトを吹いているように感じます。
鈴木さんのベースはのたうっているのですがどこかやさしい。
お爺さんと孫の共演です(笑)。
私はなかなか味のある演奏だと思います。ほのぼの感も漂っています。
素の纐纈さんがそのまま出た吹き方だと思います。

「改めて聴くと恥ずかしい。頑張った。」
「その時にしか吹けないということで、懐かしい。」と纐纈さん。
この演奏は1回やってみようかということでやったそうで、
纐纈さんはリハーサルのつもりだったのに、
鈴木さんからO.K.が出たんだそうです。
「一発勝負がジャズらしいですよね。」と雲さん。
纐纈さんも頷いていました。

最後は纐纈さんのおすすめ。
『スイング・スワング・スインギン』から
《レッツ・フェイス・ザ・ミュージック・アンド・ダンス》

これはもう正にこれぞマクリーンという名演。
マクリーン節炸裂です。
この勢いとスイング感は最高ですね。
バックでアート・テイラーが煽る煽る。
ウォルター・ビショップJr.のピアノもコロコロ・スインギー。
ハード・バップの良さが凝集されていると思います。

「このアルバムのベストに近い演奏。迷いのないアドリブ。」と雲さん。
ベースのジミー・ギャリソンが意外。

纐纈さんはこの演奏を聴いて、50年代とは違うと思ったそうです。
「マクリーンの初期は上手くて凄くクール。」
「60年代は自分のキャラを売りだそうとするのが伝わる。」
「これはその中間。」と纐纈さん。

雲さんは「50年代は一生懸命。熱にうなされている感じ。」
「晩年になるに従ってマッチョになろうと、太い音を吹きたいのが感じられる。」
「男一発マクリーンを出していこうとするのが感じられる。」と言ってます。

纐纈さんのライブ予定はブログ:纐纈雅代 をご覧下さい。

今回はなかなか味のあるトークが交わされていました。
で、収録現場を見たのでわかるのですが、ディレクター嬢の編集は凄い!
お疲れ様でした。

<アフターアワーズ編>

纐纈さんのアルトと雲さんのベースでデュオ、《レフト・アローン》。

抑揚のダイナミックレンジとかテーマの崩しとか凄くいい感じです。
渋いんですよね~。音だけからは若い女性とは思えません。
アドリブに入るとまた熱いんですよ。後半はフリーキーにもなります。
途中に挟む「ピピピ」がいいアクセントになっていると私は思います。
とにかく”バップ”です。
現場で聴いた音は凄かったのですが、ラジオでは伝えきれませんね。
こればかりはしょうがありません。

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コメント

たしかに。

いつも思うんですが、放送ですとアフターアワーズのセッションは、生の現場の迫力が何十分の一に薄まってしまいますね。

それはしょうがないことなんですけど……。

投稿: | 2010年2月15日 (月) 10時03分

雲さん。こんばんは。

私はまさに逆で、アフターアワーズ・セッションを体験して、放送ではわからない生の現場の迫力に驚きました。

ラジオも大型のスピーカーで生と同じくらいの音量にして聴けばそれなりの迫力は出るとは思うのですが、家庭では無理ですね。

投稿: いっき | 2010年2月15日 (月) 19時18分

おもしろそうな話題が続きますね。

>『デーモンズ・ダンス』から《スイート・ラブ・オブ・マイン》

ぐぇ。私も大好き。
で、ペッパーの好きなアルバムにもあるんです。

雲さまの番組を生体験したのですね。
よかったね!

投稿: すずっく | 2010年2月16日 (火) 17時32分

すずっくさま。こんばんは。

《スイート・ラブ・オブ・マイン》がお好きでしたか。
好みのメロディーの”ツボ”が近いのかもしれませんね。

ペッパーのアルバムにもあるんですか。
聴いてみたいなあ~。
雲さんのブログを見たらわかりました。
『ラウンド・トリップ』なんですね。

>雲さまの番組を生体験したのですね。
>よかったね!

お友達の特権です(笑)。
で、リスナーを増やすべく一応頑張ってます(笑)。

皆さん、ミュージックバードに加入して「快楽ジャズ通信」を聴きましょう!
チューナーレンタルで月々¥2,100!

投稿: いっき | 2010年2月16日 (火) 20時38分

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