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瀬川昌久さんもお元気ですね~。(その1)

今回の「PCMジャズ喫茶」のゲストは瀬川昌久さんでした。
ジャズ評論家の大御所です。
ウィキで調べたら瀬川さんは今年で86歳なんですね。
まだまだお元気!

寺島さんは「今日はジャズのお堅い話ではなくて、女の話を引き出す。」と意気込んでいました(笑)。”女”というより”ジャズ・ウーマン”のお話でしたけどね。瀬川さんは毎日くらいのペースでライブに行っているとのこと。凄いですね~。ミュージカルのレビューもやっているそうで、「月刊ミュージカル」誌の編集長なんだとか。ミュージカルにはミュージカル・レビュー(踊り主体)とミュージカル・ストーリー(ストーリーがあるもの)があるとのこと。言われて初めて認識。

岩浪さんが「瀬川さんは一人の女性より、多くの女性が好き。」なんて言うので、どういうことかと思ったら”ショーダンス(ラインダンス)”が好きということでした(笑)。ミュージカル・レビューの中に含まれます。それを聴いた寺島さんは「多くの女性がいると、どこを見るか困ってしまいませんか?私は好みの女性を見ますよ。」と発言。一方の瀬川さんは「マッシブな迫力や協調性を見ます。」と発言。

私は聞いていてお2人の違いに納得。見所を心得て全体を見る瀬川さんに対して、とことん私的好みで見る寺島さん(笑)。上記の発言はお2人の本質を浮き彫りにしていると思いました。

ビッグバンドの話へ。

寺島さんが「今の知性ばかり漂うのはどうですか?」と質問。瀬川さんは「良いバンドは原信夫とシャープス&フラッツや宮間利之とニューハード。」と答えます。寺島さんは「良いバンドはわかりましたが、ダメなバンドはどうですか?」と迫ります(笑)。瀬川さんは「中堅のバンドはいきなりソロ(アドリブ)になっちゃう。リフみたいな簡単なメロディーを繰り返すのではなく、テーマー(きちんとした曲)がほしい。」と答えます。寺島さんは「オリジナルをありがたがってメロディーがない。」といつもの持論を展開(笑)。ビッグバンドを聴く層はビッグバンドをやっている人ばかりで内輪だという話もありました。

で、前回ゲストの守屋純子さんのビッグバンドの話へ。やっぱりきました(笑)。瀬川さんは「曲によって親しめるものもある。テクニックを前面に出すと難しい。《ロッキン・イン・リズム》やセロニアス・モンクの曲をやっているのは良い。」と言います。「モダンジャズの曲は歌えた。」とも言っていました。

「プロになると「オリジナルをやりたい。人と違うことをやりたい。」となるが最初は真似が大事。」なんて話も。流れでウイントン・マルサリスの話へ。「ウイントンも曲によってはいいが、黒人の歴史とかやったものはダメ。」と瀬川さん。「ウイントンについているスタンリー・クラウチが悪い。」とキッパリ。

ここで1曲。高橋達也と東京ユニオン&松本英彦《ハレルヤ・タイム》。高橋達也のサックスの師匠である松本英彦とのテナー・バトルが聴きどころ。1980年、東京ユニオン最盛期のライブから。レコードからCD-Rに落としてきたようなのですが、やけに音量バランスが左寄りなんで気になってしまいました。

日本の4大ビッグバンド、シャープス&フラッツ、ブルーコーツ、ユニオン、ニューハードが活躍していた時代があったという話もありました。瀬川さんから「昔は世間で流行った曲をやったが、今はバンドリーダーが曲を作るので、なかなか良いメロディーがない。」「今人気があるビッグ・ファット・バンド(一昨年結構話題に)はメロディアス。」「大学バンドはテクニックを聴かせるのでテクニック合戦になる。」などの話がありました。

この話を聞いて私は、80年代はバンドのテクニック合戦がフュージョンの場で起こったのですが、今はそれがビッグバンドの場で起こっているのだと、理解しました。結局日本のジャズをやる人達(特に大学生)はテクニックに走ってしまうんだろうと思います。で、音楽性が問題になるわけです。こういう人達のジャズの聴き方って、私達聴くだけのジャズ・ファンとの間にやっぱり乖離がある気がします。

ここで、寺島さんも瀬川さんと一緒に「サムデイ」でライブを聴いたというビッグバンド、ザ・ウインド・ウエイブ 《スペイン》カッコイイ演奏でした。

ここで人妻Aさん登場。

寺島さんは「ビッグバンドを2時間聴くのはかなわない。」なんて言ってましたよ(笑)。瀬川さんは女性のグループもお好きなようで、女性グループのスーパー・ジャズ・ストリングス《テイク・ジ・A・トレイン》をかけます。テクニックも凄いストリングス・カルテットで、男性のピアノとパーカッションが加わっています。ユーモア・センスが良いと言っていました。最近は男性が力を失って、草食系男子はダメになっているなんて話も。

瀬川さんは女性コーラスも大好き。岩浪さん選曲でディニング・シスターズ《ボタンとリボン》。岩浪さんはSP盤を持っているそうですが、かけたのはもちろんCDでした。聴いたあとで寺島さんが「いいですね~。」と。寺島さんはポップスが好きですからね(笑)。

コーラス・グループ繋がりでマンハッタン・トランスファーの話へ。寺島さんはマンハッタン・トランスファーが嫌いなんだそうです。ボーカリーズのように専門的なことをやられると嫌だとか。そうでしょうそうでしょう(笑)。XUXU(しゅしゅ) の話も出ました。寺島さんは結構好きだそうですが、岩浪さんは嫌いだそうです。瀬川さんによると”しゅしゅ語”で歌うんだとか。

人妻Aさんのリクエストの曲。昨年の『JAZZ BAR 2008』に対してAさんが酷評したことから、一時期寺島さんとの関係が険悪になったらしいのですが、(山中千尋さんがSJ誌に書いていましたが、寺島さんは人の事は色々言う割には、自分のことを言われると怒るというパターンそのままです。笑)『JAZZ BAR 2009』はAさんの好きな曲が多くてこれまでで一番良いということで、このアルバムからジョン・ナザレンコ・トリオ《ペイント・イット・ブラック》

これはブラシュワークの爆ぜ方やベースの強度など寺島さん好みのもの。ピアノはありふれた感じでした。瀬川さんから厳しいご意見が!「サロン・ミュージック。”ピン”とこない。ジャズを聴いている気分になれない。カーメン・キャバレロやフランキー・カールの系統。」と。

これ、スイングジャーナル3月号で1位になってますね(笑)。
カーメン・キャバレロね~っ。

私、またまたここで思い出しました。カーメン・キャバレロ!私の父が好きでした。私の父はビリー・ボーン楽団、ポール・モーリア・オーケストラ、サム・テイラー、ニニ・ロッソなどなど、イージーリスニングが好き(クラシックも好きでしたが)なのですが、その中にこの人もいました。小さい頃は私もよく一緒に聴いたので、この手の演奏は好きです。でも成長して、ロックやジャズを聴くようになってからというもの、この手のイージーリスニングはちょっとバカにしていたのも事実。そうか~っ、マイナー・ピアノ・トリオは下手をするとカーメン・キャバレロなんだ~っ。う~ん、ちょっと目から鱗が落ちました(笑)。

とりあえずここまで、続きは後ほど。

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

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コメント

オイラ、いっきさんのお父さんと趣味が合うかもしれません。

ビリー・ボーン楽団、カーメン・キャバレロ、パーシー・フェイス楽団は好きです。ツーか、1960〜70年代の日常生活の音楽でした。
カーメン・キャバレロの弾く、映画『愛情物語』の「トゥー・ラブ・アゲイン」(ショパンの『夜想曲第2番』のアレンジ)、これは今でも好きだよ!

この辺のイージーリスニング・ジャズつーのは、いつの時代でもファンがいるのよ。まぁ、癒し系音楽、BGMつーことですよ。

投稿: tommy | 2010年2月28日 (日) 02時31分

tommyさん。こんにちは。

>オイラ、いっきさんのお父さんと趣味が合うかもしれません。

きっと合った思います。
残念ながら4年半前に亡くなりましたけど。

>ビリー・ボーン楽団、カーメン・キャバレロ、パーシー・フェイス楽団は好きです。ツーか、1960〜70年代の日常生活の音楽でした。

そうでしたか。
私は70年前後にお父さんと一緒に聴いていました。
ビリー・ボーンの《夕陽に赤い穂》とかは今でも口ずさめます(笑)。

>カーメン・キャバレロの弾く、映画『愛情物語』の「トゥー・ラブ・アゲイン」(ショパンの『夜想曲第2番』のアレンジ)、これは今でも好きだよ!

思い出しました。
その曲が入ったレコードは持っていました。
キャバレロのレコードはこれ1枚。
ジャケットの記憶から『愛情物語~映画音楽名演集』だと思います。

>この辺のイージーリスニング・ジャズつーのは、いつの時代でもファンがいるのよ。まぁ、癒し系音楽、BGMつーことですよ。

そうですね。
ちなみに私が最初に買ったレコードは、
『ポール・モーリア・グレイテスト・ヒッツ24』です。

投稿: いっき | 2010年2月28日 (日) 13時00分

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