ザビヌル・ワールド炸裂!
最初にちょっとメセニーの『オーケストリオン』について。
ジャズライフ誌のインタビュー記事の中で、「『オーケストリオン』を聴いた第一印象は「ひとりPMG」というものです。」という質問に対して、メセニーは「それは間違っていない。私は長年に渡って、PMGのサウンドはこうあるべきだという確かなコンセプトを持っている。『オーケストリオン』のサウンドは、私の頭の中で鳴っている、グループのあるべき音像に極めて近い。ただし、それはPMGが存在する、ずっと以前から私の中で鳴っている音楽なんだ。」と答えています。
このメセニーの頭の中で鳴っているサウンド、私は楽園もしくは桃源郷サウンドと呼びたいのです。メセニーの頭の中には楽園が広がっていて、そこに鳴っているサウンドがPMGのサウンドなのです。
また、オーケストリオンのサウンドがPMGサウンドそのものということは、いかにPMGがメセニーのサウンドを完璧に具現化していたか分かるというものです。ライル・メイズやスティーブ・ロドビーをはじめメンバー全員がメセニーと深い部分で意識を共有しているだろうことは想像に難くない。
今回の『オーケストリオン』プロジェクトを経てメセニーが得るもの、何が自動化できて何が自動化できないのか?とかを、メンバーとの意識を共有化したうえでの次回PMGのアルバムには生かしてほしいと願っています。
さて、今日はもう一人の楽園サウンドの具現者ジョー・ザビヌルの『アブソリュート・ザビヌル』(2007年rec. INTUITION)を紹介します。ザビヌル最後のスタジオ録音だそうです。アブソリュート・アンサンブルとザビヌルの共演アルバム。
アブソリュート・アンサンブルは、クリスチャン・ヤルビが指揮者を務めるストリングスや木管からなるクラシックにとどまらない活動をする小編成オーケストラのようです。ヤルビからザビヌルに共演をもちかけて実現したのがこのアルバムのようです。
http://www.hmv.co.jp/news/article/1001070064/ 参照。
曲は全てザビヌルの旧作。アレグレ・コリア(g)、リンレイ・マルト(b)、パコ・セリー(ds)など、75歳のバースデー・ライブの時のザビヌル・バンドのメンバーも参加しています。
以前WDRビッグ・バンドとの共演アルバムもありましたが、今回もいつもの如く、誰と共演しようとも紛れもないザビヌル・ミュージックが奏でられています。ザビヌルの”楽園サウンド”ですね。どこの国にも属さないザビヌル・ワールド・ミュージック。こういうサウンドのルーツはウェザー・リポートの『ミステリアス・トラベラー』あたりから始まっていると、私は思います。
ザビヌル・ミュージックを語る上で重要なもう一つの要素があります。”お祭り”です。上記『ミステリアス・トラベラー』の中の《ヌビアン・サンダンス》が”お祭り”サウンドの原点ではないかと思います。多分ヴォコーダーを最初に使った曲。次のアルバム『テール・スピニン(幻祭夜話)』、『ブラック・マーケット』へとつながります。”楽園のお祭り”ですね。”お祭り”ではザビヌルも歌が歌いたくなります。それがヴォコーダーを使っての歌の起源(笑)?
面白いのはメセニーの楽園サウンドが今回機械(オーケストリオン)で奏でられたのに対して、ザビヌルはとことん人に拘っていました。演奏を生き生きさせるためには、パワーのあるミュージシャンをどんどん取り込んで、そのパワーを音楽へと昇華させました。今回のアブソリュート・アンサンブルもそのパワーを存分に引き出されています。そして、そのパワーはヒューマンで暖かいのです。
今回のアルバム、そんなザビヌル・ミュージックが収められているんですから、面白いに決まっています。聴いているとパワーが漲ってきますよ。
こんなパワフルなミュージシャン・ザビヌルを失ったことは、ジャズ界にとって大きな痛手になったことは間違いありません。でも、幸いなことにザビヌルはたくさんのアルバムを残してくれました。停滞するジャズ界。今こそザビヌルを聴いてジャズのパワーを復活させる時なのではいのでしょうか?
なんか今日はいつになく高尚なことを書いているぞ(笑)!
アルバム名:『Absolute Zawinul』
メンバー:
Kristjan Jarvi, Absolute Ensemble
Joe Zawinul(key)
| 固定リンク
「ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事
- 明けましておめでとうございます!(2023.01.01)
- 今日はこんなの聴きました。(2022.01.01)
- 追悼、チック・コリア。(2021.02.14)
- このアルバムのこの曲が好き!(2021.02.07)
- こんなの聴いています。(2021.01.03)


コメント
メセニー=桃源郷
そういえば、以前番組でもおっしゃってましたよね。
そういえば、最近「桃」という文字を見ただけで、妙にニコニコというか、嬉しい気分になってしまうのですが、それは、やっぱり年のせいでしょうか?
それとも、ジャズをききすぎて、ついに頭がおかしくなってしまったからでしょうか?(笑)
投稿: 雲 | 2010年1月30日 (土) 04時32分
雲さん。こんにちは。
>そういえば、以前番組でもおっしゃってましたよね。
言ってました。番組ラストに(笑)。
「桃」=「嬉しい気分」っていいですね。
そういう言葉が存在することってハッピーなことだと思いますよ(笑)。
>それとも、ジャズをききすぎて、ついに頭がおかしくなってしまったからでしょうか?(笑)
ジャズをききすぎるとやっぱり頭がおかしくなってしまうんでしょうかね~?
私の場合はすでにおかしくなっているので、正常な判断ができないで~す(笑)。
投稿: いっき | 2010年1月30日 (土) 11時57分
>私の場合はすでにおかしくなっているので、
やっぱり?(笑)
でも、いっきさんの場合は
“健全におかしい”から大丈夫ですよ(笑)。
私もそうでありたいです。
投稿: 雲 | 2010年1月30日 (土) 19時57分
雲さん。
>“健全におかしい”から大丈夫ですよ(笑)。
喜んでいいのか?嘆くべきなのか(笑)?
と言っておいて、
“健全におかしい”それ好きです!
投稿: いっき | 2010年1月30日 (土) 20時27分