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オーディオ的高音質レーベルの1枚。

最近は普通のジャズ・ブログ的な記事とは違う感じのものが続いたので、
普通の記事を書こうと思いました。
で、いざ書こうとしたらなかなかアイディアが湧かない。
う~ん、と30分以上悩んでこんな内容になってしまいましたとさ(笑)。

80年代はオーディオブームの末期。各社採算度外視でとんでもない物量投入の製品を次から次へと発表。\59,800(ゴッキュウパ)とか\69,800(ロッキュウパ)の価格帯でアンプやスピーカーなどを各社がこぞって作り、とんでもない消耗戦を繰り広げていました。それぞれ何がしかの技術的トピックを加えていたにもかかわらず、その製品群は結局のところ仕様や外観が皆似たり寄ったり。バブル経済下だから出来たんですね~。

で、バブルがはじけたら・・・、大メーカーがオーディオ部門からさっさと撤退。オーディオ専門メーカーも不況下では耐えられるはずもなく・・・消えていきました。あ~っ、オーディオブームの終焉です。

う~んこんなことを書くはずではなかったのに、急に当時の思い出が頭をよぎってしまいました。それはさておき、今日紹介するのはそんな80年代真っ只中に日本に紹介されたレーベルから出たCDです。

P43 ウォーレン・バーンハート『ハンズ・オン』(1986年rec. dmp)です。メンバーは、ウォーレン・バーンハート(p)、ピーター・アースキン(ds)、マーク・ジョンソン(b)、アンソニー・ジャクソン(elb)、ジョン・トロペイ(g)、ケニー・アッシャー(syn)、ロビー・コンドー(syn)、リック・タットペン(syn)です。コンテンポラリー系ピアノ・トリオです。

さきにdmp(digital music products inc.)レーベルの説明をしておきましょう。音質に拘ったデジタル・レコーディングをするレーベルです。その拘りは「ダイレクト・2トラック・デジタル録音」です。普通はマルチ・トラックのデジタル録音をしておいて、後でミキックス・ダウンして2トラック(ステレオ)のマスター・テープを作るのですが、このレーベルは録音時にミックスして2トラックのマスター・テープを作ってしまうやり方です。

マルチ・トラック録音テープからのミックス・ダウン工程がない分、鮮度の劣化を防げるというわけです。そのかわりベースが失敗したからといって、そのトラックだけ撮り直しするというようなことができません。まっ、ジャズの場合はできるだけ全員一緒に録音したほうが良いので、そういう意味でも演奏の生々しさがあると言えるでしょう。

録音機器にも拘っていて、ディスクリート・クラスAの録音機器を使用しているそうです。まあ、この辺りはオーディオ好きの方でないと、何を言っているか分からないとは思いますが(笑)。そんな拘りのプロデューサー/録音エンジニアがトム・ユングです。「私のモニター(リスニング)ルームからあなたの部屋に同じサウンドをとどけること」を具現化しているんだそうな。

さて、バーンハートと言えば、「ステップス(アヘッド)」の3代目ピアニストですよね。ビル・エバンスの門下生だったというだけあって、ピアノ・トリオ演奏を聴くとかなりエバンスしています。バーンハート作バラード曲《ニュー・ムーン》なんて、曲想からしてモロにエバンスですし、ベースがエバンス・トリオの最後のベーシストのマーク・ジョンソンですから、まんまエバンス・トリオ(笑)。

1曲目ショパンの《プレリュード・アンド・ヴァリエーションズ》では、バーンハートはリリカルに、そして甘さはほどほどに弾いています。エバンス直系ですね。ピアノの音がものすごくクリアでリアルにとらえられていてイイ音です。さすがは高音質をうたうだけのことはあります。アースキンの繊細なシンバル・ワークやブラシも生々しい。ベースはクリア―ですが量的には控えめ。この辺りが最近のベースを異様に持ち上げる録音とは違います。

エバンス系のバーンハートなんですが、私が好きな曲はアンソニー・ジャクソンのエレクトリック・ベースとのトリオ+α。コンテンポラリーな8ビート曲《ファンタイム》《ニュームーン》です。伴奏としてギターのジョン・トロペイとシンセ奏者が加わっています。聴いて思い浮かんだのがミシェル・ペトルチアーニ。今更ながらですが、この2人のエバンス系、フレージングが似ているのがわかります。

アンソニーのエレベがイイですね~。とにかく演奏センスがイイ。音が凄くタイトでクリアーに録音されていますよ。こんなに芯がしっかりした重厚なベースを弾いていたのかと驚きます。雲さんがおっしゃっていましたが「デカくて重いベースの音」とはこういうものなんだと思いました。そういえば、アンソニーはペトルチアーニのトリオでも弾いていましたね。ドラムはスティーブ・ガッドよりピーター・アースキンのほうが断然良いです。ガッドの堅いグルーヴとは違い、しなやかでスケールが大きいグルーヴを叩きだすアースキンに乾杯!

《パターンズ》《ファースト・ラブ》はシンセ群をバックにした映画のサウンド・トラックのような曲ですね。ラストの《プレイズ》はフォーキーなピアノ・ソロ。バーンハートの音楽的な本質は意外とこれなんじゃないかと思います。ピアノの音が素晴らしい!全体を聴いての印象はエバンス・トリオの現代版という感じなのですが、これはこれで良しとしましょう(笑)。

なお、録音レベルがかなり低いので、音圧を得ようと思うと今どきのCDを聴く場合よりボリュームをかなり上げる必要があります。これは今流行りのコンプレッサーを強くかけていないことの表れでもあります。ピアノの音の素晴らしさを楽しんで下さい!

う~ん、何を書こうかと悩んでいたのに、
いざ書き出したら書きたいことがどんどん湧いてきてしまいました。

ツイッターじゃあこんなに書けないんですよね~。
やっぱり、ブログじゃないとダメです。
早く寝なきゃ(笑)!

アルバム名:『HANDS ON』
メンバー:
Warren Bernhardt(p)
Peter Erskine(ds)
Marc Johnson(b)
Anthony Jackson(el-b)
John Tropea(g)
Kenny Asher(syn)
Robbie Kondor(syn, syn-programming)
Ric Tuttobene(sdd syn)

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