とんでもないジャケットのレコードがありました!
中古レコードを集めているととんでもないレコードに出会うことがあります。
このレコードです。どこが変なのかわかります?これレコード入口が左右反対なんです。普通は向かって右側が裂けていて、レコードを出し入れするのですが、これは左側が裂けています。左利き用のレコードジャケット(笑)?右利きの人は非常に出しづらいのです。まっ、レコードを裏返しにいして裏ジャケットを見ながらレコードを取り出せば全く問題ないのですが。
これは製造ミスなんでしょうか?最初のロットにジャケットの発注ミスがあり、捨てるのは損害が大きいからそのまま売りだしてしまったとか?サンプル盤ではありません。れっきとした正規品です。わけがわかりません???
さて、レコードの中身の話。KAI,EMIKOの『エメラルド・シティ』(1986年rec. CBS SONY)。メンバーはKAI,EMIKO(p)、ロン・ホルドリッジ(b)、ジェリー・グラネリ(ds)、デニー・グッドヒュー(fl)です。KAI,EMIKOさんを知っている方いらっしゃいますか?知っているとしたら相当なマニアですよね(笑)。私はこのレコードを買うまで全く未知の人でした。EMIKO KAIじゃないところがエライ(笑)? 「カンマ」も入ってるし・・・。更に、ヘアー・スタイルがアフロ(笑)。
KAIさんは今時たくさんいる女性ピアニストのさきがけなんじゃないでしょうか?「ビル・エバンスのピアノを聴いてジャズの素晴らしさを知った。」というだけあり、俗に言うエバンス系ピアノを弾きます。なかなかクリアなタッチで、女性らしさに溢れた優しい美メロフレーズを弾きます。軽やかでスインギーで上品でもあります。
今このアルバムを出して新譜だと言っても誰も疑わないと思います。80年代だから誰にも知られず多分歴史に埋もれたのです。今出せばマイナー・ピアノ・トリオ好きには絶対耳にとまる内容です。A面1曲目のオリジナル《エメラルド・シティー》はキャッチーな美メロですし、B面ラストのオリジナル《瞳の中に拡がる青空》も落ち着いた良い曲です。
オリジナル4曲とスタンダード/ジャズマン・オリジナル4曲をやっています。《サマータイム》や《イン・ユア・オウン・スイート・ウェイ》もなかなかの好演ですよ。デジタル録音なので、ベースとドラムの音もクリアで程よくガッツもあると思います。ピアノ・トリオでの演奏とフルートが加わってカルテットでの演奏があります。
もう25年ほど前の演奏です。80年代は埋もれたレベルの演奏が、今では大手を振って売られる時代になりました。私はこういう気楽なジャズを悪いという気は全くありません。でも、こういう現実を知ってしまうと何か複雑な気持ちになってしまいます。ジャズ・ミュージシャンにとって今は良い時代なのか?悪い時代なのか?
色々言ってますが、KAIさんの『クリスタル・エコー』(1987年rec. CBS SONY)も持っています(笑)。ギリシャ神話をモチーフにしたオリジナル曲集です。各曲には詩(歌詞ではありません)まで付いています。ベースとドラムは日本人、2曲にギターの天野清継が参加しているあたりが”らしい”でしょ。フュージョン系アコースティック・ピアノ・トリオです。んでっ、ファ、ファッションが・・・80年代じゃー(笑)。
キャッチ・コピーは「澄み渡るアコースティック・ピアノの響きと、心地よいスイング感。ジャズ界に爽やかなセンセーションを巻き起こすKAI,EMIKO待望の新作!!」
どうだ参ったか!
| 固定リンク
「日本人ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事
- 早坂紗知の『ミラグロス』がいい。(2011.04.17)
- ホンワカした雰囲気のピアノ・トリオ(2011.03.29)
- 日本人ジャズを聴こう!これは渋すぎ。(2011.02.18)
- 優しくて強さも秘めた小粋なピアノ・トリオ(2010.10.05)
- 日本人ジャズを聴こう!懐かしい(笑)。(2010.04.22)
コメント
いっきさん、こんばんは。
これは製造ミスではないと思います。わざとでしょう(笑)。
当時のレコード会社は、プレス工場は持っていても印刷工場は持っていないので、外注印刷ミスなら徹夜してもやり直させます(笑)。
レコードジャケットにはECMのような裏表1枚の紙のヨーロッパ(E式)仕様と、ブルーノートのような印刷したものをジャケットの本体(ボール紙)に裏表2枚の紙を貼り付けて作るアメリカ(A式)仕様があります。
ヨーロッパ式なら、一枚の紙の形ヌキなので作意的にはにはできません、のりしろも裏表逆になるからです。
アメリカ式ならミスも考えられますが、でもミスなら、断ちで背文字がなくなるはずです(笑)。背文字があるのなら製造ミスではありません。
レコードジャケットのデザイン台紙(版下台紙)は、印刷されて支給されます。その台紙に写植や紙焼きを貼って、版下にするのです。ミスのないように台紙で管理していたのです。
そうなんですよ。このようなジャズピアノのアルバムは、昔は無視されていたのです。特に女性はね。この頃は、キャラの弱い男のピアニストが無視される傾向にあります(笑)。
投稿: tommy | 2010年1月14日 (木) 02時12分
因みに盤のレーベルがA面、B面同じというのは、何枚かオイラも持っています(輸入盤)。これは製造ミスです。
投稿: tommy | 2010年1月14日 (木) 02時15分
tommyさん。こんばんは。
>これは製造ミスではないと思います。わざとでしょう(笑)。
>ヨーロッパ式なら、一枚の紙の形ヌキなので作意的にはにはできません、のりしろも裏表逆になるからです。
>背文字があるのなら製造ミスではありません。
なるほど、そう言われてみればそうかもしれません。
ちゃんと背文字もあります。
でも、意図がよくわからないなあ~。
>この頃は、キャラの弱い男のピアニストが無視される傾向にあります(笑)。
そうですよね。
最近「男はつらいよ。」です(笑)。
>因みに盤のレーベルがA面、B面同じというのは、何枚かオイラも持っています(輸入盤)。
外盤はその手のミスが多いですよね。
昔のアメリカの物つくりはいい加減です(笑)。
投稿: いっき | 2010年1月14日 (木) 20時37分