さすがにエリントンは深いです。
昨日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」は「デューク・エリントン特集」。
インタビュー・ゲストはジャズ・ピアニストのマーカス・ロバーツさん。
番組詳細は 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。
デューク・エリントンのプロフィールはディレクター嬢から。
プロフィールは 女子ディレクターの番組制作日記 をご覧下さい。
「敬して遠ざける」ジャズマンはたくさんいるのではないかと思いますが、
その最たる人がエリントンではないでしょうか?
エリントンをよく聴くと、チャールス・ミンガスやセロニアス・モンクが
分かるようになります。
なので、エリントンはジャズを読み解くための重要な人。
最初は比較的分かりやすいノリノリな演奏から。
超有名どころをメンバーにかかえた時期の軽やかな演奏。
『1930,Vol.2』から《オールド・マン・ブルース》。
やっぱり昔の演奏ですね(笑)。
ジャズの基本の基本、エッセンスとでもいいましょうか。
楽しいエンターテインメントです。
(以降緑字は、曲を聴いての感想などです。)
エリントンの音楽は色を重ねて絵を描いていくような感じです。
『イン・ザ・シックスティーズ』から《ソフィスティケイテッド・レディー》。
私はこの曲が好きです。
ソフィスティケイト=洗練をイメージさせるメロディー。
ホーンの奏でるハーモニーも洗練されています。
スロー・テンポで貴婦人が歩くが如くの演奏。
そこにエリントンの逞しく洗練されたピアノ。
いいです。
丸ノ内コットンクラブでのマーカスさんへのインタビューから。
エリントンとは?
エリントンのメロディーにはジャズとは?アメリカとは?が凝集されている。
好きな曲(アルバム)は?
困って3分くらい色々挙げたらしいです。
で、敢えて1つ選ぶとすれば?
『ファー・イースト・スイート(極東組曲)』。
雲さんによると全部中近東風でもある(笑)。
エリントン目線で描かれた極東。
このアルバムを象徴する曲《ツーリスト・ポイント・オブ・ビュー》。
オリエンタルな感じの曲ですね。
でも、あまり極東な感じはしません。
ジャングル・サウンドを怪しくした感じです(笑)。
特にかすれたテナーが怪しくてグッド。
マーカス・ロバーツさんの
新アルバム『ニュー・オリンズ・ミーツ・ハーレム VOL.1』から。
ロバーツさんは伝統を大事にするピアニスト。
ロバーツさんのアルバムに対するコメントが超長いです。
喋り出したら止まりません(笑)。
内容については雲さんのブログを読んで下さ~い。
このアルバムではエリントンの曲を2曲やっています。
雲さんおすすめ曲は《パイ・アイズ・ブルース》。
極オーソドックスなピアノ演奏ですね。
アドリブはかなりスマートで洗練されています。
エリントンからきれいさっぱり灰汁を抜いた感じの演奏でした。
和風料理のさっぱり風味を感じます。
ロバーツさんはジャズを聴いていなければ、
ブラームス、ラベル、ドビュッシーを勉強していただろうとのこと。
エリントンに戻ります。
エリントンのピアノにも注目。
バップとかスイングとか超越した超モダン。
コルトレーンは特徴があるからすぐに古い演奏だとわかるが、
エリントンだけ聴けば時間を超越した感じ。
雲さん曰く「壊れた未来のオルゴールみたい。」
『デューク・エリントン・アンド・ジョン・コルトレーン』から
《イン・ア・センチメンタル・ムード》。
この曲はジャズを聴き始めてしばらく経った頃。
FM NHKの「ゴールデン・ジャズ・フラッシュ」の「ジョン・コルトレーン特集」で
聴いて気に入った思い出があります。
スローでトツトツとしたなにげない演奏のようですが、
これに物凄いジャジーなムードを感じたんです。
エリントンとコルトレーンにそれこそノックアウトされました。
名演だと思います。深いです!
「いつ聴いてもいい。コルトレーンはエリントンのピアノを伴奏している感じ。」
と雲さん。
今のは宝石のようなピアノ。
最後は世界一怖い《サマータイム》。
「おっかねー、サマータイム。」と雲さん(笑)。
バックの不規則なドラムがお化け屋敷のような感じです。
『ピアノ・イン・ザ・フォーグラウンド』から。
これ、ぶっ飛んでます(笑)。
こんなのがあるからジャズ聴きはやめられないんです。
これ、私はジャズ喫茶「いーぐる」の「納涼持ち込み盤大会」で
林さんがかけたのを聴いて気に入ってしまいました。
もちろんこのアルバムも買いましたよ。
最後の”ガーンッ”に”ヒエ~ェ”(笑)。
「かっちょよかったですね。爆裂という感じです。」と雲さん(笑)。
<アフター・アワーズ編>
《オレンジ・ワズ・ザ・カラー・オブ・ハー・ドレス・・・》。
ミンガスの曲ですが、これがエリントンっぽい。
次はモンクのピアノ。
ピアノでエリントンのエッセンスを表現しようとしました。
そして次は誰のピアノ?
大西順子の曲でした。
もろにモンクです!
雲さんが好きな曲だそうです。
で、エリントン本人の演奏に戻って。
大西順子に似ていました(笑)。
なるほどね~、色々な人が影響を受けています。
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コメント
オレンジ色のドレスといえば、私はギルエヴァンスです。(^-^;
何処から真っ当な道を外れたんだろう。。。。。
投稿: すずっく | 2009年12月22日 (火) 11時51分
すずっくさま。こんばんは。
それ、私も同じですよ。
20年以上前にギル・エバンスの『ライブ・アット・ザ・パブリック・シアター1980Vol.2』でこの曲に出会いました。
>何処から真っ当な道を外れたんだろう。。。。。
私はこういう外れ(アウト)感がないとジャズ聴きは長く続かないんじゃないかとさえ思います。
ですから、私からすればすずっくさまの反応は真っ当だと思います(笑)。
投稿: いっき | 2009年12月22日 (火) 20時03分
私も、ギル・エヴァンスからでした。
ただし『パブリック・シアター』ではなく、スティーヴ・レイシーの『パリ・ブルース』でしたが……。
どことなく寂寥感ただようバージョンの後に、ミンガスのオリジナルを聴くと、ラードたっぷりのコテコテっぷりに、う~む!と唸りました。
とはいえ、いま聴くと、それほど脂でベトベトな感じは当時ほど感じなくりましたが……。
投稿: 雲 | 2009年12月22日 (火) 21時11分
雲さん。こんばんは。
さっそく『パリ・ブルース』をネット検索しました。
ギルとレイシーのデュオ・アルバムなんですね。
さすがは雲さん。「外れ」度が並みではありません(笑)。
>とはいえ、いま聴くと、それほど脂でベトベトな感じは当時ほど感じなくりましたが……。
慣れなんでしょうね~。きっと。
投稿: いっき | 2009年12月22日 (火) 22時48分
いっきさん
こんばんは。
>「外れ」度が並みではありません(笑)。
いや~、昔「いーぐる」のオッカナイ先輩(笑)が、
「これ嫌いなヤツはジャズ聴く資格ね~!」というもんだから、買って聴いたんですよ。
で、ドルフィーとミンガスがやっていて、いいな~と思っていた曲、《リーンカネーション・オブ・ラヴ・バード》が1曲目にはいっているもんで、すっかり虜になってしまって。
翌週、「パリブルース、なかなか深いっすね」と言ったら、オッカネ~先輩(笑)が、ニンマリ笑みを浮かべて「よし合格」。
そういえば、ポール・ブレイとゲイリー・ピーコックの『パートナーズ』のときも、同じようなやりとりがあったような。
オッカニャイ先輩、ポール・ブレイのこと好きだったんですよ。
「ポール・ブレイってエロですよね。それも谷崎チックにちょっと倒錯したエロを感じる」と言ったら、「ふむ、キミもだんだん大人になってきたね」。
こんな感じで毎週、いろいろと試されてました(笑)。
投稿: 雲 | 2009年12月22日 (火) 23時11分
雲さん。
「いーぐる」には素晴らしい先輩がいたんですね(笑)。
ディープ過ぎてついていけません。
20年くらい前の話ですよね。
今の「いーぐる」からは想像がつかないです。
だから雲さんは若かったにもかかわらず、例の某ジャズ喫茶での、ジョーヘン娼婦に人生の深さを見たんでしょうね(笑)。
投稿: いっき | 2009年12月23日 (水) 00時14分
パリブルース!
これは、私は10年くらい前にCDで買ってルのですが、思わずかけてしまいました。
そう。。ジャズ批評届きました。
世の中こんなモンだ、と、、結構動じない私ですが、、
今回はいろいろ、、ビックリ三昧のジャズ批評だった、、。
クリスマスイブの悲劇も大変でしたね。
投稿: すずっく | 2009年12月25日 (金) 10時50分
すすっくさま。こんばんは。
パリブルースお持ちなのですか。
さすがです。外れ加減が素敵です(笑)。
>今回はいろいろ、、ビックリ三昧のジャズ批評だった、、。
ですよね。すずっくさまが前にブログで紹介されていて時々行っている「cats house」の店主は、横浜ジャズラーメン「げんき亭」の花村圭さんだったってことですよね。
ビックリ三味。わかります。
私も色々な話を耳にするのですが、ジャズ界隈はかなり狭いです(笑)。
>クリスマスイブの悲劇も大変でしたね。
ご心配ありがとうございます。
些細な悲劇です(笑)。
投稿: いっき | 2009年12月25日 (金) 19時17分