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このCDはヒドイ音質です(笑)?

今日はクリスマス・イブです。
まあっ、私には特に何もないので平日です(笑)。

とんでもないことが・・・。
本日の記事をかなり書いたのに、途中で誤って削除してしまいました(涙)!
とんでもないクリスマス・イブでございます。

P15_2 さて、今日紹介するのはスガダイロー『坂本龍馬の拳銃-須賀大朗短編集-(上)』(2009年rec. DOOLFOOL)です。メンバーは、スガダイロー(p)、東保光(b)、服部正嗣(ds)です。ユニークなピアン・トリオ演奏をしていますよ。

これを聴いてビックリしました。音質がヒドイんです(笑)。なんかJ-POPの安っぽい音質。冒頭のシンバルの”キンコンカン”、その艶めかしい音を聴いた瞬間に感じました。高音をやたら艶っぽくして、低音は早めに落としつつ、落とす手前を盛り上げています。脚色された音で、昔風に言えばラジカセ/ミニコンポ向け、今はiPod向けの音なんでしょうね。これは原音忠実再生派のオーディオ・ファンには嫌われる音だと思います。

そういえば、ミュージックバードの番組「田中伊佐資のジャズ・サウンド大爆発!オレのはらわたをエグッておくれ。」でこのアルバムを紹介していました。こういう音はジャズ・オーディオの人達には受けるのかもしれませんね。私はどちらかと言えば原音忠実再生派なのですが、嫌いというほどではありません。一時期カー・オーディオでさんざんJ-POPを聴いていたので、脚色された音もありだと思っています。

で、そのヒドイ音質がこのアルバムの演奏の雰囲気を助長していいるんだと思います。スガさんも意識的にこういう音質にしたんじゃないかと思います。このアルバムの演奏の雰囲気については、高野雲さんのアルバム・レビュー:http://cafemontmartre.jp/jazz/S/sakamoto_ryouma.html にものの見事に表現されています。これはこれで一つの世界を表現していて、オリジナリティーという意味でも私は買いだと思います。

それから、《ハイフライ》《ベター・ギット・イット・イン・ユア・ソウル》でのピアノの音なんかは安っぽいアップライト・ピアノの音に聴こえますが、レトロ感が漂っていてなかなか良いですね。(これ、わざと調律を狂わせているんですね。だから変な響きになっていたようです。こういうピアノのことをホンキートンク・ピアノと言うそうですね。ツイッターでスガさんがツイートしていたので分かりました。2010.3.9)

スガさんのリズム感もかなり縦ノリですね。”パキパキ”していてスイングしないと思います。「スイングしない/したくない。」というのはスガさんご自身も目指しているところで、これについては「高野雲の快楽ジャズ通信」にスガさんがゲスト出演した模様:http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-3321.html をご覧下さい。

このアルバムの中では《光と影》に私は注目しています。時間的/空間的な音の隙間が浮遊感を感じさせてなかなか気持ち良いです。ピアノとベースの音をパンポットで左右に移動させているのも、こういうアコースティック・ピアノ・トリオ演奏としては異色ですね。この演奏はスガさんの繊細にして大胆な感性をあらわしていると思います。

そして、スタンダードの繊細にして大胆な解釈/アレンジも◎。スタンダードとスガさんのオリジナルが何の違和感もなく並んで、アルバム全体に統一した雰囲気があるのも良いです。

実は私、ミュージックバードの番組「ブランニューCD」でファースト・アルバム『スガダイローの肖像』を聴いて気に入ってCDを買ったのですが、どうも馴染めずにCDを処分してしまいました(汗)。『スガダイローの肖像』はお披露目的な内容で色々な編成の演奏があって散漫な印象だったのです。ところが、雲さんのレビューや「快楽ジャズ通信」でスガさんの話を聞いたりするうちに、聴きどころがわかってきたんです。

なので、『坂本龍馬の拳銃』は改めて聴くとなるほどな~と思いました。ピアノ・トリオという編成も良いのではないかと思います。私の感じではホーンを入れるとどうもスガさんの世界をうまく表現できないんじゃないかという気がします。ひょっとするとスガさんの思いに沿って表現できるホーン奏者がまだいないのかもしれませんね。

『坂本龍馬の拳銃』は、普通のピアノ・トリオとは一線を画したスガさんのオリジナリティー溢れる楽しいアルバムだと思います。

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コメント

いっきさん、こんばんは。

最近、iPod基準の音源が増えているのは確かです。
「今耳にアピールしたい」というのはあると思いますよ。
ちゃんとしたオーディオで聴いている人って少ないですから。
いっきさんやオイラの方が、よっぽどレトロです(笑)。

その傾向はリマスター盤にも現れています。
どうも原音忠実リマスターじゃないんですよ。割りとドンシャリ。
オーディオ・マニアも厳しい現状ですね。

オイラは原音忠実再生派じゃありません(笑)。
「オイラ好みの音で鳴ってくれ〜!」です。
原音忠実再生もエリアに入っているとは思っていますが、
新しい音源は対応出来ないんですよ。
新しいアルバムはメインのシステムでは聴かないですね。
殆どは'70年以前と限定しています。

まぁ、オイラたちはジャズ的にも楽しんで、オーディオ的にも
楽しんでいるツーことで、楽しさを倍増させている分けです(笑)。

投稿: tommy | 2009年12月25日 (金) 01時37分

tommyさん。こんばんは。

>どうも原音忠実リマスターじゃないんですよ。割りとドンシャリ。
>オーディオ・マニアも厳しい現状ですね。

私はリマスター盤を聴かないのですが、そういう傾向の音なんですか。
オーディオ・マニアが厳しいのはもう10年以上前からそうですよね。
最近はその傾向に拍車がかかっているように感じます。

>原音忠実再生もエリアに入っているとは思っていますが、

tommyさんはライブをたくさん聴いているし、ベースも弾くから原音に対する基準はお持ちだと思いますよ。tommyさんのオーディオを聴いてそう思いました。
その上で自分の趣向を生かすセッティングにしいてるのが良いと思います。

問題が多いのは、原音を知らずに極端なセッティングに走る人達だと思います。

>まぁ、オイラたちはジャズ的にも楽しんで、オーディオ的にも
>楽しんでいるツーことで、楽しさを倍増させている分けです(笑)。

まったくおっしゃるとおりだと思います。

投稿: いっき | 2009年12月25日 (金) 18時56分

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