今更ですが(笑)。
定期的に巡回しているジャズ・ブログがあります。
ジャズ友のブログもあれば、ROMっているだけのブログもあります。
私が巡回しているジャズ・ブログは皆さん(ブログ歴の)先輩です。
色々個性があって面白く読ませていただいています。
さて、今日取り上げるアルバムはちょっと凄いことになっています。
私が巡回するジャズ・ブログのほとんどの皆さんが取り上げているからです。
そして皆さんが良いと言っています。
私はこのアルバムをだいぶ前に入手していたのですが、
あと一歩”来る”ものがなくて、アルバム評を書きませんでした。
が、しかし、あまりに皆さんが良いと言うので最近また聴きなおしています。
ここで、「これ、全くダメですねっ!」と言えば面白いのですが、
やっぱり皆さんと同じくなかなか良いと思ってしまったのであります(笑)。
さて、そのアルバムとは?
ジョー・マーティンの『ノット・バイ・チャンス』(2009年rec. ANZIC RECORDS)です。メンバーは、ジョー・マーティン(b)、クリス・ポッター(ts,ss,b-cl)、ブラッド・メルドー(p)、マーカス・ギルモア(ds)です。もうお分かりだとは思いますが、クリポタ買いです(笑)。
クリポタとメルドーの共演に、NYダウンタウン系の有望株マーカス・ギルモアですからね。これは凄いでしょっ!私が知らないのは、むしろリーダーのジョー・マーティンでした。これだけのメンバーが集まって一体どんな凄まじい演奏になるのか、興味津々だったわけです。
ところがいざ聴いてみると、凄まじい演奏ではありませんでした。地味~で落ち着いた内容だったのです(笑)。まっ、クリポタ、メルドー共に現代最高レベルの人達ですから、演奏は当然のことながら第一級であるのは間違いありません。でも、私的に来なかった。ちょっと期待しすぎだったようです。
で、少し放っておいたんです(笑)。でも、最近皆さんがブログで取り上げて「良い、良い、良い・・・」と言うんで、聴きなおすことに。
最初に言いたいことは、マーティンのベースのことです。真ん中に座ってなかなか強靭なベースを弾いていることに気づきました。今まで、クリポタとメルドーに耳がいっていて、肝心のマーティンのベースを聴いていなかったのです。音が”ツンツン”でガッツがありますよ。この人!これは雲さん風に言えば、弦高を高くして、テンション高くして弾いている音だと思いました。昔のポール・チェンバースとかダグ・ワトキンスとかの音です。まあ、ちょっとふくよかさがないのは好みの分かれ目かも?
これが分かって急にマーティンを見直してしまったのです。フレージングは特にキャッチーなものはないので地味なのですが、ガッチリ地道に支えるベースも悪くはないです。そして、この地味なマーティンのベースが音楽のベースを提供することによって、他のメンバーの良さが引き立てられているのではないかと思いました。この方、クリポタとメルドーを迎えるだけのことはありますね。
ギルモアのドラムもマーティンに合わせてちょっと抑えめな場面もありますが、やるときにはやります(笑)。特にクリポタのソロのバックでは良い煽りをしていると思いました。変拍子を難なくこなすだけあって、不穏なパルスを繰り出しつつ演奏を盛り上げます。ギルモアはやっぱり只者ではないです。
クリポタはもういつものスモーキー・サウンドで、現代的フレージングを披露していますので、クリポタ・ファンとしては安心して聴いていられます。ソプラノとバスクラも1曲づつ披露して、いい味を出していますね。いつもありがとうございます(笑)!
メルドーが地味なマーティンに付き合い過ぎているような気がします。もう少しキレてしまう演奏があってもいいんじゃないでしょうか?メルドーがキレてもマーティンは淡々と我が道を行き、ベースをスタディーに刻むのかもしれませんが、それを無視してキレたら、もっと面白いアルバムになったような気がするのですが・・・。って、これは私の勝手な要望(笑)。メルドーとクリポタの掛け合いが熱くなる場面もあり、思わずニンマリ。
最後に地味な要因の一つは、ジャコの曲以外の全曲を作曲したマーティンの曲の地味さとアレンジの単調さに依るところ大と見ました。アレンジはもう少しサービス精神があってもいいんじゃないでしょうか?マーティンさん!
と、まあ、こんな感じで、今更ですが、アルバム評でした(笑)。
アルバム名:『Not By Chance』
メンバー:
Joe Martin(b)
Chris Potter(ts, ss, b-cl)
Brad Mehldau(p)
Marcus Gilmore(ds)
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コメント
この方ニューヨークの先端で重宝がられてるわりに、やはり第一印象はオーソドックスな感じですよね。
でも、誰かがしっかり屋台骨を支えてないと飲めや歌えやができませんものね。
って、クリポタ目当てですけど、彼のベーシストとしての姿勢、誇りを感じるアルバムだと思います。
わたくしも彼が悪いなんて全然思ってませんよ。
つうことで、トラバしましたァ。
投稿: すずっく | 2009年11月12日 (木) 17時34分
すずっくさま。こんばんは。
トラバありがとうございました。
>やはり第一印象はオーソドックスな感じですよね。
そうなんですよ~。
で、ちょっと期待もしすぎたようです。
>彼のベーシストとしての姿勢、誇りを感じるアルバムだと思います。
上手いことをおっしゃいますね(笑)。
確かに姿勢と誇りを感じられますね。
>わたくしも彼が悪いなんて全然思ってませんよ。
了解致しました(笑)。
投稿: いっき | 2009年11月12日 (木) 21時01分
なぜこのアルバムが皆さん買われた?と思うのですが、クリス・ポッターとブラッド・メルドーの両名参加が大きいのかもですね。
似たような傾向のジャズが好きだから集まるのか、影響をしあっているから人の取り上げたCDを買ってみるのかはよく分かりませんけど、周りのブロガーの皆さんの情報を参考に新譜を買うこともあったりします。自分の場合、だいたいは予約の段階で注文を入れてしまうのですが、このアルバムは上記参加情報が事前に入ったので注文を入れたと記憶してます。こういうとき、出遅れるとコメントとTBの件数が多くて苦労します(笑)。
最近は国内盤をあまり買わなくなったので、ジャズ雑誌の情報よりブロガーの皆さんや通販の情報を頼りに動いていることが多いです。今回は、派手ではないけれど自分にとってアタリ盤でした。
TBさせていただきます。
投稿: 工藤 | 2009年11月13日 (金) 18時37分
工藤さん。こんばんは。
TBありがとうございます。
>クリス・ポッターとブラッド・メルドーの両名参加が大きいのかもですね。
そうなんでしょうね。
クリポタとメルドーは人気があります。
>周りのブロガーの皆さんの情報を参考に新譜を買うこともあったりします。
私もそうです。
この方がこう言っているなら、聴いてみたいというのがあります。
>出遅れるとコメントとTBの件数が多くて苦労します(笑)。
確かに大変ですよね。
私の場合、TBはあまりしないので、記事UPのタイミングは気分任せです(笑)。自分の中で紹介したくなった時に書きます。
>最近は国内盤をあまり買わなくなったので、ジャズ雑誌の情報よりブロガーの皆さんや通販の情報を頼りに動いていることが多いです。
私も国内盤はほとんど買いません。
私の場合は、数年前からディスクユニオンの新譜情報をメインとしていて、それにブログからの情報を加味して買っています。
あとはジャズ喫茶「いーぐる」の新譜情報や「快楽ジャズ通信」もかなり重要な位置を占めています。
>今回は、派手ではないけれど自分にとってアタリ盤でした。
私も遅ればせながら、今頃良さが分かってきました。
投稿: いっき | 2009年11月13日 (金) 20時40分