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”バーゲンセール”という言葉に弱い私(笑)。

“バーゲンセール”という言葉に弱いんです(笑)。
この前もその言葉に釣られてCD・レコードのバーゲンセールに行ってきました。

バーゲンでは安さに釣られてたくさん買ってしまいがちです。でも、いざ帰って聴いてみると、「なんだこりゃ?」ということがあります。そんな時、いくら安かったとはいえ買ってしまった自分が悔しい(笑)。なので、慎重な品選びが肝心です。

まず一つ注意点があります。誰でも好むようなオーソドックスな内容のものは避けます。需要が多そうなのに安くなっているということは?やっぱり内容がいまいちと判断したほうが無難だと思います。もちろん、ケース割れとか盤質が悪いために安くなっているものは、前記の例とは無関係。

ではどんなやつが狙い目かというと、私の好みもありますがちょっとマニアックなやつです。例えば、マニアの間では有名でも一般に知名度がない人、アコースティック派から毛嫌いされるロック系ギタリスト、アバンギャルドなやつ、ピアノ・トリオをメインに活動する人がちょっと変わったことをやっているものなどです。

こういうことは長年の経験がものをいうわけでして、ジャケット、タイトル、参加メンバー、曲名などを眺めていると匂ってくるんです!

P185_2 そんな匂ってきた1枚がこれ。ジャン=ミシェル・ピルク『カーディナル・ポインツ』(2002年rec. Dreyfus Jazz/ビデオアーツ・ミュージック)。メンバーは、ジャン=ミシェル・ピルク(p,whistle,melodica,per)、サム・ニューサム(ss)、ジェームス・ジナス(ac-b,el-b)、フランソワ・ムタン(b)、アリ・オエング(ds)、アブドゥ・エムボウ(per)です。

フランスの才気溢れるピアニストによるコンテンポラリーなアルバムで、私好みの内容でした。ピルクはミシェル・ペトルチアーニと同世代なのですが、ジャズをやる前にロケット研究をしていたという異色な人。そのためデビューも遅く、ペトルチアーニほどの知名度を得られていないのが惜しいです。

力強くクリアなタッチで、スタンダードを斬新な解釈で演奏するピルクですが、ここではエレクトリック・ベース、パーカッション、ソプラノサックスを導入して、自身のコンテンポラリーなオリジナル曲をダイナミックかつしなやかに演奏しています。

パーカッション踊るエスニック・サウンドあり、ソプラノサックスがとても美しく切なく歌う曲あり、前半の忙しいアフリカンビートと後半の緩いビート上で怪しげなソプラノサックスが舞う曲あり、程よくアブストラクトな辛口の曲ありと、色々なテイストが味わえる楽しさがあります。

後半にはフランソワ・ムタンのベースとアリ・オエングのドラムを従えた従来通りのピアノ・トリオ演奏もあります。4部からなるオリジナル曲《トリオ・ソナタ》をアグレッシブかつアーティスティックに演奏するところに、この人の才気が溢れだします。

前半のコンテンポラリーと後半のアグレッシブ・ピアノ・トリオ、一粒で二度美味しいアルバムになっています。

さあ、皆さんもお好みのアルバムを見つけに、
”バーゲンセールに出かけてみませんか?

アルバム名:『CARDINAL POINTS』
メンバー:
Jean-Michel Pilc(p)
Saw Newsome(ss)
James Genus(b)
Francois Moutin(b)
Ari Hoenig(ds)
Abdou M'boup(per)

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