ジャズ批評誌の社主松坂妃呂子さん登場!
今日の「PCMジャズ喫茶」のゲストは、
ジャズ批評誌の社主松坂妃呂子さんでした。
皆さんご存じのように、私、ジャズ批評誌の「ブログ・ウォーキング」に
書かせていただいています。
なので、うかつなことは書けません(笑)。
なお、本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバードの
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」を
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。
今日はいい話をお聞きすることができました。
これ、お世辞ではありませんよ(笑)。
「ジャズ批評」という歴史ある雑誌を作ってこられた松坂さんのお話には
歴史の重みがありました。
来週もリピート放送があるので、多くの方に是非聴いていただきたいんですけど。
それにはミュージックバードに加入していただかなければなりません。
申し込みは簡単ですよ。
新譜もたくさん聴くことができます。
ジャズだけでなく、10チャンネル聴くことができて、
¥2,100/月はお得だと思うんですけどね~。
テレビを見る時間を削って、ラジオを聴きませんか?
今日の放送は簡単にレポートします。
寺島さんが「松坂さんは美人なので、昔は色々な方から声をかけられたんじゃないですか?そういう噂も耳に入っていますよ。」と、質問します。松坂さんは「歌手やもの書きはスキャンダルを流したりしますが、雑誌を作るのは信用商売なので、私はそういうことは自制していました。」とおっしゃていました。私、これを聞いて、松坂さんの実直なお人柄にちょっと感動すらしてしまいました。
ジャズ批評誌も存続が危ない時が何度かあって、松坂さんの地元、福島の知り合いのお医者さんに助けられたなんて話もありました。これがなかなか良い話だったんですよ(涙)。松坂さんは色々な方に助けてもらってここまで来たと感謝されていました。
ジャズ批評誌の歴史も色々語ってくれました。
最初は政治色のないジャズ雑誌が作りたかったのに、ライターの中には政治色が強くなてしまう人がいて、決別するまでに時間を要したとか。
時代の流れもあり、フリー・ジャズに傾倒した雑誌作りもしていたが、ある時、「ジャズ批評誌は副島さん一派に牛耳られている。」と言われて目が覚め、フリー偏重をやめたなんて話もしていました。フリー・ジャズをやる人達は派閥があり、お互いに反目していたらしいです。
女性であるが故に見下されて苦労したなんて話もありました。相倉さんや浜野さんは、表紙に色っぽい写真などを採用するように迫ったこともあるらしく、松坂さんは断るのに大変だったみたいです。で、そんなこともあって、表紙は和田誠さんのイラストになっていくらしいです。
東芝EMIの行方さんには色々アドバイスをいただき大変お世話になったともおっしゃっていました。
こんなことを暴露してしまって良いのでしょうか(笑)?
ライターの方達は個性的なので大変だったんでしょうね~。
御苦労がひしひしと伝わってきました。
で、ここでちょっと宣伝(笑)。
最近ジャズ批評社から「ブルーノート・ブック」が発売になりました。
凄く参考になる良い本です。お持ちでない方は是非!
私は過去に出た2冊を持っています。
左は、東芝EMIがブルーノートの販権を再度取得した80年代、懸賞に応募して当たったもの。
右は、1999年に出たもので、ジャズ喫茶「マイルストーン」で中古本を見つけて買ったもの。
ジャズ・ファン必携の書です。
これは何としても押さえておきたい一冊!
話は編集長や編集者のことへ。
編集長がライターを見つけてくることがあるらしいです。岡島さんの時はあまりなかったそうですが、原田さんの時には、見つけてきたライターが「これを聴け。」「今のジャズを聴け。」と乱暴な書き方をすることがあったそうで、ジャズ批評誌読者の団塊世代の方からNOが来ることがあり、そういう時、松坂さんはライターにお断りしたんだそうです。で、話はそれだけでは納まらず、関係のジャズ喫茶のマスターにまで謝りにいかなくてはならないことが何度かあったそうです。
松坂さんのライターへの厳しい一面がうかがえましたが、これは雑誌を取り仕切る責任ある者として、当然の厳しさなのだろうと思いました。
ジャズ批評誌の編集者になって、色々なところで名刺を見せていい気になる人もいたなんて、ことも言っていました。
編集をしている時、松崎さんは編集者を大声で怒鳴ったりすることもあるそうで、狭い編集室でお互いに気まずい思いをして、無言でパソコンだけを見て仕事をする時もあるなんて話もありました。
ここまでに、松坂さん思い出の選曲としてジョージ・ルイス、ブルーノートがらみでフレディ・ハバードの曲がかかりました。
岩浪さんの選曲は「PCMジャズ喫茶」の コラム で紹介されている。チェット・ベイカー&ルース・ヤングの《枯葉》。
寺島さん選曲で、ここから《キャラバン》を3曲。
まずは、原曲デューク・エリントンの1936年のバージョン。続いてウイントン・マルサリスの『スタンダード・タイムVol.1』から。これはいつもの選曲ですね。で、これまたいつもの如くウイントン論。松坂さんからは、吉沢しんいちさんというピアニストがいて、「お前はジャズじゃない。」と言って、ウイントン本人と取っ組み合いの喧嘩をしたなんて話もありました。いや~っ、凄い人がいるもんです。吉沢さんは今はコンピューター会社の社長さんだとか。
いつもの寺島論が出て、ウイントンを昔のクリフォード・ブラウンと比較して評価してもしょうがないという話へ。岩浪さんは「比較が批評。」と言いきり、寺島さんは「比較は楽な批評。自分は比較しないで良さを伝えたい。」と返します。岩浪さんは「それは自己欺瞞。」なんて切り返していました(笑)。
ウイントンの《キャラバン》を聴いた松坂さんは「つまらない!」「ジャズから離れていくもの足りなさ。」とおっしゃっていましたよ。
次にかけたのが、ブルーノ・ハバート・トリオ。「テーマのメロディーが出るまでのくずしを聴いて下さい。」と寺島さん。ラテン好きな寺島さんらしい演奏でした。これは寺島さん言うところの「チラリズムの美学」なんだろうと思いました。で、聴いた後で「ウイントンと比較してどうですか?」と寺島さん。「さっき比較しないと言ったじゃない?」と岩浪さんからツッコミ(笑)。寺島さんは「古いものとの比較でなくて、新しいものの比較で・・・」と言い訳していました(笑)。
最後は松坂さんの選曲。松坂さんは昔マイルスを追っかけていたそうですが、最近はファブリツィオ・ボッソを追っかけてみようと思って、出るアルバムは全部買っているそうです。これって、あれっ?そうですよっ!前回の放送で寺島さんと岩浪さんがけなしたあのアルバム『ブラック・スピリット』!かけた曲は《アップ・ジャンプド・スプリング》。
マルコ・タンブリーニも加わってツー・トランペットでやっています。なかなか良い感じでした。曲が終わり、寺島さんと岩浪さんが何て言うか楽しみだったのですが、曲については何も言いませんでした(笑)。この曲を聴いて松坂さんが楽しそうだったという話題へ。さすがに、ここで良い/悪いは言えなかったんでしょうね(笑)。
最近の「PCMジャズ喫茶」はなかなか面白いじゃないですかー。
茂串さん。川島さん。松坂さん。
皆さんそれぞれジャズを愛しているんですよ!
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コメント
いっきさん
今晩は。今回のPCMジャズ喫茶も面白そうですね。
松坂さんもご登場とは!
いろいろな裏話も面白いですね。
ジャズマニアにはうるさくて面倒臭そうな人が多いから(笑)、あ、自分は棚にあげてますが、そういう人たち相手に、松坂さん、さぞ今まで御苦労されてきたことでしょう。
とはいえ、松坂さんに私、何度かお会いしたことがあるのですが、物腰柔らかく柔和なお方ですが、芯はかなり強い人だと感じました。
松坂さん御自身は、自説を声高に主張するということはほとんどないのですが、核の部分にかなり強いコダワリと、絶対に譲れない一線を明確に持っていると思います。
だからこそ、こんなにも長く雑誌が続いたのでしょうが……。
だけど、柳の枝ようにしなやかだから、我々オトコのようにボキッと折れることはない。
そこがジャズ批評長寿のなによりの要員なのでしょう。
それにしても、ウイントンの《キャラヴァン》、私は好きだけどな~。
投稿: 雲 | 2009年11月28日 (土) 22時47分
雲さん。こんばんは。
>いろいろな裏話も面白いですね。
>ジャズマニアにはうるさくて面倒臭そうな人が多いから(笑)あ、自分は棚にあげてますが、そういう人たち相手に、松坂さん、さぞ今まで御苦労されてきたことでしょう。
今回の私のレポートは客観的に書くようにしていますが、番組を聴いていて本当に色々大変だったんだろうなーと思いました。名前があがった方の中には、松坂さんにも思うところが多くあるようで、松坂さんの心中を察するに足るものがありました。
>松坂さん御自身は、自説を声高に主張するということはほとんどないのですが、核の部分にかなり強いコダワリと、絶対に譲れない一線を明確に持っていると思います。
今回の番組を聴いて、それはひしひしと感じました。
>だけど、柳の枝ようにしなやかだから、我々オトコのようにボキッと折れることはない。
言えますよね。
女性ならではのしなやかさと、逞しさは強く感じました。
>それにしても、ウイントンの《キャラヴァン》、私は好きだけどな~。
雲さんの「快楽ジャズ通信、キャラバン特集」でもかけましたよね。
私も好きです。
松坂さんの発言は番組の流れでそうなったところがあるかもしれません。
投稿: いっき | 2009年11月29日 (日) 00時10分
いっきさん、こんばんは。
やりますねぇ、最近の「PCMジャズ喫茶」(笑)。
ゲストが松坂さんとは、恐れ入りました。ペコリッ!
寺島ジイサン、岩波ジイサン、両氏ともボケていませんね。
何か変えようとして、検証しているような気がします。
それともメディアとしての責任に目覚めたのか?
単なる思いつきではないような気がしますがね。
オイラの気の廻し過ぎでしょうか?(笑)。
松阪さんはとても上品な方ですよね。昔、お嬢だったと思います。
「ジャズ批評」誌を踏ん張って、出し続けているのですから、
ジャズファンとしては、頭が下がる思いです。
この苦労には寺島さん、岩波さんが二人がかりでも敵いません。
ディープなジャズの現場を見てきたのでしょう。
ジャズへの志しが違う!硬派な松阪さんです。
投稿: tommy | 2009年11月29日 (日) 02時07分
tommyさん。こんにちは。
>単なる思いつきではないような気がしますがね。
ジャズマン(ウーマン)をゲストに迎えても、いつも同じような内容で面白くないので、少し方向性を変えたのかもしれませんね。長澤さんが番組を卒業したのはきっかけになったかも?
自分達が話すより、酸いも甘いも知り尽くしたジャズ関係者に喋っていただいたほうが面白くなると思います。
>松阪さんはとても上品な方ですよね。昔、お嬢だったと思います。
確かにそうかもしれませんね。
旦那さんが画家で、画廊とジャズ喫茶を兼ねて「オレオ」を始めたとおっしゃっていました。でもジャズ喫茶が面白くて、画廊はそっちのけになったらしいです。その後御苦労されて今に繋がるんです。
>ジャズへの志しが違う!硬派な松阪さんです。
確かに硬派です。
そして飄々としているところが、なかなかかっこいいんです。
投稿: いっき | 2009年11月29日 (日) 11時22分