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「PCMジャズ喫茶」のゲストは茂串さん!

パソコンを変えて一週間が経ちました。
立ち上がりもシャットダウンも速くて気分爽快です。

今日の「PCMジャズ喫茶」のゲストは高田馬場のジャズ喫茶「イントロ」の店主茂串邦明さんでした。ドラムも叩き週末にはお店でジャムセッションをする有名な方です。茂串さんはしゃべりも凄いので寺島さんも押され気味でしたよ(笑)。

茂串さんが最初にかけたのはジョン・コルトレーン『クレッセント』から《ベッシーズ・ブルース》。茂串さんは日本で最初にコルトレーンのディスコグラフィーを書いたのだそうで、そのつながりでの選曲。ご存じの通り寺島さんはコルトレーン嫌いですから、これをかけるところが茂串さんらしくて面白いです。

曲後、寺島さんはコルトレーンがテナーを吹いていると分かっていながら、「これはアルト吹いているの?ソプラノ?」とつっかかっていました。こういう高いテナーの音が嫌いなのです(笑)。茂串さんは余裕で「コルトレーンの音色(ねいろ)が素晴らしい。切磋琢磨の音色。ジャズは音色だ。」と言っていました。寺島さんは最初、「おんしょく」と言っていましたが最後には茂串さんの言いっぷりに負けて「ねいろ」なんて同調していました(笑)。

楽器をやると音色が重要だというのがわかるそうです。で、寺島さんはトロンボーンをもう10年やっているんだとか。「演奏しているの聴いたことがない。」と茂串さん。「人前では披露しない。」と寺島さん。楽器をやるのも大変です(笑)。

続いて「ジャズ喫茶のおやじは寺島さんのように文化人(作家)がいる。」と茂串さん。文化人ということで村上春樹さんの話へと。村上さんの「1Q84」の中にジャズに関する表現があって、その表現が素晴らしいという話がありました。それはベッドでの男と女の会話のシーンです。ルイ・アームストロング《アトランタ・ブルース》中のバーニー・ビガードのクラリネットに関するもの。岩浪さんはそれは『プレイズ・W.C.ハンディ』に入っていると即応。聴いてその部分を検証してみようという趣向でした。

懐かしい話ということで、昔の新譜レコード争奪戦の話がありました。輸入する枚数が少なかったので、当時のレコード店の店員と仲良くなって、ジャズ喫茶店主は自分のところへ先に回してもらおうと画策したらしいです(笑)。当時は銀座の「マルミ」や渋谷の「ヤマハ」で買ったとか。渋谷の「ヤマハ」にはその後JAROの店主となる柴崎さんがいたそうで、寺島さんは自分のところが後回しになって悔しい思いをしたことがあると言っていました。

次にかけたのは、岩浪さん推薦のケニー・バロンのヴィーナス新譜『マイナー・ブルース』からタイトル曲。ジャズ批評11月号「内外新譜」で岩浪さんが推薦しているやつです。寺島さんはバロンがヴァーヴ在籍時に売れなかったので、ヴィーナスに拾われて良かったんじゃないかと言っていました。前回来日時に茂串さんは自分のお店でバロンとセッションしたらしいです。寺島さんはとんでもないことだと言っていました(笑)。

曲後、寺島さんは「ジャズの匂いを感じない。ブルース感がない。堅くあっさりでダーティーさがない。」といつものごとく言いたい放題。岩浪さんもいつものように「そうだね。」と寺島さんに同調。あれれっ、ジャズ批評でこのアルバムについて「ジャズを体感し、味わったという充実感が得られる。」と書いていたのは誰でしたっけ?この人達のいい加減さには呆れます(笑)。

次は茂串さんの選曲。ウィントン・ケリー『ウィスパー・ノット』(通称「ハシゴのケリー」)から《ドント・イクスプレイン》。収録時にドラマーのフィリー・ジョー・ジョーンズが遅刻したとかで、B面はドラムレス・トリオなんですが、今回フィリー参加のやつが1曲だけ見つかったということでかけました。

ナント実は!茂串さんがドラムを叩いて原トラックにオーバー・ダビングしたものでした(笑)。番組収録前夜に録音したんだそうです。寺島さんも岩浪さんも曲終了時に「こりゃあ、やられましたな。」と大笑いです。私なんかボーッと聴いていたので、全く気付きませんでした。茂串さんはドラムがなかなか上手いのでした。ビックリ!茂串さんは40歳でドラムを始めて18年経つそうです。

次は寺島レーベルの宣伝(笑)。『フォー・ジャズ・オーディオ・ファンズ・オンリーVOL.2』からリアム・ノーブル(チューナー表示はデイブ・ブルーベック・カルテット?)の《ラ・パロマ・アズル》。この少し変わったドラムを聴いての感想を茂串さんに求めていました。なのに、曲後は違った話題へと。どうも編集でカットされたみたいです。この3人、話せば止まらないので、番組時間内に収めるために随所でカットが入っている感じでした。

最近はライブ・ハウスがCDを作ることが多いという話から、茂串さんも作ったことがあるという話になりました。お店でよく演奏する人のCDを予算100万デジパック仕様(\2,200)で作ったとか。自分のお店での販売を中心として500枚くらい売ったそうです。そのくらい売れれば採算はとれるとかとれないとか。「バーバーバー」で作った女性ボーカルをかけました。この手のやつにあまり興味がない私は誰の何というアルバムか未チェック。

次は岩浪さん選曲で、片倉真由子『インスピレーション』からかけました。片倉さんはジュリアードのジャズ科を卒業して今は仙台に住んでいるそうです。「かなりガッツがあるよ。」と岩浪さん。「ポニー・jキャニオン(A&M)なので、プロデューサー木全さん系だろう。」と寺島さん。

寺島さんは「最近ちょっとピアノが弾けると、特に女性はすぐにCDを出す。」とご不満気。岩浪さんは「松本茜も学生で3枚も出している。」なんて言っていました。そこへ茂串さんが「この娘(片倉真由子)は本物だよ。バークリーからジュリアードへ行ったけど、そういうことを鼻にかけない。オリジナリティーを出そうとしている。ピアノそのものをきちんと弾いている。」と褒めていました。曲後、岩浪さんは「グルーヴ感があって、タッチの粒がそろっている。」と言っていました。寺島さんはちょっとご不満みたいでした(笑)。

ここで茂串さんから、お店に来る女の娘の話へ。その娘はパット・メセニー『ファースト・サークル』《エンド・オブ・ザ・ゲーム》を聴いて、イッてしまうらしいです(笑)。そこで茂串さんは「男は耳で聴く。ちょっと耳が良い人は心で聴くが、女は子宮で聴く。」なんて言いだしました(笑)。「そんな話初めて聴きましたよ。」と寺島さん。「嘘言わないでよ。」と茂串さん。ここは本日のハイライト・トークでした(笑)。番組ではその女の娘の名前まで言っていたのですが、ここではカットします。

この番組でメセニーがかかるとは思いませんでした。快挙です!ギター・シンセのソロは最高!これを大音量で鳴らした中で悶え切るんだそうで、茂串さんは「心を裸にしている。」と言っていました。週一くらいお店に来るらしいです。壮大でスペイシーな感じがするこの曲を聴いてイッてしまう貴女は正しいっ!私、お友達になりたいです(笑)。岩浪さんのメセニー嫌いの話も出ました。「メセニー嫌いだからもてないのかな?」と岩浪さん。私、その通りだと思います(笑)。

次は寺島さんのタンパ・レーベル話。オリジナル盤ブームの話も出て、寺島さんはアメリカまで買いに行ったりして楽しかったと言っていました。ジャズ喫茶のマスターはオリジナル盤好きが多いが中には嫌いな人もいて、ジャス喫茶「A&M」をやっていた大西さんは店にオリジナル盤とか持ってくると怒ったとか。あまり関心がないもう一人として、「いーぐる」の後藤さんの話も出ました。

次は寺島さんが、バルブ・トロンボーン奏者ボブ・エンベヴォルゼンのテナーが良いとのことで、タンパ盤をかけました。茂串さんに捧げると言っていました。コルトレーンとは対極の寺島さん好みの低音系ウエストコースト・テナーです(笑)。なかなかスインギーで良い演奏でしたよ。こういう曲を選ぶところが、私は寺島さんの良さだと認めています。曲後、寺島さんは「これがテナーの音色。」と、やっぱり言っていました(笑)。

最後は寺島さんから簡単なブラインド・フォールド・テスト。ピアノ、ベース、ドラムが誰か?曲名、レーベル、レコード番号も当てて下さいというものでした。かけたのはアール・ハインズ『ヒア・カムズ』から《ザ・スタンリー・スティーマー》。茂串さん、岩浪さんはしっかり分かっていました。さすがです。ただし曲名とレコード番号は分かりませんでした。私は分かりませんでしたね(涙)。レコードは持っていますが、これはそれほど聴いていません。

今日の放送はなかなか面白かったです。まっ、だからブログに書いているわけですが。それにしても、茂串さんのかける曲と話題は、典型的なジャズ喫茶オヤジの寺島さんとはかなり違いましたね。新鮮でした。そして、色気がある話なのがいかにも茂串さんでした。

メセニーがかかったので、気分は最高!結局はそれなんですけどね(笑)。

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

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寺島靖国のPCMジャズ喫茶」カテゴリの記事

コメント

いっきさん

こんばんは。
茂串さんの件は、今月号ミュージックバードのプログラムガイド誌に寺島さん書いてますよ。

「フィリー・ジョーかアート・テイラーか当ててみて」といわれて、ケリーがかかり、じつはドラムの主は茂串さんだったということに、「やられた!」と、ゲストのイタズラ心が楽しかった、みたいなことが書かれてました。

茂串さんのドラムはたまにintroのジャムセッションに行くたびに味わってますが(ときには合わせていただいてますが)、なんというか、とても腰というかバネがあって気持ちいいですよ。

投稿: | 2009年11月 1日 (日) 02時12分

雲さん。こんにちは。

>茂串さんの件は、今月号ミュージックバードのプログラムガイド誌に寺島さん書いてますよ。

ミュージックバードのホームページで読みました。
茂串さんの遊び心には脱帽です。

>なんというか、とても腰というかバネがあって気持ちいいですよ。

茂串さんのドラムはなかなかのものだと思いました。
もっとちゃんと聴けば良かったです(笑)。

投稿: いっき | 2009年11月 1日 (日) 12時23分

いっきさん、こんにちは。

いや、これは寺島じいさんの遊び心に脱帽でしょう?

やっぱり、ジャズ喫茶を活性化させようとゲストを考えているんですよ。
自分だけで面白がらせる限度ツーのを分っているんですよ。
茂串さんは"働く店主、セッション徹夜男"ですからね。

名物ジャズ喫茶おやじのゲストを策略しているのかも?
ん〜、そうなると「いーぐる」後藤さんのゲストも近い?(笑)。

投稿: tommy | 2009年11月 1日 (日) 17時06分

tommyさん。

>いや、これは寺島じいさんの遊び心に脱帽でしょう?

確かにそれも言えています。

実は前回の放送は、茅場町のジャズ・オーディオ・カフェ&バー「OSCAR」(お店のスピーカーはアバンギャルドDUO、昨年オープンの新しいお店)の店主:中塚さんだったのですが、あまり面白くなかったので途中で聴くのをやめました(笑)。

ジャズ喫茶おやじも茂串さんクラスじゃないと私にはあまり面白いとは思えないんです。ジャズ聴くのも同じで、刺激が強くないと感じない体になっている私(笑)。

>ん〜、そうなると「いーぐる」後藤さんのゲストも近い?(笑)。

もし後藤さんがゲスト出演したら、天変地異が起こると思います(笑)。四谷系でゲストに呼んだのは、私が聴くようになってからは、今のところ雲さんだけです。

投稿: いっき | 2009年11月 1日 (日) 17時51分

え?
あの、私、“四谷系”なんすか(笑)?

投稿: | 2009年11月 1日 (日) 22時10分

四谷”派”ではないでしょうから、もう少し緩くしようと四谷”系”にしてみましたが、ダメですか(笑)?

投稿: いっき | 2009年11月 1日 (日) 23時33分

いっきさん

なるほど~、だから“系”だったんですね。
電車みたいでいいんじゃないでしょうか?(笑)

ちなみに、私、新幹線だと500系とか、E4系、N700系が好きなんですが、四谷の“雲1系”として頑張ります(?)

投稿: | 2009年11月 1日 (日) 23時50分

雲さん。こんばんは。

確かに”系”とすると電車みたいですね。
”雲1系”として頑張って下さい(笑)。

私、電車には意外と疎いのですが、新幹線500系は狭いから嫌いです(笑)。昔出張で名古屋とか大阪によく行ったのですが、狭いと疲れるんですよね~。

投稿: いっき | 2009年11月 2日 (月) 22時26分

いっきさん

えっ!?
500系嫌いですか!?
あの丸っこい車内の狭さがいいのに(笑)。
それ以上に、外見がかっこいいです。
ドイツが会社がデザインしています。
先頭車両は、空気抵抗を減らすためにほとんど客席のスペースが犠牲になっていますが、本当はあれほど尖がらせる必要もなかったそうですが、外見重視な遊び心らしいです。
そういうところも好き(笑)。

でも、昔、500系をたっぷり味わおうと思って、博多から東京まで飛行機を使わずに乗ったことがあったのですが、さすがに疲れました(涙)。

ま、快適さからいえば、700系のほうが上ですよね。


投稿: | 2009年11月 2日 (月) 22時42分

雲さん。

デザインは良いと思います。
配色もカッコいいと思います。
なるほど、スペースを削っても見た目を良くするあたりは、さすがのドイツデザイン!

出張だと行きならまだ良いのですが、帰りがこれだと疲れが増す感じで嫌だったんです。
私の場合は、新幹線を降りて今度は上野から常磐線の特急に1時間40分揺られて帰らなきゃいけなかったので、かなりの苦痛でした。
で、常磐線は上野から乗るとすぐに眠って、水戸に着く頃には自然と目が覚めました(笑)。家に着くころには日が変わってしまうという日帰り出張。

700系は全然快適です。

投稿: いっき | 2009年11月 3日 (火) 00時42分

的はずれなコメントだったら、、ごめんなさい。
番組聴いてないから。。

ええと、クレッセント大好きなんです。
ベッシーズブルースって、選曲渋い。
あのアルバムご存じのように彼の重厚な感じのオリジナルでできてるでしょ?
この曲は妙にあっけらかんとして、それがブルースだけどブルースフィーリングって、、いうのと違って、なんか、コルトレーンだなぁ。。
って。

って、、なんか、中途半端ですみません。
クレッセントいつかブログにあげようと、、早、、5年近くたちました。(爆)

投稿: すずっく | 2009年11月 3日 (火) 16時49分

すずっくさま。こんにちは。

>的はずれなコメントだったら、、ごめんなさい。
>番組聴いてないから。。

全然O.K.&ウェルカメです。

>ええと、クレッセント大好きなんです。

私も好きです。

>ベッシーズブルースって、選曲渋い。

渋いですよね。
番組を聴いていて、これか~っと思いました。
途中、音がひっくりかえりそうで苦しげに吹くところがありますよね。そういうのも含めて”切磋琢磨の音色(ねいろ)”というのを伝えたかったんだと思います。

>なんか、コルトレーンだなぁ。。

まさにおっしゃるとおりだと思いますよ。

>あのアルバムご存じのように彼の重厚な感じのオリジナルでできてるでしょ?

そうですね。私は《ロニーズ・ラメント》とかいいと思います。
あと、録音がかなり良いと思います。
今、久々にレコードを引っ張り出してきて聴いていますが、
う~ん、これは渋いアルバムですよ。

>って、、なんか、中途半端ですみません。

全然O.K.牧場です(笑)。

>クレッセントいつかブログにあげようと、、早、、5年近くたちました。(爆)

近いうちに是非あげて下さい。
楽しみにしています。

投稿: いっき | 2009年11月 3日 (火) 18時11分

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