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2009年11月

極楽なひとときをありがとう!「快楽ジャズ通信」

今日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」「ソニー・クラーク特集」
ゲストはジャズ・ライターの阿部等さんです。

番組の詳細は 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。

ソニー・クラークというとジャズ喫茶が似合う人。
後ノリ、もったりしたノリ、右手のメロディがよいです。
いい曲も書きます。
そしてモゴモゴ系のサックスが似合う人です。

まずはこれでしょう!
『クール・ストラッティン』から《ブルー・マイナー》

あははっ、やっぱこれですよねっ。最初は。
このテーマですよ。ジャズです(笑)。
マクリーンのソロがねー、ジャズ喫茶なんですよ。
ファーマーがねー、これまた趣味がいいんですよ。大人だな~。
クラークのソロはトツトツ系だけど、このマイナー感がいい塩梅。
これ聴くと安堵します。
ジャズってこの辺りを聴いているのがやっぱり幸せ(笑)!
(以降緑字は、曲を聴いての私の感想などです。)

次は『リーピン・アンド・ローピン』から《メロディー・フォーC》
鼻歌見たいにノホホンとしたところがおすすめ。
雲さんが好きな曲です。

この曲のほのかな哀愁感がいいですね。
私も好きです。
このテンション感、湯加減、いや~っ、最高です。
これは温泉が好きな日本人にはピッタリなんだと思います。
演奏の細かいこと言ってもしょうがないんです。
いいよね~(笑)。

バッキングが凄く良くて印象的。
B級のテナーとトランペットがマッチ。

次は珍しいCD。阿部さんがだいぶ前に買った輸入盤。
ジュークボックス用EPレコードを集めたものだそうです。

『スタンダーズ・ソニー・クラーク』から《キャント・ウィ・ビー・フレンズ》

ミディアム・バウンス・テンポの小粋な曲です。
これも気持ち良し!
これは結構ピアノがコロコロいい転がり具合です。
極楽ピアノ・トリオでした(笑)。

「スリー・サウンズを地味にした感じが何ともいえない。」と雲さん。
ソニー・クラークはピアノ・トリオが少ないのでこれは貴重です。
一方、管楽器入りのアルバムで、管楽器の後に出てくるクラークを待つのも
楽しみの一つだとのこと。

雲さんの変わり種。こんなバッキングもやっているの!
ドン・ウィルカーソン『プリーチン・ブラザー』から《キャンプ・ミーティング》
さわりだけかけます。

ロックンロールなピアノ・バッキングでした。
これは意外な演奏です。

では、ピアノ・トリオを2枚続けていってみましょう!
タッチが違うので「3年間で何があったの?」と想像を掻き立てられます。

まずはブルーノートの『ソニー・クラーク・トリオ』から《朝日のようにさわやかに》

これも定番中の定番です。
このマイナー具合ね~っ。
マイナー・ピアノ・トリオの模範ですなっ。
これを愛するジャズ・ファンは多いわけでして、
一つの世界を醸し出しているわけです。以上(笑)!

続けてタイム盤『ソニー・クラーク・トリオ』から《ソニア》。

続けて聴くと確かに全然違いますね~。
今まで比較したことがなかったです。
こんなに違うとは思いませんでした。
晴れやかなピアノです。
マイナー感がかなり払拭されています。
曲もいいですよね。
確かに「3年間で何があったのだろう?」と思います。

雲さんは「失恋中のピアノと失恋が吹っ切れたピアノ。」と言います(笑)。
クラークはこの後亡くなってしまうので、最後の完全燃焼なのかも。
タイム盤のほうは前のめりのピアノです。

阿部さんがゲストだと、もろにベタなのですが、
まっ、これはジャズの一つの理想郷ですね。
極楽なひとときでした(笑)。
ブルーノート盤とタイム盤の違い。
これからもう一度聴いて検証してみよっと。

ちなみに私の持っているソニー・クラークのアルバムは全てレコードです。

<アフター・アワーズ編>

去年の番組開始のテーマ曲がかかります。
メンテナンス(クリーニング)していないCDをかけました。

ここで、「ここちよい村」ひろなお村長さん登場。
ディスクコンディショナー(クリーナー)の紹介です。
名前は「ことむけやわす」
キャッチコピーが、電子を調律するフレグランス!
帯電+αを取るそうです。

で、クリーニングしたCDをかけました。
「劇的な変化はないが少しピアノが前に出てブラシもクリアになった。」と雲さん。
ひろなお村長さんも「それで良いんです。使った人の感じ方で。」と。
お~っ、この手の方にしてはかなり謙虚なご発言。

実は私もベースの弾み具合とか、ピアノの粒立ちが良くなったように感じました。
不思議です。

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「コルトレーン愛」に燃える & サヴォイ \1100シリーズ!

ジャズ友ブログが面白い!

tommy さんが、月刊「ジャズ」1974年8月号 の内容を紹介しています。

コルトレーンが亡くなって7年経っているにもかかわらず、この時期、
ジャズ・ファンの中ではまだコルトレーンが重大な位置を占めていたようです。

”ジャズ”という音楽も、音楽ジャンルの一つ以上の意味があって、
ある種の人々からは憧れとして映っていたようです。

コルトレーンへの愛も人それぞれ、ジャズ喫茶マスターからのコメントが面白い。
「アウトバック」の故野口さん。「メグ」の寺島さん。「いーぐる」の後藤さん。
「ジニアス」の鈴木さん。
あれっ!寺島さんが本名で投稿していますよっ!初めて知りました!
私としては野口さんに一度お会いしたかったです。
亡くなられてしまったのは、残念としか言いようがありません。

なななんとっ!
私が愛する渋谷のレコード屋さん「discland JARO」がこの年オープン!
tommyさん、ご紹介下さりありがとうございます。

この雑誌に載っていたジャズ喫茶の広告を見みた雲さんが、
完全にイッテしまったようで(笑)、その模様もUPされています。

Tommy's Jazz Caf'e 見るべしっ!

そして、「奄美のCD屋 サウンズパル」 が熱い!

サヴォイ \1100シリーズの20枚にコメントを付けて怒涛の紹介!

リストを眺めるだけでも楽しいです。
サヴォイ・レーベルのビ・バップ。イイですよ~。
最近は過去の名作が安く買えるようになってきましたね。
ブルーノートだって、\1100で買えるようになりました。
ジャズの”コア”を是非聴いていただきたいです。

通販もあるそうです。
どうせ買うならこういうCD屋さんから買いたいなあ~。

皆さん頑張っていますね~。
私はいつもどおりそれなりにってことっで(笑)。

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ジャズ批評誌の社主松坂妃呂子さん登場!

今日の「PCMジャズ喫茶」のゲストは、
ジャズ批評誌の社主松坂妃呂子さんでした。
皆さんご存じのように、私、ジャズ批評誌の「ブログ・ウォーキング」に
書かせていただいています。
なので、うかつなことは書けません(笑)。

なお、本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

今日はいい話をお聞きすることができました。
これ、お世辞ではありませんよ(笑)。
「ジャズ批評」という歴史ある雑誌を作ってこられた松坂さんのお話には
歴史の重みがありました。

来週もリピート放送があるので、多くの方に是非聴いていただきたいんですけど。
それにはミュージックバードに加入していただかなければなりません。
申し込みは簡単ですよ。
新譜もたくさん聴くことができます。
ジャズだけでなく、10チャンネル聴くことができて、
¥2,100/月はお得だと思うんですけどね~。
テレビを見る時間を削って、ラジオを聴きませんか?

今日の放送は簡単にレポートします。

寺島さんが「松坂さんは美人なので、昔は色々な方から声をかけられたんじゃないですか?そういう噂も耳に入っていますよ。」と、質問します。松坂さんは「歌手やもの書きはスキャンダルを流したりしますが、雑誌を作るのは信用商売なので、私はそういうことは自制していました。」とおっしゃていました。私、これを聞いて、松坂さんの実直なお人柄にちょっと感動すらしてしまいました。

ジャズ批評誌も存続が危ない時が何度かあって、松坂さんの地元、福島の知り合いのお医者さんに助けられたなんて話もありました。これがなかなか良い話だったんですよ(涙)。松坂さんは色々な方に助けてもらってここまで来たと感謝されていました。

ジャズ批評誌の歴史も色々語ってくれました。

最初は政治色のないジャズ雑誌が作りたかったのに、ライターの中には政治色が強くなてしまう人がいて、決別するまでに時間を要したとか。

時代の流れもあり、フリー・ジャズに傾倒した雑誌作りもしていたが、ある時、「ジャズ批評誌は副島さん一派に牛耳られている。」と言われて目が覚め、フリー偏重をやめたなんて話もしていました。フリー・ジャズをやる人達は派閥があり、お互いに反目していたらしいです。

女性であるが故に見下されて苦労したなんて話もありました。相倉さんや浜野さんは、表紙に色っぽい写真などを採用するように迫ったこともあるらしく、松坂さんは断るのに大変だったみたいです。で、そんなこともあって、表紙は和田誠さんのイラストになっていくらしいです。

東芝EMIの行方さんには色々アドバイスをいただき大変お世話になったともおっしゃっていました。

こんなことを暴露してしまって良いのでしょうか(笑)?
ライターの方達は個性的なので大変だったんでしょうね~。
御苦労がひしひしと伝わってきました。

で、ここでちょっと宣伝(笑)。

最近ジャズ批評社から「ブルーノート・ブック」が発売になりました。

凄く参考になる良い本です。お持ちでない方は是非!

P190_2 私は過去に出た2冊を持っています。
左は、東芝EMIがブルーノートの販権を再度取得した80年代、懸賞に応募して当たったもの。
右は、1999年に出たもので、ジャズ喫茶「マイルストーン」で中古本を見つけて買ったもの。

ジャズ・ファン必携の書です。
これは何としても押さえておきたい一冊!

話は編集長や編集者のことへ。

編集長がライターを見つけてくることがあるらしいです。岡島さんの時はあまりなかったそうですが、原田さんの時には、見つけてきたライターが「これを聴け。」「今のジャズを聴け。」と乱暴な書き方をすることがあったそうで、ジャズ批評誌読者の団塊世代の方からNOが来ることがあり、そういう時、松坂さんはライターにお断りしたんだそうです。で、話はそれだけでは納まらず、関係のジャズ喫茶のマスターにまで謝りにいかなくてはならないことが何度かあったそうです。

松坂さんのライターへの厳しい一面がうかがえましたが、これは雑誌を取り仕切る責任ある者として、当然の厳しさなのだろうと思いました。

ジャズ批評誌の編集者になって、色々なところで名刺を見せていい気になる人もいたなんて、ことも言っていました。

編集をしている時、松崎さんは編集者を大声で怒鳴ったりすることもあるそうで、狭い編集室でお互いに気まずい思いをして、無言でパソコンだけを見て仕事をする時もあるなんて話もありました。

ここまでに、松坂さん思い出の選曲としてジョージ・ルイス、ブルーノートがらみでフレディ・ハバードの曲がかかりました。
岩浪さんの選曲は「PCMジャズ喫茶」の コラム で紹介されている。チェット・ベイカー&ルース・ヤング《枯葉》

寺島さん選曲で、ここから《キャラバン》を3曲。

まずは、原曲デューク・エリントンの1936年のバージョン。続いてウイントン・マルサリス『スタンダード・タイムVol.1』から。これはいつもの選曲ですね。で、これまたいつもの如くウイントン論。松坂さんからは、吉沢しんいちさんというピアニストがいて、「お前はジャズじゃない。」と言って、ウイントン本人と取っ組み合いの喧嘩をしたなんて話もありました。いや~っ、凄い人がいるもんです。吉沢さんは今はコンピューター会社の社長さんだとか。

いつもの寺島論が出て、ウイントンを昔のクリフォード・ブラウンと比較して評価してもしょうがないという話へ。岩浪さんは「比較が批評。」と言いきり、寺島さんは「比較は楽な批評。自分は比較しないで良さを伝えたい。」と返します。岩浪さんは「それは自己欺瞞。」なんて切り返していました(笑)。

ウイントンの《キャラバン》を聴いた松坂さんは「つまらない!」「ジャズから離れていくもの足りなさ。」とおっしゃっていましたよ。

次にかけたのが、ブルーノ・ハバート・トリオ。「テーマのメロディーが出るまでのくずしを聴いて下さい。」と寺島さん。ラテン好きな寺島さんらしい演奏でした。これは寺島さん言うところの「チラリズムの美学」なんだろうと思いました。で、聴いた後で「ウイントンと比較してどうですか?」と寺島さん。「さっき比較しないと言ったじゃない?」と岩浪さんからツッコミ(笑)。寺島さんは「古いものとの比較でなくて、新しいものの比較で・・・」と言い訳していました(笑)。

最後は松坂さんの選曲。松坂さんは昔マイルスを追っかけていたそうですが、最近はファブリツィオ・ボッソを追っかけてみようと思って、出るアルバムは全部買っているそうです。これって、あれっ?そうですよっ!前回の放送で寺島さんと岩浪さんがけなしたあのアルバム『ブラック・スピリット』!かけた曲は《アップ・ジャンプド・スプリング》

マルコ・タンブリーニも加わってツー・トランペットでやっています。なかなか良い感じでした。曲が終わり、寺島さんと岩浪さんが何て言うか楽しみだったのですが、曲については何も言いませんでした(笑)。この曲を聴いて松坂さんが楽しそうだったという話題へ。さすがに、ここで良い/悪いは言えなかったんでしょうね(笑)。

最近の「PCMジャズ喫茶」はなかなか面白いじゃないですかー。
茂串さん。川島さん。松坂さん。
皆さんそれぞれジャズを愛しているんですよ!

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ジャズが幸せな時代1974年?

これだけ円高だとCDはもっと安くなるのでしょうか?
いずれ還元セールはやるんでしょうね。
HMVのマルチバイ特価も当分の間は継続しそうな感じ?
輸出への打撃を考えずに、輸入CDを安く買えると喜ぶ私(笑)。

さて、今日の話題は?
ジャズ友tommyさんのブログ:Tommy's Jazz Caf'e
面白い記事がUPされています。

本棚から古い雑誌が見つかったそうです。
ジャズピープル発行の「ジャズ」1974年8月号
なんてベタで工夫のない雑誌名なんでしょう(笑)。
tommyさんはとても懐かしいとのことです。
デューク・エリントンが亡くなった年だそうです!

1974年、私は11歳。少し前に書いた井上陽水を聴いていた頃です。
「森永チョコベー」が売っていた頃で「ベェーシール」も集めていたはず?

tommyさんはジャズを聴き、学校帰りに新宿御苑近くの輸入盤専門レコード店に
いつも寄っていたんだそうです。う~ん、青春ですね~。
そのレコード屋さんの広告も載せています。
雑誌の目次も載せています。時代を感じさせます。

編集長のコンセプトで、ジャズ喫茶にもフレンドリーだったみたいです。
「いーぐる」の後藤さん、「メグ」の寺島さん、「ジニアス」の鈴木さんが
レビューを書いているらしいです。読みたい!

続きもあるそうなので、当時を懐かしむ人は乞うご期待!

1974年かー。
その年に出たアルバムでも紹介をしておきましょう。

P188_2 ヤン・ガルバレク:キース・ジャレット・カルテット『ビロンギング』(1974年rec. ECM)です。メンバーは、ヤン・ガルバレク(ts,ss)、キース・ジャレット(p)、パレ・ダニエルソン(b)、ヨン・クリステンセン(ds)です。これ、今では誰しもキースのアルバムと言っていますが、名前はガルバレクが先にきているし、どうやら双頭コンボとして出したみたいです。ライナーノーツは?またまた岩浪洋三さんです(笑)!当時キースはインパルスとECMの二股をかけていたんですね。インパルスの『生と死の幻想』も同年録音。さすがはキースです!

久々に聴きましたが、やっぱりキースはいいですね。キースの美意識に溢れる1枚です。北欧のメンバーと組んでいるので、いかにもヨーロピアンなサウンドかというと、もちろんヨーロピアンなものはあるのですが、ゴスペルなものもあります。そこにはアメリカの大地の匂いを感じます。

コルトレーン派のガルバレク、独特のメタリックでねちっこい音が耳に残ります。キースはコルトレーン派のチャールス・ロイドと名演を残しているのは御存じの通り、この手のサックスとはマッチングが良いのです。ここで妄想をすると・・・、キースのスタンダーズ・トリオにマイケル・ブレッカーが加わったカルテットが実現していたなら、面白いことになっていたのかもしれません。キースとマイケルってどこかで共演していましたっけ?

ゴスペル調のタイトル曲で、ガルバレクがガトー・バルビエリに聴こえたりする部分があるのは当然だと思うのですが、《ザ・ワインドアップ》ではソプラノサックスを吹いていて、途中フリー寄りになる部分では、オーネット・コールマンの『ゴールデン・サークル』のように聴こえてくる瞬間があるのは、私の気のせいでしょうか?

ダニエルソンの強靭なベースが気持ち良いですね。クリステンセンのドラムだってなかなかキレているじゃあありませんか。今のユーロ・ジャズ。このアルバムと同レベルのものがどれだけあるんでしょう?昔のこういうのを聴いちゃうと、今のECMの乱造ぎみなのにも疑問を抱いてしまったりします(涙)。

P189 ついでにもう1枚。キース・ジャレット『マイ・ソング』(1977年rec. ECM)です。『ビロンギング』と同メンバーなので、私は『ビロンギング』の翌年にこのアルバムが出たのだと思い込んでいましたが、3年後だったんですね。

こちらは何て言ったって、タイトル曲が良いんです。甘く切なくロマンティックな美メロにメロメロです(笑)。頭の《クウェスター》も好きです。このレコードはA面の出来が特に良いように感じる私です。

「高野 雲の快楽ジャズ通信」の栄えある50回目が「キース・ジャレット特集」
その時の私のレポートは:
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-672c.html

《マイ・ソング》も当然かかりました。雲さんも好きな曲だそうです。
My Secret Roomのすずっくさまも好きな曲の5曲に入れたことがあるとか。

私が持っているのは、どちらも日本盤レコード。
『マイ・ソング』は最初CDを持っていたのですが、レコードに買い替えました。
『ビロンギング』がレコードだったので、統一したくなったんです(笑)。
レコードっていいよね~(笑)。

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美人フルーティストのMiyaさんは、お顔に似合わずアグレッシブ!

今回の「高野 雲の快楽ジャズ通信」「ジャズフルート特集」
ゲストはフルーティストのMiyaさんです。

番組詳細は 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。

Miyaさんは、ハッキリ言って美人です!
Miyaさんの無邪気な写真が見られる雲さんのブログは絶対チェック!
女優の小田茜に似ているんじゃないかと思いますが、皆さんはどう思いますか?

御自身のブログ:Miyaブログ
オフィシャル・サイト:MIYA's BOOK
も要チェックです。

今日の雲さん、なんか出だしのトークがやけに明るいですね~。
Miyaさんを前にしているからですか(笑)?

Miyaさんの目標は?
CD屋さんでフルートは「その他の楽器」のコーナーに置かれているので、
「フルート」のコーナーを作るくらい、ジャズ・フルートを認知させたいんだとか。
ナチュラルでちょっとおちゃめなMiyaさんに、LOVEです(笑)。

「フルートは柔らかく優雅なだけではない。攻撃力と殺傷力が強い。」と雲さん。
今日はかなりハイテンション(笑)?
優雅に見えますが、管楽器の中では肺活量が一番いるそうです。
事前のやりとりで、Miyaさんがジェレミー・スタイグ好きと聞いて、
雲さんは「これは来たぜっ!」と思ったとか(笑)。
「Miyaさんのアルバムを聴いて、フルートの攻撃力とインパクトを
積極的にプレゼンしていく姿勢が見えます。」と雲さん。
Miyaさんは「フルートの優雅な感じは一側面でしかなく、笛という印象だとすると、
雲さんが攻撃力とおっしゃたけれど、力強い表現も可能。」と言っていました。

最初はビル・エバンス、ジェレミ・スタイグ『ホワッツ・ニュー』から
《ストレート・ノー・チェイサー》

久々に聴きました。
スタイグのアグレッシブ・フルートはいいですね。
確かに攻撃力はかなり高いです(笑)。
アーシーな感じがします。でもこの人は優雅さも漂っています。
そこがエバンスとマッチングするところなのではないでしょうか?
この2人の相性ってなかなかグッドですよ。
ジャズは攻撃力が高いのが面白い。
(以降緑字は、曲を聴いての私の感想などです。)

Miyaさんがお気に入りで、初めて聴いたジャズ・フルートだそうです。
アグレッシブだけどアプローチが美しいんで自然に入れたとか。
ジェレミーの音色は独特。でもめちゃくちゃテクニックがあるんだそうです。
何回も来日していて、Miyaさんはライブを見たりインタビューもしたそうです。
インタビューの際、「ジャズとは何ぞや?」と言う話で盛り上がったとか。
スタイグは「即興演奏をやる自分と客観的に見る自分がいなければならない。」
と言ったそうで、それが強く印象に残っているとのこと。
Miyaさんも自分のプレイにおいてそれを大事にしたいと思っているそうです。

雲さんは「ジャケット写真に似合わずアグレッシブ。そのギャップがいい。」と。
Miyaさんは2つの要素があるのが好きなんだとか。
ジャケットがきれいな感じなら演奏はアグレッシブとか。
アグレッシブな演奏にも美しいメロディーのアプローチとか。

Miyaさんの新譜『オリエンタル・サン』から《バウンシング・ウィズ・バド》
過激なフルート・ソロ演奏です。

かなりアグレッシブです。
畳み掛けるような感じの演奏。
次々フレーズが繰り出されてきます。
Miyaさんのフルートはフュージョンではありません。
これはジャズです!カッコいい演奏だと思いました。

ソロ・フルートでは、バド・チューンを入れたかったそう。
昔、フルートとヴォーカル(ヴォイス・パフォーマンス)のデュオを
やっていたことがあり、その時のレパトリーだったとか。
この曲の収録時は必死だったそうです。
この曲のテーマはスピード感だたので、
それだけは伝えたかったそうです。
なるほど、伝わってきましたよ。

Miyaさんが好きなタイプのミュージシャンは、
その人にしかできないことをやっている人だそうです。
だからエリック・ドルフィーも好きなんだとか。
エリック・ドルフィーの話が出たら、雲さんはもうノリノリ。
2人は「ドルフィーLOVE話」で意気投合(笑)!

Miyaさんは、「ドルフィーはフルート奏者としては参考にならない。
楽器を超越していて、ドルフィー・チックだ。」と言っていました。
で雲さんが、「ドルフィーのアルバム『ラスト・デイト』の中のフルート曲では、
《ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラブ・イズ》が皆いいというけれど、
《サウス・ストリート・イグジット》が良い。」と言うと、
Miyaさんは「そうなんですよ~。私は「鼻血ブルース」と呼んでいるんですよ~。」
と、凄くうれしそうに答えていました。
この曲はライブでもやっているそうです。
雲さんは「一緒にやりたい!」と叫んでいました(笑)。
Miyaさんは「今度一緒にやりましょうよ。」と快諾でした。

『ラスト・デイト』から、その《サウス・ストリート・イグジット》

これも久々に聴きました。確かにいいですねー。
攻撃力のあるドルフィーのフルート。
こういうスピード感溢れる曲がMiyaさんは好のみのようです。
スピード感+飛翔感が気持ち良い曲です。
続くミシャ・メンゲルベルクのピアノ・ソロも快調です。
これは1つの世界ですね。

次は珍しい音源。
レコードからCD-Rへ落としてきたんだそうです。
『フルート・サミット』から《枯葉》

ジェレミー・スタイグ、ジェームス・ムーディ、サヒブ・シハブ、クリス・ヒンゼイ。
4名のフルート奏者がこのアルバムに参加しています。
1973年、ドナウェッシンゲン音楽祭でのライブ。
アトランティック・レーベルです。
アルド・ロマーノ(ds)、ヨアヒム・キューン(p)の演奏にも注目。
この演奏はジェームス・ムーディ。

出だしのフルート・ソロ。
これ聴いた瞬間、Miyaさんが目指している方向だと思いました。
ジャジー&スマート&クールな演奏。
後半への盛り上がり具合も良いいですね~。
キューンのキレがあって情熱的なピアノが素敵です。
これは、クラブでも受けると思いますよ。
レコードをCDに落としたわりにはノイズがなかったです。
ベースの音、シンバルの音、レコードならではの耳あたりの良さですね。
音がふっくら柔らかめでなかなかイイ感じ。
ミュージシャンならではのカートリッジ&フォノイコライザー選びと聴きました。

雲さんは「良かったけれど、パーカッションのチャカポコがあってもなくても
いい感じですね。」と言ってました。
友達がこのレコードをわざわざ名古屋まで探しに行ったそうです。

次はまたMiyaさんの新譜『オリエンタル・サン』から
《インスティンクト・モーメンツⅠ》

フリー・ジャズがかった、エッジの立った演奏です。
Miyaさんはこれが選曲されるとは思わなかったそうで、
「元々アルバムに入れる予定がなかったので、入れたかいがありました。」
なんて言ってました。

これもアグレッシブでな演奏すね~。
フルート・ピアノ・ギターのトリオ。
ギターの渥美幸裕さんもキレキレ。
ピアノのスガダイローさんもさすがです

Miyaさんが「アグレッシブな中にもメロディアス」
と言っていたように、
最後はメロディアスなアプローチ。

ちょっとしたセッションをして、3テイク録ったそうです。
3人で録る予定はなかったんだけど、録り直ししたかった曲があって、
スガさんとのレコーディングの時にギターの渥美さんにも来ていただいて、
このセッションをすることになったそうです。
アルバム未収録の別テイクはボーナス・トラックとして
どこかで手に入れるようにするとのことでした。

Miyaさんが即興で大事にしているのは本能的な瞬間。
音楽を演奏するのは本能的なもので、それを解放したい
というのが今回のアルバムのメッセージでもあるとか。
で、本当は「インスティンクト・モーメント」をタイトルにしたかったけれど、
言いづらいし、違うコンセプトが出てきたので、『オリエンタル・サン』になったとか。

最後はハービー・マン『コーリン・ユー』から《カミン・ホーム・ベイビー》

ファンキーなフルートです。
レゲエ風リズムも交えた楽しい演奏ですね。
これはフュージョンでした。

かけた雲さんが「ズッコケちゃう演奏。」と言っていました(笑)。

今回はお2人とも盛り上がって、笑が絶えない楽しい放送でした。

<アフター・アワーズ編>

Miyaさんのフルートは純銀(少しは違うものが入っているかも)製。
銀は錆びないそうですが、中のつなぎの金属は錆びに注意とか。
吹奏感はシルバーが良いんだそうです。

恒例、Miyaさんのフルートと雲さんのベースでセッション。
なかなかノホホンな感じでした。
Miyaさんのフルートは柔らかさと独特の枯れた感じがグーッ!
ベースソロへの合いの手もイイ感じでした。

ここで重大なお知らせがっ!

快楽ジャズ通信ポッドキャスト編の公開録音です。

トーク&ライブです。 ゲストはMiyaさん。

日時: 2010年1月10日(日)、14:00~15:00

場所: アップルストア銀座店

3連休の真ん中です。皆さん!見に行きましょう!

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ドラマーによる現代音楽的ジャズ。

やっぱりアメリカのジャズは凄いと思います。
今日これから紹介するようなジャズ・アルバムを作って流通させるんですから。
で、それらを輸入して売る人達もエライし、買った私もエライ(笑)!
前にも同じことを言ったような気がします(笑)。

このアルバムはジャズ喫茶「いーぐる」で行われた益子博之さんの「NYダウンタウンを中心とした2009年第3四半期新譜特集」で知りました。残念ながら今回私は当日用事があって参加できなかったのですが、後日「いーぐる」のdiaryにリストが掲載されたので、それを見て知りました。

P186 ジョン・ホレンベック・ラージ・アンサンブル『エターナル・インタールード』(2009年rec. Sunnyside)です。メンバーは、ジョン・ホレンベック(ds,composition)、ゲイリー・ベルサーチ(p,org,key)、テオ・ブレックマン(voice)、トニー・マラビー(ts,ss)、エラリー・エスケリン(ts)、アラン・フィーバー(tb)、デイヴ・バルー(tp)、ケルミト・ドリスコル(ac-b,el-b)、他。サックス/トロンボーン/トランペット各数名、マレット・パーカッション、指揮者からなるオーケストラです。

リーダーのジョン・ホレンベックはドラマーであり、クローディア・クインテット他自己のいくつかのグループを持って活動するだけでなく、このアルバムに参加しているトニー・マラビーとの「cello trio」、ゲイリー・ベルサーチ、テオ・ブレックマンとの「refuge trio」などのグループに参加したりと、とにかく活動は多岐にわたり、それぞれが創造的であるという、とんでもない人です。そして要注意人物であります。

「cello trio」「refuge trio」については、前にブログの書いています。
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/2008-e87e.html
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-87ef.html

このアルバム、ホレンベックが全曲を作曲し編曲しているのですが、凝った曲でかなりの完成度を示しています。やっていることはジャズの単なるビッグ・バンドではありません。ギル・エバンスから連なる練られたアレンジの中にソロを有機的に溶け込ませたものになっていて、マリア・シュナイダー(ギルの弟子)、守屋純子などの現代ジャズ・オーケストラのひとつと言えます。

そのサウンドからは、現代音楽的なものも感じますね。で、ホレンベックの一つの特徴というのが、マレット・パーカッション:ヴァイブラホンやマリンバの使用。サウンドにフワリとした柔らかさをもたらしています。テオ・ブレックマンのヴォイスも効果的に使われています。緻密で凝ったアレンジなんですけど、それを極度に意識させるような張り詰めた感じになっていないところもホレンベックの上手さ。

マラビーやエスケリンの期待を裏切らないソロが入っていて、ファンならばニンマリな場面も出てきます。ベルサーチのピアノ、オルガンもセンスが良いですね。タイトル曲は19分にも及ぶ壮大な音楽絵巻。こういうアーティスティックなオーケストラ作品を作るホレンベックは凄いとしか言いようがありません。

このアルバム、グラミー賞にノミーネートされました。

アルバム名:『ETERNAL INTERLUDE』
メンバー:
John Hollenbeck(ds, com)
e.t.c
.

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”バーゲンセール”という言葉に弱い私(笑)。

“バーゲンセール”という言葉に弱いんです(笑)。
この前もその言葉に釣られてCD・レコードのバーゲンセールに行ってきました。

バーゲンでは安さに釣られてたくさん買ってしまいがちです。でも、いざ帰って聴いてみると、「なんだこりゃ?」ということがあります。そんな時、いくら安かったとはいえ買ってしまった自分が悔しい(笑)。なので、慎重な品選びが肝心です。

まず一つ注意点があります。誰でも好むようなオーソドックスな内容のものは避けます。需要が多そうなのに安くなっているということは?やっぱり内容がいまいちと判断したほうが無難だと思います。もちろん、ケース割れとか盤質が悪いために安くなっているものは、前記の例とは無関係。

ではどんなやつが狙い目かというと、私の好みもありますがちょっとマニアックなやつです。例えば、マニアの間では有名でも一般に知名度がない人、アコースティック派から毛嫌いされるロック系ギタリスト、アバンギャルドなやつ、ピアノ・トリオをメインに活動する人がちょっと変わったことをやっているものなどです。

こういうことは長年の経験がものをいうわけでして、ジャケット、タイトル、参加メンバー、曲名などを眺めていると匂ってくるんです!

P185_2 そんな匂ってきた1枚がこれ。ジャン=ミシェル・ピルク『カーディナル・ポインツ』(2002年rec. Dreyfus Jazz/ビデオアーツ・ミュージック)。メンバーは、ジャン=ミシェル・ピルク(p,whistle,melodica,per)、サム・ニューサム(ss)、ジェームス・ジナス(ac-b,el-b)、フランソワ・ムタン(b)、アリ・オエング(ds)、アブドゥ・エムボウ(per)です。

フランスの才気溢れるピアニストによるコンテンポラリーなアルバムで、私好みの内容でした。ピルクはミシェル・ペトルチアーニと同世代なのですが、ジャズをやる前にロケット研究をしていたという異色な人。そのためデビューも遅く、ペトルチアーニほどの知名度を得られていないのが惜しいです。

力強くクリアなタッチで、スタンダードを斬新な解釈で演奏するピルクですが、ここではエレクトリック・ベース、パーカッション、ソプラノサックスを導入して、自身のコンテンポラリーなオリジナル曲をダイナミックかつしなやかに演奏しています。

パーカッション踊るエスニック・サウンドあり、ソプラノサックスがとても美しく切なく歌う曲あり、前半の忙しいアフリカンビートと後半の緩いビート上で怪しげなソプラノサックスが舞う曲あり、程よくアブストラクトな辛口の曲ありと、色々なテイストが味わえる楽しさがあります。

後半にはフランソワ・ムタンのベースとアリ・オエングのドラムを従えた従来通りのピアノ・トリオ演奏もあります。4部からなるオリジナル曲《トリオ・ソナタ》をアグレッシブかつアーティスティックに演奏するところに、この人の才気が溢れだします。

前半のコンテンポラリーと後半のアグレッシブ・ピアノ・トリオ、一粒で二度美味しいアルバムになっています。

さあ、皆さんもお好みのアルバムを見つけに、
”バーゲンセールに出かけてみませんか?

アルバム名:『CARDINAL POINTS』
メンバー:
Jean-Michel Pilc(p)
Saw Newsome(ss)
James Genus(b)
Francois Moutin(b)
Ari Hoenig(ds)
Abdou M'boup(per)

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「PCMジャズ喫茶」のゲストは川島重行プロデューサー(その3)

昨日の続きです。

で、今度は伊藤八十八さんの話へ。川島さんのオフィス:バーズレコードの別の新規格/新レーベル:ブルー・イン・グリーンに伊藤さんがいます。このレーベルからは1作目トーマス・エンコ、2作目SAYAKAが発売されています。寺島さんは「躍進著しい。」と言います。
このブルー・イン・グリーン・レーベルの話。以下のとおり前にブログに書きました。
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/moonkstyle-8e4c.html

ここで川島さんのプロデューサー遍歴の話がちょっと出て、色んな所を歩いてきたプロデューサーで、今は大手の会社に属していないということを言います。ちなみに川島さんは2度目の自分の会社レーベルで制作・販売の全てやっています。で、ジャズの独立した専門のプロデューサは何人いるかという話へ。川島さんが知っているのは4人とのこと。

寺島さんが「どうなんですか?端的に申しますけれど、仕事は大変だという話はさっきしましたけど、それに対する”ニギリ”ってのはどのくらいになりますか?」と質問。川島さんは「たとえば、プロデュース印税だけでやっていくとなると、今の御時世、この不況下でCDの売り上げが下がってますし、食っていくのは大変ですね。」と答えます。

この前木全さんに「プロデューサー印税何%ですか?」と聞いたら、ポンッと答えたらしいのですが、支障があるからそれは言えないという話も出ます(笑)。「たとえば多過ぎるかもしれないけど、1枚100円で3,000枚売れて30万ですか?それでアメリカまで行って・・・、凄い話になりました。」なんて言ってました。ジャズ専門プロデューサーでは食っていけないんですね。ジャズをやるなら、澤野公房、ガッツ・プロダクション、スパイス・オブ・ライフ、ダウトとかレーベルを作ってやっていかないとダメなのでしょうね。

岩浪さんから「今どうやればCD売上を上げることができますかね?」と質問があります。寺島さんは「難しい話だな~。」なんて言います。川島さんは「バーズレコードで一番売れたのがマンハッタン・ジャズ・クインテット『V.S.O.P.』で、この時代に13,000枚売れた。」と言います。で、SONYのCDクラブの会員のお買い上げが入っているそうですが、それを入れなくても10,000枚超えたそうです。えっ、SONY会員に3,000枚近く売れたんですか?CDクラブ会員はたくさんいるんですねー。

で、その売り上げは、お店が相当ディスプレイをやってくれて、推薦文を書いてくれての結果。CDを買った動機は「お店で見て」というのが60%なんだそうで、だからお店の力が大きいと言っています。店によって、誰々派というのがあるなんて話もありました。レコード会社にとってはお店が大事だと言ってました。お店の担当者とも定期的に話して、情報ももらっているとのこと。

ここで、川島さん推薦CD。バーズレコード初のピアノ・トリオです。川島さんはピアノ・トリオが好きではないそうです。なぜなら、ピアノ、ベース、ドラムのように手ではなく、口で吹く楽器が一番感情にくると思うからとのこと。ラッパ・サックスが入ったほうがいい。

歌伴なんかを有名なところでやっているL.A.のクイン・ジョンソンからマシューズのところにデモ・テープが来たんだそうです。で、マシューズから川島さんの所に来て、聴いたら一発で気に入ったそうです。新人だから難しいのですが、3、4年、4、5年かけて大物に仕上げたいんだそうです。テクあり、表現力ありとのことです。なかなかクリエイティブではありませんか?

ジョンソンがN.Y..に来てくれて、N.Y.で録ったそうです。寺島さんが「もちろん川島さんが行って、へぇ~、金がかかってるねー。」と言うと、川島さんは「私がN.Y.へ行くと3本くらい録ってくるんですよ。これなんかもう5時間か6時間くらいで録れた。」と言います。寺島さんが驚いて「1本が?へ~っ、凄い速攻だね~。」と感心します。川島さんは「グラント・スチュワートも6時間ぐらい。(多分『プレイズ・ジャズ・バラード』のこと)」と続けます。1日でとのことです。マンハッタン・ジャズ・クインテットですら2日だそうです。

いや~っ、ビックリしましたね。もちろん事前打ち合わせはあるでしょうし、長い時間かけて録ればいいってもんでもないでしょうけど、日本のポップスの時間をかけて、練りながら録り直したりして作るのとは雲泥の差です。ここでもジャズにはお金がかけられないというのが出ています。

『クイン・ジョンソン・トリオ』から《愛とは何でしょう》
スイングジャーナル誌では久保田高司さんと小川隆夫さんが4.5星付けています。
スインギーで良いピアノでした。大物になることを祈念致します。

聴いた後で、岩浪さんは「ノリはいいし、フレッシュで、古臭くなくて、もぎたてのフルーツみたいな新鮮な風を感じます。これは売れると思いますよ。」と最高の褒め言葉です。キターッ、ヨイショ(笑)!川島さんも喜んでいましたよ。

寺島さんは「やっていることは極普通のピアノ・トリオなんですよね。だから川島さんとしては、こういうオーソドックスなものを臆面もなくよく作ったなという感じがするんですが、川島さんの考えるピアノ・トリオってこれなんですよね?ピアノ・トリオでギル・エバンスみたいにあっちやったりこっちやったりひるがえしたりはしないんですよね。」と言います。あははっ、またギル・エバンスをけなしています。

寺島さんは「今ピアノ・トリオは日本で売れて売れてしょうがない状況ですけど、それに迎合しないで色んなものを作ってきた中で、いよいよピアノ・トリオに入ったわけだけれど、これがもし売れたら、どんどんピアノ・トリオを作っていく?」と聞きます。川島さんは「作りましょう。」と答え、一同大笑です。ただ、川島さんはしばらくはクイン・ジョンソンに集中するとのことでした。

今回は日本制作のジャズの実態がかなり見えました。
とても面白かったです。

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

「サウンズパル」takaラサーンさんから
以下の素敵なコメントをいただきました。

いっきさんこんにちは♪CD屋にとってもためになる話、興味深く読ませて頂きました。

今の世の中「音盤」だけではなかなか食っていけません。ダウンロードも本格的になりだしてからは、売り上げは減る一方。頭の痛い話であります(困)。

けれども「何でCD売れんくなったのか?」という問いに、CD屋が「いや、ダウンロードが出てきたから」「音楽離れが進んだから」とか見苦しい言い訳しちゃあいけませんね。だったらCD屋は「音楽を売る」ことにどんだけ努力して勉強してきたんだ。と、逆に突っ込みたくなります。あんまりデカイ声では言えませんが・・・(汗)。

音楽屋は「ハレ」の商売です。”一塊り¥3000”のプラスチックを売ってるんじゃあないんです。お客さんからしたら、そこには夢が詰まってるんです。音楽業界が浮くも沈むも、現場にいる者の意識にかかってると思います。

川島さんのお話はとても痛切に感じます、同時に励みにもなりました。こういうお話を拾ってブログにアップしてくださるいっきさんに感謝です。

takaラサーンさん。こんばんは。

>だったらCD屋は「音楽を売る」ことにどんだけ努力して勉強してきたんだ。と、逆に突っ込みたくなります。あんまりデカイ声では言えませんが・・・(汗)。

いやっ、デカイ声で言って下さい(笑)。
コメントはしていませんが、ブログは時々見させていただいています。
こんなに精力的にCDの魅力を伝えているCD屋さんは他に知りません。
「サウンズパル」がある奄美大島の音楽ファンは幸せだと思います。

>お客さんからしたら、そこには夢が詰まってるんです。音楽業界が浮くも沈むも、現場にいる者の意識にかかってると思います。

音楽を取り巻く状況は色々大変になってきているとは思いますが、音楽の持つ力を信じて、現場の人がそれをファンに伝えないといけないんでしょうね。
私も、ブログで何とか「音楽の力」を伝えていければ良いのですが。

>こういうお話を拾ってブログにアップしてくださるいっきさんに感謝です。

そう言っていただけると凄く嬉しいです。
今回、音楽を作る側の素の意見が聞けて私も色々考えさせられました。

私、takaラサーンさんを応援していますよ。

「奄美のCD屋 サウンズパル」 では「ブルーノート¥1100シリーズ」
紹介しています。

コチラ
①:http://ameblo.jp/soundspal/entry-10388070854.html#cbox
②:http://ameblo.jp/soundspal/entry-10389859928.html#cbox

この続きもあるそうですよ。
こんなに熱くて親切なCD屋さんは他に知りません。
甲府にも「サウンズパル」がほしい(笑)!

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「PCMジャズ喫茶」のゲストは川島重行プロデューサー(その2)

昨日の続きです。

ここでブラインド・フォールド・テスト。
曲名を当てるとかではなく、聴いた後に川島さんの感想を聞きたいとのこと。
かけた曲はオーネット・コールマン《ロンリー・ウーマン》

川島さんは「まず、スタジオでこういう演奏やったらすぐボツでしょう。ど頭から音が揺れてたんで、あの段階で(録音を)止めてますよね。でも、後半凄く良くなっている。だから全部終わったらもう一回と言えば、もっと良いテイクができた。」と言います。なるほど、これはもうプロデューサー耳ですね(笑)。リスナー耳ではありません。「ドラムとベースが全然調和がない。」と続けます。「音楽、学理的、音的にどうか?とみているんですね。」と、寺島さんが言います。

寺島さんは、ジャズの中のジャンルとしての音楽性、ハード・バップに飽きてフリー・ジャズになったというようなことについて意見がほしかたみたいです。「こういうジャズはダメで、M.J.Q.のようなハード・バップが良い。」という答えを期待していたみたいです(笑)。寺島さんの思惑は見事にハズレ!

ここからはギル・エバンス・オーケストラの話。スイート・ベイジルでジャズ・メッセンジャーズの録音(『ライブ・アット・スイート・ベイジル』:私金メッキCDを持っています)をした頃、川島さんはギルがあまり好きではなかったそうですが、スイート・ベイジルでギルのライブを見て気に入り、その場でブッキング・マネージャーにレコーディングの交渉をしたとか。ギルは1日待ってくれとの返事だったとかで、その間にギルが川島さんのことを調べて、翌日にギルからO.K.が出たそうです。

で、ティアックの16chのテープ・レコーダーを持ち込んで、2日間全く同じ曲を演奏してもらって録音したんだとか。2日というのは、ライブだと何があるかわからないので、良い方をとることにしたんだそうです。で、現地でミックスダウンをしたら、トランペットのレベルが低くてどうにもバランスがとれない。ギルはトランペット命なんだそうで、「トランペット。トランペット。」と言うが、出せども出せども出ない。終いには他のレベルを下げてバランスをとったら、今度はオーケストラの迫力がなくなったとか。

キングに持ち帰ってから、それが不満で再度ミックスダウンをやり直したんだそうです。実はトランペットのゲインをちょっと上げたら出てきたそうで、現地のエンジニアはそれに気がつかなかったようです。レベルではなくゲインを上げるところがミソ。その再ミックスダウンをギルに送ったら、「凄いミックスダウンをしてくれた。」と、とても喜んで、あとは曲順から全て任せてくれたんだそうです。面白い話ですね~。私はこの2枚組CDも持っています。当時話題のやつだったんですよ。

ここからはいつもの寺島論。ギル・エバンスの音楽性が良くないという話が続きましたが割愛。さて、次の録音ということになるのですが、ギルはいつも同じ曲ばかりやるので、川島さんがギルに新曲をやってくれと言ったら、新曲を5曲用意してくれたそうです。これをライブ録音したのが、グラミー賞を受賞したアルバム『バド&バード』です!

ここで選曲の話。これまた寺島さんがいつも言うことで、全てミュージシャンに任せると大変だという話です。ここでまた面白い話がありました。テイクの話です。ミュージシャンは皆さん人の音は聴かず自分の音しか聴いていないそうで、自分がミスすればダメですし人がミスしても自分が良ければ「なんだ。」ということになるんだそうです。デイヴ・ウェックルスティーブ・ガッドもそうなんだとか。

ミシェル・カミロ『ホワイ・ノット』を録った時、ウェックルのドラムは完ぺきだったけれど、カミロが少しもたついたりして録り直しを要求したら、ウェックルは「俺は完ぺきに叩いたんだ。後は皆オーバーダブしたらいいじゃないか。」とガタガタ言ったそうです。オーバーダブだと雰囲気が出ないからと、川島さんは「あとワン・セッション分払うからやれ。」と言ったそうです。で素晴らしいテイクが出来て、そのプレイバックをウェックルに聴かせたら、ウェックルが「お前の言うことはよくわかった。お金はいらない。」と言ったそうです(笑)。ガッドも似たようなことがあったそうですよ。わがままな人達ですね~(笑)。

ここで「選曲によって売上が変わりますか?」と、またいつもの寺島論。「スタンダードを入れれば売れるというのはどうですか?」と川島さんへ質問。川島さんは「そういう考えは毛頭ないんです。スタンダードも解釈は人それぞれで味があるんですよ。ただ有名なスタンダードばかりでアルバムを作るのは嫌いなんで、必ずオリジナルを1、2曲入れます。」と答えます。で、同じ世代のミュージシャンのオリジナルをCDで積極的に聴いて勉強するというのもやっているそうです。

プロデューサーは気を使って大変だという話もあります。ミュージシャンに「こう演奏してほしい。」というのがあるんだけれど、口ではなかなか伝えにくいと言って、2人で盛り上がっていました(笑)。で、「アーティストの実力も見極めなければいけない。100%以上は出ないけれど、どれだけ100%へ近づけるかが肝心。」と川島さんは言っています。

寺島さんから「良いソロとは?」の質問。川島さんは「プロデューサー・チェアに座っていて体が動いてくる。欠点が見当たらない。で、起承転結がはっきりしている。それはもう迷わずO.K.を出します。」と答えます。さて、2人のフロントがいる場合はどうなるかというと、2人とも調子が良いことは稀なので、調子が良い方を先にソロをさせて、後の人に発奮させるという技もあるそうです。プロデューサーはなかなか大変な仕事だと思いました。

ここでやっとギル・エバンス・オーケストラのグラミー賞アルバム『バド&バード』からタイトル曲がかかります。曲後、岩浪さんから面白い話があります。当時のオーケストラに参加していた大野俊三さんから聞いた話だそうです。ギルは「譜面があるけどこんなものは気にするな。お前が吹きたいと思ったらどこから飛び出してやってもいいから。」と言っていたそうです。川島さんによると早い者勝ちなんだとか。

ここで寺島さんが「見て楽しいバンドだと思うんですけど、さてじゃあディスクになって自宅でこれを聴いた時に、それほどの感興が起こるかどうかは別問題。で、一体どのくらい売れたんですか?」と言います。7,000枚売れたそうです。寺島さんはギルが嫌いだから、グラミー賞をとってもそれくらいしか売れないと言いたかったんでしょうね(笑)。

次はまた寺島さんからブラインド・フォールド・テスト。
チャールズ・トリバー・ビッグ・バンド『ラウンド・ミッドナイト』です。
これ、寺島さんがいつもけなしているやつです(笑)。

川島さんはこれを聴いた後で開口一番「疲れますよ~。」。アレンジに無理があると感じたようです。オーバー・アレンジじゃないかということでした。そして、日本のビッグ・バンドみたいだと思ったそうです。その理由は前半のサックス・ソロのノリ、アルトとテナーのバランス感が悪く、スイング感が向こう(アメリカ)のノリじゃないと感じたそうです。最初に吹いたトランペットは、岩浪さんも含めてハラハラ聴いていたそうです。で、そのノリが日本人ぽかったとも言っています。オープンが良くないミュートにすべきとも言ってました。

ここで寺島さんが種明かし。スイングジャーナル誌で最高5点をとったチャールズ・トリバーのビッグ・バンドだと言います。寺島さんが「激賞ですよ。激賞ですよ。」と2度繰り返し、川島さんと岩浪さんは口を揃えて「信じられない!」と(笑)。寺島さんは、「トリバーはストラタイースト・レーベルの頃から上手いトランペッターとは言えなかったけれど、今歳をとって完ぺきに(それが)出ていました。」と言ってました(笑)。川島さんも「メロディーがふらついてましたよね~。」と。まっ、3人これはダメだということで、寺島さんは自分の主張が認められてご満悦でした(笑)。

次は岩浪さんの選曲。川島さんのライバル木全信さんの新作です。
前に木全さんが「PCMジャズ喫茶」にゲスト出演した時、「今度ファブリツィオ・ボッソでフレディ・ハバードのトリビュート作を作るから、それが出来たら聴いてよ。」と言っていたものを、岩浪さんのところに持ってきたんだとか。

『ブラック・スピリッツ』から《ナットビル》をかけて、川島さんの感想を聞こうというわけです。ちなみに木全さんは川島さんの大先輩。悪口は言えないといいつつ。
これねー。私にはハイ・ファイブと同じように聴こえました。メンバーも3人は一緒ですからね。コンセプトもほとんど同じだと思うんですよ。

寺島さんは「これを木全信さんが作ったんですか?」と言います。岩浪さんは「CDのどこにも木全さんとは書いてないけど、M&I経由ポニー・キャニオンだから木全さんだろう。」と返します。寺島さんは「木全さんが作るにしちゃー、何とも珍しい。今風のね。岩浪さん曰く、草食系。脂ぎっていない。内容はなくて表面だけみたいな。」なんて、大胆発言。

川島さんは「皆さんテクニックは素晴らしい。ボッソは飛ぶ鳥を落とす勢いですからね。リズムのノリもいいですし。」と言います。「ちょっとひっかかるものがない。”グッ”とくるものがない。ありません。」と3人が言います。川島さんは「今の若いミュージシャンってのは。こう言っちゃなんですけど、テクニックをおもてにして8分音符を”パラパラ、パラパラ、パラパラ、パラパラ”と表現する人が多いじゃないですか?これをもう少し8分音符を捨てて、ソウルっぽい4分音符でソロをやってくれればうれしいんですけど。」とも言います。

寺島さんは更に「技術が細かくなって、一音一音に魂がこもらない。演奏は今みたいな演奏ですよね。」と念押し。川島さんは「ただ、テクニックがないとできないですよね。」と。岩浪さんは「今音大出が多いから、そういう技術はしっかりしているよね。」と言います。寺島さんが「今の演奏っていうのは、おしなべてこの空間では不評でしたけれど、そうするとプロデュースをした木全さんにも、いちゃもんをつけたくなってくるという一幕ですけれど。」とまとめます(笑)。川島さん「今度は私の作品を木全さんに聴かせるんですか?」と笑います。

あーっ。ハイ・ファイブとどこが違うんでしょう?
寺島さんも岩浪さんも激賞していましたよね。ハイ・ファイブ!
似たようなものを木全さんが作ると軽くて”グッ”とこないものになってしまうの?
技術で元気よく演奏するのはダメなんですか?
これだから、私はこの先生方にはついていけません(笑)。
まっ、どうでもいいかっ!

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

続きはまた明日!

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「PCMジャズ喫茶」のゲストは川島重行プロデューサー(その1)

今日の「PCMジャズ喫茶」のゲストは川島重行プロデューサーでした。
寺島さんの紹介では、「日本の3大プロデューサーの1人。」
では、あとの2人は誰?行方さん?木全さん?

マンハッタン・ジャズ・クインテットとは何か?
今日、それが分かりました!

川島さんは最初キングの「20世紀レコード」でポップスをやっていたとか。ジャズについては最初CTI。その後ブルーノートを担当。寺島さんによると、当時のジャズ喫茶では東芝盤とキング盤の喧々囂々の音質比較があったそうです。キングには当時ロンドンの世界に誇るカッティング・マシーンがあり、音質を調整するためにケーブルを選んでいたそうです。今のケーブル交換の走りだったなんて言ってました。

一方、当時の東芝は御殿場のカッティング工場で、アルバイトの女の子にカッティングをやらせていたという噂が流れたとか。行方さんが指導に行ったらしいのですが、そう簡単には上手くいかなかったんだとか。その後、カッティングやレコード音質の話がかなり続きましたが、かなり専門的なので割愛。

上記の東芝のブルーノート盤の話はかなり昔の話。キングからもう一度東芝へ戻りました。UA傘下にブルーノートがあり、UAが東芝へ移った時にブルーノートも一緒に移ったというわけです。これが80年代で、私がジャズを聴き始めた頃ですね。

川島さんは、ブルーノートがキングから移る前に、キングの「エレクトリックバード」を立ち上げるというので抜擢されたとか。増尾好秋から売り込みがあって、世界に通じるフュージョンを売ろうということになったらしいです。この移動には川島さんも最初は反発して無断欠勤したそうです(笑)。で、野口先生と油井先生が川島さんを移動させないように、キングの社長に直談判したんだそうです!でも逆に社長に説得されちゃったんだとか。

「エレクトリック・バード」第2段は本多俊之。大学時代にデビューさせて、当時来日したシー・ウィンド(フュージョン・グループ)と組み合わせて、アレンジャーに上田力(寺島さんは上田さんとは仲が悪いと言ってました。笑)を起用。

増尾の『セイリング・ワンダー』は3万枚売れたそうです。フュージョンは作るのにお金がかかるので、たくさん売れないと元がとれないとのこと。そのアルバムを作るのに1,000万以上かかっているそうで、3万枚売れてトントンだとか。一番売れたのは『グッド・モーニング』(私もブログで紹介済)で3万5千枚。本多俊之のデビュー盤は1万枚。

その後増田幹夫で「エレクトリック・バード」初の海外録音をやるそうです。ここで、デヴィッド・マシューズと運命の出会いをします。昔、CTIを担当していた川島さんは、マシューズのちょっとファンキーでソウルっぽいアレンジに心底惚れていたんだとか。ハンク・クロフォードのアルバムのストリングス、ブラス・アレンジは最高と言っていました。

川島さんは大学時代にドラムをやっていたそうで、それが役に立ったとか。ドラマーは全体の音を聴かなきゃならず、ホーンがミスしたらカバーもしなきゃならないそうです。だからバンド全体を見ているのがドラマー。

ここで、寺島さんが、以上のような川島さんの本質を見て評価しないとダメという話をします。世間では出てきた作品だけを見て、デヴィッド・マシューズとつるんでM.J.Q.とか、なんか商売して、というようなことになりがち、でも1つの世界を信じ、「これが俺のジャズだ。」とういう信念を持っているのが川島さんだと言います。

で、寺島さんや岩浪さんとはテリトリーが違っていました。ジャズファンというのは自分が一番正しいと思っているので、他人のジャズファンのあり方を誹謗中傷するくせがあり、そのやりだまにあがったのが川島さん。というわけで、ジャズ喫茶のオヤジには特に評判が悪かったそうです。今や寺島さんがやりだまにあがっていますけどね(笑)。

その頃、川島さんはスイングジャーナル誌の編集長中山康樹さんを喫茶店に連れ出し、マンハッタン・ジャズ・クインテット(M.J.Q.)を出して、一発一緒にやってみようという話になったそうです。で、中山さんから、吉祥寺のジャズ喫茶3店「メグ」「A&F」「ファンキー」の店主に呼び出しがかかり、「ジャズ喫茶のオヤジ達も是非賛同してくれ。」と、凄い力の入れようだったそうです。でも寺島さん達は反発したそうです(笑)。

寺島さんは「聴きやすくて、ルー・ソロフ!こういう風にソロ吹けば、間違いなくジャズファンは参っちゃうようなソロを吹いている。実にメロディアスな。」と言います。川島さんは「それが狙いだったんだ。」と言います。周りのポップファンとかをジャズに引っ張ってきたいんだけど、アドリブが難しいと言うので、メロディアスなソロをさせたんだそうです。ここで、川島さんから「ソロは即興で奏でる第2のメロディー。」という言葉が出たら、寺島さんがここを強調していました(笑)。川島さんは長いソロも嫌だと言っていました。これって、つまり寺島さんの今の主張そのものです(笑)。

当時はコルトレーンのソロがいいという風潮なので(これ、80年代の話ですよ。ジャズ喫茶オヤジは古い思考だったのです、笑)、そこにM.J.Q.が来たものだから、賛否両論になったと。川島さんは「岩浪先生には大変応援していただきました。」と言っていました(笑)。さすがは岩浪さん(笑)!寺島さんは「それがもしニセモノだったら今に続いていないですよね。」と。寺島さんは今はM.J.Q.を認めているようです。そうでしょうね(笑)。

ここで、M.J.Q.の1作目の《サマー・タイム》をかけることに。当初はキングの企画会議で《枯葉》が上がっていたらしいです。ところが録音で現地へ行って、リハなしで吹き始めたら、なんと《サマー・タイム》だったとか。時間がないから「もういいやっ。」ということで始めたら、それが凄い演奏になったんだそうです。なるほど、だから2作目が『枯葉』なんですね。

ここまでトークだけで約30分!

久々に聴きましたけど・・・。
トランペットの出だしはギミック臭いんですよね~。
ソロはやっぱり分かりやすくという演出がミエミエ。
ソロフが力演しているのになぜか素直に受け入れられない私です。
マシューズのトツトツとしたソロも年配向け(笑)?
テナーでもったいぶったエンディング。アレンジがね~。
やっぱりこれを凄く良いとは口が裂けても言えません(笑)。
私はこれも2枚目『枯葉』も持っています。
当時はこれを聴かないとジャズファンではなかった(笑)?

寺島さん。初めて真剣に正しく向き合って聴いたそうです(笑)。で一言。「これは、素晴らしいですね。」やはりそうなりますか(笑)?「今聴けばわかるんだけど、当時は奇抜すぎるというふうに聴こえちゃう。」と続けます。私は今でも奇抜すぎると思いますが・・・。「当時はアドリブ一発がジャズだと思っていたから、創意工夫に富んだジャズが出てくると、なんか作りもんじゃないかというのが先にきた。」と言ってました。今はこのアレンジに惹きつけられて聴かされるそうです(笑)。なるほどね~。私には昔の寺島さんのほうがまともだと思いますが・・・。

川島さん、当時はその場での簡単なヘッド・アレンジ(要はアドリブ至上主義ってことです)というのに不満があったそうです。それが新しいジャズファンを獲得できない理由と思い、M.J.Q.の様なアレンジにしたそうです。で、フュージョンが凄く参考になったと。アレンジあってのフュージョン。そのアレンジ力をストレート・アヘッドのジャズに持ってきたら面白いかなと、マシューズと夜通し話し合っていたそうです。そうしたらマシューズもそれを取り入れてくれて、川島さんが思ったとおりのジャズができたとのこと。

あ~っ、やっぱりねー。M.J.Q.はフォーマットはジャズだけどフュージョン!
ジャズ批評148号の対談「後藤雅洋×いっき」で私が言った通りだったのです。
そしてそれはジャズファンじゃなくて、ポップスファン向けだったんです。
寺島さんは、後藤雅洋さん言うところの「キング・オブ・ポピュラー・ファン」
なのであります。

ただこんなに売れるとは思わなかったそうです。7,000枚売れれば良いと思っていたのに、1枚目が15万枚。2枚目『枯葉』が累計20万枚(LP/CD合わせて)売れたんだそうです。当時、山野楽器、ヤマハ、石丸電気、新星堂、ポップス並みの売れ行きで、来るお客さん、来るお客さん皆、M.J.Q.、M.J.Q.という状況だったそうです。

キングレコードのバック・オーダーが4桁来た時があり、発売4日目で品切れだったとか。ジャズでは前代未聞。当時は渡辺貞夫さんの『カリフォルニア・シャワー』が20万枚売れ、そういうのはあったそうです。で、そういうのを買った人達がM.J.Q.を買ったんじゃないかとも言っていました。

そして、当時はまだスイングジャーナルの御威光が大きかったので、宣伝効果があったんではないか?と。更に朝日、毎日、読売の大手新聞3紙も特別扱い写真入りでCDを紹介したそうです。ジャズライフ誌に至っては、最高点を付けて「持っていけ、ドロボー!」と評を書いたとか(笑)。川島さんは嬉しい誤算だったと言ってます。つまりM.J.Q.は当時の社会現象だったということですね。

寺島さんは当時を振り返り、「我々ジャズ喫茶はあれをかけないことが誇りだった。」と言っています。「マンハッタン・ジャズ・クインテット。とんでもない!家はあんなもの置いているわけがないじゃないか。」と。ここで岩浪さんがツッコミを入れます。「寺島さん。そういうところから出てきた人でしょ。それで今よく変身しましたね。まともに。」。寺島さんは「当時は本当にそう思っていた。ジャズはコルトレーンだみたいな~。嫌いだったけど、ジャズはスピリチュアルなものというのが自分の中にあった。」と言います。

「色々聴いていくうちに、人間が変わるように、音楽の聴き方も変わってくるんですよ。その変わることに僕は何の恥ずかしさも持っていない。ちょっと体裁悪いけどね。それは岩浪さんしょうがないよね。」と続けます。岩浪さんは「他のジャズ喫茶のオヤジの中から浮いてきちゃってもそれはそれでいいんだよね。」と返します(笑)。

寺島さんは「ジャズは幅広い音楽で色んなタイプがあると分かって、ひとつじゃなく聴き手も色々な聴き方があって、それはそれで全部正しいと分かった。」と言います。川島さんも同調して「暗いジャズも考えるジャズも好きじゃなくて、ファンキーで楽しいジャズを永遠と追及する。」と言っていました。

まっ、こういう考え方もありです。
これはこれでいいんじゃないかと思いますよ。
ポップでフュージョン発想なジャズが好きでいいじゃありませんか?
寺島さんのフュージョン嫌いは、音楽性のフュージョン嫌いではなく、
単なるエレクトリック嫌いなんでしょう。

私は川島さんの話し方を聞くうちに、川島さんの人柄にも惚れてしまいました。
いい人だと思います。
ただね~。今の日本のジャズ制作サイドって、結局この川島さんや、
例の木全さん達が未だに仕切っているわけでしょ。
なので、そういうジャズしか出てこないということになります。
となれば、私にとって自ずとそういうジャズはつまらないということになります。

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

長くなるので、今日はここまで。続きはまた明日!

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今日はDENON PCM録音。

まず最初に、最近楽しく見ている番組があります。
NHK総合の木曜夜10:00からやっている「ブラタモリ」です。
http://www.nhk.or.jp/buratamori/
「アド街ック天国」のNHK版みたいな番組です。
NHKなので宣伝要素はなく街の歴史的なことが中心。
タモリと久保田アナが街を見て歩く番組です。

今日は秋葉原でした。
タモリなので、メイド喫茶とかフィギュア系はなし。
電子部品中心だったので面白かったですよ。
ラジオ・センター内の「内田ラジオ」の内田さんが出ていました。
私はこのお店で、真空管やパーツを何度か買ったことがあります。

さて、今日の本題。

最近DENONのPCM録音ジャズがHQCDで再発されました。
http://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/10776
20タイトルです。
ボブ・バーグだけじゃなくてイリアーヌの初リーダー・アルバムも
録音していたとは知りませんでした。
HQCDなのが私的には気に入らないのですが、¥2,100なら許す(笑)。

DENON PCMというと、ジャズ友間で話題になったりしていました。
まずは、マッコイ・タイナー『ダブル・トリオズ』
納浩一がこのアルバムでのマーカス・ミラーが凄いと言ったとか。
tommyさんはオークションで入手しました。

tommyさんは、DENON PCMのレコードを集めたいとおっしゃっていたはず?
ソニー・スティット『ヴァーモントの月』での、
トニー・ウィリアムスが良いとおっしゃっていました。
実はそのレコード、今私がお借りしています(笑)。
ソニー・スティットがイイんですよ。

私はDENON PCMのCDは3枚持っています。
まずはボブ・バーグ『ボブ・バーグ短編集』『イン・ザ・シャドウズ』
前者はリアル・タイムで買いました。
このアルバムは以前ブログにUP済。
雲さんと《フライデイ・ナイト・アット・ザ・キャディラック・クラブ》が良いと
盛り上がったりしました。

で、もう1枚がピーター・アースキン『トランジション』(1986年rec.)です。
P182私はリアル・タイムで買いました。
これは今回再発されませんでしたね。
だって、ジャケットがこれですよ!
この毛むくじゃらの人はアースキンその人です。
これをジャケ写にするセンス???
アート・ディレクターHaruo Koguchiさん。あなたって人は。
これは再発できないでしょ(笑)。
このキモイ写真。今回大き目にしておきましたので、クリックしてご堪能下さい。

メンバーは、ピーター・アースキン(ds,el-per,synなど)、ジョン・アバークロンビー(g-syn,g)、マーク・ジョンソン(b)、ジョー・ロバーノ(ts,ss)、ボブ・ミンツァ(ts)、ケニー・ワーナー(p,syn)、ドン・グロルニック(syn)、ペーター・ゴードン(french horn)です。現在も第一線で活躍する凄いメンバーが集結していると思いませんか?ドン・グロルニックが亡くなってしまったのは非常に残念。

プロデュースはアースキン自身で、コ・プロデューサーのヴィンス・メンドーサが5曲提供し、アレンジでも大活躍しています。アースキンは3曲(1曲は演劇用組曲)、ケニー・ワーナーが1曲書いています。

このアルバムは、コンテンポラリーから出た初リーダー・アルバム『ピーター・アースキン』に続く2枚目のリーダー・アルバムです。アースキンはウェザー・リポートやステップス(アヘッド)のドラマーでしたから、ここでのサウンドもエレクトリックとアコースティックをうまく混ぜたコンテンポラリーなもの。

今となっては誰でも知っていると思いますが、アースキンは力で押すようなところはなく、非常に柔軟で繊細かつ自由な空気を感じさせるところが、私は気に入っています。《組曲:シェイクスピア作「リチャード2世」より》なんかは、スマートでドラマチックな作りになっていて、これはメンドーサのアレンジだと思うのですが、良い出来だと思います。各人のソロも良い出来ですね。

後半のメンドーサの曲を聴いて、この人はセンスが良い人だな~と、私は思ったのですが、それは皆さんも同じだったようで、これをきっかけに多くのミュージシャンにメンドーサーの曲が提供されるようになりました。

《ライオン・アンド・タイガー・アンド・ベアーズ》なんか、ドラム・ソロにメンドーサーのシーケンシャルなシンセサイザーのトゥッティ・セクションが被さって刺激的です。バラード《救いの手》は儚くも美しい曲で、ジョー・ザビヌルに捧げた曲というだけあって、ウェザーの《お前のしるし》に似た曲調。甘くなりすぎないメロディーがイイです。

アースキンの曲では、当時のフィリピン大統領コラソン・アキノ氏に捧げられた《コラソン》が私は好きです。南国の長閑でゆったりした感じの曲想が良く、スティール・ドラムを模したシンセが良い味を加味しています。ジョー・ロバーノがフュージョンしているこれは、結構珍しいんじゃないでしょうか?

ジャケットは最悪ですが、中身は良いと思いますので、中古盤でも見つけたら拾ってあげて下さい。

DENON PCMの再発CD。マッコイのやつ買おうかな~?

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今日も音楽理論?

ジャズ友 tommyさん のブログを見たら、
昨日紹介した音楽TV番組「音楽の正体」が本になっていることがわかりました。
残念ながら廃版。
でもAmazonで中古本を売っています。
買いたい方がいましたら、下記で購入してみてはいかがでしょうか?

Amazonへのリンク:「音楽の正体」中古本

音楽理論本といえば・・・、買ったのに読んでいない本がありました。
菊池/大谷氏著「憂鬱と官能を教えた学校」です。

だいぶ前に話題になっていたので、買ったのですが・・・。
家でパラパラめっくったら内容がかなり専門的だったのです。
買う時に気付くべきでした(笑)。

「音楽の正体」本。
買うべきか?買わないべきか?それが問題です!

YouTubeにUPされている「音楽の正体」の10回目は
「第九」の構造分析でした。変奏がポイントとのこと。
それはジャズも同じだと言っていました。なるほどね~。
で、途中と最後にジャズ・ピアノで「第九」を演奏する場面があるのですが、
これがクラシック的な演奏で今一。

ならば、これなんかどうでしょう?

P181 神保彰ブライアン・ブロンバーグ『BROMBO!JB Project』(2002年rec. キング)。ピアノとフェンダー・ローズはオトマロ・ルイーズです。キングの低音シリーズの1枚ですね。
これに《オード・トゥ・ジョイ》:第九の第4楽章《歓喜の歌》が入っています。最初はローズだけで勿体ぶった入り方をしますが、その後は8ビートで軽快に展開していきますよ。フュージョンですが、私としてはかなりお気に入りの演奏になっています。

このアルバムの1曲目は《ジャイアント・ステップス》。皆さんご存じのとおりコードチェンジがとんでもなく激しい曲です。超アップテンポの出だしから神保のドラム炸裂です。テーマが終わるとミディアム・テンポになり、元のメロディーの形をとどめないベース・ソロとピアノ・ソロ。またアップ・テンポのテーマに戻って終了。
《ソー・ホワット》もやってますが、ベースのテーマ演奏が終わると、これまた元のメロディーの形をとどめないローズのソロ。かなり極端な変奏の例が入っています。

ジャズの変奏を楽しんでみて下さい。

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「音楽の正体」は最高です!

昨日、荒井由美の《COBALT HOUR》の話の中で、TV番組「音楽の正体」の話をしました。ネットを検索してみたら、何とYouTubeに動画がUPされていたんです!著作権の問題とかあるので、こういうのを良しとするかについてはちょっと棚上げします(笑)。いくつか見たら内容が面白かったのでUPします。

まずは「音楽の正体」とは、どんな番組だったのか?
ネット検索してみて下さいな。
21回あったんですね。私はそのうち数回しか見ていません。
誰でも知っているような曲を取り上げて解説が進むので、
凄く親しみやすい番組でした。
近藤サトさんのきれいな脚がみられるので要チェック(笑)!

気になったもの「その1」

第11回「日本音楽とは何か」(1/3)

第11回「日本音楽とは何か」(2/3)

第11回「日本音楽とは何か」(3/3)

これを見て思わず膝を叩いてしまいました(笑)。

以前ブログに、オーディオ誌「analog」vol.25のトップに坂本龍一さんへの特別インタビュー記事があって面白いということを書きました。
で、そこには坂本さんが中学2年の時、ドビュッシーに嵌まったという話が書いてありました。
上記の番組を見ると、その謎が解けます。

番組によると、日本音楽に特徴的なものは「四七抜き」(”ファ”と”シ”がない)。
それを現代に上手く生かしたのが、坂本龍一の《戦場のメリークリスマス》。
ここでちょっと和音の話。
基本和音(コード)で重要なのは、
”ドミソ”I(トニック)、”ファラド”Ⅳ(サブドミナント)、”ソシレ”Ⅴ(ドミナント)。
その中で重要な音は調を決める主音の”ド”、次に重要なのが導音”シ”(主音”ド”を導くという意味)なのですが、「四七抜き」には”シ”がありません。
そのため、導音”シ”が”ド”に上がることによって得られる満足感がなく、和音の流れの骨組みが脆いとのこと。
だから「四七抜き」は、導音の解決(ドミナント・モーション)を軸としてきたクラシックにはそぐわないそうです。
このドミナント・モーションの話はポップスにも言えることで、その辺りは菊池成孔さんの「東京大学のアルバート・アイラー」にも出てきます。
で、こんな「四七抜き」をクラシック界で最初に取り入れるのが、印象派のラベルとドビュッシーなんだそうです。
面白いですね~。坂本さんはこのドビュッシーに嵌まったんですから。
「analog」誌のインタビューで坂本さんが以下のように言っています。
「今まで聴いてきたバッハやベートーヴェンやビートルズとは全然違っていて、「なんだこれ!」って・・・・・。」
「ドミソソシレじゃないでしょ。何なんだろう、どういうことでこうなるんだろう、って。」
それはつまり、上記のドミナント・モーションがない「四七抜き」に驚いたってことです。
私が更に面白いと思うのは、日本の影響を受けてドビュッシーらが始めた「四七抜き」に坂本さんが驚いたという事実。これ逆輸入ですよね。

気になったもの「その2」

第16回「偶成和音とは何か」(1/3)

第16回「偶成和音とは何か」(2/3)

第16回「偶成和音とは何か」(3/3)

ジャズ友間では普段メールで色々な話が飛び交っているのですが、時には音楽理論の話になることもあります(笑)。こういうことは知らなくてもO.K.なのですが、知ることによって音楽の聴こえ方も変わってくるから知っていて損はないです。私の場合は特に好奇心の塊なので、音楽理論にも凄く興味があります。

この放送では、ジャズ友間で話題になったサスペンション・コード(SUS4)が出てきました。雲さんから教えていただいた内容が、ここにあったのです!
SUS4っていろんなところに出てくるんですが、素晴らしいと思ったのが、
青春ドラマ「飛び出せ青春」の主題歌:青い三角定規の《太陽がくれた季節》。
イントロはEsus4の繰り返し。番組でも言っています。
「素晴らしいですね。サスペンション・コードが鳴るだけで、もう青春という感じがします。」

いや~っ、「音楽の正体」は最高です!

《コバルト・アワー》をテーマにした第14回と、私が好きな「転調」をテーマにした第17回がUPされていないのが惜しい。「転調」の回のテーマ曲がギルバート・オサリバンの《アローン・アゲイン》。この曲、はっきり言って好きです(笑)。

残りの番組もダウンロードしておくことにしましょう。

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自分の音楽ルーツを語っちゃおう!気まぐれ(笑)。

自分が子供の頃聴いた音楽を改めて聴いてみると発見があります。
なんだかんだ言って自分の好みは子供の頃から変わっていないという事実!
再認識させられて笑ってしまいます。

P179 で、これ。井上陽水『断絶』(1972年、ポリドール)です。
小学校5、6年(1974,5年)の頃の中の良い友達。
そいつらはなぜか皆、兄や姉がいてちょっとマセガキ(笑)。
友達の家に行って聴いて影響を受けたのが、
井上陽水なのです。
カセットにダビングしてもらっては、かなり聴きました。
歌詞は暗記していました(笑)。
今、ウィキペディアで”井上陽水”を調べたら、
これ陽水のファースト・アルバムだったんですね!
もちろん日本初ミリオン・セラー・アルバム『氷の世界』も好きでしたよ。

このレコードは7、8年前、当時が懐かしくなって買った中古。
聴いてみたら、冒頭に書いたような状態だったので笑ってしまいました。
このアルバムの中で、当時特に好きだった曲は?
《断絶》《感謝知らずの女》《ハトが泣いている》《限りない欲望》
凄いタイトルです(笑)。全部アップ・テンポの曲!
これら、いわゆるフォークなイメージがない曲だったのです。

《断絶》はロックです。
深町純(クロスオーバーの人)がオルガンやピアノを弾いていたのです。
ブルージーです。
ジュワ~ンという音のエフェクトとなどは当時としては斬新だったと思います。
《感謝知らずの女》は、ソウル&ブルージー。
深町純がブルージーなピアノを弾いています。
こういうタイプの曲って、昔から好きだったんですね~。

P180その路線の延長で好きだたのが、
SHOGUN『ローテーション』(1979年、CBS SONY)。
高校時代、JAPAN(前にブログで紹介)を聴いていた頃、
これもよく聴いていました。
松田優作主演ドラマ「探偵物語」の主題歌《バッド・シティ》
収録されています。
結構有名なアルバムですよね?

陽水のアルバムに戻りまして。
《ハトが泣いている》もロックン・ロールです。
深町純のロック・ピアノが最高!
《限りない欲望》はプログレですね。
深町純のオルガンはプログレしています。
アレンジャー”星勝”恐るべし。
ついでに《傘がない》もプログレでした。
深町純がスピリチュアルなオルガンを弾いています。
深町純って、このアルバムのキーマンだと思います。

フォークの陽水を聴いていたのだと思ったら、
私が当時気に入っていたのは、ロック/ブルース/プログレだったのです(笑)。
もちろん、嗚咽混じりで歌う《人生が二度あれば》は、
嫌でも耳に残っていますけどね。

小学生5,6年当時、もう一人気になるフォークの人がいました。
荒井由美ですね。ご存じのとおり、その後結婚して松任谷由美です。
でも、当時はあの声がダメでした。
あの声が許せたのは、社会人になってから(笑)。
大ヒット映画「私をスキーに連れてって」
主題歌《恋人がサンタクロース》を聴いてから。
当時よくスキーに行ったのですが、BGMはこればっかり。慣れました(笑)。
慣れてからは、カーオーディオ用に次々とアルバムをレンタル。

では、当時何が好きだったのかと言うと?
《COBALT HOUR》
なぜこの曲が好きだったのか不思議だったんですよ。
社会人になってから謎が解けました。
近藤サトがナビゲーターをした番組「音楽の正体」を見てのことです。
この曲、ものすごく転調を繰り返している曲だったのです。
Aメロは長調と短調をめまぐるしく転調しているとのこと。
なるほど、キーワードは”転調”なのでした。
私、転調の多い曲が好きなのです。
転調の浮遊感は私にとってのメロディーのツボなのです。
転調だらけで究極の浮遊感のAメロ、続くサビのベタな美メロの安堵。
それが《COBALT HOUR》!
だから私にとって、アルバム『COBALT HOUR』
《卒業写真》でもなく、《ルージュの伝言》でもないのでした(笑)。

皆さんも子供の頃好きだった音楽を聴いてみて下さい。
面白い発見があるかもしれませんよ?

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『ウィー・ウォント・マイルス』最高!

本日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」「マイルスとマーカス」
ゲストはマーカス・ミラーさんです。
ライブの時にインタビューしてきたそうです。
番組の詳細は 「快楽ジャズ通信」 を参照願います。

マイルス復帰後のベーシストがマーカス・ミラー。
マーカス・ミラーのプロフィールはいつものとおりディレクター嬢から。
ウィントン・ケリーの甥だということを初めて知りました(笑)!

マイルスとマーカスが作ったサウンドと言えばこれ。
もっとも代表的な『TUTU』からタイトル曲《ツツ》

これは頭のキメがカッコいいのです。
これが出た頃、私は完全なマイルス・ファン。
出るアルバムは全て買っていました。
バックのサウンドはほとんどマーカスが作り、
そこへマイルスがトランペットを被せるという、
マイルス・カラオケ状態が当時としては衝撃でした。
う~ん、やっぱりクールな演奏ですね。
(以降緑字は、曲を聴いての私の感想などです。)

雲さんも「カラオケ・マイルス」と言っていますね(笑)。

次もカラオケ・マイルス。
マーカスのバス・クラリネットに注目。
続くスパニッシュで物悲しいマイルスのトランペットにも注目。
『シエスタ』から《オーガスティンのテーマ》

雲さんが言うとおりの物悲しいミュート・トランペットは、
もう昔からのオハコと言っていいプレイです。
マーカスのバスクラがマイルスのよき相棒となっています。
悲しさ+不穏さの妙。これ、久しぶりに聴きました。
マイルスはいつでもマイルスなのです(笑)。
打ち込みジャズでもあります。

ここで、来日した時の六本木のビルボードでのマーカスさんの取材から。
話した内容は「ADLIB」誌11月号に書かれていますので、
買って読んで下さい。(私は立ち読み。失礼!)
さんの記事、じゃこのめさんのライブ・レポート、
「快楽ジャズ通信」の取材レポートが4ページに渡って書かれています。
写真撮影はtommyさん。
tommyさんのブログ:Tommy's Jazz Caf'e にマーカス写真展があります。

マーカスさんが子供の頃聴いた音楽の話から
スライ&ザ・ファミリー・ストーンがマイルスとマーカスを読み解く鍵。
という話になります。
雲さん一押しのアルバム『暴動』私も買わせていただきました(笑)。
ここに参加しているベーシスト、ラリー・グラハムのチョッパー演奏が世界初。
と言われているそうです。
ここでの押さえこむようなダウナーなまったり感。
これがマイルスにもあるということです。
『ウィー・ウォント・マイルス』で、マイルスはスライをやりたかったんじゃないか?
そういう演奏があると。

41歳の時に結婚した20代のベティ・メイブリーからは、
ファッションなど色々な影響を受けたマイルス。
ベティが当時聴いていたのがジミ・ヘンドリックスやスライ。
それがマイルスの音楽を変えて、エレクトリック・マイルスがあるんじゃないか?

マイルスの《ジャン・ピエール》の一部をかけます。
続いてスライの《アフリカは君に語りかける》をかけて比較します。
雲さんはニュアンスが似ていると言います。
確かに似ていますね。
今日はスライについて熱く語っています(笑)。

次はマイルスの《バック・シート・ベティ》
熱くなっていくけれど常にクールな目線があると言って曲もかけます。
ひえーっ、やっぱ、カッコいいですね~っ。
スライに似たクール目線を感じてほしい。

P57 次は『ウィー・ウォント・マイルス』
マイルスとマーカスの共演はこれ1枚あればO.K.?
マイルスの熱い演奏。マーカスの当意即妙。
ジミヘンのように弾けと言われたマイク・スターンも凄い。
シンバルで煽るアル・フォスターも最高。
これは戦い。音楽ではありません。
『ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン』に入っていた《アイーダ》を速くした曲
《ファースト・トラック》
「言うことないので聴いてみて下さい。」by雲さん。

いやっ、これは、ほんとカッコいいです。
もちろん言うことはありません。
これを聴いて何も感じないやつはジャズを聴くなと言い切ります(笑)。
私はジャズを聴き始めてすぐに「やっぱマイルスでしょっ!」
となって、このアルバムを買ったので、モロに影響を受けました。
あとは何度も書いている『パンゲア』ねっ。
マイルスからジャズに入った私は幸せ者だと思います(笑)。
パーカッションソロの合間に入る”ジャ~ン”のキメ。逝ってしまいます(笑)。
tommyさんはこの頃のマイルスのライブをアメリカで見たっていうんですから。
クウ~ッ、羨ましいのです(笑)!
私はNHKで、新宿西口広場でのライブ録画放送を見ました!
あの衝撃は忘れられません。

今日はこの一言。マイルス最高っ!

<アフターアワーズ編>

ディレクター嬢とマーカス・ミラーのライブ&インタビュー談義です。
ベーシスト雲さん。凄く楽しそう!
途中からは捲し立てるベース・トークでした(笑)。

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子供の頃の記憶がよみがえります!

今日は中村尚子さんの新譜を紹介します。
前作『新緑の中に雨が降っている』はドラマー古澤良次郎さんとのデュオ。

心に素直に入ってくるアルバムでした。

さて、今回のアルバムは?

P178 ギタリスト梶川朋希さんとの『春犬でゅお』(2009年、Haruinu Music)です。ジャケット写真の犬がカワイイですね~。全6曲、39分弱、\1,575のミニ・アルバムといった感じでしょうか。
中村さんがリーダーのバンドのオフィシャルサイト:春犬バンド もご覧下さい。

1曲目《ブルー・アンド・オレンジ》はクラシカルな雰囲気。アコースティック・ギターによるプレーはクラシカルでスパニッシュ。郷愁を誘う曲です。薄く被さるシンセの音もオシャレに響きますね。このアルバムの中では明るく力強さもある曲です。ピアノとギターの有機的な絡み合いがポイントとなっています。

《チャイム》はドボルザークの《家路》をモチーフにした曲のようです。学校のチャイムを模した音から入り、静かにピアノを弾き始め、《家路》のメロディーでしばらく遊んでから、中村さんのピアニカ(鍵盤ハーモニカ)がオーバーダビングされると、これがもう、懐かしさMAXでございます(笑)。その後ギターが入ってきてもイメージは持続して、聴き進むうちに何かが込み上げてきます。私の中には放課後の小学校の校庭や教室、下校時の様子などが次々と浮かんでは消えてゆきます。く~ぅ、堪らんです!インナースリーブには1曲ずつ中村さんの曲のイメージが書かれているのですが、それが上記のイメージどおりで、これは私的にはツボな曲です(笑)。

《ぽつねんと》はまさに”ぽつねんと”という言葉の響きのとおりの曲調。しみじみとしたギターとピアノの語らいが心に染みてきます。全体的にはクラシカルなのですが、後半ギターが入ってきたあたりから、バックでピアノがちょっとブルージーに迫ってくる場面があって面白いです。

《かげろう》は前作にも入っていました。はかなげな曲です。丁寧に音を紡いでゆきますね。深い情感を湛えていると思います。私にはレクイエム(鎮魂歌)に感じられるんですよね~。この曲。

《バランス》はスパニッシュなギターが映える曲です。中村さんが左手てニュアンス溢れる低音の和音を響かせ続けているので、通奏低音のようになっていると思いました。その低音がちょっと重苦しく荘厳で、ズシリと手ごたえのある曲になっています。

《ひかりのくに》も前作に入っていました。前作を紹介した時に「どこか懐かしく寂しさが漂います。ひょっとしたらこの寂しさは夕暮れなのかな~?遊んでから帰る家庭の明かりなのかも?という感じでイメージが広がってゆきます。」と書いたのですが、そのイメージのままに、ギターが採を添えています。私のイメージは子供の頃のものだったのですが、この曲は中村さんの子供の頃の出来事を曲にしてるらしく、なるほどと思った次第。

懐かしさや寂しさが漂うこのアルバム。
これを聴いて子供の頃の記憶に浸るのも良いのではないでしょうか?
んっ!私の子供の頃の記憶って寂しいものなの(笑)?
それはそれとして、中村さんはピアノの詩人だと思いました。

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これはハイブリッド・ジャズです。

先日、定期的にジャズ・ブログを巡回していると書きました。
今日は巡回中にアルバム評を読んで、
「これは聴きたい。」と思ったアルバムを紹介します。

「ジャズ批評」誌の「ブログ・ウォーキング」仲間すずっくさまが書いてました。
ココ
http://plaza.rakuten.co.jp/mysecretroom/diary/200910200000/

P177 アーロン・パークス『インビジブル・シネマ』(2008年rec. BLUE NOTE)です。メンバーは、アーロン・パークス(p,melotron,glockenspiel,key)、マイク・モレノ(g)、マット・ペンマン(b)、エリック・ハーランド(ds)です。

昨年の今頃発売したアルバムです。当時はそれほど買おうと思いませんでした。ジャケットのイメージから、内省的で暗いアルバムというイメージがあって、あまり聴く気になれなかったのです。

ところが今回、ブログを見ていたらすずっくさまが
「この不思議な世界は今の季節にかなり似合うな。。って、思った。」
と書かれていたので、聴いてみたくなったというわけです。

このアルバム。今風のハイブリッド・ジャズだと思いました。ジャズ以外の要素や感性が混ぜられています。4ビート、ブルージー、アドリブ一発という、いわゆるジャズ的な要素は薄いと思いますが、その分ロック、フォーク、ポップスなど他ジャンルの要素が上手い具合に融合されていると思います。

このアルバムの雰囲気は”暗い”とのご意見が多いのですが、私はあまり暗いとは感じません。多分もっと暗くて抽象的なものをたくさん聴いているからでしょう。う~ん、これから、もし私がこれは”暗い”と書いたら、とんでもなく暗い、つまり”暗黒”のアルバムということになってしまうのかも(笑)?

1曲目《トラヴェラーズ》はデジタルライクなリズムの曲です。上原ひろみのピアノ・ソロ・アルバムの1曲目《BQE》に近い匂いを感じます。ドラムとベースが上手い具合にデジタルってると思いますよ。最後のほうに出てくる抒情的なフレーズ。こういう抒情性と無機質なデジタルのハイブリッドは上原にもあるんです。ピアノ・トリオでの演奏。パークスは速いパッセージも楽々こなすテクニシャンで音も粒立ち良くクリア。窮屈さがなく開放的な(ちょっと荒い)のが良いです。

次の《ピースフル・ウォーリア》。これはもうパット・メセニーの東洋系フォークの世界です(笑)。こういう郷愁感のある曲は日本人好みだと思います。モレノのギターには、これはもうしょうがないんですけど、メセニーやカート・ローゼンウィンケルの影響を感じます。曲の展開もドラマチックで、4人が一体化して作り出すサウンド・スケープは魅力的です。

《ネメシス》は7拍子。モレノがカートのようなギターを弾くので、変拍子と相まって今時NYのサウンド。ちょっと内省的なメロディーが暗さを漂わせていますが、パークスもモレノも突き詰めない程良いテンションなので、ダークというよりはクールな感じです。グロッケンシュピールを使うあたりは、鬼才ドラマー、ジョン・ホレンベックに通じます。薄くキーボードも被せていてNYサウンドですね。これは。

《リドル・ミー・ディス》はロックなリズムで、バッド・プラスに通じる世界ですが、あそこまでの過剰性はありません。パークスもモレノも程良くポップな意識があるところに、私は開放的なものを感じます。NY系のともすると排他的な世界に陥っていないことに好感を持てます。《イントゥ・ザ・ラビリンス》はピアノ・ソロ。クラシカルな雰囲気漂うかわいらしい小品と言っておきましょう(笑)。これら2曲は3分弱の短い曲です。

《カルマ》はECM系のコンテンポラリー・ジャズです。これが一番いわゆるジャズにとどまっているかもしれません。ベース・ソロ、ピアノ・ソロ、ギター・ソロがアドリブを強く意識させるものになっています。他の曲はどこまで作曲でどこがアドリブか分かりにくいものやアドリブなしもありますからね。アップテンポの6/8拍子にのって、オシャレでビューティフルに演奏しています。

《ロードサイド・ディストラクション》は、今流行りのフォーク/ブルージーな曲。モレノのギターがスティールギターの響きを模しています。この曲はアドリブなしの短い曲です。《ハーベスティング・ダンス》はスパニッシュ/ジプシー系美メロ曲。こういう曲もNYを意識させますね。当然の如く変拍子。モレノが弾くフレーズはなんとなくアルディ・メオラに聴こえてきたりします。キメなんかはチック・コリアのリターン・トゥ・フォーエバーの世界かも?

《プライス》はフォーク/ポップな世界。一歩間違えると暗めのリチャード・久レイダーマンのようでもあります(笑)。キャッチーで聴き易い曲になっています。ラスト《アフターグロウ》。ピアノ・ソロで静かにエンディングです。

全曲の説明を書きましたが、それはジャズの新しい世代観やジャズ以外のサウンドが詰まったアルバムだということを、わかってほしかったからです。色々なミュージシャンを引き合いに出していますが、だからと言ってパークスが真似をしているというわけではありません。色んな要素を取り入れた上で、ここにあるのは間違いなくパークスの世界です。ぼーっと聴いていると、まるで映画のサウンドトラックを聴いているように流れます。

最後になってしまいましたが、全曲パークス作曲です。この人、なかなかのコンポーザーだと思います。過去にはオーソドックスなピアノ・トリオを出しているようですが、私は今のコンテンポラリー路線にこの人の良さを感じます。今後にも注目。

これ、聴いて良かったです!

アルバム名:『INVISIBLE CINEMA』
メンバー:
Aaron Parks(p, mellotoron, glockenspiel, key)
Mike Moreno(g)
Matt Penmana(b)
Eric Harland(ds)

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今日は自慢話です。ご容赦下さい!

ちょっと前にジャズ友tommyさんから、持っているオリジナル盤の自慢が聞きたいというコメントをいただきました。
あまり自慢はしたくなはないのですが、今日は思い切って自慢しちゃいます(笑)。

今日のオリジナル盤は?

P173 ジ・アート・ファーマー・クインテット・フィーチャリング・
ジジ・グライス
『ホエン・ファーマー・メット・グライス』です。
言わずと知れた名盤です。
私がこんなオリジナル盤を持っていいてもいいのでしょうか?
これはまさに「猫に小判」です(笑)。

P174 裏ジャケを見て下さい。
赤いハンコが押してありますよね?
何々・・・、「DIG」modern jazz tea room!!
そうです。
これはあの伝説のジャズ喫茶「DIG」のレコードなのです!

実は私、これを買った時は、その意味がよくわかっていなかったのです。
「ジャケットにハンコが押してあるので、安めなんだろうな。」くらい。
知らないって怖いっ。
今はそのことが意味することは十分理解しているつもりなので、
これは私のお宝レコードなのです。

これを買ったのは今から10年くらい前。
先日のロリンズの『ニュークス・タイム』を買ったのと同じお店。
新宿の「コレクターズ」。
「DIG」の閉店とどうつながるのかは分かりませんが、
「DIG」のレコードを買い取って売っていたのだと思います?

P175 モノラル、イエロー・ラベル、N.Y.C.、溝アリ、RVG手書き。
コンディション良。
お店でかなりかかったと思うのですが、
すり減っている感じはありません。
はっきり言って、こいつはイイ物です!
時代の空気と音が詰まっています。
これを何も勿体ぶらず、平気で聴いてしまう私(笑)。

一つだけ反省及び謝らなければならないことがあります。
レーベルには「DIG」の「耳たぶシール」が貼ってあったのですが、
それを剥がしてしまったのです。
その上、B面はシールを上手く剥がせずにレーベル面が一部剥げて・・・(涙)。
う~、なんという暴挙!
シールを剥がして少しでもレコードの価値を上げようという。
私って、なんと度量が小さい人間なんだろう。
セコイです!

私、最近はプレスティッジの録りっ放しの音が好きです。
同じヴァン・ゲルダー録音でもブルーノートはかなり作っていますよね。
もちろんそれはそれで良いし、私も好きですが、
私の中では、あまり加工していないプレスティッジの評価が上がっています。

オリジナル盤、いいよね~。
今日は私のお宝紹介でした(笑)。

<追伸>

P176 tommyさんからリクエストをいただいた
「耳たぶシール」は、コレです!
実は私、もう1枚「DIG」のレコードを持っています。
デニー・ザイトリン『ライブ・アット・ザ・トライデント』
これはYahoo!オークションで手にいれました。
このレコードは安いのでシールは貼ったままです(笑)。

これ「耳たぶ」ですよね? それとも「クエスチョン・マーク」?

私の質問に、tommyさんから答えが返って参りました。

これは、「お前は耳がいいか?」という禅問答シールですよ(笑)。
「この良さが、オマエに分かるか」ということだと思います。

上手いです。座布団3枚(笑)!

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今更ですが(笑)。

定期的に巡回しているジャズ・ブログがあります。
ジャズ友のブログもあれば、ROMっているだけのブログもあります。
私が巡回しているジャズ・ブログは皆さん(ブログ歴の)先輩です。
色々個性があって面白く読ませていただいています。

さて、今日取り上げるアルバムはちょっと凄いことになっています。
私が巡回するジャズ・ブログのほとんどの皆さんが取り上げているからです。
そして皆さんが良いと言っています。
私はこのアルバムをだいぶ前に入手していたのですが、
あと一歩”来る”ものがなくて、アルバム評を書きませんでした。
が、しかし、あまりに皆さんが良いと言うので最近また聴きなおしています。

ここで、「これ、全くダメですねっ!」と言えば面白いのですが、
やっぱり皆さんと同じくなかなか良いと思ってしまったのであります(笑)。

さて、そのアルバムとは?

P172 ジョー・マーティン『ノット・バイ・チャンス』(2009年rec. ANZIC RECORDS)です。メンバーは、ジョー・マーティン(b)、クリス・ポッター(ts,ss,b-cl)、ブラッド・メルドー(p)、マーカス・ギルモア(ds)です。もうお分かりだとは思いますが、クリポタ買いです(笑)。

クリポタとメルドーの共演に、NYダウンタウン系の有望株マーカス・ギルモアですからね。これは凄いでしょっ!私が知らないのは、むしろリーダーのジョー・マーティンでした。これだけのメンバーが集まって一体どんな凄まじい演奏になるのか、興味津々だったわけです。

ところがいざ聴いてみると、凄まじい演奏ではありませんでした。地味~で落ち着いた内容だったのです(笑)。まっ、クリポタ、メルドー共に現代最高レベルの人達ですから、演奏は当然のことながら第一級であるのは間違いありません。でも、私的に来なかった。ちょっと期待しすぎだったようです。

で、少し放っておいたんです(笑)。でも、最近皆さんがブログで取り上げて「良い、良い、良い・・・」と言うんで、聴きなおすことに。

最初に言いたいことは、マーティンのベースのことです。真ん中に座ってなかなか強靭なベースを弾いていることに気づきました。今まで、クリポタとメルドーに耳がいっていて、肝心のマーティンのベースを聴いていなかったのです。音が”ツンツン”でガッツがありますよ。この人!これは雲さん風に言えば、弦高を高くして、テンション高くして弾いている音だと思いました。昔のポール・チェンバースとかダグ・ワトキンスとかの音です。まあ、ちょっとふくよかさがないのは好みの分かれ目かも?

これが分かって急にマーティンを見直してしまったのです。フレージングは特にキャッチーなものはないので地味なのですが、ガッチリ地道に支えるベースも悪くはないです。そして、この地味なマーティンのベースが音楽のベースを提供することによって、他のメンバーの良さが引き立てられているのではないかと思いました。この方、クリポタとメルドーを迎えるだけのことはありますね。

ギルモアのドラムもマーティンに合わせてちょっと抑えめな場面もありますが、やるときにはやります(笑)。特にクリポタのソロのバックでは良い煽りをしていると思いました。変拍子を難なくこなすだけあって、不穏なパルスを繰り出しつつ演奏を盛り上げます。ギルモアはやっぱり只者ではないです。

クリポタはもういつものスモーキー・サウンドで、現代的フレージングを披露していますので、クリポタ・ファンとしては安心して聴いていられます。ソプラノとバスクラも1曲づつ披露して、いい味を出していますね。いつもありがとうございます(笑)!

メルドーが地味なマーティンに付き合い過ぎているような気がします。もう少しキレてしまう演奏があってもいいんじゃないでしょうか?メルドーがキレてもマーティンは淡々と我が道を行き、ベースをスタディーに刻むのかもしれませんが、それを無視してキレたら、もっと面白いアルバムになったような気がするのですが・・・。って、これは私の勝手な要望(笑)。メルドーとクリポタの掛け合いが熱くなる場面もあり、思わずニンマリ。

最後に地味な要因の一つは、ジャコの曲以外の全曲を作曲したマーティンの曲の地味さとアレンジの単調さに依るところ大と見ました。アレンジはもう少しサービス精神があってもいいんじゃないでしょうか?マーティンさん!

と、まあ、こんな感じで、今更ですが、アルバム評でした(笑)。

アルバム名:『Not By Chance』
メンバー:
Joe Martin(b)
Chris Potter(ts, ss, b-cl)
Brad Mehldau(p)
Marcus Gilmore(ds)

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ラルフ・ボウエンって懐かしい(笑)。

例によって、ディスクユニオン・ジャズ館ホームページの新譜を見ていたら、この人ラルフ・ボウエンの名前が目に入ってきました。でもやっぱりこれも安いHMVの通販で買いました(笑)。

P171 買ったのは『デディケイテッド』(2008年rec.Posi-Tone)。メンバーは、ラルフ・ボウエン(ts)、アダム・ロジャース(g)、ジョン・パティトゥッチ(b)、アントニオ・サンチェス(ds)です。ショーン・ジョーンズ(tp)が1曲のみ参加しています。

私の中ではラルフ・ボウエンというと、新生ブルーノート・レーベルが出来た時に、オーディションによって集められた新人によって結成されたグループOTB(アウト・オブ・ザ・ウルー)のメンバーだったということ。OTBにはケニー・ギャレット(as)やラルフ・ピーターソン(ds)がいました。

今から24年前1985年のことです。当時スイングジャーナル誌がウィントン・マルサリス一派のことを「新伝承派」と言ってもてはやしていました。私は「新伝承派」のことを思い出すたびに、日本のジャズ受容の恥部を晒した気がして、虚しくなると同時に呆れて笑ってしまいます。当時のスイングジャーナルの編集長って誰でしたっけ?

さて、本アルバムの話に戻ります。私の目当てはボウエンというよりは、他のメンバーでした。だって、最近絶好調のロジャースに、パティトゥッチにサンチェスですよ。これは聴くしかないでしょう。で、ボウエンも最近急に録音したわけではなく、クリスクロス・レーベルに何枚か録音していたんですね。単に私にとって圏外の人だったようです。

話はまたちょっと横道にそれますが、クリスクロスに最近懐疑的な私なのです。中堅どころを積極的に録音するのは良いのですが、これが金太郎飴の如く似たような内容。レベルもオール80点という感じで、もうこの手のジャズに飽きがきてしまいました。だから最近はこのレーベルをほとんど買いません。ボウエンのこのアルバムもクリスクロスから出たら買わなかったかも?

やっと内容の話。ディスクユニオンの宣伝文句に「クールな王道コンテンポラリー・ジャズとしてお薦めいたします!」とありましたが、まさにその通りの内容でした。おしまい!

ではあまりにもかわいそうですよね(笑)。まずはボウエンのテナー、音色といいフレージングといいまさに今時の中堅テナーです。シーマス・ブレイクとかクリス・チークとかその手の人達と遜色ありません。で、これと言ってそこから抜け出す何かがないのも事実でありまして、そこがちょっと辛いところです。私はこういうテナーは好きですけどね。クリアーでパワフルな音もいいです。マイケル・ブレッカーの系譜だと思います。

前述の通りこの人も新伝承派なんですが、今となれば当時はジャズとして認めてもらえなかったマイケルの系譜なんですからね。当時のジャズ評論家も実はいい加減な人が多かったと今は思うわけです。というか、50、60年代的視点の評論家には既に80年代のジャズの本質は見えていなかったのです。当時からマイケルが好きだった私としては、ざまあみろという感じです(笑)。やばっ、今日はちょっと意見が過激です。

曲はすべてボウエンが書いています。王道ストレートなものばかりです。クールでモーダルな良い曲を書くと思います。

他のメンバーについて、ギターのロジャースはここでも絶好調ですね。私のこの人に対するイメージはもっとロック寄りだったのですが、そうではなく正統派ジャズ・ギターのほうが強いことがわかりました。シングル・トーンによる高速フレージング時の音の粒立ちもかなりのもので気持ち良いです。テナーのバックでは、コードやシングル・トーンにより手堅く演奏を支えています。

ドラムのサンチェスはこういうコンテンポラリーなビートを叩かせると本当に上手いと思います。この人の場合、凄い煽りをするとかキレがあるとか突出したものではなく、場を見極めて過不足ないリズムを繰り出すところに、職人的な上手さを感じます。一方、もはやかなりのベテランであるパティトゥッチが、ちょっと裏方サポートに徹しすぎているように感じます。もう少し積極的なからみもほしい気がしました。

トランペットのジョーンズが参加しているのは1曲だけですが、なかなかパワフルで落ち着いた吹奏。アルバムの雰囲気にマッチした良い演奏を聴かせてくれます。ラストの曲はボウエンのテナー・ソロ。これがなかなか渋い味わいのあるもので、なんとなくクラシックな曲調なのは個性的?

全6曲42分強というのは、今時のCDにしては収録時間が短いですが、曲数が多いだけのCDが多い昨今において、これはこれで良いものです。

クールな王道コンテンポラリー・ジャズ!聴いてみて下さい。

アルバム名:『dedicated』
メンバー:
Ralph Bowen(ts)
Sean Jones(tp)
Adam Rogers(g)
John Patitucci(b)
Antonio Sanches(ds)

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今回は大変勉強になりました。

今日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」「トニー・ウィリアムス特集」
ゲストはジャズドラマーの大坂昌彦さんです。

番組詳細については「快楽ジャズ通信」を参照願います。

プロフィールはディレクター嬢が説明。
今日も軽やかな英語のナレーションが素敵です。

大坂さんは批評文も書くんだそうです。
雲さんによると、分かりやすくて面白いとか。

トニーの凄さは?
ハイハットをコンスタントに踏みません。
コンスタントに踏むことを嫌っています。
そのルーツは同郷ボストンのロイ・ヘインズだそうです。
トニーも元はコンサバティブなアラン・ドーソンに支持していましたが、
ヘインズのドラミングに注目していたそうです。
シンバルレガートが定型でないのもヘインズから盗んだとか。
それらによって生み出される斬新なリズムが凄いのです。

雲さんは、ヘインズはスピード感があるドラマーだと思っていたそうで、
同じくスピード感があるトニーのドラミングの元がヘインズだったことに
納得していました。

ではヘインズはなぜユニークな叩き方になったのか?
ヘインズは貧民街出身で、ドラムの全セットが買えなかったんだとか。
その少ないドラムセットでの叩き方は当時から最先端の形だった。
で、トニーはそれに影響を受けたんだそうです。

今日の1曲目、比較のためにジミー・コブのドラムから。
トニーとコブの違いは?
名ドラマー、フィリー・ジョー・ジョーンズの後任としてマイルス・クインテットに
参加したコブはグルーブ・マシーンなんだそうです。
譜面はあまり読まず、グルーヴに特化。
コブのシンバルの力強さは素晴らしいです。
で、トニーはそれも取り入れたそうです。
新しさにグルーヴの推進力も加えたものがトニーのドラミング。

雲さんは、トニーのドラムは構築力が素晴らしいといいます。
大坂さんによると、組み立てのあるドラムは、主流に対するアンチテーゼ。
トニーは同じリズム(パターン)を刻むことも嫌っていたそうです。

ということで、『ブラックホーク』から《ソー・ホワット》
途中フェードアウト。

これはもうオーソドックスなドラムです。
私はコブより先にトニーを聴いたので、
コブを最初に聴いた時は、退屈なドラムだと思いました(笑)。
(これ以降の緑字は曲を聴いての私の感想などです。)

続けて『フォア・アンド・モア』から《ソー・ホワット》

こちらはエキサイティングなトニーのドラムです。
この鋭利な刃物の如きキレ味は最高ですね。
次々と叩き方を変化させて場をリードします。
ロン・カーターのベースは比較的大人しくて変わったことはしませんので、
トニーのドラムが余計目立つんですよね。
さすがはトニー!

雲さんは「3年後の演奏なのに、10、20年ワープした感じに聴こえる。」
と言います。
このドラムを大坂さんは「ビートのキュビスム。」と言います。
トニーはポリリズムを構築するのが得意。
「絵画のキュビスムのように色々なものを組み合わせている。」と大坂さん。
なんと上手い喩えなんでしょう。
”キュビスム”についてはウィキペディアを調べて下さい。

ライドシンバルの音色も特徴。
トニーからライドシンバルが大きくなったそうです。
昔は16インチ、14インチと小さかったんですが、
フィリー・ジョーあたりからライドシンバルは18インチになり、
トニーは22インチなんだとか。
ライドシンバルが大きくなったことで、
ライドシンバルによるリズムの構築が重要になってきます。

その分バスドラが小さいのは?
それまでのバスドラが24インチと大きかったので、
移動時車に乗せるのが大変。
つまりツアー向きでないことから小さくなったそうです。
そのため18インチになりました。
16インチもあるそうですが、小さくて普及しなかったようです。
18インチが現代の主流となりました。

小さくなると音は”ドンドン”から”コンコン”へ。
リズムのリニア化に貢献するそうです。
リニアとはシンバルやスネアやバスドラそれぞれが分離してリズムを作ること。
リニアなドラムの元祖はトニーなんだすです。

トニーがドラム奏法をどんどん進化させたのは?
大坂さんによるとそれは若さ故だとか。
年をとってくると、周りの状況に合わせて思いやりドラミングをしますが、
トニーはそういうことをしないんだそうです。
今聴いた《ソー・ホワット》では、途中叩くのをやめていますが、
これはリズムが聴こえてこないからやめたんであって、
聴こえてきたらまた叩くということをやったんだそうです。

こういうことがまた新たなものを生み出します。
こういう演奏を大坂さんは「ダダ/虚無感.。」と言います。
”ダダイズム”についてはウィキペディアを調べて下さい。
これまた美術用語ですね。

みんながばらばらな演奏をしますが結果的に素晴らしい。
ビ・バップはそれぞれが役目を果たすピラミッドでありチームプレイ。
一方マイルス・クインテットは個々がバラバラなんだけど
繋がりは失われていません。
そういう演奏が出来るところが、黄金のクインテットと言われるゆえん。
真似しようとして形からやっても真似はできません。

次にかける後年のアルバムで、ドラミングが変わったという話。
後年トニーはドラム・セットを大きくするそうです。
大きな会場での演奏が増え、それに対応したんだそうです。
それはトニーにインタビューした時の答えだとか。
トニーは後に「それがどうした。」と続けたようです。

こんなトニーの態度から、プライドが高く芸術家肌というのがわかります。
後年オーケストラ作品もやりますが、
ドラムだけでなく作曲やアレンジなど一体で音楽家だと考えていた
あらわれだそうです。
そういう意味では色々熱心に勉強する勉強家だったようです。

ここでトニーの作る曲についての話へ。
ピアニストではないので、メロディーがあってハーモニーがあります。
そこがハービー・ハンコックのようなピアニストと違うところ。
ハービーの《スピーク・ライク・ア・チャイルド》などは、
メロディーにハーモニーが含まれ、印象派的。
メロディーにハーモニーが見え隠れします
またまた登場美術用語。”印象派”はウィキを見てねっ。
対するトニーの曲はメロディーをハーモニーが支えています。
またトニーは管楽器奏者ではないので、ロングトーンはないそうです。
この話、大坂さんご本人が作曲する際の実体験に基づいているようです。

トータルなコンポーザーとしてのトニーを味わう曲。
雲さんが好きな曲です。
『フォーリン・イントリーグ』から《シスター・シェリル》

この曲は私も好きです。
かの寺島さんもこの曲が良いと言っていました(笑)。
私、結構雲さんと好きな曲が被っています(笑)。
これは突然若手を入れてオーソドックスにやった最初のやつです。
当時これが出た時はそれなりに反響がありました。
世は新伝承派の時代でした。

メロディーの素晴らしさとアレンジの妙。
先祖返りのドラミングです。
これに関する詳しい話はなし。
収録時間の都合でしょうがないと思います。

次は大坂さんの『オマージュ』から《E.S.P.》
テナーのワン・ホーン・カルテットでライブ演奏です。
リスペクトしてきた偉大なるジャズの巨人達に捧げた「オマージュ」アルバム。
トークの途中からフェードインしています。
今日はトークが多かったからでしょう。

安ヵ川さんの強靭なベースから入ります。
大坂さんのドラムもアグレッシブですね~。
雲さんのブログに几帳面と書いてありましたが、それは私も感じました。
タイトなドラミングです。
熱気あふれる逞しい演奏です。
やっぱりドラムが一番活躍しています。

ベースソロに入ってしばらくしてフェードアウトでした。
この曲でのトニーに通じるドラムは、トニー特集に合わせての選曲。

<アフターアワーズ編>

大坂さんお薦めアルバム。
ブライアン・ブレイドのマイルス・トリビュート・アルバム。

ブレイドのドラムは音楽的。
上手い下手の路線ならたくさんいるが、
その方向性でないのがブレイドの賢さ。

トニーからの系譜なのか?という雲さんの質問。
ブレイドは24インチのライドシンバルを使っているそうで、
ライドシンバルを大きくするところがトニーに繋がりとの答え。
大きくなることによる効果は、音そのものが大きくなることと、
シンバルの音像の支配度が大きくなること。

スピード感のあるドラムもトニーの影響なのでは?と雲さん。
フュージョン時にテクニカルな進化があり、
そのせいで音の立ち上がりが速くなって、今のドラムに繋がると大坂さん。
90年代以降はヒップホップの影響があるとも言います。
ヒップホップは音に角(エッジ)がある。
黒人系ではデニス・チェンバースからの影響なんかがあるそうです。

デニ・チェンのキレとパワーが両立するドラム。私は大好きです。

今日はかなり高度な話になっていましたよ。
大変勉強になりました。
大坂さんは美術がお好き(笑)?

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ブラリと東京へ!

昨日はブラリと東京へ行ってきました。
オーディオ的にトライしたいことがあるので、秋葉原で買い物です。

P166 私は朝早くこちらを出て、終日東京で遊ぶようなスケジュールはめったに立てません。なぜなら、東京にいる時間が長いほど、いろいろなお店でジャズCD/レコードを買うことになってしまい、お金がいくらあっても足りないからです(笑)。
昨日は甲府11:29発の「かいじ」に乗って東京へ、昼ごはんは駅弁です。普通の駅弁ってたいしたことがないのに高いですよね。で、私は写真の「折詰幕の内弁当」。コンビニに売っている幕の内弁当と同じようなもので¥590。
CDとレコードにお金はかけても、弁当にはお金をかけない。セコイやつです(笑)。

昨日は新宿駅の工事があるということで、中央線の特急は終日中野発着でした。中野ではディスクユニオンのセールがあったので覗いてみることに。そのセールとは「ディスクユニオン新宿地区合同出張大噴火バーゲン」。オバサマ同様”バーゲン”に惹かれました。しかも”大噴火”ときたもんだ(笑)。ジャズ、ロック、ソウルなどなどの中古が全品半額!

中野で下車したあと、早速会場の中野厚生会館へと向かいました。会館?裏路地にある単なる狭いビルの1階を開け放しただけの売り場です。チープ感が購買意欲をそそります(笑)。会場はそこそこ混雑していました。私も即ジャズCDが入った”エサ箱”へと。なんか売れ残りのような¥1,000以下のものばかり、これが値札の半額!

P150 私がお気に入りのCDが入っていたりすると、ちょっぴり悲しい気持ちになります。誰かの目に留まって買われて行けばいいんですけどね~。ちょっと前に紹介した。写真のエッカード・ワイト・カルテットが¥525です。トホホッ。これが半額になっちゃうというんですから、いやはや、参りました。まあ、ジャケットや盤のコンディションから安値がついていることもありますので、「値段≠内容の価値」ということは断っておきます。

P169_2 さて、買いたいものは結構出てきました。私の場合はいつものマニアックなやつが対象。では、買ったものを紹介しましょう。
ますはナタリー・ロリエのピアノ・トリオ¥840。ケースが割れていました。これ聴いてみたかったんですよね。半額¥420なり。
ナタリー・ロリエ『ウォーキング・スルー・ウォールズ・ウォーキング・アロング・ウォールズ』
ゴンサロ・ルバルカバ『ラプソディア』
ジャン=ミッシェル・ピルク『カーディナル・ポインツ』
ジャン=ポール・ブレリー『ライブ!』
マテリアル『インタウナル-モリ-』
アイヴィンド・オールセット『エレクトロニク・ノアール』

計6枚で¥1,942。笑が止まりません!これはまさに大噴火です(笑)。

4,50枚!買っているおじさんもいました。大量に買う人がいるので、レジは整理券を配っての順番待ち。レジのお兄さんにはもう少し手際よくやってほしい感じがしました。まっ、これだけ安ければ、少々の待ち時間は問題ないんですけどね。今回はロック・オニーサン/オジサンがたくさんいました。

さて、今日の目的地秋葉原へ。そういえば四谷のジャズ喫茶「いーぐる」では「レス・ポール特集」をやっていたのでした。今回はパスです。最近「いーぐる」には全然行っていません。前回の訪問からは、ここ数年で一番間が開いているかも?

秋葉原に来た理由は?プリアンプの電源ケーブルを変えたかったからです。でも、既製品を買うのではなく自作するためのケーブルとプラグを買います。まずはオヤイデ電気でケーブルをみたのですが、安めのやつには面白そうなのがありませんでした。次はDyna Hiブランド買取りセンターへ、ここの2階にはあの植木さんがいます。

で、安易にベルデンの#19364を買ってしまいました。家に帰ってからネットで調べたら、定番の製品みたいですね。プラグはラジオセンターで汎用の安いやつを買いました。私は高級な医療用とかを買う気はありません。

秋葉原に来た理由はもう1つありました。今パワーアンプとして使っているNECのA-10Ⅲの出力保護リレーの接触が怪しくなっているので、交換しようと思ったからです。小音量時に音が出なくてある程度大きい音にすると急に音が出る場合は、だいたいリレーの接触不良です。前にオークションで入手したA-10Ⅲも同様な現象でリレーを交換しました。

A-10Ⅲは特殊なリレーを使っていないので、まだ秋葉原に売っています。久々にこの手の部品を買いに来たので、お店を何件か巡るはめになってしまいました。2件目の店で買ったのですが、結果的には一番安く入手できたました。他の店で自分が買った値段より安く売っていたりすると結構悔しい思いをします(笑)。

ジャズ喫茶「マイルストーン」にも寄ってきましたよ。今回は割愛。

P167 さて、本日電源ケーブルを作って交換しました。今まで使っていたのはアクロテックのストレスフリー6N銅2芯。これは音がきれいなんですけど、しなやかなケーブルと同じで、音がちょっと柔らかいのが不満でした。PSE法以前のケーブルを使った自作品。この頃はケーブル各社が電源ケーブルを切り売りしていました。

P168 今回のケーブルは普通の銅ですが、3芯で太くしっかりしたものです。機器側のプラグはちょっと高めの太いケーブルが使えるものにしました。コンセント側は安い2ピンのもの。今私が使っているテーブルタップが2ピンなので、変換プラグを使わなくて済むように敢えて2ピンにしています。

なお、電源ケーブルを自作する場合は十分注意して下さい。ショートを起こしたりすると、火災につながることにもなります。くれぐれも注意の上、自己責任においてお作り下さい。

さて、肝心の音は交換によって変わったのでしょうか?う~ん、前よりはしっかりした音になったと思います・・・、たぶん(笑)。この手の事って結局は思い込みも考慮しておかないとねっ。特に悪くなったわけではないので良しとしましょう。秋葉原で部品を探す楽しみ+工作する楽しみを加えれば間違いなく++です(笑)。

P170 A10Ⅲのリレー交換はそのうち実行します。A10Ⅲは頑丈に組み立てられているので、バラスのに一苦労。使われているネジの数が半端じゃないのです。写真は前に分解したときのもの。DC24V2回路のリレーが4個使われています。交換したらブログで報告しますので、乞うご期待!

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この人の今後が凄く気になる。

HMVオンラインを見ていたら、
「ジャズ定盤入門」という企画があることに気づきました。
その企画はココ
http://www.hmv.co.jp/serialnews/jazz_guide

これは面白そうだということで、早速覗いてみると、
「四十にしてジャズに志す」なんて書いてあります。
ますます興味が湧いてきました。

この企画、元はヨミウリオンライン「新おとな総研」の中の記事です。
HMVオンラインからリンクがはられています。
ココ
http://otona.yomiuri.co.jp/mystyle/jazzguide/
読売新聞も色々やっているんですね~。

最初はソニー・ロリンズ、2回目がジョン・コルトレーン。
ベタですね~(笑)。
そりゃやそうです。「定盤入門」ですから。

この方、20代半ばでジャズ入門に挫折。
以降ロックばかり聴いてきたそうです。
マンネリ気味の音楽生活から脱却して「ジャズに志す」んだそうです(笑)。

上げ足取りかもしれませんが・・・、普通は「ジャズファンを志す」?
天下の読売新聞に書いてある記事なので、こういう言い方もあり?

まっ、それはさておいて、この方は無事ジャズに入門できるのでしょうか?
今後が凄く気になります(笑)。
見守っていきたいと思います。

ついでなので、私のオリジナル盤紹介もしちゃいましょう。

P165上記の入 門第1回目のアルバム。ソニー・ロリンズ『ニュークス・タイム』です。メンバーは、ソニー・ロリンズ(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ダグ・ワトキンス(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)です。どうですこのメンバー、最高じゃありませんか。ブルーノート4000番台の最初、栄えある4001番です。

私のオリジナル盤は、mono、NYC、ミゾ無、RVG刻印、チョボ無、コーティング・ジャケ、インナー・スリーブ有です。ディスクユニオンではセカンド・プレスとか言って売っているバージョンです。ブルーノートのオリジナル盤は、とにかく色々な判別条件があり、その条件次第によっては値段に雲泥の差があります。私のはブルーノートにしてはあまり高くありませんでした。とは言っても当然1万円超えですが。

これはオリジナル盤を蒐集し始めた今から15年程前に買ったものです。買ったお店は新宿にあった「コレクターズ」。なんでここへ行ったかというと、寺島靖国さん著「辛口JAZZノート」にこのお店を訪問したことが書かれていて、私はそれを恨めしく読んでいたからです。それなりに稼げるようになった頃、「じゃあ、ちょっとオリジナル盤とやらを買ってみようか。」と思って最初に行ったのがこのお店なのです。

やっぱり、オリジナル盤でしか出せない何とも香ばしい色艶のある音がします。A面頭のフィリー・ジョーのハイハット「シャーシャッカッ、シャーシャッカッ、・・・」を聴いただけで気分は高揚。ロリンズのテナーの厚み、ケリーのピアノの粒立ち、ワトキンスのうなるベース、フィリー・ジョーのシンバルとスネアの弾け具合。これですよこれっ!う~ん、気持ちエエです(笑)!

その上演奏が・・・、もう最高っ!生きてて良かった(笑)。

私はA面ラスト《ワンダフル・ワンダフル》が特に好きです。おおらかなテーマをロリンズが朗々と歌いあげるのを聴くと、ホンワカいい気分になってきます。いい湯加減の温泉にでも浸かっている気分なんです。バックのフィリー・ジョーとワトキンスが力強いですね~。ソロの歌心はこれぞロリンズ!ケリーのコロコロと転がるピアノも文句なし。ドラムとの4バース交換も最高!ジャズっていいよね~(笑)。

もう1曲。B面最初《飾りの付いた四輪馬車》はドラムとのデュオ。これがまた最高なんですよ。ロリンズ歌心の粋。フィリー・ジョーの踊るドラムとの共演なんですから、悪いはずがありません。フィリー・ジョーは露骨に煽るわけではなく、ロリンズに寄り添いながら演奏を進めます。そのぶん後半の4バース交換では弾けていますね。やっぱりジャズっていいよね~(笑)。

以上の2曲は特に良いわけでして、他の4曲も最高レベルなのは言うまでもありません。ロリンズと言えば『サキコロ(サキソフォン・コロッサス)』と相場は決まっていますが、ワン・ホーンものとしては、『ニュークス・タイム』も忘れてもらっては困ります。

聴きながら書いているんですが、最高です!

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ヴィジェイ・アイヤが気になって。

1か月程前、久々にヴィジェイ・アイヤのアルバム『リイマジニング』を聴きました。
聴いてその暗黒パワーに圧倒されたわけですが(笑)、
じゃあ最近のアルバムはどうなんだろう?
という気持ちが心の中にムクムクと湧いてきました。

暗黒パワーに圧倒された時のブログはコチラ↓
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-8f1f.html

ではということで、HMVへ注文!
2枚購入しましたので紹介しましょう。

P163 ヴィジェイ・アイヤ・トリオ『ヒストリシティ』2008,9年rec. ACT)です。メンバーは、ヴィジェイ・アイヤ(p)、ステファン・クランプ(b)、マーカス・ギルモア(ds)です。この3人、組んでから5年も経つのでコンビネーションは抜群です。しっかりアイヤの特異な音楽性を表現しています。この音楽がACTレーベルから出るなんてちょっと意外です。まあ、アーティスティックなものという括りではアリなのかと思います。

アイヤの特徴はその個性的な弾き方だと思います。右手でアルペジオ(分散和音)のように音群を弾き、その音群をずらしながらたたみ掛けるように次々と繰り出してきます。それが濃厚な味わいをもたらします。またアイヤはアンドリュー・ヒルに通じるものがあると言われますが、それは先の弾き方とダークなハーモニー感覚のせいではないかと、私は思います。そしてクラシックの匂いも感じますね。

ではここでアイヤについてまとめます。かなり安易(笑)!
ダークで濃厚=”暗黒パワー”なんです(笑)。

で、今回のアルバムですが、『リイマジニング』から比べるとかなり暗黒度は和らいでいます。それがトリオというフォーマットのせいなのか、はたまたアイヤが感じている世の中の不安が和らいだせいなのかはわかりません。聴き易いので喜び半分、いやっ、もっと暗黒が聴きたかったが半分です(笑)。

自作曲の他にアンドリュー・ヒル、ジュリアス・ヘンフィル、スティービー・ワンダーの曲などもやっています。ヒップホップ・ディーヴァM.I.A.(私は未知)の曲もあります。それらがまったく違和感なくアイヤの音楽となって表現されているのはさすがですね。

リズムは変拍子のオン・パレード。私はこの手の変拍子は数えたりしません。だって、私が演奏するわけじゃないんで拍子を分析してわかる必要はないわけです。それよりは変なリズムに体をまかせるほうが気持ちいいです。難解変拍子をものともしないクランプとギルモアは相当なテクニシャン。クランプがアルコ(弓弾き)をさりげなく織り交ぜるセンスにも関心しました。三位一体ここにありです。

例によって中低音濃厚な録音なので、たたみ掛け奏法&ダークなハーモニーと相まってマッシブなサウンドは聴き応え十分。全曲続けて聴くと胃もたれを起こしそうです(笑)。

そこらに転がっているピアノ・トリオに飽きた方は是非このトリオを聴いてみて下さい。

アルバム名:『HISTORICITY』
メンバー:
Vijay Iyer(p)
Stephan Crump(b)
Marcus Gilmore(ds)

今日は大サービス!もう1枚紹介しちゃいましょう。

P164 ヴィジェイ・アイヤマイク・ラッド『スティル・ライフ・ウィズ・コメンテーター』(2006年rec. SAVOY JAZZ)です。こちらはアイヤとポエトリー・リーディングのマイク・ラッドとの共演アルバムです。2004年に出した『イン・ホワット・ランゲッジ?』の続編的なアルバムです。今やジャズの名門サボイ・レーベルからこんなのが出る時代なのです。

一昨年、ジャズ喫茶「いーぐる」の「NYダウンタウンを中心とした新譜特集」で聴いてから気になっていたのですが、買いそびれていた1枚です。

こちらは打ち込みも多用していて、ラップ、ヒップホップ、ファンクなどの要素が強いサウンドです。私はこういう打ち込みジャズも結構好きです。ただし、やっているのはアイヤですから、そこら辺に転がっているラップと一緒にしてもらっては困ります。上記のとおりのアイヤ・ワールドを基本に、ポップな要素を拡大したもので、一筋縄ではいきません。私は、これもアートだと思います。

面白いのは日本語のポエトリー・リーディングが入っていることです。上手い日本語なのですが、あちらに住む日本人なのか、日本語が上手いアメリカ人なのか、判別しにくいものがあります。真ん中あたりの曲まで聴き進んだら、いきなり日本語で喋り出すからビックリしましたよ。ジャパニーズ・イングリッシュを交えた今時のポップな詩が妙に心にひっかかります(笑)。この詩もラッドが作っているんだから面白い!それからオペラ歌手?が歌っている曲もあります。

こちらは難解なところは皆無で、楽しいアルバムに仕上がっています。
いわゆるジャズに拘らない方に推薦します。

アルバム名:『still life with commentetor』
メンバー:
Vijay Iyer, Mike Ladd

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ブログ記事のメンテナンス終了。

今日も一日寒かったですね。
空気もきれいだったので、夕景もなかなかでした。

P162_2 ベランダから見る薄暮に浮かぶ櫛形山。
空の色がなんともいえない淡い色でした。
きれいだったので、パチリッ!

今日やっとブログ記事のメンテナンスが
完了しました。
今までボチボチやってたんですよ。

何をメンテナンスしたかというと。

1つは、「ブログランキング」へのクリック願いの削除。
ブログランキングにエントリー時、各記事に入れていました。
ブログランキングを卒業した時にすべて消したかったのですが、
前のパソコンがとろかったので、消すのに時間がかったんですよ。
検索で私のブログ記事にたどり着いた人は、
クリックしてくださった方もいたと思うのです。
で、ランキングを見に行くと、私のブログはないわけでして、
探した方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ご迷惑おかけしました。m(_ _)m

もう1つは、文字の色。
初期の頃のブログデザインでは文字の基本色が黒色でした。
なので、文字色を指定しなくても、黒色指定しても黒。
ところが新しいブログデザインにしたら、文字の基本色が黒ではなく、
黒色指定した個所が文章の中に不規則にあらわれて見苦しくなっていました。
なぜそうなったかというと、
黒色指定は、青とか緑とかピンクに誤って指定した個所の修正だったからです。
文字色指定を頻繁に変えた「PCMジャズ喫茶」のレポートなんかは、
ひどいやつもありました。
修正も大変なんです。HTML入力モードにして、色指定コマンドを削除。
このHTMLモードは字の大きさが小さいので、
しばらくすると目がショボショボしてきました。

とにかく修正は大変な作業でした。
それがパソコンを変えたことによって、作業効率が一挙にUP。
今日無事修正完了となったわけです。
めでたし。めでたし。

話は変わりまして。

ジャズ動画サイト You Play JAZZ?
高野 雲さんとジャズ・ピアニストのスガダイローさんのトーク、
「快楽ジャズ通信(番外編)」がUPされました。
直リンクはコチラ
http://www.youplay-jazz.com/movies/view/641

くつろいだ雰囲気で進むマニアック・トークが面白いです。
お2人は、ロボットアニメ「ガンダム」に出てくる
ジオン軍モビルスーツ「グフ」カスタムがお好きだということで、
最近スガさんが作ったバンダイのプラモデル
「グフ」マスターグレイドVer.2.0を前に置いてトークしています(笑)。

ガンダムからジャズまで、男が憧れる「カッコよさ」について
なかなか興味深いトークをしていますよ。
私もメカ好き、ロボットアニメ好きの1人として、
お2人の気持ちは凄くよくわかります。

雲さん緊張気味なのか?
タバコを持つんだけど吸わない場面が最初のほうに何度かあり、
私は気になってしまいました(笑)。
<注>雲さんからコメントをいただきました。
場が和み過ぎての戸惑いの行動だったようです。

途中に挟まれるセッション映像も楽しいですよ。
ラストはスガさん(p)と雲さん(el-b)と服部正嗣(ds)のセッション。
このトーク録画の後に行われたセッションなのだそうです。
場所は荻窪のライブハウスvelvet sunhttp://www.velvetsun.jp/top.html

スガダイローさんの新譜『黒船・ビギニング』は明日発売です!
ジャケットは、下田了仙寺所蔵、嘉永7年に描かれた「天狗ペリー」と呼ばれる
ペリーの肖像画だそうです。
なんとなくスガダイローさんに似ているような(笑)?

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これ買ったの私だけですか?

今日の甲府は北風ピューピューで寒いです。
夜になってかなりの冷え込み。寒み~ぃ。

さて、今日紹介するのは少し前にディスクユニオンの視聴機で聴いて気に入った1枚です。これ、なぜか値段が高いんですよ。¥3,000以上しました。となると、ディスクユニオンで買う気にはならず、恒例HMVマルチバイ特価のお世話になるわけです(笑)。

P161 ロン・ホートン『イッツ・ア・ガジット・ワールド...』(2009年、Abeat For Jazz)です。メンバーは、ロン・ホートン(tp,flh)、アントニオ・ザンブリーニ(p)、ベン・アリソン(b)、トニー・モレノ(ds)です。ワン・ホーン・カルテットによる現代ハード・バップです。最近の私にしてはあまりひねりがないアルバムです。

まずは何よりストレートなトランペットが胸にグッときました。何の衒いもなく力強く男気溢れる吹奏は気持ちが良いです。裏ジャケにこの人の横顔が大きく映し出されているのですが、なかなかの面構えでボクサーのようです。この顔にしてこの音ありですね(笑)。一方、フリューゲルホーンは顔に似合わず意外と流暢です。

ピアノのアントニオ・ザンブリーニは初めて聴いたのですが、なかなか良いピアノを弾きますね。ミラノ出身らしいです。イタリアンらしいメロディアスなフレージングを流暢に紡ぎ出す様は魅惑的です。基本的には安定感抜群なプレイなんですが、トランペットのバックでは鋭い反応もしたりします。アブストラクトなプレイもありますが、無機質にならないのはイタリアンの血のなせる業か?要注目ピアニストだと思います。

ベースのベン・アリソンはNYダウンタウン系の人ですが、ここではオーソドックスなプレイに徹しています。ゆえにこの人の力強いベース・ワークがより分かりやすくなっていると思います。アリソンは見た目ハリウッド俳優のようなイケメンなので、こんなにガッツのあるベースを弾くようには見えないんですよね~。

ドラマーのトニー・モレノも初めて聴きました。パワー&レスポンス系ドラマー。最近のNY系のドラマーって、スピードとキレが凄いのにパワーも十分感じさせます。ジム・ブラック、ジェラルド・クリーバー、テッド・プア、タイション・ソーリーなどなど、いや~っ、ドラム大好きの私にとっては層が厚くて嬉しい限りであります。

9曲中ホートンが3曲、ザンブリーニが4曲を作曲。ポール・モチアンとアンドリュー・ヒルの曲を1曲ずつ取り上げています。これらが違和感なく聴こえますので、曲の方向性は分かっていただけるのではないかと思います。なかなか佳曲揃いですよ。総じて耳当たりは良いと思うのですが、最近の私はNYダウンタウンのかなり抽象的なものも聴いていますから、美メロ系ばかり聴いている人にとっては、難しく聴こえるものもあるかもしれません。

私が紹介するのはいつもの如く知名度はありませんが、これは良いアルバムだと思いました。視聴機買いははずすこともありますが、今回は正解だったようです。ホートンはフレッシュ・サウンド・ニュー・タレントから2枚アルバムを出しているので、遡って聴いてみようかという気持ちになっています。

さて、ここで面白い話を一つ。

HMVオンラインでこのアルバムを検索して、ユーザー同時購入商品のところを見て下さい。それを見た私はちょっとビックリ!だって、私が過去に購入したアルバムがぞろぞろと出てきたからです。これって、このアルバムを買ったのは私だけってことですか?う~ん、こんなの初めての体験です。ユーザー同時購入商品のアルゴリズムはどうなっているんだろう??

アルバム名:『it's a gadget world...』
メンバー:
Ron Horton(tp, flh)
Antonio Zambrini(p)
Ben Alison(b)
Tonty Moreno(ds)

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今日はねっ~、快適快適!

今日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」「グラント・グリーン特集」
番組詳細は 「快楽ジャズ通信」 をご覧ください。

最近、雲さんのオープニング・トークがとても楽しそうなので、
聴いていると気分が明るくなりますね(笑)。
続くディレクター嬢によるグラント・グリーンのプロフィールも心地よし。
今日も流暢なイングリッシュがベリー・グー!
B.G.M.の橋本一子さんのピアノがね~、またいいんですよ。
快適快適(笑)!

一弦入魂。一度に出す音は一本。メロディー一直線。
グラント・グリーンのギター。
ウエスのように洗練されていないのが、また良いのです。

まずはビ・バップ寄りのジャズジャズしたギター。
『グリーン・ストリート』から《ナンバーワン・グリーン・ストリート》

ブルージーかつアーシーなギターが良いです。
結構初期のロックン・ロールなノリなのです。
私はグラント・グリーンが好きです。
25年程前、FM-NHKの「ゴールデン・ジャズ・フラッシュ」で
この人の特集を聴いてラジカセで録音してからのファン。
当時好きだったのがコテコテ『ザ・ラテン・ビット』の中の《ブラジル》。
(以降緑字は、曲を聴いての私の感想などです。)

後年はソウル・ジャズ色が強くなっていきます。
このアルバムでは既にグリーンの演奏上の特徴が表れています。
同じフレーズを繰り返して盛り上げます。
雲さんがオルガンの音で実演します。
なんでオルガンの音で?
そのフレージングはそのままオルガン・ジャズになるというわけです。
だからグリーンはオルガンとマッチします。
なるほど、確かにそうなっていました。

ピアノとタンバリンが加わる曲。
ハービー・ハンコックがソウル・フィーリング溢れるバッキングをします。
このアルバムはニグロ・スピリチュアル(黒人霊歌)をやったアルバムです。
『フィーリン・ザ・スピリット』より《ジャスト・ア・クローサー・ウォーク・ウィズ・シー》

コテコテ度UPです。
なんかのんびりいい湯加減な演奏。
たまにはこういうのを聴くのも良いものです。
私、ステレオのオリジナル盤を持っています。
グラント・グリーンはブルーノートでもオリジナル盤が安めです(笑)。

「お風呂に入って肩がほぐれていく感じです。」と雲さん。
『フィーリン・ザ・スピリット』は雲さん強力お薦めアルバム!
もしかしてグリーン嫌いはレコードの針が飛んだ時のような、
くり返しフレーズのせいかも?
「あれ、レコード針飛んだの?」と気になるのが嫌なんじゃないか?
グリーン嫌いの人は皆さんレコード党だとか(笑)。

『ザ・ラテン・ビット』をかけたかったそうです。が、時間の都合で割愛(涙)。
私、これもモノ・オリジナル盤を持ってま~す。

次はオルガンとの共演。
ベイビーフェイス・ウィレット『フェイス・トゥ・フェイス』からタイトル曲
グリーンもウィレットもアルトのルー・ドナルドソンに見出された
という意味でも2人の共通性はあります。
家族も教会にゆかりの人ばかりなオルガン中のオルガン野郎との共演。
ギターの音色がトレブリーなところにも注目。

今日はもうとことんコテコテ(笑)。
快適快適!イイ感じであります。

さらにグーッな演奏。ノリノリなライブ演奏。
しみじみした個所とノリノリの個所が交互にあらわれる演奏です。
サックスが腰砕けで音程を外してヨレヨレ。
しゃかりきグリーンがそれを補ってあまりあるそうです。
そこが聴きどころ(笑)。
『ライヴ・アット・ザ・ライトハウス』から《ウォーク・イン・ザ・ナイト》

確かに、いきなりヨレヨレなソプラノ・サックス。
ここまで来ると気持ち良かっ(笑)。
グリーンのドライブ感はもう最高!
演奏をグイグイ推進させます。
この曲の哀愁と軽快な8ビートは◎。
私、知らず知らずのうちに体を揺らして聴いていました(笑)。

最後は雲さんが一番好きなアルバムかも?
15分の《アイドル・モーメンツ》をかけたかったが長すぎということで、
次に収録されている曲。
雲さんはこの曲が大好きだそうです。
新鮮で瑞々しい演奏。
ここまでかけてきた曲とはちょっと違う曲でお別れ。
『アイドル・モーメンツ』から《ジャン・ド・フール》

この曲。私も大好きです。
これって、デックスの《ル・クワフール》に似た匂いです。
タイトルもなんか似ていますね~。
雲さんがこの曲がを好きだというのはよ~くわかります。
これもハッチャーソンがビブラフォン叩いてるし。
いや~っ、これね~、クーッ、タマランです(笑)!

「今日の快楽ジャズ通信は楽しんでいただけましたか?」と
いつもの雲さんエンディング・トーク。

ハイッ!楽しめました。
ヨシッ!これから『アイドル・モーメンツ』聴くぞ~っ!
私のは、ジャケットヨレヨレですがモノ・オリジナル盤で~す。

<アフター・アワーズ編>

《アイドル・モーメンツ》をB.G.M.にしてのトーク。
これを演歌だと言う人もいるとか。へ~っ、なるほど。
で、ディレクター嬢のイングリッシュ・ナレーションもあり。
優しい喋り方なので癒されます。
くつろぎトークでした。

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「PCMジャズ喫茶」のゲストは茂串さん!

パソコンを変えて一週間が経ちました。
立ち上がりもシャットダウンも速くて気分爽快です。

今日の「PCMジャズ喫茶」のゲストは高田馬場のジャズ喫茶「イントロ」の店主茂串邦明さんでした。ドラムも叩き週末にはお店でジャムセッションをする有名な方です。茂串さんはしゃべりも凄いので寺島さんも押され気味でしたよ(笑)。

茂串さんが最初にかけたのはジョン・コルトレーン『クレッセント』から《ベッシーズ・ブルース》。茂串さんは日本で最初にコルトレーンのディスコグラフィーを書いたのだそうで、そのつながりでの選曲。ご存じの通り寺島さんはコルトレーン嫌いですから、これをかけるところが茂串さんらしくて面白いです。

曲後、寺島さんはコルトレーンがテナーを吹いていると分かっていながら、「これはアルト吹いているの?ソプラノ?」とつっかかっていました。こういう高いテナーの音が嫌いなのです(笑)。茂串さんは余裕で「コルトレーンの音色(ねいろ)が素晴らしい。切磋琢磨の音色。ジャズは音色だ。」と言っていました。寺島さんは最初、「おんしょく」と言っていましたが最後には茂串さんの言いっぷりに負けて「ねいろ」なんて同調していました(笑)。

楽器をやると音色が重要だというのがわかるそうです。で、寺島さんはトロンボーンをもう10年やっているんだとか。「演奏しているの聴いたことがない。」と茂串さん。「人前では披露しない。」と寺島さん。楽器をやるのも大変です(笑)。

続いて「ジャズ喫茶のおやじは寺島さんのように文化人(作家)がいる。」と茂串さん。文化人ということで村上春樹さんの話へと。村上さんの「1Q84」の中にジャズに関する表現があって、その表現が素晴らしいという話がありました。それはベッドでの男と女の会話のシーンです。ルイ・アームストロング《アトランタ・ブルース》中のバーニー・ビガードのクラリネットに関するもの。岩浪さんはそれは『プレイズ・W.C.ハンディ』に入っていると即応。聴いてその部分を検証してみようという趣向でした。

懐かしい話ということで、昔の新譜レコード争奪戦の話がありました。輸入する枚数が少なかったので、当時のレコード店の店員と仲良くなって、ジャズ喫茶店主は自分のところへ先に回してもらおうと画策したらしいです(笑)。当時は銀座の「マルミ」や渋谷の「ヤマハ」で買ったとか。渋谷の「ヤマハ」にはその後JAROの店主となる柴崎さんがいたそうで、寺島さんは自分のところが後回しになって悔しい思いをしたことがあると言っていました。

次にかけたのは、岩浪さん推薦のケニー・バロンのヴィーナス新譜『マイナー・ブルース』からタイトル曲。ジャズ批評11月号「内外新譜」で岩浪さんが推薦しているやつです。寺島さんはバロンがヴァーヴ在籍時に売れなかったので、ヴィーナスに拾われて良かったんじゃないかと言っていました。前回来日時に茂串さんは自分のお店でバロンとセッションしたらしいです。寺島さんはとんでもないことだと言っていました(笑)。

曲後、寺島さんは「ジャズの匂いを感じない。ブルース感がない。堅くあっさりでダーティーさがない。」といつものごとく言いたい放題。岩浪さんもいつものように「そうだね。」と寺島さんに同調。あれれっ、ジャズ批評でこのアルバムについて「ジャズを体感し、味わったという充実感が得られる。」と書いていたのは誰でしたっけ?この人達のいい加減さには呆れます(笑)。

次は茂串さんの選曲。ウィントン・ケリー『ウィスパー・ノット』(通称「ハシゴのケリー」)から《ドント・イクスプレイン》。収録時にドラマーのフィリー・ジョー・ジョーンズが遅刻したとかで、B面はドラムレス・トリオなんですが、今回フィリー参加のやつが1曲だけ見つかったということでかけました。

ナント実は!茂串さんがドラムを叩いて原トラックにオーバー・ダビングしたものでした(笑)。番組収録前夜に録音したんだそうです。寺島さんも岩浪さんも曲終了時に「こりゃあ、やられましたな。」と大笑いです。私なんかボーッと聴いていたので、全く気付きませんでした。茂串さんはドラムがなかなか上手いのでした。ビックリ!茂串さんは40歳でドラムを始めて18年経つそうです。

次は寺島レーベルの宣伝(笑)。『フォー・ジャズ・オーディオ・ファンズ・オンリーVOL.2』からリアム・ノーブル(チューナー表示はデイブ・ブルーベック・カルテット?)の《ラ・パロマ・アズル》。この少し変わったドラムを聴いての感想を茂串さんに求めていました。なのに、曲後は違った話題へと。どうも編集でカットされたみたいです。この3人、話せば止まらないので、番組時間内に収めるために随所でカットが入っている感じでした。

最近はライブ・ハウスがCDを作ることが多いという話から、茂串さんも作ったことがあるという話になりました。お店でよく演奏する人のCDを予算100万デジパック仕様(\2,200)で作ったとか。自分のお店での販売を中心として500枚くらい売ったそうです。そのくらい売れれば採算はとれるとかとれないとか。「バーバーバー」で作った女性ボーカルをかけました。この手のやつにあまり興味がない私は誰の何というアルバムか未チェック。

次は岩浪さん選曲で、片倉真由子『インスピレーション』からかけました。片倉さんはジュリアードのジャズ科を卒業して今は仙台に住んでいるそうです。「かなりガッツがあるよ。」と岩浪さん。「ポニー・jキャニオン(A&M)なので、プロデューサー木全さん系だろう。」と寺島さん。

寺島さんは「最近ちょっとピアノが弾けると、特に女性はすぐにCDを出す。」とご不満気。岩浪さんは「松本茜も学生で3枚も出している。」なんて言っていました。そこへ茂串さんが「この娘(片倉真由子)は本物だよ。バークリーからジュリアードへ行ったけど、そういうことを鼻にかけない。オリジナリティーを出そうとしている。ピアノそのものをきちんと弾いている。」と褒めていました。曲後、岩浪さんは「グルーヴ感があって、タッチの粒がそろっている。」と言っていました。寺島さんはちょっとご不満みたいでした(笑)。

ここで茂串さんから、お店に来る女の娘の話へ。その娘はパット・メセニー『ファースト・サークル』《エンド・オブ・ザ・ゲーム》を聴いて、イッてしまうらしいです(笑)。そこで茂串さんは「男は耳で聴く。ちょっと耳が良い人は心で聴くが、女は子宮で聴く。」なんて言いだしました(笑)。「そんな話初めて聴きましたよ。」と寺島さん。「嘘言わないでよ。」と茂串さん。ここは本日のハイライト・トークでした(笑)。番組ではその女の娘の名前まで言っていたのですが、ここではカットします。

この番組でメセニーがかかるとは思いませんでした。快挙です!ギター・シンセのソロは最高!これを大音量で鳴らした中で悶え切るんだそうで、茂串さんは「心を裸にしている。」と言っていました。週一くらいお店に来るらしいです。壮大でスペイシーな感じがするこの曲を聴いてイッてしまう貴女は正しいっ!私、お友達になりたいです(笑)。岩浪さんのメセニー嫌いの話も出ました。「メセニー嫌いだからもてないのかな?」と岩浪さん。私、その通りだと思います(笑)。

次は寺島さんのタンパ・レーベル話。オリジナル盤ブームの話も出て、寺島さんはアメリカまで買いに行ったりして楽しかったと言っていました。ジャズ喫茶のマスターはオリジナル盤好きが多いが中には嫌いな人もいて、ジャス喫茶「A&M」をやっていた大西さんは店にオリジナル盤とか持ってくると怒ったとか。あまり関心がないもう一人として、「いーぐる」の後藤さんの話も出ました。

次は寺島さんが、バルブ・トロンボーン奏者ボブ・エンベヴォルゼンのテナーが良いとのことで、タンパ盤をかけました。茂串さんに捧げると言っていました。コルトレーンとは対極の寺島さん好みの低音系ウエストコースト・テナーです(笑)。なかなかスインギーで良い演奏でしたよ。こういう曲を選ぶところが、私は寺島さんの良さだと認めています。曲後、寺島さんは「これがテナーの音色。」と、やっぱり言っていました(笑)。

最後は寺島さんから簡単なブラインド・フォールド・テスト。ピアノ、ベース、ドラムが誰か?曲名、レーベル、レコード番号も当てて下さいというものでした。かけたのはアール・ハインズ『ヒア・カムズ』から《ザ・スタンリー・スティーマー》。茂串さん、岩浪さんはしっかり分かっていました。さすがです。ただし曲名とレコード番号は分かりませんでした。私は分かりませんでしたね(涙)。レコードは持っていますが、これはそれほど聴いていません。

今日の放送はなかなか面白かったです。まっ、だからブログに書いているわけですが。それにしても、茂串さんのかける曲と話題は、典型的なジャズ喫茶オヤジの寺島さんとはかなり違いましたね。新鮮でした。そして、色気がある話なのがいかにも茂串さんでした。

メセニーがかかったので、気分は最高!結局はそれなんですけどね(笑)。

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

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