今日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」は「打ち込みジャズ」。
ゲストはピアニストの橋本一子さん。
番組詳細については 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。
橋本さんがゲストで来るのは今回が2度目ですね。
橋本さんは昔から打ち込みを、ジャズに限らずポップスでやっていました。
雲さんはジャズを聴いたことがない時に
橋本さんの『ヴィヴァン』の《D.P.》の強烈な打ち込みを聴いて
ジャズを感じたそうです。
一方の橋本さんはマイルスの『ヴィッチェズ・ブリュー』を聴いて
ジャズを感じたそうで、
俗に言うジャズではないものにジャズを感じたところは似ているお二人。
橋本さんは、「ジャズには昔は打ち込みはなかった。
でもビ・バップの頃からジャズは最新のものを取り入れていたので、
そういう意味では、ジャズは常に革新的な要素を持っているべき。」
と言います。
続けて、「マイルスがエレクトリックを取り入れた時、
アコースティックなものがジャズと思っていた人からは反発があったように、
今でも打ち込みはジャズではないダンスだなんて言う人もいるが、
そうではなく、ジャズは革新的なもの。
エレクトロ、打ち込みはまだ進化する可能性がある。
革新的はものを取り入れるところが、ジャズの幅広さ奥深さなのではないか。」
と熱弁して、雲さんも激しく同意(笑)。
これらについては、私も全く同じ考えです。
雲さんは《D.P.》を聴いて、
クラシックのピアノ協奏曲がパンク化したのがジャズだと思ったとか。
で、最初の曲は橋本さんの『ヴィヴァン』から《D.P.》。
私も時々聴くアルバムです。
打ち込みとミニマルなピアノ・シンセの組み合わせですね。
橋本さんの最新アルバムと共通のコンセプト。
途中のフリーなピアノソロがいいんですよ。
ある意味セシル・テイラー的で、クラシックの匂いはあります。
雲さんの言う通りなのです。
(以降緑字は、曲を聴いての綿私の感想などです。)
D.P.はダイアモンドとピアノの略だそうです。知りませんでした。
歌詞に「Diamod is shininng、Shining is Piano、D.P.」ってあります。
橋本さんも自分で聴いてカッコいいと言っていました(笑)。
橋本さんは久しぶりに聴いたそうです。
最初の方の「カンカン、カンカン」のピアノがもう一子コードだと雲さん。
聴いた橋本さんも自分でビックリだそうです(笑)。
次は緩い、フォービートのニュアンスが残っている打ち込みです。
ピアノ・トリオを基本にしています。
「ツッツ タッカ」の安いリズムがいい味を出しています。
ブルース・ホーンズビーの『キャンプ・ミーティング』よりタイトル曲。
ベースはクリスチャン・マクブライド、ドラムはジャック・ディジョネット。
これ、初めて聴きましたけど面白いです。
ヒップホップ・ミーツ・ジャズ・ピアノです。
前に私が紹介したマシュー・シップの『ヌー・バップ』と同趣向。
こういう打ち込みにアコースティック・ベースって結構あいます。
ホーンズビーのアーシーで緩めのピアノがいい塩梅。
ちょっぴり近未来(笑)。安っぽいSFドラマな風情。
私はかなり気に入りました。
「楽しい感じでほのぼのしてかわいく、日本の祭りのイメージ。」と雲さん。
橋本さんが、「発展する自由度はなくなるが、
定型リズムに収束するゆとりから自由度が高まる。」と言います。
雲さんが、「Y.M.O.(橋本さんも参加していました)は電子メトロノームを
ヘッド・フォンで聴きながら演奏したが、それに近い感覚なのでは?」と質問。
橋本さんは、こういう風に合わせて演奏するのが好きらしいです。
自分でリズムを取らないので、演奏に自由度があるそうです。
定速リズムがあることで、演奏者のノリ方を浮き上がらせることになります。
マイルスの『ドゥー・バップ・ソングEP』から
《ドゥー・バップ・ソング/エディット・ウィズ・ラップ》。
これはアルバムを買った頃にはかなり聴きました。
私の中では晩年で一番好きなアルバムかも。
マイルスのせつないミュートとヒップホップがマッチするんですよね。
ラップのリズムが持つ怠惰感、ルーズ感がマイルスのミュートと好相性。
雲さんは、「マイルスはニュアンスの人なので、その繊細なコントロールが
無骨な打ち込みによって浮き彫りにされる。」と言います。
橋本さんによると、
自分でやる時、打ち込みにラップが入っていないとシンプルで踊ろうという
感じではなくなるのですが、ラップが入ることによって、
機械のスピード感をUPさせるんだとか。
打ち込みの上に被せる上ものが大切で、
ラップやマイルスのトランペットが入ることによって、
スピード感・グルーヴ感をUPさせているとのことです。
雲さんによると、このアルバムにはラップがないバ-ジョンも入っていて、
それは躍動感が足りないらしいです。
その躍動感、グルーヴ感のせいでしょう。
橋本さんは聴きながら微妙に踊っていたそうです(笑)。
次は坂本龍一の『ネオ・ジオ』から《フリー・トレーディング》。
ドラムがトニーなのですが、全部を叩かせていなくて
サンプリングして、組み合わせて使ってるそうです。
コードの響きに浮遊感があり、
それをどう感じたか曲後に橋本さんに聞いてみたいとのことでした。
これはもう一聴で坂本龍一とわかるメロディー(笑)。
東洋っぽくてせつない感じです。
これ嫌いじゃありませんが、私的にすごく好きまではいかないです。
ちょっとセンスが良すぎてスマートなんですよね~。
最近ではもっと臭いくらいなほうが好きです(笑)。
でも、カッコいいサウンドです!
雲さんはこの曲がすごく好きだそうです。
コードの響きが好きなんだそうです。
これは作曲が坂本龍一じゃないそうです。
でも編曲は坂本さんなので、坂本コードになっているんだろうと。
雲さんが、「橋本さんの和音の響きも一発でわかるが、
坂本さんにもそういうキモがある。」と言います。
橋本さんによると、経過音的に使われる和音が独特なんだとか。
こういうのは頭で考えるんではなく、そこへいくと使ってしまうらしいです。
雲さんが、「それは手癖のようなものですか?」と質問したら、
橋本さんは、「手癖ではなく感性癖。」と答えます。
雲さんが、「それは美意識のようなものですか?」と質問したら、
橋本さんは、「美意識ではない。意識までのぼっていない。無意識。」と
答えます。
音を辿っていくとそれになるらしいです。「音感」と言っています。
しっくりくるポイントがあるらしいのです。
こういうのは人それぞれで、個性を持つ人には特徴があるとのこと。
で、チックにしてもキースにしてもハービー・ハンコックにしても
まず理論ありきでそうなるわけではないと言います。
インタビューでハンコックは「そうなっちゃった。」と言っていたそうです。
何かほしい音が頭の中で鳴っていて、
それを見つけた人がオリジナリティーを持つんだと、橋本さん。
雲さんが「それは作家の文体にも言えますよね。」と言います。
橋本さんは「そこが一番大事。テクニックをつけるよりも。」と言います。
オリジナリティーを持つ人からはサウンド感、音色感を生かせるポイントを
常に教えられるらしいです。
う~ん、なかなか深い話ですぞっ、これは!
次は橋本さんのアルバム『Arc’d-X』(アークドX)から。
雲さんは《Arc'd-X》と《Jazzz》の2曲が好きで、
どっちをかけようか?という話から、曲名の話へ。
《Jazzz》は「ジャズー」と読むそうです。
で、曲名の由来はジャズっぽいイメージの曲だから(笑)。
曲名がきちんと決まる前、
ジャズ風曲は「ジャズ」。ボッサ風曲はボッサ。ラテン風曲は「ラテン」。
と仮に名を付けていたようで、そこから正式曲名をつけたらしいです。
で、かけるのは《Jazzz》。
この曲のテーマは『Ub-X』の《Parallel》ににています。
橋本さんによると、実は『Arc'd-X』の方が先なんだとか。
『Arc'd-X』のアコースティック版が『Ub-X』だそうです。
『Arc'd-X』の演奏は最初は自由度がなかったそうなんですが、
やっていくうちに自由度が増したそうで、
今は自分のほうが打ち込みより強いと言っていました。
このニュアンスは分かってもらえるかな~。
私は番組を聴いていてなるほどと思いました。
これは私も好きな曲です。
この曲を聴いた感想はすでにブログにUPしていますので、
それを参照して下さい。
今日聴いて、橋本さんは勝っていると思いました(笑)。
雲さんは、アマチュアで演奏もしますが、今日の話は文章を書くことに
当てはめられると思ったそうです。
なるほど、ブログを書く私にも非常に参考になりました。
これって自分を表現しようとしている人には重要な話ですよねっ。
一応私も稚拙ながらブログで自分を表現しているということで、ヨロシク(笑)!
同じことを言っていても視点(演っている方と聴いている方)が違うと
言い方が異なって面白いという話で終了。
いや~っ、今日の話は面白かったです。
このブログ、曖昧な部分もあると思いますが、
話のニュアンスを感じとっていただければ良いのですが・・・。
<アフター・アワーズ編>
雲さんがサンプラーを持ってきました。
ディレクター嬢がサンプラーを操作。
それに合わせて、橋本さんがキーボードを
雲さんがベースを弾くことに。
曲は《マドモアゼル・アラケダ》。(笑)
橋本さんのシンセ/エレピはハービーなんですよね~。
シンセ/エレピに対しては絶対ハービーに近い感性癖を持っていると思います。
雲さんのベースはジャコをちょっと野暮ったくした感じ?失礼!
すみません!いつの間にかディレクター嬢の操作するサンプラーが聴こえず、
橋本さんのエレピ、そして雲さんのベースに耳がいっていました。
これって、きっとサンプラーに勝っているということだろうと思いますよ(笑)。
<追伸>
今日はたくさん書いたのですが、
新調パソコンがサクサク動いたので、
結構スラスラ書けました。
でも、やっぱり疲れました(笑)。
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