« 秋の夜長にこんなのはいかが? | トップページ | 面白いコメントをいただきました。 »

「PCMジャズ喫茶」で業界の裏話。

今日は前回のミュージックバード「PCMジャズ喫茶」の話題でも。
ゲストはプロデューサーの木全信(きまたまこと)さんでした。
かのケニー・ドリューの軟弱商業路線日本盤を作った方です(笑)。
業界裏話がたくさん聞けて面白かったです。

木全さんプロデュースのアルバムの話がありました。

P110 まずは、ニールス・ペデルセン・トリオ『ケニードリューに捧ぐ』(1995年、ビデオアーツ/Fantasy)です。ピアノのリニー・ロスネスを選んだ経緯や、この仕事でロスネスを気に入って、その後何枚か仕事を共にしたなどの話がありました。これ日本制作アルバムだったんですね。気付いていませんでした(笑)。

木全さんはアルバムを作るときに、ミュージシャンに1、2曲指定してあとはアルバムの雰囲気などを話した上で選曲を任せるんだとか。このアルバムでは《シャドウ・オブ・ユア・スマイル》が指定した目玉曲だったらしいのですが、《ハッシャバイ》の出来が想像以上に良かったので、1曲目に持ってきたという話をして番組でかけました。なるほどぞういう経緯があったのですね。

このアルバムには私も思い出があります。実は最初日本盤中古を買ったのですが、後に写真掲載の輸入盤中古を買ってしまったんです。ジャケットが全く異なっていたのでうっかり2度買いしてしまいました。買ってからだいぶ経ってCDを整理している時に気付いたんです。で、より高く売れそうな日本盤はディスクユニオン買取行きです(笑)。

P111 2枚目はフレディ・ハバード~ウディ・ショウ~ベニー・ゴルソン『クリフォード賛歌』(1982年rec. ベイステイト)です。録音の時、ショウはやってこないし、来ても酒でヘロヘロだったとか。ハバードがショウの居場所を探して連れて来たうえ、ヘロヘロのショウに実践指導して、どうにか録音にこぎつけたらしいです。木全さんはハバードはいいやつだとしきりに言っていましたよ。

で、このアルバムにはもうひとつエピソードがあります。《タイム・スピークス》では、ハバードのソロの途中でミュートが外れてしまったのですが、そのままつづけてオープンでソロをとったのをO.K.テイクとしたことです。木全さんは「これ以上いいミュート・ソロはとれないだろう。」とハバードを説得したんだそうです。番組ではこの曲をかけました。このレコードのライナーノーツは油井正一さんが書いていて、ミュートが外れたことにも触れています。

このアルバムにも私は思い出があります。リアル・タイムで新譜として買いました。まずはゴルソンのフニョフニョ・ソロに初遭遇したことです(笑)。キレがありませんよね~この人のソロって。当然苦手になりました(笑)。あとはルディ・バン・ゲルダー録音。この頃のバン・ゲルダー録音って、スモーキーでこもった音で良くないんですよ。当時はオーディオ的クリアさが好録音だと思っていたので、これはダメでしたね。

エルビンジョーンズの『アース・ウォーク』もダメでした。内容が良いだけに余計気になりました。なぜかマッコイ&エルビンの『ラブ&ピース』はそうでもなかったんです。もちろんブルーノートのヴァン・ゲルダー録音には不満はありませんでしたよ。ジャズの音はこれだと思っていましたから。だから80年代当時はもうヴァン・ゲルダーは終わったと思っていました(笑)。

続く話題は、デンマークのビッグ・バンド原信夫とシャープス&フラッツのブラインド・フォールド・テスト。どちらがどちらか当てようというものでした。聴いていた私はテストになりませんでした。というのもこの話題に入る前に、ミュージックバードの受信器には次にかかる曲の表示が出てしまっていたからです。

寺島さんがどこかで出題したときには、聴いている人のほとんどが間違えたらしいのですが、木全さんと岩浪さんは見事に当てました。お2人の判定理由もちゃんとその特徴を捉えていましたよ。寺島さんはちょっとくやしそうでした(笑)。

で、ジョシュア・レッドマン『コンパス』の話題へ。お~っ、きましたね~。

今話題のジャズなんだけど、これを聴いて感想を聞かせてくれというものでした。番組でかけた曲は《ファーラウェイ》。これってこのアルバムの中ではオーソドックスなスタイルのサックス・トリオ演奏です。寺島さんによると1曲目とか《月光》とか他のは聴けたものではないので、比較的聴きやすいものを選んだとか。

そもそもこの曲を選んだ時点で、このアルバムを全くわかってないことが露呈してしまっています。メロディーと表面上のガッツが判断基準なんですが、それらでこのアルバムを評価してもしょうがないと思うのです。案の定、木全さんは「軽快だけど退屈。」と言い、岩浪さんは「今一番受け入れられない。」と言っていました(笑)。この件について、私はこれ以上言う気はありません。

で、木全さんも昔ジョシュアの録音をしていたので聴いてみましょうということになりました。マッコイ・タイナーのアルバム(タイトル不明)にジョシュアが2曲参加しているのです。1994年録音で、ベースがクリスチャン・マクブライド、ドラムがマービン・スミス。日本人がマッコイに持つイメージを覆そうという意図で作ったそうです。ということは、かのケニー・ドリュー路線ってこと(笑)?

かけた曲は《プレリュード・イン・EマイナーOp28 No.4》。この曲をやている時点で私的には? 別に日本人のマッコイのイメージを覆さなくても良いと思うのですが・・・。ジョシュアは結構頑張って吹いていましたよ。でも、基本的には変わっていないと、寺島さんと岩浪さん。そして木全さんまで(笑)。まっ、そうでしょうね。

木全さんから、ジョシュアは凄く真面目で研究熱心でひたむきだという話がありました。で、世間の意見は「だからジョシュアはダメ。」ということになっていますよね。

ここで寺島さんはいつもの持論。「世間はジョシュアを名前で聴くから持ち上げるんだ。」と、「コルトレーンを良いと言うのもそれと同じだ。」と、相変わらずのやつです(笑)。神格化しているんだというわけです(笑)。ハイハイ、わかりましたよっ!

で、過去に木全さんもコルトレーンは功罪があるとか言って、油井正一さんから怒られたらしいです。油井さんは「古典として敬意を表すべき。」というようなことを言ったとか。寺島さんはそういう油井さんをまたけなしていました。困ったものです(笑)。

出ました!松尾明&ニュー・フロンティア・クインテットの演奏。寺島レーベルの新譜で、クインテットを売ろうという1枚。木全さんにご意見を伺いたいとのことでした。木全さんからは「楽しく明るく爽やか。聴いていて晴々する。ベースがやたら良い音。」と好評だったので、寺島さんはうれしそうでした。私からコメントはありません(笑)。

で、またまたいつもの持論展開。「今時のクインテットはモードで曇りのイメージ。そういうのではなくてビ・バップのクインテットが良いんだ。」と。いいんじゃないでしょうか?それもまた良し。いちいち反論してもしょうがありません(笑)。

木全さんは「モードも出来てビ・バップも出来る幅の広さが必要。」と言っていました。「最近はビ・バップをやらせるとダメな人が多い。」「アートは繰り返し。古いものに新しい発見がある。」「前衛ジャズも衰退して、アーチー・シェップもバップに戻っている。」とも言っていました。私にはちょっと視野が狭いように感じますが。

ジョシュアの『コンパス』がワーナー・パイオニアから出ているという話になり、木全さんは「ワーナーもブルーノートもプロデューサーがいない。」なんて発言をしていました。多分ご自分のようにジャズをわかって売って行くプロデューサーがいないという意味だと思いますが。そこまっで言いますか(笑)?

木全さんのキャリアの話もありました。

先に挙げたケニー・ドリュー・トリオのブームを作った人であり、次にヨーロピアン・ジャズ・トリオの日本での知名度UPに貢献した人です。作ったアルバムも500枚くらいあるとかないとか。RVCでベイステイト・レーベルを立ち上げ、その時には後にヴィーナス・レーベルを立ち上げる原さんが部下だったなんて話も。

日本のジャズ業界の裏事情が色々分かって面白かったのですが・・・。
話を聞いていて色々思うところもありましたが、愚痴になるので書きません。

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

|

« 秋の夜長にこんなのはいかが? | トップページ | 面白いコメントをいただきました。 »

寺島靖国のPCMジャズ喫茶」カテゴリの記事

コメント

いっきさん

おはようございます。

>ミュージシャンに1、2曲指定してあとはアルバムの雰囲気などを話した上で選曲を任せるんだとか。

なんだ、全曲指定してるんじゃなかったんだ、と思いました(笑)。


>モードも出来てビ・バップも出来る幅の広さが必要。

たしかにそうかもしれませんが……。
ま、そのほうが、送り手としても、「今度はバップ」「今度はモード」と「売るための」キーワードを立てやすいとは思いますし、聴き手の気分もそうなのかもしれませんが、「バップ」も「モード」も、そんなに底の浅いものなんだろうか?とボクは思うわけよ(笑)。

バップにいったり、モードにいったり。
そういうミュージシャンもいるし、たしかにバップもモードもいまや「手法」は「学習」できる世の中なんだけどさ、でも、表現の深さとかは、また別な次元の話なんじゃないかな?と思うわけです。

こういう話聞くと、今こそ、コルトレーンになりきれなかった、だけどコルトレーン・モードを真摯に追求したビリー・ハーパーを聴け!と思っちゃったりするわけ(笑)。

音楽を聴いたときの感動は、手法や切り口のみで測れる浅薄なものではないと信じたい。

もちろん、レビューを書いたり、ジャズ仲間と話し合ったりするときには、「モード」とか「バップ」とかは便利な言葉だし、コミュニケーションが成立する最低限の共通認識ではあるけど、大事なことは、その先にある表現に対して、自分はどう感じたか、どう感動したか、なのだと思う。

ま、ここの部分が一番難しくて、オフコースじゃないけど、♪言葉にできない 部分ではあるんですけどね……。
だからこそ、この「言葉にできない」部分をうまく表現できる評論家、批評家よ、もっと現れてくれ~!と思うわけです。そういう人から、私は色々学びたいし、盗みたい(笑)。

投稿: 雲 | 2009年9月 5日 (土) 05時20分

いっきさん、おはようございます。

先日、池ちゃん先生と話していたら、最近の若いミュージシャンがコピーがヘタだと言っていました。それからハービー、チック、キース以前のピアニストを真剣に聴いていないとも、古くてもエバンスまでかな?なんて話題になって、完全コピー譜面の功罪の話にもなりました。
「もっと耳で盗まないとね」というのが結論です。

投稿: tommy | 2009年9月 5日 (土) 09時19分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「PCMジャズ喫茶」で業界の裏話。:

« 秋の夜長にこんなのはいかが? | トップページ | 面白いコメントをいただきました。 »