ヘビー・メタル・ジャズ!
ブレッカー・ブラザーズのアルバムに『ヘビー・メタル・ビ・バップ』というのがあります。
で、今日紹介するのは私が勝手に命名した”ヘビー・メタル・ジャズ”!
アドリブは短いのがいいとか、ジャズは曲で聴くとか、
現代ピアノ・トリオがいいとか、美人ジャケットがいいとか、
そんなことを言っている人達を椅子に縛りつけて大音量で聴かせたい1枚(笑)。
TYFTの『スメル・ザ・ディファレンス』(2008年rec. Skirl Rscords)です。メンバーは、TIFT:ヒルマー・イェンソン(g)、アンドリュー・ディアンジェロ(as,b-cl)、ジム・ブラック(ds)、ゲスト:クリス・スピード(ts,cl)、ピーター・エバンス(tp)、ジョエル・ハミルトン(electronics)です。分かる人には分かる危険なメンツであります。イェンソンとジムとクリスはALASNoAXISのメンバーですねっ。
ジャズ喫茶「いーぐる」で行われた益子博之さんの「2009年上半期ニューヨーク・ダウンタウンを中心とした新譜特集」で知った1枚です。ケースは上下の白い部分も含めた大きさになっています。CDラックに入りませ~ん。ケースのサイズからして、反体制(笑)。
出だしからいきなりヘビメタです(笑)。ギターとドラムがロックしています。この人達ならではの変拍子も炸裂!2曲目の《フォース》を聴いて「アレレッ!」と思いました。クリス・ポッターの『ウルトラハング』の中のカッコいい曲《ランプレス》に似た曲です。当然ゲイリー・トーマスの《バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー》にも似ています。TIFTはギター、サックス、ドラムのベース・レス。クリポタのアンダーグラウンドもベース・レス。この人達の共通性は興味深いです。
TIFTのほうが更に捻くれているところが◎。前半部は上記のとおりのファンク/ロックな曲調でディアンジェロが快調に吹きまくるのですが、トランペットのソロに入ったところでテンポを落とし、ジム・ブラックの複雑リズムが炸裂します。曲もときに混沌としてフリーに突入する部分があり、ズリュズリュなトランペットの咆哮もありで、怪しさは最高!
《ピットゥルズ》がまた最高なんですよっ!いかにもヘビメタ。スペイシーな出だしの後、ギンギンのギターと何拍子だかさっぱりわからないカッコいいドラムに乗って、サックスがリフを繰り返すのを聴いただけで、「オオ~ッ」と叫びたくなります(笑)。「いーぐる」の新譜特集ではこの曲をかけました。音量大きめのリクエストなんかは、さすが益子さんです。やってくれます!
リフが終わると過激なギター・ソロに突入するのですが、これが「デス」なんですよ(笑)!デスメタルの「デス」ねっ!途中からは複雑リズムへ突入し、ギーターのソロが終わると、サックスがフリーキーな咆哮をかますという展開。最後は最初と同じリフに戻って終了。カタルシス(笑)!
《クリッパー》は、最初ロックなリズムにのってサックスがアブストラクトなテーマーを合奏するのですが、しばらくすると何かを吸引するかのごとき「キュルキュル」というキモカワなサウンド・エフェクトをバックにバスクラとクラリネットが合奏するクラシカルな曲調になります。そしてまたロックのリズムに戻り、変拍子にのってギターをバックにサックスの合奏。う~ん、もう色々な要素が混じって何が何だかわかりません。
《クロンディク》は最初はロックなのですが、途中からフリー・ジャズに突入し、ディアンジェロとスピードが気持ち良さそうに「ブリブリ」とサックスを応酬します。でまたロックに戻って終了。《フリンバゲイスト》は、間を生かして3管の音が飛び交う幽玄な出だし。途中からはやっぱりロックへ(笑)。凝ったアレンジの3管の合奏がカッコいい。この曲においてはサックスやトランペットのアドリブ的合奏はジャズ的。
まっ、とにかくカタルシスとカッコいい演奏満載です。
できるだけ大音量でお聴きすることをオススメいたします。
これも私的今年のベスト5入りは間違いないです。
TIFT最高っ!
アルバム名:『SMELL THE DIFFERENCE』
メンバー:TYFT
Hilmar Jensson(g)
Andrew D'Angelo(as, b-cl)
Jim Black(ds)
Chris Speed(ts, cl)
Peter Evans(tp)
Joel Hamilton(electronics)1曲のみ
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