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分かる人には面白い?

これ聴いていて思わずニンマリしてしまいました。
分かる人には面白いんじゃないかと思うのですがいかがでしょう?

菊地成孔(ss,ts)南博(p)のデュオでタイトルが『花と水』だから、一体どんなことをやっているのだろうと興味がありました。アルバムの構成は、ショター、マイルス、ミンガス、バッハなどの曲の間に、イントロのような小品が入ったものになっています。椎名林檎のアレンジもしている斉藤ネコアレンジのストリングスが加わった曲もあります。

で、聴き始めてしばらくすると「あれっ?」となったのです。聴き進んで8曲目の《オレンジ色は彼女の色》を聴いて「なるほど!」と思いましたね。菊地さん。多分自分の好きなアルバムの好きな曲を取り上げて、その世界を再現しているんだと思います。

そのアルバムを挙げていきましょう。
《フォール》 : マイルスの『ネフェルティティ』の同曲。
《ブルー・イン・グリーン》 : マイルスの『カインド・オブ・ブルー』の同曲。
《オレンジ色は彼女の色》 : ギル・エバンスの
 『ライブ・アット・ザ・パブリック・シアター、ニューヨーク1980 vol.2』の同曲。
《ラッシュ・ライフ》 : ジョン・コルトレーンの同アルバムの同曲。
《ユー・マスト・ビリーブ・イン・スプリング》 : ビル・エバンスの同アルバムの同曲。
といった具合です。

私はクラシックに詳しくないのでよくわかりませんが、
バッハの《チェンバロ協奏曲 第五番 ヘ短調 第二楽章: ラルゴ》にも、元ネタがあるんじゃないかと思っています。

それにしても、2人だけでそれぞれの世界をよく再現していると思うのです。フレーズとかをコピーしているわけではないんですよ。醸し出している雰囲気が元ネタを聴いているような気分にさせてくれるのです。このお2人、さすがによく研究していると思います。

さて、上記の曲と小品以外に菊地さん作の《花と水》があるのですが、これが何と言いましょうか、耳に残らないんですよ。ここに現代のジャズ・ミュージシャンが抱える問題があるのではないかと思ってしまうのです。

スイングジャーナル6月号の「解明!ジャズ素朴な疑問コーナー」、「ジャズの歴史を知ろう」(77) 90年代にデビューした二人のスターって?(2)の中で、村井康司さんが以下のようなことを書いています。
「さまざまな先人たちの「個性」を学び、それらをある種の抽象化作業を行って統合する。ということがウイントンやロバーノやジョシュアの方法だとしたら、彼らの音楽がどこか冷静な感触を帯びてしまうのは当然のことだと言えましょう。」

これって、菊地さん作《花と水》にも同じことが言えるんじゃないかと思うのです。その冷静(クールで抽象的)な感触が、ジャズ・ジャイアンツの再現の中において、《花と水》の印象を薄くしてしまっていて、だから耳に残らないのではないかと?

このアルバムを聴いて色々考えさせられた私なのですが、これは私のジャズ病(笑)。普通に聴けば、キレイな音色のソプラノ&テナー・サックスと落着いて粒立ちの良い音のピアノによる、心地良く聴き応えのあるデュオ・アルバムになっていると思います。

菊地さんが『花と水』考を書いていたりするのですが、例によって、「純日本人ではない日本人による華/茶道」とか、YMOがどうのとか、ジャポニズムの欠如がどうのとか、ユースカルチャーにおける虚勢がどうのとか、訳が分からない面白文となっています(笑)。

*****

雲さんからコメントをいただきました。どうもです。

このアルバムに関する菊地さんのインタビューにあったのですね。
http://openers.jp/culture/lounge_interview/kikuchi01.html

読むと、このアルバムはカヴァーと即興で構成されているとのこと。

つまり、上記で私が元ネタを示した曲が、カヴァー。
イントロのような小品が、即興。

カヴァーだから、元ネタ曲の雰囲気に沿って演奏しているんですね~。なぁんだ!
いかにもわかったようなことを書いた私が恥ずかしい。

選曲基準は、テーマ「ジャズ・ジャポネズム」。
単に菊地さんが好きな曲を選んだと、私は思ったのですが・・・(笑)。

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コメント

「いーぐる」企画の「和ジャズ」聴きに行こう!
8月中はやっているので、予定合わせます。
JBL4344 Mark 2で、迫力あると思うよ。
当然、菊地成孔はかかりませんが・・・(笑)。

投稿: tommy | 2009年7月29日 (水) 04時00分

>これが何と言いましょうか、耳に残らないんですよ。

もとより、六本木ミッドタウンのBGM用として作られたアルバムだから、あまり残り過ぎる演奏だとマズかったのかもしれませんね。ミッドタウンで聴くと、また違った感触かもしれませんよ、

と、ここまでフォローを書いて、
▼をのぞいてみると……
http://openers.jp/culture/lounge_interview/kikuchi01.html

Q.やはりミッドタウンを意識したものですか?

A.いや、まったく意識していないですね(笑)。


……あらら、そうだったんですね(笑)。


ちなみに、ミッドタウンでの面白ライブエピソードを、各方面(?)から聞いております(笑)。

投稿: | 2009年7月29日 (水) 17時04分

tommyさん。こんばんは。

「和ジャズ」聴きに行きたいのですが、月、火、木、金15:00~17:00ですよ。土曜日がないです(涙)。『スピリチュアル・ネイチャー』は聴いてみたいのですが。


雲さん。こんばんは。

インタビュー情報ありがとうございます。
相変わらず菊地さんらしいですね(笑)。

カヴァー曲集&即興だったんですね~。
ジャズでカヴァーをやるという発想が菊地さんらしいです。
最近J-POPでもカヴァーが多いですが、
カヴァーのほうが魅力的だったりするから困りますよね(笑)。

>ミッドタウンでの面白ライブエピソード

今度お会いするときに是非聞かせて下さい。

このアルバム、椎名林檎~斉藤ネコつながりでもあったわけですね(笑)。

投稿: いっき | 2009年7月29日 (水) 22時59分

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