哀愁のギタリスト、ディエゴ・バーバー。
今日も新譜紹介です。今日紹介するのは東京へ行った時、帰りの電車までの時間調整のために寄った新宿タワーレコードで試聴して買った1枚。
ところで、タワーレコードの試聴機は音がひどいです。っていうか試聴機はどこも音がひどいです。オーディオをやっている人にとっては非常に気になるはずです。何がひどいかって言えば、音のバランス。低音をやたら強調してあります。ブーミーな低音にマスクされて解像度が劣悪です。そして高音もシャキシャキでいわゆる「ドンシャリ」。これでは演奏のニュアンスなんてわかったものではありません。だから家に帰って聴いてみたら薄っぺらな演奏だったなんてのが多々あります。試聴機の厚化粧音に見事にごまかされているわけです。
それでも聴かずに買うよりは試聴してから買ったほうがハズレは少ないわけで、試聴機の音の特徴さえわかっていれば、脳内でイコライズして聴けば良いのです。まっとうなオーディオの音を知らない若者は、実はひどいオーディオに騙されて聴いているのではないかと、最近思い始めています。そして、私が言うような細かいニュアンスなんかは、実は最初から聴き取れていない可能性もあるのです。
余談はこのくらいにして。
今日紹介するのはディエゴ・バーバーの『カリマ』(2008年rec. Sunnyside Communications)です。メンバーは、ディエゴ・バーバー(g)、マーク・ターナー(ts)、ラリー・グレナディア(b)、ジェフ・バラード(ds)です。凄いでしょ。リーダーはよく知らない人なのですが、共演者はFLYです。ターナーが抜けてギター・トリオでの演奏もあります。
バーバーは全編アコースティック・ギターを弾いています。ギターの雰囲気はオレゴンのラルフ・タウナーに似ていると思います。そこにスパニッシュ・フレイバーをまぶした感じか。全曲バーバーが作曲。哀愁感漂うギターで、柔らかくナチュラルに語りかけてくれます。アール・クルー的なポップでリズミックな曲もあります。通して聴くとフュージョン風にも聴こえ、難しいところはありませんが軽薄感はありません。
バックのグレナディア、バラードとのコンビネーションもなかなか良いです。バーバーが弾く柔軟で陰影感のあるギターと非常によく絡んでいると思います。そこへターナーのクール・ビューティーな歌心のテナーが入ってくるあたりは気持ち良いことこのうえなしです。FLYが共演ということで内省的と思う方がいるかもしれませんが、そうではないのでご安心下さい。
ターナーと言えば昨年指を切断する事故に遭い、再起が危ぶまれていましが大丈夫だったようですね。ちなみに、このレコーディングはその事故に遭う前のものです。
ラストに収録されている《エアー》は、20分に及ぶ映画のサウンドトラックのような曲です。緩急に富んだ落着いた曲調で、タイトルが示す「空気、大気、空」に象徴されるように、どこかの風景というか天候の移り変わりがイメージできるものです。そのイメージはジャケットの写真に近い感じがします。
ここにあるのは、聴いていて心に安らぎや落ち着きを与えてくれる音楽です。
com-post の新譜レビューに、益子博之さんがこのCDのレビューを書いていますので、是非読んでみて下さい。
アルバム名:『calima』
メンバー:
Diego Barber(g)
Mark Turner(ts)
Lally Grenadier(b)
Jeff Ballard(ds)
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コメント
うわっ、いっきさんの鋭いツッコミ!試聴機問題(笑)。
あれって、オーディオテクニカの機器が多いように思うのですが、
タワーの人がトーンコントロールは出来ないですよね?
きっと、歌謡曲かJポップにバランスが合わされているのでは?
・・・打込みの音に合わされているツーことですね。
まぁ、その音で満足な人が多いという事実だと思います。
ディエゴ・バーバーの『カリマ』は気になるアルバムです。
投稿: tommy | 2009年6月19日 (金) 03時41分
tommyさん。こんばんは。
音のバランスはメーカー出荷時からわざと低音ブーミーにしてあると思います。おっしゃるとおり、Jポップ打ち込みの音に合わせていると思います。そしてそういう要求があるのだと思います。
それはそれでしょうがないのでしょうが、ではそれで良いのかというと?まあいいかっ(笑)。
投稿: いっき | 2009年6月20日 (土) 00時01分