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坂田明カルテットのライブ

昨日の甲府桜座での坂田明カルテットのライブのレポートです。

P11 今回のライブ、坂田さんのライブだからというだけではなく、ジム・オルークが来るというので見たかったのです。ジム・オルークって90年代アバンギャルド、「音響派」の重要人物ですからね。

オルークのアルバム『ユリイカ』の中の曲は、ジャズ喫茶「いーぐる」の特集でも聴いたことはあったのですが、今一どういうミュージシャンなのかわかっていません。今回せっかくライブがあるので、見てわかっちゃおうという趣向です。坂田明については今更説明の必要はないと思います。

P12 今回のメンバー、坂田明(as,cl)、ジム・オルーク(g)、ダーリン・グレイ(b)、ルイス・コルサーノ(ds)については、桜座の情報紙からのコピーを載せますのでご覧下さい。なかなか凄いメンバーだと思います。

今回のライブはかなり盛況でした。70人くらい入りましたよ。若い人も結構いました。若い人は多分ジム・オルーク目当てです。団塊世代少し前の人達も結構いて、この人達は明らかに坂田さん見たさ、ある意味昔懐かしさです。そして、私の世代に近い人達はマニアックなジャズ・ファンという感じです。女性も結構来ていました。若い人達は彼女連れだったり、女友達どうしだったり、年配の方は奥さん連れだったりという感じでした。こういうアバンギャルド、フリー・インプロ系は広い世代にファン層があって良い感じだと思います。

P13 今年に入ってからか、会場に「撮影禁止」の紙が貼られました。前はミュージシャンに確認をとってもらってから演奏中の写真を撮ったのですが、面倒なので演奏中の写真はなしです。演奏前の写真を撮りましたので雰囲気を感じて下さい。

いきなりですが、今回のライブはとても充実した内容で文句なしに面白かったです。

ファースト・セット。いきなりアップ・テンポで坂田さんがアルトでブリブリ咆哮する幕開けです。今回はエレキギターの大音響ありということで、アコースティック・ベースはもちろんアンプ増幅し、サックスとドラムにもPAがありました。PAで増幅されているとはいえ、坂田さんのアルトはとてもパワフルにしてキレも抜群でしたよ。

アルトはブリブリ、ベースはかきむしり、ドラムはガンガン叩いているところへ、しばらく聴いていたオルークがおもむろにノイジーなギターで切り込んでくるという展開。こういう音楽は大音量あっての良さというのも実感しました。とは言え耳が痛くなるほどの大音量ではありませんでした。途中から坂田さんが抜けてギター・トリオになると、オルークはより奔放なソロを展開しました。また最後は坂田さんが入って演奏終了。

2曲目は坂田さんのオドロオドロしいうなり声から始まりました。私思わずニンマリ。坂田さんならではと思ったのです。声を音響として使うのってなかなか良いのです。バックもオドロオドロしい雰囲気をうまく演出していました。このオドロオドロしさが和テイスト。バンド名「恐山」に通じますね。

ベースがハウリング(フィードバック)を使った重低音を出したり、ドラマーがホースのようなものを循環呼吸で吹いたりと、各人が曲のイメージをそれぞれの個性で奔放にやりつつ表現するのが魅力的でした。坂田さんがクラリネットを吹きオルークが低音でフレーズを弾く静かなデュオの部分にも引き込まれました。

ファースト・セットは2曲で1時間弱。全編フリー・インプロビゼーションなのですが、聴所だけでなく見所も満載でした。でもセカンド・セットは更に凄かったのです。

休憩を挟んでセカンド・セット開始。ドラムのソロから入りました。坂田さんは鈴を鳴らしながらステージを1周してあとはしばらく見守る感じ。途中から入ったオルークが凄かったです。ドライバー(日常雑貨店にある柄が透明と赤の樹脂のやつ)の柄の部分でギターを狂ったように掻きむしったのです(笑)。途中からはアンプにつながるコードのプラグをギターから抜いて、その金属部分を握ったり離したりしてのノイズ演奏。酔っ払いの如くフラフラ踊りながらやるものだから若い観客には大ウケでした(笑)。

それを見た坂田さんが両手を上げたり下げたりして観客を煽りつつ、オルークのノイズ演奏はしばらく続きました。そして坂田さんは分けのわからないトークから入り、壇ノ浦の合戦を叫ぶようにリーディング。オルークはプラグをピックアップに接続してそれを使ってのハモニカ演奏。これらの展開がなんとも面白かったです。その後オルークはベースの弦一本をはずしたり、ピックアップをベースのボディーにくっ付けて音を拾ったり、シンバルの振動を拾ったりとやりたい放題(笑)。

オルークは途中でギター弦の張りを緩めたり強めたりしながらも演奏していましたので、チューニングはめちゃくちゃに狂ってしまったんでしょうね(笑)。ベースのソロでは弓弾きだけでなく、棒で弦を叩いたりフィードバックを使ったりと、あらゆる方法で音響を作っていました。坂田さんはクラリネットとアルトも吹きました。

こう書いてくると、なんか適当めちゃくちゃに演奏していると思われるかもしれませんがさにあらず。オルークは色々なエフェクターを微妙に操作しながら音響を作り出しているのですし、4人がそれぞれの音を聴きながら、次にどんな音を出したら面白くなるのかはちゃんと考えながら演奏していました。グループとしてのまとまりも凄く良いと思いました。

セカンド・セットは上記のような感じで、ありとあらゆる音響を使いながら、ソロありデュオありトリオありカルテットありで、切れ目無しのフリー・インプロビゼーションを1時間強。これぞサウンド・スペクタクル。いや~っ、面白かったです。こういう演奏はパフォーマンスも含めてのものなので、聴くだけではその良さはわからないでしょうね。

アンコールは全員で怒涛のフリー・インプロビゼーションの短い曲。セカンド・セットでやりつくしていますから、これはあくまでオマケですね。

今回のライブはとても充実した内容で文句なしに面白かったです。

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