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日本人ジャズを聴こう。久々!

昨日のジャパンの続きをちょっと。
ジャパンが私のジャズ聴きにつながるということを書きました。それをもう少し具体的に書くと、『孤独な影』を聴いていたから、その後聴くマイルスやウェザー・リポートにあまり違和感を感じなかったのではないかと思うということです。もちろん影響(直接的にはないと思う)の方向は、マイルス&ウェザー⇒ジャパン。なので、ジャパンの中に認められる私が面白いと感じるもののルーツがマイルスやウェザーにあるように思うのです。

さて、今日のお題の日本人ジャズは、

P28 sim+otomo『Monte alto Estate』(2009年rec. doubt music)です。メンバーは、ユニットsim:大島輝之(guitar, composition)、大谷能生(computer, electronics, etc.)、植村昌弘(drums)と、大友良英(turntables, self-made symthesizer)です。「東京大学のアルバート・アイラー」を菊地成孔さんと一緒に書いた大谷さんと、現フリー・ジャズ界の最重要人物大友さんの共演です。面白そうでしょ。

doubt musicと言えば、元ディスクユニオンの社員でジャズ批評誌にも投稿しジャズ喫茶「いーぐる」にも縁が深い沼田順さんが主催するレーベルです。その昔ジャズ批評誌上で勃発した沼田さんと寺島靖国さんとの論争には呆れました(笑)。そう言えば昨年末の「いーぐる」ベスト盤大会の打上げで、後藤さんから沼田さんを紹介していただいたのに挨拶を交わしただけでした。

今日なぜこのアルバムを取り上げたかと言えば、もちろんこういうサウンドも好きだからですが、実は「いーぐる」note(掲示板)への以下の書き込みが気になったからです。

ジョシュア・レッドマンのアルバム『コンパス』についての、「こんぱちゅ」様の書き込みです。その最初の部分を抜粋しました。

いきなりテクノの話です。サクッと言えばテクノのミュージシャンは別に
1様々なリズムを組み合わせて細分化させている だけではなく、
2それによって生み出された空間に
3サンプリングによって抽出した様々な音価(楽器じゃなくとも構わない)を散りばめているんですね。

私は思いましたよ。『sim+otomo』にそのまま当てはめたいと。

まずリズムの主体はドラムですが、そのリズムはとても複雑です。タイミングが微妙にコントロールされています。このリズム、doubt musicの新譜解説によると大島さんが作曲した緻密なものらしいです。凄いです。それを叩くドラマーの植村さんもまた凄い。

雲さんから聞いた話によれば、こういうリズム感覚はピアニスト橋本一子さんのグループUb-Xのポリ・グルーヴを支えるドラマー藤本さんにもあるらしいです。正確なリズムと言えばジョン・ホレンベックにもそういうことは言えますね。こういう人達って、テクノにおける機械が生み出すリズムを消化した現代の新感覚派ドラマーなんだと思います。

リズムで面白いのは大島さんのギター、これって現代版リズム・ギター。私がすぐに思い浮かべたのは、その昔で言えばカウント・ベイシー楽団のフレディ・グリーンであり、もう少し後では、70年代のエレクトリック・マイルス・バンドのレジー・ルーカスであり、ヘッド・ハンターズのワー・ワー・ワトソンとレイ・パーカーJr.です。皆さんカッティング・ギターの名手であります。なんで今リスム・ギターなのか?興味深いです。

ベース奏者はいなくて、そのかわりにシンセのベース単音が小説の区切りに入っている曲が多いのも面白いところです。以上のような手法で作られるリズムの全体像としては、腰にくるファンク・グルーヴという感じです。乗りにくそうで乗れちゃうリズム。その空間の上に大谷さんと大友さんのエレクトロニクス音(様々な音価)が散りばめられています。

もう1つ面白いことがあります。オルガンの持続音を被せた曲があるのですが、聴いてピンときました。マイルスのアルバム『ゲット・アップ・ウィズ・イット』に収録されていた《レイテッドX》。後藤雅洋さんが「地獄の」と言い、村井康司さんが「邪悪なサウンド」と言う曲です(笑)。雰囲気が似ています。まあ、こっちの演奏は現代らしく、地獄と邪悪はかなり薄れています。こういうのを聴くとマイルスってとんでもない人だったと思います。今から35年も前にラジカルにやっていたんですから。

というわけで、このアルバムのサウンドは上記テクノの特徴そのものじゃないかと思いました。テクノの雄Y.M.O.が生まれた日本ならではのサウンドここにありです。現代の日本ジャズには面白い人達がいるんですよ。スイングジャーナル誌には間違っても紹介されませんが、こういうのが面白いのです。興味を持った方は是非聴いて下さい。

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コメント

あ、どうも初めまして
いっきさん

自分もジャズ友になれますか?

投稿: こんぱちゅ | 2009年6月 2日 (火) 21時47分

こんぱちゅさん。はじめまして。

コメントいただきましてありがとうございます。
ジャズ友、歓迎しますよ。

私はほぼジャズしか聴いていないので、こんぱちゅさんの聴かれている方面に弱いのです。今回「いーぐる」noteの書き込みを読ませていただいて、なるほどそういう見方があるのかと思いました。

これからも色々なアドバイスをしていただければ幸いです。よろしくお願い致します。

投稿: いっき | 2009年6月 2日 (火) 23時33分

残念ながら自分もそっち方面つよくないです。
ただライブとかは90年代よく行ってました。
その体験レポートですね。あれは。

ジャズでもマイルスの「he loved him mudly」
エリントンの「la plus belle africaine」などは
空間を生み出すことに特化したグルーヴです。

リズムの細分化はマシーンによる現代的な感覚によるものですが、その実そういった音楽自体は昔からあるんですね。

投稿: こんぱちゅ | 2009年6月 3日 (水) 19時35分

こんぱちゅさん。こんばんは。

ライブ体験からのご意見なんですか。
そういう体験をたくさんされているなんて羨ましいです。
私は90年代は茨城の北の方に住んでいて、仕事にも追われていたので、ライブを見に行くことがほとんどなかったんですよ。

エリントンもたまには聴きますが、
>空間を生み出すことに特化したグルーヴ
とまでは思って聴いていませんでした。
これに限らず方法自体は過去にあるというパターンは多いですよね?

私はエリントン(特にライブ盤)を聴くと、いつもアメリカのエンターテインメントっていいなあと思ってしまいます。

投稿: いっき | 2009年6月 3日 (水) 20時26分

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