今日も青春の1枚!
最近ジャズに食傷ぎみのようです。
そんな時はジャズ以外を聴いてリフレッシュ!
昨日に続いて今日も青春の1枚。
ジャパンの『クワイエット・ライフ』(1979年、ビクター)です。セックス・ピストルズなどパンク・ロックを聴いている友達から教えてもらって聴くようになりました。セックス・ピストルズのカセットも貸してもらって聴いたのですが、こちらはちょっとダメでしたね。この年はYMOとテクノ・ポップがブレイクした年。プラスティックス、ヒカシュー、Pモデルがテレビに出まくっていました。
で、ジャパン。ジャケットはヴォーカルでリーダーのデヴィッド・シルビアン。お化粧しています(笑)。そう、イギリスの元祖ビジュアル系ロック・バンドなのです。そのうえグループ名が「ジャパン」ときたもんだ、胡散臭い色物バンドな感じがプンプンなのですが、さにあらず。音楽性はかなり高いものを持っていました。化粧についても実は反社会的な意味づけを持っているんですがここでは省略。
私は友達から1作目『果てしなき反抗』、2作目『苦悩の旋律』のカセットを貸してもらって聴いていたら、3作目のこのアルバムが出たので買いました。話がちょっとそれますが、アルバムの邦題はなんか凄いことになってますよね。原題は『アドレセント・セックス(青春期のセックス)』と『アブスキュア・オルタナティブ(あいまいな二者択一)』で、もともと変なタイトル。それを更にいかにもロック的かつ青少年向け(セックスはNGね)タイトルに変えています。ジャズにもこういう遊び心があれば面白いのにね。
さてアルバムの話に戻ります。ライナーノーツによればグラム・ロック・リバイバル、ロキシー・ミュージックからの影響と書かれています。ま、ジャズファンにこんな話をしてもわからないのでしょうが、一応参考までに書いておきます。まず最初に言っておかなければならないのはデヴィッド・シルビアンの歌。何とも甘く色気のある声で、ネットリ感を持ちつつ退廃的に歌うのが個性的。ちょっと危ない世界かも(笑)?社会批判を含んだ男女の愛を歌っています。
バンド・サウンドは、ベースのミック・カーン(アルト・サックスも吹きます)とドラムのスティーブ・ジャンセンが作り出す、粘っこくてドライブ感のあるグルーヴが基本となっています。特にカーンのベース(フレットレス)はブニョブニョしていて変な感触なのですが、嵌るとこれが最高の心地良さに変わります。ギターとキーボード奏者がいますが、こちらはサウンドの構築に使われていて、ギンギンのソロはありません。むしろ目立つのは数曲でのカーンのアルト・サックス・ソロ。そして本作はパンクからの流れにあった前2作とはかなりサウンドが変化しているのです。
全体を通しての雰囲気は重厚で落着いたもので、イギリス特有の湿度と曇り空のような感じがします(イギリスに行ったことはないのであくまで私のイメージ)。はじけてカラットしたロックとは全く反対のサウンド。で、ジャジーなものを感じるということです。ここに展開されるサウンドはロックよりジャズに親和性を感じます。バンド解散後には、キーメンバーだったシルビアン、カーン、ジャンセンは、当然の如くジャズへの接近もみられるのでした。
このアルバム、私にとっては8曲全てが良いのだから困ったものです。ジャパンについては、次作『ジェントルマン・テイク・ポラロイズ(邦題:孤独な影)』まで聴いておしまい。翌年は私が受験勉強に追われ音楽どころではなかったし、その後はジャズを聴くようになってしまったからです。実はこの『孤独な影』には1曲だけYMOの坂本龍一が参加しています。当時私はYMOも好きで聴いていたので驚きつつ納得するものがありました。
ジャパンはその次の『ブリキの太鼓(ティン・ドラム)』で更に高みに上るわけですが、実は私がこれを聴いたのは一昨年なのです。急にジャパンが聴きたくなってレコードを買ったのです。ジャパン最後のアルバム『オイル・オン・キャンバス』(ライブ録音2枚組)も買いましたが、今聴いてもジャパンの音楽はカッコイイと思いますし、私の好きなサウンドです。
少々こじつけですが、昨日のビリー・ジョエルと言い今日のジャパンと言い、私のジャズへの接近は徐々に進行していたのではないかと思います。
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コメント
ジャパン、いいっすねぇ~。
『錻力の太鼓』は大好きで、今だによく聴いています。
『孤独な影』も《スイング》のベースを聴いて、なんじゃこりゃ~!と大爆笑した記憶があります。
私がベースを弾きたい!と最初に思ったキッカケはミック・カーンなんですよ。
ジャパンのライブ映像見ると、ミックカーンの足技がそうとうヘンで素晴らしい!
もし、ご覧になったことがなければ、超オススメなので、今度お会いするときに映像をお持ちしましょうか?
VHSですが(笑)。
投稿: 雲 | 2009年5月28日 (木) 15時06分
雲さん。こんばんは。
いいっすよね~。
『錻力の太鼓』の出来はかなりのものだと思います。
>『孤独な影』も《スイング》のベースを聴いて、なんじゃこりゃ~!と大爆笑
ほんとにブッ飛んでると思います。とにかく変です。
この曲では当時のちゃちなリズム・ボックスを取り入れていたり、リチャード・バルビエリの怪しげなキーボード・ワークも冴えていると思います。
雲さんがミック・カーンを聴いて、ベースを弾きたいと思ったっていうのが変態チックで好きです(笑)。
>ジャパンのライブ映像見ると、ミックカーンの足技がそうとうヘンで素晴らしい!
らしいですね。まだ見ていないので是非見てみたいです。
今度お会いするときに貸して下さい。VHSO.K.です。
よろしくお願い致します。
投稿: いっき | 2009年5月28日 (木) 21時44分