最近買った新譜を紹介
ミュージックバードの公開録音の時に買ったCDあと2枚を紹介します。
まずはデヴィッド・ビニーの『サード・オケイジョン』(2008年rec. beenknee music)です。メンバーは、デヴィッド・ビニー(as)、クレイグ・テイボーン(p)、スコット・コリー(b)、ブライアン・ブレイド(ds)、+ブラス・セクション4名です。ニューヨークの精鋭揃いです。このメンバーを見たら買わないわけにはいきません。
デヴィッド・ビニーは現代注目アルト奏者なので追いかけています。注目アルト奏者としてはミゲル・セノーンもいます。余談ですが、ビニーは背が低くて顔がナイナイの岡村似なんで笑ってしまいます。
このアルバムは全曲ビニー作曲のオリジナルで、構成もしっかりしていて丁寧に繊細に作られています。メロディーはアブストラクトとメランコリックの絶妙なブレンドといった感じです。淡々としていつつもじわじわ心に染みてきます。淡い色合いのブラス・セクションが時々加えられていて、これが曲に深みを与えています。ブラスの使い方はハービー・ハンコックの『スピーク・ライク・ア・チャイルド』的ですね。
最初ゆっくり始まって途中から熱をおび、ビニーが燃え上がってくるとブレイドがドラムで絶妙な煽りを加える曲構成が多いです。テイボーンはアコースティック・ピアノに徹していて、過激な演奏というのではなく、内に炎を燃やしつつじわりじわりと音を重ねていくような重厚なプレーです。ビニーが抜けたピアノ・トリオの演奏もかなりクオリティーが高いです。
全体を通して聴くと、明るいわけではありませんが、だからと言って憂鬱な暗さはないと思います。淡い色合いの落着いた感じで、その中にじわじわ燃えるソロがちりばめられています。じっくり音に向かい合えば、充実感を味わえる作品になっているのではないかと思いますよ。でもこういうのは今、一部の人にしか受けないんですよね(涙)。
次はメルヴィン・ギブス・エレヴェイティッド・エンティティの『エンシェンツ・スピーク』(2009年、Archetext Music BMI)です。メンバーはメルヴィン・ギブス(b,key,programing)、キーボード:クレイグ・テイボーン、ジョン・メデスキー他、ギター:ピート・コージー他、ボーカル、パーカッション、ドラム、ラップ、ホーンズと多数参加しています。
なんでこのアルバムを買ったかといえば、上記のメンバーを見て怪しいと思ったからです(笑)。特に怪しかったのはピート・コージー。マイルス引退前のバンドで過激なギターを弾いていたその人です。残念ながらコージーは数曲しか参加していませんでした。
1曲目。いきなりアフリカン・パーカッションにのって、アフリカンなボーカルが聴こえてきます。こりゃ期待どおりの怪しさです。そこヘヴィーなビートが被さりさらにラップまで飛び出します。ヤバいです。これ、ジャズじゃないです。クゥ~ッ、たまらんです(笑)!
中にはアラブなボーカルナンバーもあります。ドラムン・ベースな打ち込みリズムが麻薬的。その上でピート・コージーが過激でブルージーなソロをとっていて、ニンマリさせてくれます。比較的普通のラップ・ナンバーもあります。
これを聴いているとかなり危険なクラブが似合いそうな感じがします。真っ暗な中、怪しげな煙がそこここから立ち上り、お相撲さんのような体格のブラザーがサングラスをかけて、ソファーに体をドップリ沈めているようなとでも言いましょうか?ハリウッド映画の見過ぎかな(笑)?
このアルバムを聴いていると、クラブ・ジャズなんてかわいいもんだよなと思えてきます(笑)。クラブはクラブでももっと危険です。取扱い注意!
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