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このメンバーに”ピン!”ときたら。

このメンバーを見て”ピン!”ときたら、迷わず買いでしょう。

P120 アンジェリカ・サンチェス『ライフ・ビトウィーン』(2007年rec. clean feed)です。メンバーは、アンジェリカ・サンチェス(p,wurlitzer)、マルク・デュクレ(el-g)、トニー・マラビー(ts)、ドリュー・グレス(b)、トム・レイニー(ds)です。そしてクリーン・フィード・レーベルは、ここ数年次々とフリー系の問題作を作り続ける重要レーベルですよね。

アンジェリカ・サンチェスなんて知らない人なのに、なんでこんなに凄いメンバーが集結しているのでしょうか。なんとアンジェリカはトニー・マラビーの奥さんなのです。なるほど、ニューヨーク・ダウンタウンの精鋭メンバーが集結しているわけです。もちろんこのメンバーなのですからハズレはあり得ませんよ。

全曲アンジェリカ作曲なのですが、分かりやすい美メロ曲はありません。まあ、このメンバーを見て買う人は美メロなんて期待していないと思いますが(笑)。でも私はなかなか良い曲だと思います。特にマラビーの特徴を生かす曲になっているところが、奥さんらしいところだと思います(笑)。弾いているエレピがローズではなくウーリー(ウーリッツァ・エレクトリック・ピアノ)というのが曲者ですよね。

マラビーは何度も紹介しているのですが、この人はアドリブ一発もできる人なのに、それを越えたところで、触覚的な音を使ったニュアンス溢れるプレーをするのが素晴しいと思っています。こういうのは新感覚としか言いようがないのです。

ここには更にマルク・デュクレというアバンギャルド・ギタリストも参加しています。デュクレはあのティム・バーンのところで尖がったギターを弾いている人です。ここでも充分アグレッシブかつニュアンス溢れるプレーをしています。

そしてドラムはトム・レイニーです。この人を知った頃、私はそのギクシャクしたリズムにどうもなじめなかったのですが、今やこの人が入っていると買いたくなってしまうのだから、人の感覚なんていい加減で変わりやすいものです。レイニーの多様に変化する複雑なリズムは演奏の重要な位置を占めています。

ベースのドリュー・グレスは他のメンバーからすると目立ちませんが、レイニーの複雑なリズムにさりげなくぴったり寄り添って演奏をドライブさせています。

最後になってしまったのですが、リーダーのアンジェリカはピアノもウーリーもまろやかでコクがある音です。そんな音でマラビーを包み込むように慈しむようにプレーしている感じがします。そして悪ガキ達を優しく見守る母のような存在で演奏全体を包んでいる感じもするのです。

このアルバムは単なるフリー・インプロビゼーションではなく、ある程度曲の枠組みができていて、その中で自由なプレーをしています。マラビーとデュクレが目立つのは当たり前なのですが、決して尖がり性ばかりではなく、アルバム全体を通すと不思議な優しさや深みのある作品になっています。

やんちゃなメンバーを集めておいて、しっかり自分の音楽にまとめあげてしまうアンジェリカ、実はなかなかしたたかな奥さんなのではないかと思ってしまいます(笑)。

じっくり味わえるアルバムになっていると思いますがいかがでしょう?

アルバム名:『Life Between』
メンバー:
Angelica Sanchez(p, wurlitzer)
Marc Ducret(el-g)
Tony Malaby(ts)
Drew Gress(b)
Tom Rainey(ds)

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コメント

いっきさん、こんにちは。
いっきさんはガンガン「今ジャズ」聴いていますね。いいことです!!(笑)。これからは「トニー・マラビー」がキモなんだろうなー。これは「聴いて持ってた方がいいよ」つーアルバムを1枚推薦してください。気にいったら、それから広げて行きたいと思います。
いっきさんはオイラのツボも分かっていると思うので、そこんとこチョイスでお願いします(笑)。

先日のCHICO FREEMAN「Tradition in Transition」はまだCD化されていないようですね。オイラはチコ・フリーマンはかなり集めたつもりだったのですがね・・・残念、持っていませんでした。

投稿: tommy | 2009年3月14日 (土) 16時32分

CHICO FREEMAN「Tradition in Transition」は去年の10月に初CD化されたようです。早速、アマゾンでゲットしました(笑)。

投稿: tommy | 2009年3月14日 (土) 16時37分

tommyさん。こんにちは。

トニー・マラビーの1枚というならこれしかありません。オープン・ルーズの『ストレンジ・ユニゾン』。私のブログ:http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-456b.html で紹介していますので、参考にしてみて下さい。これを推薦するのはマラビーにしては比較的オーソドックスで歌の要素もあるからです。
チコ・フリーマンの「Tradition in Transition」が初CD化ですか。この時期のこういう雰囲気のアルバムが一番CD化されにくいのでしょうね。

投稿: いっき | 2009年3月14日 (土) 18時06分

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