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2008年オススメの辛口JAZZ!

昨年のジャズ喫茶「いーぐる」の「2008年年末ベスト盤大会」でも、何人かの方が優秀盤として挙げていたアルバムを紹介します。

P104 マリオ・パヴォーン『アンセスターズ』(2008年rec. PLAYSCAPE RECORDINGS)。メンバーは、マリオ・パヴォーン(b)、トニー・マラビー(ts,ss)、ジミー・グリーン(ts,ss)、ピーター・マドセン(p)、ジェラルド・クリーヴァー(ds)です。このメンバー凄いですよね。

マリオ・パヴォーンは、若くして惜しくも亡くなったトーマス・チェイピン・トリオのベーシストだった人です。私はトーマス・チェイピン・トリオが好きなのです。伝統的なものを背負いながらも、新しいセンスを持っていて柔軟で自由で開放的なことろが良いです。パヴォーンはそのトリオで強靭なベースを弾いていました。ジャケッ写を見て下さい。インテリで優しげなカッコイイおじさんです(笑)。強靭なベースを弾くようにはとても見えません。

サックスが重量級のトニー・マラビーとジミー・グリーンっていうんだから期待してしまいます。グリーンが右、マラビーが左に位置しているようです。1曲目はソロになると定位が真中になるので、ちょっとどちらがどちらかよくわからない感じなのですが、先発がマラビーでしょう。マラビーはちょっと太めの音で、グリーンは高音寄りなので、音色的にはグリーンのほうが前に出て聴こえます。

各曲で2人ともかなり気合が入ったソロをとるのですが、グリーンが伝統につながった範囲での奔放なのに対して、マラビーはもっと新しい発想に基づく奔放さだと思います。2人がテナーを吹く曲、マラビーがソプラノでグリーンがテナーの曲、2人がソプラノを吹く曲があります。2人とも似たタイプのサックス奏者なので、違うタイプのサックス奏者のほうが面白いという意見もあるでしょうが、私はこれはこれで差も分かるし面白いと思いました。

ピアノのマドセンが、サックスに負けないくらい強靭で切れたプレイをしているところもポイントが高いです。それにドラムがジェラルド・クリーヴァーですよ。パヴォーンとクリーヴァーの組み合わせはもちろん強靭につきるのですが、自分達が目立ち過ぎるようなところは意外とありません。とにかくエネルギーがモリモリ湧き出てくるようなリズムなので、フロントの2人ははりきらざるを得ないでしょうね。このリズムにのれば間違いなく気持ち良くプレイできると思います。

全曲パヴォーンの作です。編曲は曲によって結構工夫を凝らしています。正直言って曲は美メロとは言い難いアドリブの素材としての曲なので、メロディー命の人には薦めません。まあ、このメンバーを見て買う人は美メロなんて求めないと思いますが(笑)。アドリブのキレとパワーを聴くアルバムなのです。大音量で聴けばスカッとしますよ。

間違いなく2008年の優秀盤。必聴です!

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ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

サイドマンとしてのマラビーですね。double Tenor Quintetと銘打つは半端じゃない意気込みを感じますね。凄そうです。
それに、いっきさんの熱い書き込みを読んでいると「聴きたい度(℃)数」がどんどん高まってきます(笑)。
「アドリブのキレとパワーを聴くアルバム」←こういう言葉に弱いんですよ(笑)。聴いてみます!

投稿: I | 2009年2月18日 (水) 22時57分

いっきさん、こんばんは。
オイラは路線を変更しました(笑)。'60年代〜'70年代の自分の体験を今風にアレンジして、息子に受け渡すことにします。そのためには当時のジャズやフュージョンなどの境をなくして、「楽しい音楽、バンドでやりたい音楽」に徹するつもりです。いろいろ話したのですが、正当派ジャズ聴きだとハードルが高くて「オジサンたちのお勉強音楽に思える」ツー意見でした。そう言われちゃ〜ね(笑)。暫くの間、ちょっと横道に逸れて遊んできます(帰ってこないかも?)。
最近のチック・コリアのリリースの多さも気になるところ、グラミーまで貰うツーことは、海の向こうでは何が起こっているの?(笑)。

投稿: tommy | 2009年2月18日 (水) 23時49分

こんばんは。

Iさん。
これはオススメです。やっぱりマラビーは凄いヤツだと思います。メンバー全員気合入ってます。元気のないご時勢だからこそ、こういうジャズを聴いてパワーをもらいたいと思っています(笑)。

tommyさん。
軟弱路線ですか~(笑)。今日TVを見ていたら、最近の若い男は’草食系’だという話題をやっていて、なるほどな~と思いました。
正統派ジャズってハードルはちょっと高いのかもしれないですけど、越えれば何とも言えないカタルシスがあると思いませんか?けっしてお勉強音楽ではないと思います。
お勉強音楽と思わせてしまう状況があるのなら、それをなんとかしたいです。私は「実はハードルなんてそんなに高くないんですよ。好奇心と少し真剣に聴く姿勢があれば、その先はバラ色です!」と教えてあげたいんです。これまた余計なお節介かな(笑)?
チックについてはよくわかりませ~ん(笑)。最近興味が湧きません。ゴメンナサイ!

投稿: いっき | 2009年2月19日 (木) 00時44分

聴かれているジャズのアルバムの殆どが、今じゃないからかな?
流行っていない音楽を、流行っていた時を体験しているオイラが
伝えようとしているのにムリがあるのかもね?
その思い込みが「暑クルシイ〜」と言われれば、確かにそうかも?(笑)。
きっと幸せなんですよ。孤独じゃないとジャズを好きにならない。

投稿: tommy | 2009年2月19日 (木) 01時14分

tommyさん。
古いとか今とかあんまり考えないで、もっとシンプルに音楽の良さを伝えれば良いのではないでしょうか?「このノリが最高。」とか「この音がたまらん。」とか。
寺島さんが選ぶ音源には疑問ありですが、伝える方法はそういうシンプルな方法をとっているところが良いと思う私です。
雲さんも同様にシンプルだと思います。

投稿: いっき | 2009年2月19日 (木) 02時12分

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