「いーぐる」2008年下半期新譜特集(その4)
「NYダウンタウンを中心とした2008年下半期の新譜特集」のレポートの続きです。
この特集でかけた曲の詳細は、「いーぐる」のホームページ:http://www.02.246.ne.jp/~unamas/eagle.html の「diary」に掲載されています。
1年半ほど前、この手のジャズはわかるようなわからないようなモヤモヤした感じでした。益子さんの講演「21世紀ジャズへのいくつかの補助線」や「新譜特集」へ参加したり、CDを買って聴き込むうちにだんだんモヤモヤは晴れてきて、今回はほとんど違和感がなくなっていました。
こういうのってたくさん聴かないと、やっぱり気持ちの中にスーッと入ってこないんですよね。まあ違和感があったのは、アドリブ一発のジャズ・フォーマットが私の中にしみついてしまっていたからで、ジャズというものに固定概念を持たない状態で聴いたら、意外とスーッと入ってくるのかもしれません。
この特集でかかったアルバムは、私としてはジャズというものに柔軟な姿勢で接する方に是非聴いていただきたいと思っています。
それでは参りましょうか。
⑫市野元彦のアルバム『Time Flows (Like Water)』から《Oceanus》 市野元彦(eg,loops)、是安則克(b)、外山明(ds)、土井徳浩(cl)
日本人による今時のニューヨーク・ダウンタウンのサウンド。土井のクラリネットが懐かしさをよびます。外山のドラムは定型リズムを刻まずポール・モチアンみたいな感じです。市野のギターをビル・フリゼールの系譜と言って安心するようなところがあるが、ちょっと違うとのこと。クラリネットはクレッツマーの流れで原田さんも良いと言っています。後藤さんはクラリネットが良く、他のアルバムと比較しても、劣っていないどころか良いくらいだと言っていました。
このアルバムのレビューはジャズ・サイト’com-post’のクロス・レビュー
http://com-post.jp/index.php?catid=5&startpos=5
をご覧下さい。益子さんをはじめ’com-post’メンバー全員がレビューを書いていて、それぞれが個性的でとても面白いですよ。
私があらためて書くことはないのですが、敢えて加えるとすれば、クラリネットが入るとヨーロッパの響きが感じられることと、日本人独特のしなやかな優しさがサウンド全体に漂っているということです。
3月頭に「ピット・イン」でライブがあるそうです。
⑬橋爪亮督グループのアルバム『As We Breathe』から《Sing》 橋爪亮督(ts,loops)、市野元彦(eg)、浅川太平(fender rhodes)、織原良次(electric fretless bass)、橋本学(ds)
これも上記のアルバムと同様、今時のニューヨーク・ダウンタウンのサウンドです。橋爪のサックスはCDではアドリブの良さが少ないが、生だとかなりうまいとのことです。
このアルバムは、繊細で微妙なニュアンスを感じとらないと良さがわからないのではないかと思います。私はここにも日本人独特のしなやかな優しさがサウンド全体に漂っていると思います。ニューヨークの人達がやっているのは暗さが心に響いてくるのに対して、こちらはなぜか安堵感に包まれる感じがするのは私だけ?
ハイッ!これにておしまいです。
以上紹介した13枚、どれでも良いので是非1枚は聴いてみて下さい。
そして、気に入ったらメンバーを見て、そのメンバーの他のアルバムも聴いて、人脈聴きをしてみて下さい。そこからジャズの世界が広がっていくと思いますよ。
*
明日2/14と明後日2/15は「高野 雲の快楽ジャス通信」の放送20回目。
「A列車でいこう」特集です。
さて、雲さんはどんな演奏をセレクトしてくれるのでしょう?とても楽しみです。
聴きましょう!
内容については高野 雲さんのブログ:快楽ジャズ通信
にもアップされますのでご覧下さい。
全国コミュニティーFM局では、毎週土曜日20:00~20:55に放送。
ミュージックバードでは、毎週日曜日22:00~23:00に放送。
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