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1980年「ジャズ・ディスク大賞」の’銀賞’!

今日は好き嫌いが分かれるだろう1枚を紹介しましょう。

P107 ギル・エバンス『ライブ・アット・ザ・パブリック・シアター(ニューヨーク1980)』(1980年rec. TRIO RECORDS)です。メンバーは、ギル・エバンス(el-p)、菊地雅章(key)、ピート・レヴィン(key)、ティム・ランダース(el-b)、ビリー・コブハム(ds)、アリリオ・リマ(per)、アーサー・ブライス(as,ss)、ハミエット・ブルーイェット(bs,a-fl)、ジョン・クラーク(hor)、ルー・ソロフ(tp)、ジョン・ファディス(tp)、ハンニバル・マーヴィン・ピーターソン(tp)、ジョージ・ルイス(tb)、デイヴ・バージェロン(tb,tuba)です。いや~っ、凄いメンバーです。

このアルバム、スイングジャーナル誌「ジャズ・ディスク大賞」1980年’銀賞’です。こんな商業セールスにつながらない芸術的アルバムでも昔は受賞していたのです。今じゃあ考えられません。このアルバムは、当時あまり演奏活動をしていなかった菊地雅章がプロデュースして、セールスはあまり期待できないギルのオーケストラを、日本のオーディオ・メーカーの「トリオ(現:ケンウッド)」が録音したというものです。ちなみに菊地は翌年問題作『ススト』を出します。

当時のオーディオ・メーカーはオーディオ・ブームで稼いでいたとは言え、商業的な理由から大手レコード会社が録音しないようなギルのオーケストラのライブをはるばるアメリカまで録音しい行ったのだから凄い。そして、この音楽の価値や録音された意義を認めて「ジャズ・ディスク大賞」の’銀賞’にした評論家も偉いと思いませんか?あれから30年弱、世の中は完全に経済原則に牛耳られ、芸術・文化的なものは肩身が狭いような感じがします。

まあ前置きはこのくらいでやめておきましょう!皆さんに怒られそうです(笑)。

私はこのアルバムが出た2年後からジャズを聴いているのですが、当時はジャズについて知りたくて知りたくて、スイングジャーナルやジャズ歴史本などを読み漁っていました。そうなってくると気になるのが「ジャズ・ディスク大賞」。金賞、銀賞をとったアルバムくらいは聴いておこうと思ってこのアルバムを買ったんだと思います。とは言っても当時の金賞、銀賞の全てを買ったわけではありません。

さて、このアルバム。買って聴いての印象はというと、なんかどんより雲っていて、鉛色の雲に空が覆われた感じとでも言いましょうか?聴いていて気持ちが沈んでいきました(笑)。A面なんて、モノ・トーンのメロディーのテーマが出たり消えたり、ホーンのアンサンブルもほとんどはじけることはなく、ビリー・コブハムの重いリズム・・・。演奏が終わった後の会場の拍手、少なっ(笑)!こりゃっ商業的には厳しいでしょっ。普通ならもう聴くのが嫌になりますよね。でも私はそうなりませんでした。B面の演奏に惹かれたからです。

B面1曲目はジミ・ヘンドリックス《ストーン・フリー》。このアルバムの中で唯一8ビートの躍動的なリズムを持っていました。これでかろうじて聴く気持ちが湧いたのです。出だしのギルが弾くヤマハのエレピ。心なしか弾んで聴こえたのが良かったのかも(笑)。ビリー・コブハムのヘビー・グルーヴってやっぱり良いです。ヴァージェロンの熱く狂おしいトロンボーン・ソロなんか最高です。続くはブルーイェットのバリトン・サックス・ソロ。こいつも当然熱いです。バックでは色んな音が飛び交い、最後にはフリーに絡みあって咆哮。快感!テーマの合奏に戻っておしまい。

今考えると若さもあるのでしょうが、私って当時からこういう熱気溢れる演奏が好きだったんですね。あははっ!

B面2曲目はチャールズ・ミンガス《オレンジ・ワズ・ザ・カラー・オブ・ハー・ドレス》。正確にはもっと長いタイトルらしいです。1曲目の熱気を冷ますかの如く、ギルのけだるいエレピで幕を開けます。この辺りの演出にもやられましたね(笑)。スローでムーディーなホーン・アンサンブルが続くと気持ちがどんどん引き込まれまていきます。そこにジョージ・ルイスのトロンボーン・ソロ。切々と歌います。と思っていると突然テンポ・アップ、しばらくするとミドル・テンポに落として、最後にはスロー・テンポに戻るという、上手いっ!

どうやら当時の私は、ギルの特徴であるホーン陣の淡く柔らかい広がりのあるアンサンブルよりは、演出とソロの熱さに魅力を感じていたようです。A面は逆に俗に言うギルの魅力に溢れていると思います。アリリオ・リマのパーカッションが彩りをそえているところもポイントです。そうそう、《ジー・ジー》でのハンニバル・マービン・ピーターソンの強烈なトランペット・ソロは感動ものだということを言っておかねばなりません。

ところでB面なんか聴いていると、芸術=高尚とかって感じではないんですよ。商業的⇔芸術的なところから、芸術的だと何か高尚で小難しいとかってイメージになってしまうのも短絡的過ぎるのではないかと思います。そんなわけでギルはわからないと決めつけてしまって、はなから聴かない人がいたり、聴かないほうが良いと言う人がいるのが残念でなりません。

明日/21明後日/22高野 雲の快楽ジャス通信」の放送21回目。
「現代ヨーロッパのベース特集」です。
ゲストは雲さんのベースの師匠池田達也さんです。

ベーシストが語る現代ヨーロッパのベースとは如何に?
とても楽しみです。聴きましょう!

内容については高野 雲さんのブログ:快楽ジャズ通信
にもアップされますのでご覧下さい。

全国コミュニティーFM局では、毎週土曜日20:00~20:55に放送。
ミュージックバードでは、毎週日曜日22:00~23:00に放送。

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