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「快楽ジャズ通信」パット・メセニー特集(その2)

さて、昨日の続きです。
実は、昨日のブログの2曲かけてトークした部分だけで、既に番組の半分になってしまいました(汗)。ちょっとしゃべり過ぎですよね。今回も放送で言っていないことも追加して書いています。

次はアルバム『スティル・ライフ』から曲をかけます。このアルバムは、パット・メセニーがECMレーベルからゲフィン・レーベルへ移籍して、2枚目のアルバムです。例のコラージュ・ジャケトの最初のアルバムでもあります。移籍後1枚目のアルバムはオーネット・コールマンと念願の共演を果たした『ソングX』です。ご存知のとおりフリー・ジャズをやっていますので、好き嫌いは分かれるところでしょうが、私は好きです。

この『スティル・ライフ』を聴いて、私は完全にメセニーに惚れました(笑)。このアルバムは、ECMにいた時よりポピュラリティーを増していて、ナチュラルでヒューマンな響きを持った曲が収録されています。以前の作よりボーカルを大きくフィーチュアしているところも特徴です。

アルバム1曲目《ミヌワノ》は、特に気に入った曲です。きれいで幻想的なボーカルから入り、バックのアコースティック・ベースの響きも心地良いです。そして、オルガン的なシンセの音に導かれ、エコーのかかったさわやかなメセニーのギターが入ってきます。続くギター・ソロの部分はテクニック生かした速弾きのドライヴ感溢れるものです。

曲調が一転し、マリンバとスネア・ドラムの躍動的なプレーがあります。短いベース・ソロの後に出てくる、壮大な感じのシンセの短いフレーズが私は大好きです。ここからは前半のテーマに戻り、ボーカルとギターのユニゾンでまた盛り上げっていって終わります。この曲構成は素晴しいと思います。放送では上記の部分を端折った説明(時間の関係上)をして、この曲構成も聴いてほしいと言っています。

ここで《ミヌワノ》曲をかけます。

曲がかかっている間に、雲さんがジャズ喫茶「いーぐる」でも、このアルバムがかかっていたと言っていました。ジャケットに見覚えがあるんだそうです。

曲が終わったところで、雲さんが「シンバルがスゲー気持ち良かったんですが。」と言います。ここでドラマーの説明を少々、このシンバルを叩いているのはポール・ワーティコです。『スティル・ライフ』の前のパット・メセニー・グループ(以下PMGと略す)のアルバム『ファースト・サークル』(ECMでの最後のアルバム)で、前任者ダン・ゴットリーブからメンバーチェンジしています。

私が「『ファースト・サークル』で聴いた時は、ちょっと叩き過ぎる感じがしていたのですが、《ミヌワノ》で聴くと、シンバルやスネアの叩き方は曲にマッチしています。」と言い、雲さんも「曲に溶け合っていてうまい感じで気持ちイイ。」と続けてくれます。ブラジルの速いリズムに非常に合っているということで意見は一致しました。ちなみにこのアルバムでは、他の曲でもワーティコのドラムは、完全にPMGのサウンドに溶け込んでいます。

さて、次は雲さんの選曲です。雲さんによると、メセニーがいいなあと思ったのは、スティーブ・ライヒ《エレクトリック・カウンター・ポイント》という組曲でメセニーを聴いてからだそうです。このトークのB.G.M.は雲さんが作ったミニマル・ミュージックですが、マリンバとゴングとチャイムのような音をいくつも重ねたセンスの良いとても気持ち良い曲です。

雲さんは学生時代、ジャズにも嵌っていたそうですが、現代音楽、ミニマル・ミュージックが凄く好きで、自分で反復だったり短いモチーフを繰り返して少しずつずらして発展させていく手法の音楽を実験的に作っていたとか。宅録オタクでシンセをいっぱい重ねて作っていた時期があったそうです。その一番良い教科書がスティーブ・ライヒで、CDもたくさん持っているとのことです。

そのライヒがメセニーのために作ったのが《エレクトリック・カウンター・ポイント》で、雲さんは当然メセニーを聴くためにではなくて、この組曲が入っている『ディファレント・トレインズ』というアルバムを買ったそうです。このアルバムには組曲《エレクトリック・カウンター・ポイント》の3曲が入っていて、当然メセニーが弾いているんですが、それを聴いて雲さんは「パット・メセニーってイイじゃん。」となり、現代音楽の文脈からメセニーのギターに魅せられていって、少しずつメセニーのワールドが広がっていったそうです。

ここで組曲の中から《ファースト》をかけます。

非常に爽やかな感じの曲です。曲が終わって雲さんが、「これを聴きながら昼寝をすると凄く気持ちイイんですよ。でっ、今パーンと終わったでしょ。終わった瞬間が凄く嫌なんですよ。もっと続けよって思うっていうか。よくあるじゃないですか。工事現場でガガガガガッの音が急に途切れて、いきなり静かになった時の違和感っていうか。」と言っていました。これには非常に共感しましたね(笑)。

でいよいよ最後の曲です。『スティル・ライフ』の次のアルバム『レター・フロム・ホーム』からまたしても1曲目《ハブ・ユーハード》です。この曲はブラジル系サウンドの一つの完成形だと思っています。先にかけた《ミヌワノ》に比べれば、アレンジはシンプルになっていて、メセニーのテクニックを駆使した爽快な気持ち良いギターが聴けます。メイズの多彩でさりげないキーボード・ワークや、安定感のあるロドビーのベースも聴き所です。

このアルバムの後、R&Bやクラブ系サウンド色が濃厚に出た『ウィー・リブ・ヒア』を出すまで6年の間が空くことからも、『レター・フロム・ホーム』はPMGにとって当時やりたいことをやりつくしたアルバムだったのだろうと思います。私はPMGの最高傑作ではないかと思っています。

このアルバムの日本語ライナーノーツは松任谷由美が書いています。その中に「メセニーはインディアン的魂を持っていて、環太平洋でブラジルの方の原住民とも、日本の縄文民族とつながる。遠い昔に会ったような懐かしい気になる。」というようなことを書いています。私はミュージシャンらしいなかなかうまいことを言うなあと思ったのですが、雲さんは「壮大な妄想というか仮説」と言ってます(笑)。それが感じられるかどうか?

放送では言っていませんが、この次に出したメセニーのソロ・アルバム『シークレット・ストーリー』では、環太平洋つながりなのか、東洋的響きも取り入れて、矢野顕子との共演もしていますよね。その後もオリエンタルな響きを取り入れたりしつつ、聴く人の心に郷愁感も感じさせるメセニー流楽園・桃源郷サウンドは進化していくのであります。でもさすがのメセニーも最近はちょっと頭打ちな感じが・・・。

ここで《ハブ・ユーハード》をかけます。

しゃべり過ぎたため、約5分途中でフェード・アウトですが、この曲の肝心な部分は聴けたと思います。エンディングでは前にブログに書いたような、私のマヌケは〆で終わりです。

正直この収録はとても楽しかったです。
好きな曲をかけさせていただいたうえに、言いたいことも言わせていただきました。
ニヤけたヘラヘラしゃべりも、楽しかったからだと思います。
自己満足で申し訳ありませんが、「めでたしめでたし。これにて一件落着です。」(笑)

どうもありがとうございました!

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