クール・ビューティー!アキコ・グレースさんとの深い音楽話。(2)
昨日一挙に書きすぎたので、後半の重要部分を分割しました。
次はグレースさんの新譜『ピアノリウム』から《スペース・タイム・ウォーター、
真空の水》。
雲さんは水があふる感じにしびれたとか。どの箇所かは聴いてみて下さいと。
最初の方の単発の和音が終わって、
メロディーがゆっくり現れるあたりに水が溢れてくる感じがあります。
また単発の和音の部分が少々あり、もう一度メロディーが現れてきます。
そこで高音の転がるような早いパッセージが3回くらい出るんですが、
凄く気持ち良いです。(雲さんはこの部分にしびれたようですね。私も同感です。)
後半はダイナミックさを増していき、
聴いていると水のパワーっていうか生命の息吹につながる感じです。
かなり情景が浮かんでくるような演奏です。
ジャズという枠ではくくれない演奏でした。
グレースさんによると、真空状態にある何にも無いところに水がパッと登場して、
ほんとは動くわけもないんだけどちょっとずつ動いているとのこと。
雲さんはこのアルバムを聴いて、
「ようやく待ち望んだアキコ・グレース像が現れてきたなと思って。」と言います。
グレースさんは「メチャメチャうれしいですね。」と返します。
雲さんは続けて、
「ジャズ・ピアニストではないピアニストである。独特な世界観を持っている。
バップ臭はあまり感じないけどいいんじゃないか。
『グレースフル・ビジョン』が大好きで、アキコ・グレースの世界が気に入った。
ピアノ世界の『カインドオブブルー』と書いたこともある。色彩が統一されている。
ピアノ・ソロで良いと思ったら、『ピアノリウム』が出た。
ストーリーがあり、まるで映画を見ているみたい。表現が深い。」
と捲し立てていました(笑)。
雲さん「独りでベラベラしゃべってすみません。」と言ってました(笑)。
グレースさんは「ありがとうございます。本当にうれしいです。
雲さんは音楽が好き、音が好きっていう方だなと思って。
雲さんの感じ方は、私が表現したいものを直感的につかんでいただけるんだなと
思った。」と言います。
こういう、音楽を通してお互いが見えるのっていいですよね~。
グレースさんは続けて「あるジャンルを深く知ることは大事で、まずクラシック、
次はジャズの世界に入ったけれど、何のためにテクニックをつけていくかというと、
最終的に大事にしたい世界を育てていくために必要なもの栄養をもらう。
それを途中で忘れてしまったりとか、あるジャンルの中にいるのは安心だけれど
それだけで終りたくない。というのがもともとあって、それを正直に音楽、
演奏にしていくのが目標でライフ・ワークで、それをわかってくれるのはうれしい。
この先も間違えなく進んでいこうという励みになる。」と言います。
この真摯な姿勢には私も惹かれます。
雲さんは「最初がジャズの人と最後がジャズの人とジャズメンは大別され、
マイルスは最初がジャズであとはどんどん離れ最後は自分の人。
グレースさんも前者だろうと思う。どっちが良い悪いではない。
グレースさんも出発はクラシックでありジャズだけど、それを足がかりに
自分の探求の領域にすでに入られているだろうと思う。
今回まさにマイルスとリンクするテーマで呼んで良い人選だった。」と言います。
グレースさんは「マイルスの言ってることも凄くわかり、そうだよねと思うことが多い。
好きな言葉が一個ある。”間違いを恐れるな。そんなものは存在しないんだから。”
(放送では英語で言ってから日本語で言っています。それがカッコイイ)
挑戦の中で迷って自分の耳で作った正しさ。それが探求。
新しいものにつながっていくことになる。」と言います。
お2人とも深いことを言ってますよね。
最後は同アルバムから《ホップ・ホップ・レイン・ドロップ》。
これは楽しい曲です。「雨にぬれても」の雰囲気を思い浮かべます。
雨が降っているんだけど、何か良いことがあった女の子が、
踊りスキップして歩いている感じの曲です。
これも情景が浮かんできますね~。
サブ・タイトルが「雨上り」だったようです。
だから雨上りの情景を思い浮かべたほうが良いですね(笑)。1/31
新譜『ピアノリウム』は中々良いですね~。雲さんオススメも納得です。
パーティーの時にCDを買ってサインしてもらうんだった。くそ~っ!
<アフター・アワーズ編>
ディレクター嬢がいい仕事してます。
キーボード「チャラリラリ~ン」のあと「グレース先生の、ピアノ教室~」と。
カワイイッ!絶対アニメ声優できますよ(笑)。
グレースさん苦笑しています。
さてここで御三家ビル・エバンス発言の真実が明らかに!
御三家はチックとハンコックとエバンスだと思っていたらしいです。
わざとはずしたのではなく、単に間違えていたんです。
意外、天然ボケをかましていたんですね。
グレースさんは「思い込み~。チャンチャン。」とか言います(笑)。
ちょっとぶっきらぼうなしゃべり方なのですが、意外と面白い方だったのです。
先日のパーティーでお話した感じとあまり変わりないことがここで判明。
グレースさんの和のイメージが強い方もいるはず。
今回の新譜にも雅やかで和の要素の強いピアノが入っているので、
どう弾いているのか秘密をアキコ先生に解説してもらいましょうという企画。
アキコ先生はここでも「チャラリ~ン。」なんて言います(笑)。
和の秘密。一つコードを教えるとのことで、好きなコードの一つで、
「サス4フラット9」。弾くと確かに和な感じがします。
5音ペンタ・トニック。構成音はG、A♭、C、D、F。(ソ、ラ♭、ド、レ、ファ)
Gのサス4(G、C、D、F)という音にフラット9(A♭)を入れるだけとのこと。
この中にB(シ)を入れると変わるということで、エキゾチックな感じになります。
雲さんは中近東な臭いが漂ってくると。
次は3音抜きのハイブリッド和音。長調か短調かわからなくなります。
長調か短調かを決めるのが第3音、それを抜くと長調か短調かわからなくなります。
Cならミがフラットかナチュラルかで決まる。それをわざと抜く。
雲さんとグレースさんは凄く楽しそうでした。楽器をやらない私は羨ましいです。
いや~っ、今回の放送はかなり深くて濃い内容になっていました。
たまたま今回は録音していたのでこれだけ書けましたが、
いつものように聴きながらだとここまで伝えられなかったと思います。
収録中グレースさんが真剣だったので雲さんもそれに応えたということを
聞いていましたが、いや~っ、まっ、参りました。
音楽的トークの濃さは橋本一子さんの回と今回が双璧な感じです。
雲さんは女性ピアニストと相性がおよろしいようで(笑)。
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