ジャズ喫茶「マサコ」で聴いて惚れました。
下北沢のジャズ喫茶「マサコ」に行って、帰りの電車までの時間を潰す、なんて話を何度かブログに書きました。今日のお話はまだ東京に住んでいた頃「マサコ」に行った時の話です。
いつものように、ジャズ・アルバムの間に「これはジャズなの?」なやつがかかったのです。聴き進むうちに「これってなかなか心地良いんじゃないの?」から、だんだん「お~っ、イイよこれ。」となりました。
飾ってあるジャケットを見たのですが、真っ黒けでなんだかよくわかりません。しょうがないので、店員さんに「今かかっているのは誰のやつなんですか?」と質問して、ジャケットを見せてもらいました。見るとジャケットには「アメリカン・クラヴェ」とだけ書いてあります。
当時はまだこの手のやつに詳しくなかったので、単にアヴァンギャルドな雰囲気っていうだけで「ティム・バーンのやつですか?」と恥ずかしい質問をしてしまいました。店員さんは「違います。キップ・ハンラハンです。」と、ちょっと軽蔑視線も・・・。あははっ、知ったかぶりはいけません。
それが今日紹介するアルバム、アメリカン・クラヴェの『アンソロジー』(1993年、American Clave/east works entertainment)です。このアルバムは、キップ・ハンラハンが主宰するレーベル、アメリカン・クラヴェの1980年~1992年の名演集です。CD2枚組です。
キップ・ハンラハンと聴いて、ピンときました。当時蒐集を始めていた後藤雅洋さん著「ジャズ選曲指南」に掲載されていた『千夜一夜/シャドウ・ナイト1&2』の人ですよ。後藤さん著「新・ジャズの名演・名盤」にもこの人は取り上げられていました。そして、このアルバムは村井康司さん著「ジャズの明日へ」にも紹介されていました。
ここでちょっと喜んだというかささやかな優越感を感じたのは、このアルバムの音だけ聴いて良さがわかったことです(笑)。一応私的には、単に伝統的なジャズでないものも認めることを標榜しているだけに、これがつまらないと思ったとしたら、自分を情けないと思ったことでしょう(笑)。くだらないことなんですが・・・。
さて、このアルバムにはハンラハンのラテン・パーカッションが活躍する緩い曲、アストル・ピアソラのアコーディオンによるタンゴ、いかにもニューヨーク・アンダーグラウンドと言ったドロドロな曲などが、上手い具合に並べられています。有名ジャズ・ミュージシャンも多数参加しています。
その雰囲気は都会の場末の酒場が似つかわしく、倦怠感や鬱陶しさが漂い、聴いているうちにソファーにどんどん沈み込んでいってしまいそうな感じが麻薬的なのです。でもこういうのがカッコよく感じられることってありませんか?
「新・ジャズの名演・名盤」の中で、後藤さんが「ブルーノート東京」で見たハンラハンを「ウサン臭いままカッコよく、・・・この辺りの微妙な感じはCDからも確実に伝わってきて、・・・」と書いていることに納得なのでした。
無理にとは言いませんが、こんなやつもたまにはイイですよ!
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いつもの告知です。
明日12/13と明後日12/14は「高野 雲の快楽ジャス通信」の11回目。
「ポール・チェンバース特集」です。
ベーシスト雲さんはどんなアルバムを聴かせてくれるのでしょう?
楽しみです。
内容については高野 雲さんのブログ:高野 雲の「快楽ジャズ通信」
にもアップされますのでご覧下さい。
皆さん聴きましょう!
全国コミュニティーFM局では毎週土曜日20:00~20:55に放送。
ミュージックバードでは毎週日曜日22:00~23:00に放送。
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