久々に面白かったジャズ本!
先週のジャズ喫茶「いーぐる」の2008年ベスト盤大会&忘年会の時に買った、マスター後藤雅洋さんが書いた「ジャズ喫茶リアル・ヒストリー」は大変面白くて、私としては異例の、数日で読み終えてしまいました。
この本では、ジャズ喫茶のルーツから始まって、21世紀のジャズ喫茶のあり方まで、ジャズ喫茶という空間で起きていた事が、「いーぐる」にとどまらず、他の象徴的なお店の例もまじえて、詳細に鋭い切り口で語られています。
ジャズ喫茶で起こっていた出来事は、日本のジャズを取り巻く環境の一部だとは思いますが、ここまでしっかり書かれた本は今までなかったと思いますので、読めばジャズ(受容)についての理解がいっそう深まるのではないかと思います。
単にジャズとお店のかかわりにだけでなく、ジャズ喫茶経営の苦労も語られていますので、もしこれからジャズ喫茶をやろうとする方は必読の書だと思います。
「DIG」と「ファンキー」という対照的なジャズ喫茶のあり方や、「メグ」に集う吉祥寺派と「いーぐる」に集う四谷派とは一体何なのか、「イントロ派」(「イントロ」は高田馬場の有名なジャズ喫茶)もあるらしいとか、フュージョンによってもたらされた営業形態の変化とか、とにかく興味深いことがたくさんつづられていました。
生粋のジャズ喫茶「DIG」が1983年に閉店したにもかかわらず、そのコアな部分を引き継ぎつつ、そこから25年もジャズ喫茶としての「いーぐる」を延命し、さらに21世紀を見つめる後藤さんは、さながらモダンジャズを延命したマイルスにも重なって見えてきてしまいました。少々大袈裟(笑)?
四谷派の末席になんとかかじりつかせてもらったと、勝手に思い込んでいる私としては、「いーぐる」の41年の歴史に触れられて感激しておりますです(笑)。
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続いて毎度の告知+αです。
まずは「高野 雲の快楽ジャス通信」の番組ディレクターAさんがブログを始めましたので、ここにご紹介させていただきます。
「女子ディレクターの番組制作日記♪」:http://musictokyo.seesaa.net/
ジャズ初心者でもあるディレクターさんから見た番組とは?興味津々ですね。
お忙しいようなのでなかなか更新はできないみたいなのですが、
どんな記事がUPされるのか私も楽しみにしています。
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明日12/27と明後日12/28は「高野 雲の快楽ジャス通信」の
ラジオ放送13回目。
タワーレコード渋谷店の吉村健さんをゲストに迎えて「年間ベスト発表!」です。
2008年はどんなCDが売れたのか?非常に興味が湧きます。
内容については高野 雲さんのブログ:高野 雲の「快楽ジャズ通信」
にもアップされますのでご覧下さい。
皆さん聴きましょう!
全国コミュニティーFM局では毎週土曜日20:00~20:55に放送。
ミュージックバードでは毎週日曜日22:00~23:00に放送。
そして来年初の放送は、私がゲスト出演して「パット・メセニー特集」です。
どんな放送になるのか?ドキドキ・ハラハラでございます(笑)。
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コメント
いっきさん、こんばんは。
おう。読んだ、読んだ。て、言うより2冊も買っちまったぜ。
ホントはアマゾンに頼んだあったのですが、著者に会っちゃうとね(笑)。
んで、読み終えてサイン入りをMacotoにプレゼンとしました。
そしたら、アマゾンから届きました。それは「ラファロ」に送ります。
雲さんも書いていたのですが「戦後日本のジャズ文化―映画・文学・アングラ」
マイク モラスキーさんの本も読むと、いいでしょう。
投稿: tommy | 2008年12月27日 (土) 01時45分
ネット上にいろいろジャズ喫茶の噂話が流れますが、意外とホントウのところは知られていません。そこで当事者が書くしかないと思い、あんなものを書きました。これを読んでいただければ、ジャズ喫茶とはどんなところなのか、どういう歴史を背負っていたのかがご理解いただけると思ったのです。いっきさん、的確なご感想、ありがとうございます。来年もよろしく。
tommyさん、2冊も買っていただいて感謝です。tommyさんのブログを見たら「オイラは吉祥寺派か」などと書いてありましたが、ジャズはいろんな聴き方ができる音楽で、そこが面白い。もちろん吉祥寺派OKです。来年もよろしく。
投稿: 後藤雅洋 | 2008年12月27日 (土) 11時00分
こんにちは。
後藤さん。
コメントをいただけてとてもうれしいです。どうもありがとうございます。
私のジャズ喫茶歴はここ数年ですが、昔からずっと気になっていました。この本を読んで、それぞれの時代のジャズ喫茶の実像を追体験できたことは、貴重な体験だと思いました。多くの方に是非読んでいただきたいです。
来年もよろしくお願い致します。
tommyさん。
サインしてもらったんですか(笑)。2冊それぞれが有効に使われるのですから良いじゃありませんか。「ラファロ」に送って、多くの方に読んでもらえたら良いですね。
「戦後日本のジャズ文化」は出た直後に読みました。「なるほどね。」という感じでしたが、後藤さんの本のようなリアリティは感じられませんでした。
投稿: いっき | 2008年12月27日 (土) 13時33分
はっははは。後藤さんにコメントが貰えるようになったいっきさんは、もうりっぱな「四谷派」です(笑)。書籍は発売されてすぐに盛り上げないと地味な存在になりますからね。みんなで盛り上げましょう!早く重版かかるとイイなぁ〜。
オイラ一度も吉祥寺方面の集まりには参加したことがないので、一度は覗いてみようと思っているのですが、ちょっとなぁ〜勇気出ないなぁ(笑)。
後藤さん、いっきさん。来年もよろしくお願い致します。
投稿: tommy | 2008年12月27日 (土) 18時40分