「いーぐる」の「カーラ・ブレイ特集」!
昨日は久々に「いーぐる」連続講演に行ってきました。
秋晴れの陽を浴びながら、四ッ谷駅から「いーぐる」へと向かいました。駅改札からは徒歩3分程度の短い時間ですが、心地良い天気に気分も上々です。今日はデジカメを持ってきたのでお店の入口でパチッ!
秋の心地良い日差しともココでお別れ、地下へと階段を降りて行きました。この階段を降りて行くと気分はジャズ聴きモードへと変わっていくのであります。って大袈裟な(笑)。入口のところのスピーカーからは今中でかかっている曲が流れているのですが、聴き覚えのあるメロディー・・・。
このドアを開けると、そこはジャズ聴き達の戦場なのであります。って冗談です(笑)。かかっていた曲はクリスチャン・エスクーデとチャーリー・ヘイデンのデュオ名盤にして、オーディオ・マニアの低音チェック盤でもある『ジタン』です。
先月最初に、tommyさんが『ジタン』の輸入盤と日本盤を巡って、音質研究してましたよね。やっぱり「いーぐる」のオーディオでデカイ音で聴くと気持ちイイ。自宅ではこういう音では聴けないですよね。としばし聴き入っていると、なんと最後の1曲でした(涙)。もっとはやく来るんだった・・・。
今回の連続講演はと言うと、山中修さんによる「カーラ・ブレイ特集」です。私にとってのカーラ・ブレイと言えば、『ヘビー・ハート』の新譜をリアル・タイムで買って気に入っていたのですが、その後は『ライブ!』を買ってからず~とご無沙汰でした。数年前に後藤さん著「ジャズ・オブ・パラダイス」掲載アルバムの蒐集を開始し、『ディナー・ミュージック』と『ヨーロピアン・ツアー1977』を買ってストップという体たらくぶりです。
この特集でかかった曲は「いーぐる」のホーム・ページ
http://www.02.246.ne.jp/~unamas/eagle.html
の「diary」にUPされますので、そちらをご参照下さい。
今回は比較的新しいものを紹介してくれるとのことだったので、期待して参加しました。カーラ・ブレイは今年で70歳とのこと。もうそんな歳なのかとちょっと驚きでした。私の中では『ヘビー・ハート』のジャケ写のイメージから歳をとっていないのです。水野美紀系の美人だと思うのですが、私って変ですか(笑)?
最初にかかったのは『ライブ!』から《ブラント・オブジェクト》。このジャケット写真はご覧のとおり、当時は今風にいうとインリンのM字開脚くらいの衝撃がありました(笑)?この写真のおかげで邦題は『艶奏会!』ですよ。トホホ。
典型的なカーラ・ブレイの曲だと思います。スティーヴ・スレイグルとゲイリー・バレンテの熱いソロが聴けます。それにしてもこの曲は凄くせわしい前ノリのリズムです。音が攻めてくる切迫感はひとつの特徴だと私は思います。カーラの特徴は単純なメロディーと奇抜なアレンジとのことです。
それとカーラ・バンドと言えば、スティーヴ・スワローの5弦エレクトリック・ベースのピック弾きサウンドも特徴です。今回は「いーぐる」のオーディオでスワローのエレベを堪能できました。
次に『Fleur Carnivore』から2曲、カーラのトロピカル願望が漂うきれいなメロディーの曲と、音の上下が激しいメカニカルな曲を紹介しました。カーラのバンドの特徴は派手なソロを目立たないアレンジで盛り上げていくとのことです。またカーラは、正規の音楽教育を受けておらずピアノも上手くないので、できるだけ引っ込んで演奏していると言っているそうです。
その後3曲かけて、不協和音が入ったひねりのあるアンサンブルや若い頃に聴いた教会音楽を取り入れていることが紹介されました。『ゴーズ・トゥ・チャーチ』からの《ワン・ウエイ》はダイナミックな展開を持った構成が良かったです。プログレ的なオルガンの響きがあったりして、気に入りました。
ここでカーラとスワローのデュオ・アルバム『アー・ウィ・ゼア・イエット?』から《メジャー》。ピアノが上手くないと本人は言っているらしいですが、このリズム感と自信に溢れた音はいいなあと思いました。音に説得力があるのです。れっきとした表現者ですね。
続いて2曲。《サイド・ワインダー》と《ストレンジャー・イン・パラダイス》を混ぜたユーモア溢れる曲とホーンセクションが車のクラクションを模したイラク進行に抗議の意味も込めた政治的な曲を紹介。どちらもカーラの音楽の特徴です。
ここからカーラ・バンド以外の曲を4曲かけました。その中で気になったのは以下2曲です。
チャーリー・ヘイデンのリベレーション・ミュージック・オーケストラの『ノット・イン・アワー・ネーム』から同曲は、やっぱりいいですね。実は私、買いそびれていましたが入手しなきゃ。サックス陣が凄いです。ミゲル・セノーンがソロをとりますがイイですよね。クリス・チークとトニー・マラビーも参加しています。
現代女性リーダー・ビッグ・バンドの最高峰、マリア・シュナイダー・オーケストラの『コンサート・イン・ザ・ガーデン』から《スリー・ロマンス》。自宅で聴くとこの良さがそれほどわからなかったのですが、「いーぐる」で聴いたら凄く良かった。この緻密な構成とアンサンブル。大音量で聴かないとちゃんとわかりません。息詰まるほど素晴しい。でも、私はカーラのバンドのウィットを含んだ解放的なくったくなさの方が好きです。
パオロ・フレス(tp)がゲストのロスト・コーズ・カルテットものから1曲。この曲の途中でシンバルをキンコン鳴らすところがあるのですが、その音が妙にリアルでした。演奏よりそれが気になっちゃいました(笑)。
最後は『アペアリング・ナイトリー』から2曲、カーラのルーツであるカウント・ベイシー・オーケストラを意識した演奏とのことです。確かにホーン・アンサンブルがベイシー的です。どうして今になってベイシーなのかは不明ですね。
カーラのバンド・サウンドは聴けばわかるのですが、それを言葉で説明しようとすると難しいようです。山中さんのまとめとしては、
・女性ならではの美しいメロディー
・ひねっりや毒があるところ
とのことでした。
質疑でギル・エバンスからの影響の話が出て、山中さんは、マリア・シュナイダーと対比しながら、
・カーラはギルの変な部分をコピー
・マリア・シュナイダーはギルのきれいな部分をコピー
したんじゃないかと言っていました。わかる気がします。
今回はカーラ・ブレイの魅力をたっぷり楽しむことができました。
紹介されたアルバムの何枚かは買いたくなりましたよ。
何と言っても「いーぐる」のオーディオで聴くことができたのが一番の快感かな?
前にも書いたように、ここの音が私には一番しっくりきます。
安心して音楽に浸れるのです。
山中さん、後藤さんどうもありがとうございました。
講演後の打上げも楽しかったです。ジャズ批評誌の「現代の日本人女性ジャス・ピアニストを聴いてみた」の話とかで盛り上がりました。帰りの電車の時間があるので、福翔飯店までは行けないのが残念ですがしょうがありません。そのうち東京泊にして参加させていただきます。
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