日本人ジャズを聴こう 久々!
明日は高野雲さんのラジオ版「快楽ジャス通信」の2度目の放送「ソニー・ロリンズ特集」です。皆さん聴きましょう!
全国コミュニティーFM局では毎週土曜日20:00~20:55に放送。
ミュージックバードでは毎週日曜日22:00~23:00に放送。
そして今日は久々!日本人ジャズを聴こう!です。
今日紹介するのは、渡辺香津美の『マンディ・ブルース』(1974年rec. RVC)です。メンバーは、渡辺香津美(g)、土岐英史(as,ss)、板橋文夫(p)、岡田勉(b)、日野元彦(ds)です。このころの渡辺はジャズです。フュージョンのフの字も出てきません。
全6曲中2曲が渡辺のオリジナルなんですが、タイトル曲《マンディ・ブルース》は曲名どおりブルージーな曲で、《オン・ザ・ホライズン》はコルトレーンの《ネイマ》を思わせるスピリチュアルでモーダルな曲と、フュージョンの渡辺からはちょっと想像がつかないです。両曲ともなかなか良い曲です。
それにしてもギターが上手いですね。この録音当時は21歳です。この歳にしてテクニック的にはジャズ・ギターを極めちゃっています。でも、個性という点ではちょっと弱いですね。胸に引っかかる何かを持っていません。まあこの歳ですからそれもしょうがないのですが、本質的にどこかジャズを傍観しているような感じがします。この後、フュージョンへ向かうのも頷けます。それが正解だったんじゃないかと思います。
土岐英史は、ご存知ジャズ・ヴォーカル土岐麻子のお父さんですが、その後はサンバ系フュージョンに行く人です。3曲に参加してアルト・サックスとソプラノ・サックスを吹きますが、この頃の演奏はコルトレーンの影響がみえみえです。ただし、スピリチュアル度はそれ程高くなく、土岐独特の爽やさなフレージングが私は好きです。
面白いのは土岐のバックで板橋がピアノを弾いている時やソロをとる時はマッコイ・タイナーに聴こえてきちゃうところです。本家マッコイからするとコテコテ度は落ちますが悪くはないと思います。日野のドラムはエルビンとは言いませんが、地にしっかり足の着いた重厚なリズムを刻んでいて好きですね。ベースの岡田はそつなく仕事をこなしています。
さて、土岐が参加していない曲やスタンダードの演奏はというと上記の理由でどうも物足りなさを感じます。《ラウンド・ミッドナイト》なんかも食い足りないような気がします。このアルバムは若き日の渡辺を捉えた記録として聴いておいたほうが良いというくらいかな。まあ、悪くはないですよ。
tommyさんから貴重なコメントをいただきましたのでここにそのままUPさせていただきます。tommyさんどうもです。
渡辺香津美はこの頃、高柳さんのところにピッキングだけ習いに通っていたそうです。ジャズなピッキングがどうしても気になったんでしょうね。ジャズもロックも同じではない・・・拘りが面白い。これは当時、高柳さんと頻繁に演奏していた池ちゃん先生から一昨日仕入れた情報です。タイムリーなネタでした(笑)。
(注)池ちゃん先生=池田芳夫さん(tommyさんのベースの先生)
今年も「甲府ジャズストリート」(10/25土)が近づいてきました。昨年は渡辺香津美が来て生で超絶ギターを満喫できました。超感動しました(笑)。今年、近藤房之助はちょっと微妙なのですが、小沼ようすけ、谷口英治、川上さとみ、安富祖貴子は見たいです。
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コメント
渡辺香津美はこの頃、高柳さんのところにピッキングだけ習いに通っていたそうです。ジャズなピッキングがどうしても気になったんでしょうね。ジャズもロックも同じではない・・・拘りが面白い。これは当時、高柳さんと頻繁に演奏していた池ちゃん先生から一昨日仕入れた情報です。タイムリーなネタでした(笑)。
投稿: tommy | 2008年10月11日 (土) 02時47分
甲府でもジャズ祭りがあるんですね。
仙台に、横浜に、境港に……と。全国各地で、いろいろと開かれるもんなんですね。
投稿: 雲 | 2008年10月11日 (土) 04時37分
あ、それと、番組の告知を冒頭にしていただいて、ありがとうございます(◎´∀`)ノ
投稿: 雲 | 2008年10月11日 (土) 11時52分
tommyさん。雲さん。こんにちは。
渡辺香津美さんが高柳昌行さんからピッキングを習っていたとは、渡辺さんの拘りってすごいなあ。でも納得です。カッコイイ。
甲府のジャス祭りはたった一晩だけっていうのがトホホです。甲府のジャズ・スポット数件でそれぞれのミュージシャンのステージがあるのですが、3セットそれも各セット1時間弱しかないっていうせわしなさです。各セット間の入替えと移動時間は30分とられています。3人見ようとすると1セットづつ3件回らなければなりません。
今回の番組も楽しみです。やっぱり今回は正座しないで聴きます(笑)。
投稿: いっき | 2008年10月11日 (土) 12時13分
いっきさんにお願い。
ロリンズ特集ついでにお願いがあります。名盤「SAXOPHONE COLOSSUS」ですが、4. MORITATの2:19秒付近で一瞬ロリンズのテナーが左チャンネルに流れるのはオイラのCDだけでしょうか?(笑)。ちなみに持っているのは最新のRVG REMASTERS 輸入盤です。オーディオをイジリはじめると、かなり真剣に聴いているのでこういう普段は気にならないことが気になります(笑)。よろしくお願いします。
投稿: tommy | 2008年10月11日 (土) 16時21分
tommyさん。
回答が遅れてすみません。
私の持っているのは例によってレコード(ビクターの日本盤)です。ご指摘のあたりで確かにちょっと不安定になる感じはありますが、左には流れていないようです。私のシステムではレコードの再生をヘッドフォンで聴けないから細かいところがよくわからないのと、カートリッジのチャンネル・セパレーションがCDみたいに良くないのでわからないのかもしれません。
真剣に聴くとこういうのって気になりますよね。よくわかります。
投稿: いっき | 2008年10月11日 (土) 18時57分
レコードだと分からないかも?そうそう、確かにあのあたりでかなり不安定になります。そういうのが聴こえるようになるといいう事は、いい方向に向っているのですかね?ちょっと疑問。今回のアンプは音がかなりクリアになって、ピュアー・オーディオの方向に向っているとは思うのですが、妙に耳に付く(笑)。まあ、正論ばかりを言って居るヤツって鼻に付くって思うのと同じですね。「確かにそれは正しいけど、何処か気持ちがのってこないんだよね」「欠点があるヤツの方がカワイイ」ツー感じです(笑)。
投稿: tommy | 2008年10月11日 (土) 19時43分
tommyさん。
>レコードだと分からないかも?
ここらへんがレコードの良さであり悪さでもあると思います。
考え方次第ですよね。私は良さとして受取っています。
「正論君」を基準に、そこからどれくらい悪ぶるか?
そこらへんをこれから試していけば良いのではないでしょうか。
>妙に耳に付く
ひょっとするともう少しエージング期間が必要なのかもしれませんね。
これからいろいろ組合わせを試してエージングが進むと耳につかなくなる可能性もあり得ますよね。
投稿: いっき | 2008年10月11日 (土) 22時00分