たまにはレコード・ハントねた
たまにはレコード・ハントのネタを書きましょう。とは言っても少し前の例の「いーぐる納涼持込盤大会」の日のことです。「いーぐる」に行く途中。吉祥寺ディスクユニオン、ジャズ・クラシック館でのレコード・ハントです。
最近、吉祥寺ディスクユニオンの店内でかかっているCDを聴いて買いたいと思わなくなりました。どれも同じような演奏ばかりに聴こえてインパクトがないのです。なぜか女性ヴォーカルも多くて、そっち方面にあんまり興味のない私としては触手が伸びないのです。
この日も廃盤CDの特集かなんかやっていたんですが、これにも最近は興味がありません。だってほとんどのものが高額の値段ほどの価値はないと思うからです。MOONKS推薦の俗に言う「レア本」のやつも再発されたりしたのでいくつも買いましたけど、内容?なものがあったりしたのが私を覚めさせた原因かもしれません。ジャズ観賞集団ね~っ?
さてそれはそれとして、探していたレコードがいくつか見つかったので買ってきました。
まずはデクスター・ゴードンの『バウンシン’・ウィズ・デックス』(1975年rec. SteepleChase)です。一応オリジナル盤のようですが、ジャケットが汚れていたので、新品CDより少し高い程度の値段でした。盤コンディションは「A」。これは後藤さん著「ジャズ・オブ・パラダイス」掲載のもの。レコードをずっと探していました。
メンバーは、デクスター・ゴードン(ts)、テテ・モントリュー(p)、ニールス・ペデルセン(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)です。ワン・ホーン・カルットで、デクスターの美味しいテナーが満載です。《カタロニアン・ナイト》をはじめ名演揃いです。最近私の中でデクスターのお気に入り度は上昇中なんです。
次は『ソニー・クラーク・クインテット』(1957,8年rec. BLUE NOTE)です。未発売だったものを東芝EMIで発掘したものなので、東芝中古盤とは言え値段は少し高めでした。盤コンディションは「A」。これはA面2曲が『クール・ストラッティン』と同日、同メンバーによる演奏で、B面3曲がジョーダン、バレルを含むクインテットによる演奏です。
メンバーは、アート・ファーマー(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、ソニー・クラーク(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)と、クリフォード・ジョーダン(ts)、ケニー・バレル(g)、クラーク(p)、ポール・チェンバース(b)、ピート・ラロッカ(ds)です。どちらの演奏も良いのは当り前ですが、ジョーダン、バレル入りの演奏が渋めでブルージーで良いです。中でもクラーク作《マイナー・ミーティング》は噂どおりの良さでした。
最後はアル・コーンの『スタンダード・オブ・エクセレンス』(1983年rec. Concord)です。輸入盤で、シンプルなイラスト・ジャケットが洒落ていますよね。この手のやつは人気盤ではないので安いです。盤コンディションは「A」。これは「いーぐる」の連続講演が始まる前にかかっていて、なかなか良かったのでチェックしたものです。
メンバーは、アル・コーン(ts)、ハーブ・エリス(g)、モンティ・バドウィック(b)、ジミー・スミス(ds)です。何の変哲もないギター入りワン・ホーン・カルテットなんですが、これが良いんです。コーンのテナーは暖かい音でスムーズにして軽快、そこにキレが良いけどこれまた暖かい音色のエリスのギターがからんで良い具合。バラードだってしっとりしっかり聴かせます。
コンコード・レーベルは新しさとか凄さとかは無いのですが、こういうまっとうなジャズを作るのに長けていますよね。後藤さんや寺島さんなどジャズ喫茶のオヤジはそういうところにちゃんと目を利かせているところが凄いというか、ジャズ喫茶という空間で起きている演奏の峻別の凄さを感じます。
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コメント
『バウンシング・ウィズ・デックス』は、先日阿部さんもかけたのですが、名盤です。
《カタロニアン・ナイト》が名演として知られていますが、私は、A面の《ビリーズ・バウンス》も歌っていて大好きです。
この最初から最後までメロディアスなデックスのアドリブラインを、すべてコピーしてライブで披露していたテナーサックス吹きがいましたが(いーぐるでのバイトの同期・笑)、それぐらい、おいしいというか、盗むに値するというか、テナーサックス演奏の勉強になるというか、説得力のあるフレーズを作る勉強になるというか、まあ色々とオイシイ要素が詰まりまくった演奏ではあるのですよ。
楽器弾きにとっては、へぇ、このなんの変哲もないブルース進行で、こう歌わすか!と驚きと感激と興奮の山なんですが、もしかしたら、楽器やんない人が聴いたら、「なんだ、フツーのブルースじゃん」で終わっちゃうかもしれませんが……。
投稿: 雲 | 2008年9月 7日 (日) 05時10分
雲さん。こんにちは。
私も《ビリーズ・バウンス》のデックスのアドリブのメロディアスなところと説得力のあるフレーズというのは、楽器をやらないなりに良いというのはわかります。
楽器をやっていないと「上手いなあ」で片付けてしまうのですが、楽器をやっている人には「驚きと感激と興奮の山」というのが面白いです。
楽器をやると良さがよくわかるというところには興味がありますが、反面気楽に聴けなくなっちゃう感じもしますね。
投稿: いっき | 2008年9月 7日 (日) 12時23分
いっきさん
お返事どうもです。
えーと、楽器やってる人からよく言われがちなことを言われてしまいましたが(笑)、「気楽に聴けないんじゃないか」という心配はあんまりありません。
少なくとも私の場合は。
耳が良すぎて、なんでも聞こえちゃうと気が狂うでしょ?
目が良すぎると、なんでも見えちゃうから神経休まらないでしょ?
といわれているようなもんですが(笑)、人間って便利なもので、見たくないものは見えないですし、聴きたくないものは聴こえないんです(笑)。
そのかわり専門技能があれば、その対象に意識を集中すれば、専門外の人よりは多くの情報を得られるということはあります。
でも、それは分析しようと思うから出来るんです。関心なければ、分析しませんし、できません。
もっとも、それは怠け者の私だからのことで、
もしかしたら、林さんほどの達人になると違うかもしれませんが(笑)。
たとえば、楽器も表現ですが、文章も表現ですよね?
いっきさんは、その文章をブログに書いていらっしゃる。
ですので、ブログでたとえ話をします。
ブログにアップする前、ひととおり文章を書き終えて「投稿ボタン」を押す前に一度読み返してチェックするときと、
「投稿ボタン」を押してしまって、アップされた後に読み返すときとでは、どちらが誤字脱字を発見したり、直したくなりますか?
きっと、後者のほうだと思います。
同じ対象でも、ちょっとした意識の違いで、
・アップする前→それほど緊張してない
・アップした後→もう誰か読んでるかもしれない!と微緊張
感じ方、見え方ってずいぶん違ってくるんですよ。
ジャズ喫茶なんかがいい例ですよね。
うちにあるはずのアルバムが、すごく良く聴こえたり、はじめてジャズマンの演奏意図というか、「そうか、こういうことをやりたかったんだ!」ということが見えてくることが多いんです。
それは、「ジャズを聴くぞー」モードに意識がなっているからなんですね。
じゃあ、普段の私はジャズをどう鑑賞しているかというと、ベースラインを聴くぞー、とか、使えそうなフレーズがあったら、盗んで練習してみようか、とか、そういった意識は蚊帳の外だったりします(笑)。
ですので、私はいっきさんではないので本当のことは分かりませんが、たぶん、聴いているときの意識って、いっきさん(=楽器をやらない人)とそう変わらないんじゃないかと思います。
もちろん、「ベースの動きに注意して」と事前に言われれば、どのポジションで、どういう運指で弾いているんだろ?なんて目線(耳線?)にスイッチがはいっちゃいますが、普段は、あんまりそういうことないなぁ。疲れるから(笑)。
投稿: 雲 | 2008年9月 7日 (日) 13時02分
失礼しました、先ほどアップした文、
上から3段目ですが、
×楽器やってる人から
○楽器やっていない人から
でした。
やっぱり、アップした後のほうが
注意して見直しますね(笑)。
投稿: 雲 | 2008年9月 7日 (日) 13時04分
雲さん。こんにちは。
楽器をやっていない私としては、やっぱりその疑問が湧いてきちゃうんですよね。
もちろん「耳が良すぎて・・・、目が良すぎて・・・」はよ~くわかります。何せ私は昔から視力が良いですから。でも注意力散漫というか意外と見えていません。他人から指摘されて気付くことが多かったりします(笑)。
ブログのチェックについては全くそのとおりだと思います。
私が気になったのは、「目線(耳線?)にスイッチがはいっちゃうモード」へ案外簡単に入っちゃうのではないかと思っていたのですが、雲さんはそうでもなさそうだということがわかりました。
林さんなんかは、「スイッチ・オンが通常モードで、意識しないとスイッチ・オフできない」と言われても(当然そんなことは無いとおもいますが)思わず頷いちゃいそうです(笑)。
投稿: いっき | 2008年9月 7日 (日) 17時38分