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ウェイン・ショーター

さすがに昨日の「チョコベー」ネタはイマイチだったのでしょうか。ブログランキングが落ちちゃいました。最近1日のアクセス数は微増傾向にあるのに、ランキングは25位前後を行ったりきたりです。内容からいったらまあこんなものなのかもしれません。

さて、私の好きなサックス奏者ウェイン・ショーターのアルバムを紹介しましょうか。最初に聴いた時、ショーターはヘタなのかと思いました。とってもへんなフレージングで落着くところへ落着かないし、時々微妙に不安定な感じになるところがあるし、どうも聴き心地が悪いんですよ。作る曲もポピュラリティがあるとは思えない変なメロディー。後藤さんはこんなショーターを称して「オカルト・テナー」と自著に書いていました。私は上手いこと言うもんだなあと思いましたよ。

でも、でもですよ。この変なショーターを一旦好きになると中毒性があります。ウェザー・リポートをジョー・ザビヌルとやっていた頃、時々他人のアルバムに参加したりする(スティーリー・ダンの『エイジャ』など)のですが、そこで数フレーズ吹いていたらもうショーター・マニアは大喜びするわけです。「よくぞショーター、ソロをとってくれました。ありがたや。ありがたや。」となるわけです。会社のジャス・ファンの先輩と「やっぱいいなあ~」とよく言いあっていました。このショーター中毒症状(笑)については後藤さんも自著で書いています。

P164_2 今日紹介するのはそんなショーターの『アダムズ・アップル』(1966年rec. BLUE NOTE)です。メンバーは、ウェイン・ショーター(ts)、ハービー・ハンコック(p)、レジー・ワークマン(b)、ジョー・チェンバース(ds)で、ワン・ホーン・カルテットです。

私の持っているレコードはリバティー盤を東芝音楽工業(現東芝EMI)が直輸入したものです。VAN GELDER刻印がありません(涙)。最初廉価輸入CDを買って、東芝EMI盤に買いなおし、更に今持っているものに買いなおしたというアホな遍歴があります。困ったものです(笑)。

さて内容は如何に。これはまずショーターのアルバムの中ではあまり注目されません。地味というかトンガリ度が低いと言いましょうか?私はそこが好きなんです。A面1曲目タイトル曲はいつもの変なメロディーなんですが、妖気が少なめでちょっとノホホンな感じがしてそこがカワイイ。ショーターも鼻歌を歌っているような感じなんですよ。この緩さが温泉に浸かっている気分です(笑)。

ハンコックのピアノはやっぱり今日も美しい。この人のハーモニー感覚は洗練されていますね。この人が弾いているだけで格調が5割増しって感じです(笑)。でもここでのハンコックも少し寛いでいるように聴こえます。鼻歌ショーター対格調高いカクテル・ピアノのハンコックって感じ?チェンバースのドラムもトニーやエルビンのように煽りまくっていないです。

A面2曲目《502ブルース》はジミー・ロウルスの曲なのに、ショーターがやるとまるで自分の曲にようになってしまいます。ワルツのスロー・バラード曲、美メロ曲だと思いますが、ショーターがやるとちょっとミステリアスな感じになって、そこが味わいを深くしています。ハンコックのバッキング&ソロはう~んやっぱり美しい。そればっかり(笑)。

B面1曲目、名曲《フット・プリンツ》が入っています。これはショーターらしさが出た曲ですよね。ソロも美味しいフレーズ出まくりです。そしておおらかに朗々と歌っています。こういうおおらかさが出ているところが、私は好きなんです。ハンコックについてはもう言いません。いいに決まってます(笑)。ワークマンのベース・ソロもこの曲に華を添えています。

ショーターのワン・ホーン・カルテットは『’ジュジュ’』がありますよね。こっちはエルビンがドラムで煽りまくり、ショーターもパワー全開でバリバリ吹いていて、マッコイが重厚なピアノを弾いくという熱い演奏でもちろん好きなんですけど、私は『アダムズ・アップル』のディープなショーター・ワールドが大好きなんですよね。

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ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

いっきさん、こんばんは。
「チョコベー」ネタでくじけてはいけません(笑)。オイラは「駐禁」「ゴミ捨て」ネタで引っ張っているので・・・これからもドンドン入れていってください(笑)。
オイラはショーターのリーダーはそれ程持っていないな〜。何かドカ〜ンって感じがしない・・・それと、マイルスやハンコック、ウエザのアルバムなどで聴いているので、まぁいいかってのもある。いっきさんのショーターのアルバムで一番のオススメは?

投稿: tommy | 2008年9月26日 (金) 05時44分

ショーターのテナーの魅力は、眠たげで行く先の方向性のつかみどころの無さ(演奏にもよりますが)がありながらも、どこか太くて強いところだと思います。
最初はなかなかその良さがわからない人の一人でした。
それは、ジョーヘンも同じでした。
どうも、こういう中毒性のある音色の持ち主は、明確でブリリアントで力強い輪郭のある音色とは対極にあるような気がして、tommyさん仰るドッカーン!はないんですが、遅効性の媚薬が潜んでいるような気がしてなりません。

その一方で、ショーターのソプラノの音色は豊かな膨らみがあって、キンキンしていなくて、とても心地よい音色ですね。
こちらのほうは一発で好きになりました。
キッカケは、デイヴ・リーブマンとのソプラノバトルの《ミスターPC》と、ミルトン・ナシメントの『ネイティヴ・ダンサー』(笑)。

私が最近好きなアルバムは『セカンド・ジェネシス』ですが、tommyさんに貸したら返してくれません(笑)。

投稿: | 2008年9月26日 (金) 10時06分

アニキ、こんにちは。

ウエイン・ショーターは私も好きです\(^O^)/

何もわからないくせに…と言われそうです。確かに何もわかりません!(笑)
けど、ウェザーリポートの時のあの音は感覚的に大好きでしたし、アニキに薦められたスティーリー・ダンの「エイジャ」は本当に大好きで聴き込んでいるので、少しは解っているつもりです。

あの演奏が不安定だとか、そういうことは一切わかりませんが、ウエイン・ショーターは大好きです!!

投稿: ぴくるす | 2008年9月26日 (金) 13時19分

こんばんは。

yommyさん。

確かにドカ〜ンはないですね。
テナーを吹いているアルバムでは『’ジュジュ’』が良いと思います。tommyさんの好きなマッコイがピアノを弾いているし、エルビンが煽りまくって、ショーターもかなり力が入った演奏をしています。オカルト色(黒魔術色)も少なめなので、サックスそのものを楽しめると思います。『アダムズ・アップル』も聴いてほしいなあ~。
ソプラノのを吹いているアルバムでは『ネイティヴ・ダンサー』が良いと思います。雲さんが言う「豊かな膨らみがあって、キンキンしていなくて、とても心地よい音色」が満喫できると思います。ウェザーの『テイル・スピニン(幻祭夜話)』もショーターのソプラノ名盤だと思います。

雲さん。

確かに、テナーとソプラノの魅力は分けて捉えたほうが良さそうですね。私は最初から、ウェザーでのソプラノとV.S.O.P.でのテナーを聴きまくっていて、両方同じように嵌っていったので、言われてみるまで気付きませんでした。こういうジャズの話が出来ることってやっぱり大事ですね。
ショーターのソプラノの音はエボナイト?のマウスピースと厚いリード(確か雑誌で読んだ)あたりにあるのでしょうね。もちろんスワローの場合と同じで、同じ楽器にすればあの音が出ると言うわけではないと思いますが。肺活量もきっと凄いんでしょう。
『トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』でのソプラノ・バトルは気持ちイイですよね。リーブマンもイイし。私のリーブマン体験は『クエスト』とエルビンの『アース・ジョーンズ』(どちらもブログで紹介)です。どれもリーブマン節全開です。

ぴくるす。

『エイジャ』のショーターは一瞬だからなあ(笑)。アレ聴いただけじゃショーターの「ショ」の字もわからない。『エイジャ』はスティーリー・ダンとして良いということですな。
ぴくるすはスティーリ-・ダンのアルバム全部買ったんだよね。今私の家に保管してるけど、そろそろ引き取りに来ない?たまには音楽聴かないとダメだと思うよ。忙しいのはわかるけどさ。
ウェザーの時のショーターって聴かせた覚えないんだけど、狭い家だからいやがうえにも聴こえてたってことだよね(笑)。それで音楽的に大分影響を与えてしまったと・・・。

投稿: いっき | 2008年9月26日 (金) 20時44分

はい、雲さんスミマセン。『セカンド・ジェネシス』はスゴク、セツネーは良いアルバムです。ちょっと、ノスタルジックな気分もある、秋の夜には最適なアルバムだと思います。ショーターのイメージがちょっと変わりますね。そういう分けで、もう少し聴かせてください(笑)・・・いえいえ、返したくない訳ではありません(笑)。

投稿: tommy | 2008年9月28日 (日) 05時15分

●tommyさん

いやぁ、嬉しいコメントです!

>セツネーは良いアルバムです。
>ちょっと、ノスタルジックな気分もある、
>秋の夜には最適なアルバムだと思います。

もちろん、お好きなだけお貸ししますよ(笑)。

このアルバムのショーターのプレイは、
すごくメロディにストーリー性があるというか、
流れがあるんですね。
まるで、音物語を聴いているような気分になるのですよ。

たしかに、秋の夜にはセツネーです(笑)。

投稿: | 2008年9月28日 (日) 09時29分

tommyさん。雲さん。こんにちは。

久々に『セカンド・ジェネシス』を取り出して聴いてみました。
いや~っ、お2人のおっしゃるとおりでした。
「セツネー、ノスタルジック、ストーリー性、流れ」
寺島さんもこのアルバムは推薦していましたけど、アドリブのメロディーラインの上記特徴が気に入っているんでしょうね。
《ペイ・アズ・ユー・ゴー》《セカンド・ジェネシス》は私の美メロのツボにキターッ!今までどこを聴いていたんだろう。
今日は曇りでどんよりしているんですが妙に馴染んでます。聴いていて安心感があるなあ。「セツネー」
お2人に感謝であります。

投稿: いっき | 2008年9月28日 (日) 15時36分

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