今日はちょっとどういうジャズ・ファンに向けて書いているかというお話を書いてから始めることにしましょう。
まず「PCMジャズ喫茶」という番組は正直言ってある程度ジャズがわかっていないと本当の面白さはわからないと思います。なぜなら、寺島さんは最初のうちはジャズ初心者を意識して「この人(曲)はどういう人(曲)か説明してくださいよ」なんて言いますが、話が盛り上がってくると初心者そちのけのマニアックな議論を展開するからです。
それを聴いてレポートを書いている私も実はマニアックなツッコミを入れているわけで、どうしてそういうツッコミをするのかはある程度ジャズを聴いていないとわからないことがあると思います。よく考えればこの如くで、私のブログは最初からジャズ初心者はあまり意識して書いていません。私のもっぱらの興味はある程度ジャズを聴いた人をもっと深みに引きずり込むことだからです。
そういうわけで、ある程度ジャズを聴いている方から何か反応(コメト)などいただけたらうれいいなあと思う今日この頃なのであります。
皆さんそろそろ飽きてきたと思いますが、今日も高野雲さん(ブログ:http://ameblo.jp/jazzy-life/)がゲスト出演した「PCMジャズ喫茶」をいたぶりましょう。
さあ、いよいよパーカー論争勃発?と思ったのですが・・・、寺島さんはアンチ・パーカーのはずなのに意外とまっとうなことを言っています。さすがの寺島さんもパーカーは認めざるを得ないんでしょうね。認めないとジャズ・ファンとしての資質を疑われますよ、やっぱり。唯一長澤さんが???なことを言っています。
今回はパーカーとはどういうミュージシャンなのかに迫る発言がたくさん出ますので乞うご期待!
岩浪さんが「前回雲さんがバド・パウエルをかけて議論があったので、今回チャリー・パーカーをどう思うか感想を聞きたい」とのことで、チャーリー・パーカーの『スウェディッシュ・シュナップス』から《バック・ホーム・ブルース》をかけます。
曲をかける前に岩浪さんから、パーカーがスウェーデンで大歓迎されて強い酒「スウェディッシュ・シュナップス」を飲みすぎてアメリカ帰ってから胃潰瘍で入院したなんて話がありました。長澤さんは「シュナップス」はサツマイモの焼酎だなんていうことも言っています。おお、初めて知りました。
曲が終わり寺島さんから「さてこれから本日のメイン・イベント、パーカー派2人(岩浪さん、雲さん)とアンチ・パーカー派2人(寺島さん、長澤さん)の激論を交わそうと思うわけですが、まずどういうところが良いのか納得させてくさい」なんて、岩浪さんと雲さんになげかけます。ここからが重要です!皆さんよ~くお聞き下さい。
岩浪さん
「とにかくアドリブでもなんでもメロディアスで、シンプルで、テクニック完璧で、分かり易く言えばジャズのモーツアルトみたいなもの、誰が聴いても素晴しい、シンプルでこんなわかりやすい音楽ない」 言い切りましたね!
寺島さん
「ふに落ちる。ソロがメロディアス。でもこれはいろんな人が言ってない。俺はそうだと思っている」 おや、あっさり認めますね!
雲さん
「寺島さんなんか本で書いてました。最近パーカーも見直してる。こんなメロディアスな人はいない。アドリブで歌えるフレーズで」 突っ込んでる(笑)。
雲さん
「聴いていてとっても気持ちイイ、それは何かと言うとスピード感がある。ウィズ・ストリングスで急にテンポが’倍テン’(2倍のテンポ)になっても滑らかで流れるよう。他の人にはない」 皆さんここ重要!
寺島さん
「スピード感ね。それはバラードでもありますよね。単なる速さじゃないんだよね」 やっぱりわかっているじゃないですか!
岩浪さん
「パーカーはカンザスの中西部のビートとニューヨークのスピード感が合わさったって出来たのがビー・バップだと言っている。俺たちの音楽だと」 パーカー自身がそんなこと言ってたんだ~。
寺島さん
「なんとなくわかりますね~。ジャズの持っている疾走感。速い曲じゃなくスローな曲でも持っている人はいるわけで、ノロノロの人とは違う」 そうでしょうそうでしょう。
岩浪さん
「雲さんの気持ちイイっていう話。スティットなんか同じ曲やってるが、パーカーはフィンガリングが完璧。スティットは途中ごまかしているフレーズがある。パーカーは完璧だから気持ちイイ」 今日は絶好調!やっぱり雲さん効果か?
寺島さん
「フィンガリングねっ、なるほど、楽器やってないから平気で言えるね」 トロンボーンで苦労してますからねっ(笑)。
寺島さん
「わかりました。よくわかりました。そんなこと当たり前なんですよ。パーカーがイイのは。いろいろ聴いてふとパーカー聴いてみようか?と聴くとやっぱりパーカー凄いのはわかるんですよ。でもいきなりパーカー聴いてもわからない。いろんな遍歴を重ねて、最後にパーカーへいくとわかる。でもパーカーいいと言って、たてまつるとその先がない。パーカーで終わっちゃう」 やっぱり、イイでは終わりません(笑)。
岩浪さん
「パーカーが本当に凄かったらそれで終わってもいいじゃない」 潔し!
寺島さん
「できればジャズ・ファンとして、できれば色々なアルト・サックスを聴いて死んだほうがいいじゃないですか?」 よくばりですね。まあ、好奇心旺盛は私も賛成!
岩浪さん
「でもまた最後にパーカーに戻ればいいんでしょ」 そのとおり!
寺島さん
「はいそれはそれでいいですよ」 めでたしめでたし!
以上3人でパーカーの凄さを語る。ありがたい話じゃありませんか?
ここで満を持して長澤さん登場。ここから長澤さんのとんでもない発言が・・・
「岩浪さんがそんなに言うんだけど、そんなに実存感ありますか?見たことありますか?」 何が言いたいんだ。よくわかりません?
岩浪さん
「音だけで、最初にチャリー・パーカー聴いた時に惚れこんだ」 わかります。
長澤さん
「それはわかるんだけど、ベーブ・ルースみたいなものだ、名声と形はわかる。レコードで聴けるけど実存感がない。現実感がない。ジャズを聴くなら現実感がほしいんですよ。どうして死んだ人がそんなにわかるんですか?」 何が言いたいんでしょ?
寺島さん
「それは我々がパーカー像を作って神棚に上げて毎朝拍手打って尊敬しているという世界なんですよ。それはそれでいいけどね」 でたっ、またもや神格化!
長澤さん
「やっぱジャズ聴くときはね、演奏しているアーチストのイメージが浮かぶじゃないですか?」 そうですかね~?
岩浪さん
「どうしてチャーリー・パーカーだけ浮かんでこないんですか?」 私は別に浮かばなくていいと思いますけど。
長澤さん
「だって見たことないもん」 当たり前でしょっ!
寺島さん
「今聴いていてわかったけど、パーカーの演奏ねっ、なんか上滑りっていうか、あれよあれよって言う間に終わってしまって、上手すぎちゃって、ノリが良すぎちゃって、たまには失敗して間違えてそれがジャスだろっ、みたいな感じもしてきた」 なんとなくわかります。
長澤さん
「映画を見たけど、あまりにも伝説的な人って、現実感がない」 そうかなあ~。
寺島さん
「皆がイイと言って神格化されると、てやんでーって気持ちありますよね」 へそ曲がりですね(笑)。わからなくはありません。
岩浪さん
「僕は学生の頃、全然予備知識なく聴いていっぺんで惚れたのがパーカー」 さすがです!
寺島さん
「パーカー聴くなら、ジャッキー・マクリーン。人生感じさせるんですよ。パーカーの音って人生感じさせない。とんでもない人生を送ったのが音楽から伝わってこない。マクリーンの方が伝わってくるね」 これは皆さん同感でしょう。
雲さん
「それは同感ですね。どっちが良い悪いじゃないですけどねっ。マクリーンの方が不器用な分なんとなくありますね」 久々の登場です(笑)。
長澤さん
「だから実存感とか人間感はアート・ペッパーのほうが全然感じますよ」 そうですね。
雲さん
「さっき岩浪さんがモーツアルトって言ったけど、人間性と音楽が物凄く乖離した人じゃないですか?パーカーにもそれ感じますよね」 そうなんですよね。
寺島さん
「そこで音楽というのは人間にまで遡るのか、出てくる音だけで評価するのか、また論議が持ち上がるわけです。どうですか?僕jは人まで遡っていきたいね」 私は音だけで評価する方に1票!
岩浪さん
「僕は伝記読んでパーカーの人間性知るようになったけど、パーカーに対する興味も音の素晴しさも全然かわらないけどね」 岩浪さんはわかってますよね~。
寺島さんの進言でここでもう1回音で確認することになります。雲さんが持ってきたチャーリー・パーカーのCDからかけます。
でも凄く興味深い話でした。細かいことは明日言いますが、私は寺島さんが言う「新しいJAZZを聴け」とか「ライヴに行け」など言っていることを鵜呑みにした結果が、長澤さんのような「パーカーには実存感がないから良さがわからない」なんていうジャズ・ファンを作ってしまったのだと思います。ある意味かわいそうですよ。そう言う聴き方しかできないって。
長くなっちゃったので、続きはまた明日。こんな調子じゃ「PCMジャズ喫茶」の本が書けそうですよね?(笑) もうこうなったらとことん!半分やけっぱちで書いています。
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