今時の若手のジャズ
今時の日本の若手のジャズはなかなか凄いんだけど、これで良いのかなあ?と思ってしまうこの1枚を紹介します。
「ワッツ・アップ?」という名のグループの『ミュージック・イズ・リアル』(2006年、コモド・デポ)です。ディスクユニオンの新譜紹介文を読んで気になっていたもので、例によってディスクユニオンのアウトレットで買いました。
メンバーは、福原巖(b)リーダー、田中洋一(tp)、河村英樹(ts)、堀秀彰(p)、安藤正則(ds)です。トランペットとテナーサックスをフロントに据えたオーソドックスなクインテットです。このグループとしては2枚目のアルバムで1枚目は自主制作だそうです。ライブ活動を中心にやってきたグループですね。
これを一聴してビックリしたのはとても上手いこと。ほとんど無名の人達でこれまでアルバムが制作できなかったグループだというのが信じ難いです。アルバム・ジャケットは何だかわかりませんが、音楽の方向性としては数年前に話題となった人気トランペッター:ファブリツィオ・ボッソがいるイタリアのグループ:ハイファイブ・クインテットと同じだと思います。
クラブ受けもするモダンなハード・バップでかなりセンスが良いものです。案の定このアルバムはイタリアなどのヨーロッパで、ジャズファンやDJの間で大人気だったそうです。今や日本のジャズも世界レベルです。このアルバムもメジャーなレコード会社から出てもっと宣伝されていれば、日本でも間違いなく人気が出たはずです。
今回新しいアルバム『ロスト・アンド・ファウンド』が出ました。ディスクユニオンの新譜紹介文によるとイタリアのジャズフェスであの「イディア6」と出演が決定しているとのことです。DJ須永辰緒さんもコメントを寄せていて「オレの好きなジャズに間違いない」と書いています。
これらのことからこのグループの音楽はだいたいわかってもらえると思いますので、細かいことは書かきません。8/2にはジャズ喫茶「メグ」でアルバム発売イベントがあるそうなので、そっち方面から今度はかなり人気が出るものと思います。
私も楽しく聴いていて文句なく心地良いです。でもそれだけかな。「それでいいじゃないか?」と言われればそうなんですが・・・。私としてはこれはこれで良しとしたうえで、ジャズを長く聴きいてゆきたいという人には、あえて少しひっかかりがあったり凄味があったりするジャズも聴いてほしと思う今日この頃なのでありました。
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コメント
ジャズの在り様の変化は演奏するものの精神の在り様に比例するようです。この作品と同時に明田川の新作、『Aketa~西川沖縄ユニット』を聴きましたが、ワッツ・アップ?の見事なまでの完成度に感心しつつも、古い言葉ですが、前述のアルバムの冒頭曲”エミ”が持つ情念の世界を感じて、「失われた世代のジャズ」を感じるこの頃であります。
投稿: groovyt | 2008年6月29日 (日) 17時08分
groovytさん。はじめまして。
残念ながら『Aketa~西川沖縄ユニット』は聴いたことがないのですが、”エミ”の情念の世界も聴いてみたいです。
ワッツ・アップ?とかを聴いていると、私もドロドロ系も聴きたくなったりします。
私としては、どっちらも聴いてバランスをとっていくのが健全かな~と思います。
投稿: いっき | 2008年6月29日 (日) 21時28分