最初に買ったオリジナル盤
今から15年くらい前に始めてオリジナル盤というものを買いました。オリジナル盤に最初に興味を持ったのは寺島さん著「辛口JAZZノート」を読んだときです。オリジナル盤がらみで「トニイ・レコード」「コレクターズ」「ジャロ」「月光社」という4件のレコード屋さんの訪問記事が書かれていて、それに心惹かれたのです。
正確に言えばオリジナル盤そのものよりオリジナル盤を売っているお店に興味が湧いたんですね。その時はお金もなかったので想像を膨らますだけでした。それから数年後、何かのきっかけで新宿東口にあった「コレクターズ」へ行ったのです。ちなみに「コレクターズ」は数年前に閉店して今はありません。
「コレクターズ」は古い雑居ビル1階のラーメン屋の横を入っていって、これまた古くて動作が荒っぽい(今のコンピュータ制御のスムーズなエレベータしか乗ったことのない人は想像し難い)怖いエレベターで上がった3階か4階にありました。お店に入るときはかなりドキドキしました。
入って右側の壁には高額のオリジナル盤が並んでいて、お店の中は結構広くてレコードも棚に余裕を持って入れてありました。入ってすぐ左側がレジカウンターで、店主がそこにいてお店を見つつレコードをかけたり入荷レコードの値付けなどをしていました。
オーディオは、プレーヤーがテクニクスのSP10Ⅱ、アンプがマッキンのトランジスタ初期タイプ、スピーカーがJBLのL77というものでした。たしかアームはSMEでカートリッジはオルトフォンのSPUともう一つ別なのがあったような・・・。
このとき初めてだったにもかかわらず、会計の時に私は店主としばらくオリジナル盤の話をしました。勝手に店主は怖いものだと思っていたのが、これで一挙に親しみが湧いたことを覚えています。その後ここへは何度か買いに行きました。
ここで最初に買ったのが今日紹介するケニー・ドーハムの『ウナ・マス』(1963年rec. Blue Note)です。stereo盤で7,8千円でした。最初ですから到底1万円以上は出せませんでした。盤質は良好です。
メンバーはケニー・ドーハム(tp)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ブッチ・ウォーレン(b)、トニー・ウィリアムス(ds)です。ジョーヘンの実質的な初レコーディングとかマイルス前夜のハービー、トニーの初期の共演とか話題が多いアルバムです。
タイトル曲「ウナ・マス」(A面はこの1曲のみ)はラテン・リズムの曲で、ケニー・ドーハムがリー・モーガンのようにカッコイイ・フレーズでいつになくバリバリ吹きまくり、ジョーヘンはもうこのときから個性的で、少しかすれたスモーキーな音でブリブリうねったソロを展開しています。
ハービーはファンキーから新主流派的なクールへ行く過渡期の演奏で、それまでにない斬新な響きが感じられます。凄いのはやっぱりトニーで後ろから容赦なくガンガン煽ります。この頃はシンバル・レガートの凄さより、カウベル(珍しいのでは)やスネアのリム・ショットやタムのロールを効果的に使っているのが目立ちます。
B面の2曲も熱くてカッコイイ演奏になっています。これは今でもかなり好きなアルバムですね。時々引っ張り出してきて聴いています。
このレコードを聴いて音の違いにビックリしました。噂には聞いていましたが日本盤と全然違うキレの良さ。オリジナル盤恐るべし!ということになったわけです。それからオリジナル盤を少しずつあつめることになって今日に至ります。
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コメント
いっきさん。おはようございます。
これはラッキーなオリジナル盤との出会いでしたね。ケニー・ドーハムの『ウナ・マス』つーのも泣かせます。オイラがオリジナル盤をあまり意識しないのは、買った時がオリジナル盤だったから(笑)。18才くらいのころ、新宿御苑の新宿通りと靖国通りの間に、輸入レコードの「ディスク・ロード」という店があって、学校も近かった事もあり、週2~3回くらい通っていました。バイト代は全てレコードに消えました。当時はカット盤と言うのがあって(ジャケットの四つ角のいづれかがわざとカットされている)、コイツは安くレコードを輸入する方法で(不良品として関税を免れる)、それがキレイなジャケットのものと比べて2分の1の値段で売られていました。カット盤はブルーノートが多かった気がします。最初に買ったカット盤はグラント・グリーンの「グラント・スタンド」。その頃は輸入レコードの塩ビの質が悪く、カット盤の上に開けたあら「ニキビ」という泣き寝入りが多かったです。オイラは最初がそうだったので、すっかりグラント・グリーンが嫌いになりました(笑)。聴かなくなったレコードは「ハンター」という買い取り業者に出すのが当時の流行りでしたが、カット盤は1円もつきませんでした(ゴミ?)。因にオイラは買うのはいいのですが、売る事は一度もやったことがありません(笑)。
投稿: tommy | 2008年6月26日 (木) 05時18分
tommyさん。こんばんは。
時代が違うとオリジナル盤に対する想いも相当違うものなんですね。
多分その当時輸入していたブルーノート盤はリバティとかユナイテッド・アーティストものですよね?「ニキビ」にしても「ハンター」での査定0円にしても悲しい思い出ですね(笑)。
今のディスクユニオンならばカット盤もそれなりの値段で買い取ってくれるようですよ。
ちなみに私もCDが出てしばらくはレコードなんて見向きもしませんでしたが、オリジナル盤を買った頃に、ディスクユニオンで中古レコードがかなり安く手に入ることを知ったので、レコードも買うようになりました。
tommyさんもそろそろレコード聴きませんか?
投稿: いっき | 2008年6月26日 (木) 23時18分
レコードを聴く〜それはかなり気になるところです(笑)。
でも「スコット・ラファロ」の方が先ですね。「レコードもかけて欲しい」「自分のレコードを店で聴きたい」とのリクエストもかなりあります。しかし、レコード作法を店長に教えるのが面倒なので、自分のレコードをセルフで片面だけかけていいよ〜のイベントの日をやろうと思っていますが、プレーヤーの調達が先ですね(笑)。
投稿: tommy | 2008年6月26日 (木) 23時52分
tommyさん。
そのイベント大賛成です。「スコット・ラファロ」が沖縄でなかったら、私は絶対参加しますよ。プレーヤー選びが楽しそうですね。
早速、雲さんのアドバイスを受けてバックを白にしてみました。女性にも受けそうな「金魚」を採用。アクセス増えるかなあ~。
投稿: いっき | 2008年6月27日 (金) 01時07分