「PCMジャズ喫茶」を聞いて(その1)
「PCMジャズ喫茶」の公開録音 http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_eb60.html を一緒に見に行ったジャズ・ライターの高野雲さん http://ameblo.jp/jazzy-life/ が、今度は「PCMジャズ喫茶」にゲスト出演しちゃったというので放送を聞きました。
雲さん、「公開録音の時にかかった曲が心地良かったので眠っちゃった」とか数回挑発発言をしていましたね(笑)。でも寺島さんの受け方もうまいもので、なかなか和気あいあいと進んでいました。
その「公開録音」の話から始まって30分くらいは曲もかけずにおしゃべりだけ、いや~ほんとにボソボソしゃべるので、ボーッと聞いていると何を言ったのかわからないことがあります。ボソボソしゃべりでもリアルに分離して再現するオーディオで聞けってことかな~あ(笑)。
30分のおしゃべりの中で寺島さんが「四谷一派は聴かずに評論とか読むのが好き」とか言って、雲さんがそれは違うとすぐに否定しているんですが、これは私も否定すべきだと思いました。「いーぐる」に集う四谷派(一部でそういう言い方をされる)の人達はとにかくよく聴いていますよ。「なんでそこまで聴くの?」っと言いたいくらいです。
その後寺島さんが「さっきのはちょっとオーバーで、読む・書く・言うことに聴くのと同じかそれ以上の喜びがあるんでしょ」と言い直したら、雲さんも切り返せず・・・、私もそれを聞いて、フムフムッと・・・(苦笑)。岩浪さんが「それも好き嫌いで勝手でしょっ」とフォロー。さすが大人です!(笑)
さて問題は、雲さんがかけたバド・パウエルの『ジャズ・ジャイアント』から「シリア」を聴いたあとの会話です。
寺島さんは「緊張感が感じられない、それはベースとドラムが聴こえないからだ」と、つまりピアノ・ベース・ドラムの間でのインター・プレーの緊張感がないと言うことらしく、まあこれはその通りなのでした。
岩浪さんは「パウエルが弾いていればそれだけで良い」「ベース・ドラムはオマケだ」と言うのですが、これまたごもっとも。寺島さんは「それはパウエルというジャズ・ジャイアントの先入観によるものだ」と言うのですが、岩浪さんは「先入観なんてない。」とキッパリ否定します。 寺島さん。勝手に決め付けないで!
いよいよ核心に迫ります。雲さんがパウエルは「ピアノの音の立ち方、音の芯が違う」と言い、長澤さんは「それはオーディオ装置によっても違う」と言いますが、岩浪さんは「それはオーディオの差ではない」と言います。 いいぞ!岩浪さん。
そこで寺島さん「音が立っているとか芯があるとか全然わからない」と、長澤さんも「オーディオ的に言う以外はね」と続けます。さらに寺島さんは先入観やパウエルの神格化による思い込みがそう聴こえさせるのだと言ます。 だからそれは決め付けですって!
次に雲さんが「音の粒立ちが違う」と言うと、岩浪さんは同意するのですが、長澤さんは「そこまで想像力がない」「出た音そのものしか聴かない」と言います。 アレッ?
ここで一言、長澤さんはジャズの魅力の一つであるジャズ・マン固有の音の佇まいと凄味を聴いていないんですよ。やっぱりオーディオの人なのでした。
その後話しが少し変わっていき、先ほどの「音の立ち方、芯、粒立ち」を聴くというのは、パウエル個人を聴いているのだが、寺島さんはそうじゃなくて「パウエル・トリオ」を聴くんだと、ピアノ・ベース・ドラムの3人のからみを聴くんだということです。 まっそれもあり!
2つの聴き方はどっちが良い・悪いのではないと言っています。そりゃそうだっ。でも寺島さんの場合、3人のからみを聴くと言っても、そこにオーディオ的な「音」聴きがからんでくるからややこしいのです。
一方雲さんは上記のどちらかの聴き方だけでなく、両方の聴き方をしますと言います。私は雲さんの意見に共感しますね。どちらもジャズにとって重要な聴き方なのですから。
寺島さんのように聴き方を固定するのは一向に構わないのですが、私はそういうことはある程度ジャズを聴いてきた人がやることだと思います。聴き始めたばかりの人にそういう聴き方を勧めると、聴く範囲が狭くなってしまってすぐに飽きられてしまうので良くないと、私は思っています。
次にかかった曲は寺島レコードの松尾明の新譜『ベサメ・ムーチョ』から同タイトル曲。ピアニストにはかわいそうですがパウエルの後ではちょっと辛いものがあります。お話が盛り上がったのでかなり間が空いたのですが、それでも・・・。岩浪さんはベースをもう少し抑えてほしいと言ってましたが、全くそのとおりですね。まあ自分のレーベルだから好きにやって良いとも言っています(笑)。
さて、3人のインター・プレーを聴くのは良いのですが、各人の表現の深みと幅が伴っていないと面白くないんですよね。どうも今の寺島さんはオーディオの音重視で、表現のクオリティーなどに甘いところがあるのが、私は気にかかります。
寺島さん!オーディオ・ファンの方ばかり向かないで、ジャズ・ファンの方も向いてあげて下さいよ。吉祥寺派のジャス・ファンが泣きますよ!(笑)
| 固定リンク
「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」カテゴリの記事
- 「PCMジャズ喫茶」に寺久保エレナさん登場!(後編)(2011.06.21)
- 「PCMジャズ喫茶」に寺久保エレナさん登場!(前編)(2011.06.20)
- YouTubeにこんなものがUPされていました。(2011.01.23)
- 「PCMジャズ喫茶」をツイートする。(2010.12.18)
- 「PCMジャズ喫茶」のゲストは「JaZZ JAPAN」編集長(その2)(2010.11.04)
コメント
いっきさん
詳細なレポートと感想ありがとうございます。
そして、コメントの部分(おもにツッコミ)を青フォントにするというアイデアも秀逸!
おもろいので、トラックバックさせていただきます!
あと、自分の声がはいっていると、どうしても客観的に聞けないのですが、リスナーの方からの、率直な感想や意見を聞けて(読めて)とても嬉しいです。
ありがとうございました。
投稿: 雲 | 2008年6月29日 (日) 15時05分
雲さん。こんにちは。
放送を聞いていて、レポートを書かずにはいられなくなりましたよ。突っ込みどころがありすぎです(笑)。
それにしてもパウエルの『ジャズ・ジャイアント』を選曲したところが良かったんですね。これだけで4人の考えが浮き彫りになったんですから。これは快挙ですよ(笑)。
白バックだとフォントの色変えが効果的になりますね。白バックに変更して良かったです。雲さんのアドバイスのおかげです。
投稿: いっき | 2008年6月29日 (日) 16時59分