ウェザー・リポート
私のジャズの最初のアイドルはマイルスとウェザー・リポートです。それまで聴いたことのない音楽をやっていて、とにかくカッコイイと思いました。ジャスを聴いて良かった。こんなのを聴いているオレもカッコイイ(笑)。
当時ウェザー・リポートに在籍していたジャコ・パストリアスにも惚れましたね。こんなベースは聴いたことがありませんでした。当時は「ジャズにはこんなとんでもないやつがゴロゴロいるのか?」と思っていましたが、そんなやつはゴロゴロいませんでした(笑)。
さて最初に買ったウェザー・リポートのアルバムはというと『スウィートナイター』(1972年rec. CBS SONY)です。 当時、「ビッグ・ジャズ・フュージョン23」という廉価盤が発売されていて、このブログの2回目に書いたマイルスの『パンゲア』、ハービー・ハンコックの『マン・チャイルド』と一緒に買いました。この3枚、今考えると黒くて濃いものばかりです(笑)。
『スウィートナイター』のメンバーは、ジョー・ザビヌル(key)、ウェイン・ショーター(ss, ts)、ミロスラフ・ビトウス(b)、エリック・グラバット(ds)、ドン・ウン・ロマン(per)、ムルガ(per)、ハーシェル・ドゥエリンガム(ds)、アンドリュー・ホワイトⅢ(el-b, English Horn)です。
このアルバムはA面1曲目のザビヌル作曲「ブギ・ウギ・ワルツ」(13分)が肝ですね。ツイン・エレクトリック・ベースとドラム・パーカッションが作り出す躍動的なリズムが気持ち良いです。ライナーノーツは岩浪洋三さん(当時のウェザーのライナーノーツは岩浪さんが多い)が書いているんですが、それによるとマイルスの「オン・ザ・コーナー」の影響だとか、なるほどね。
その躍動的なリズムの上で、ザビヌルのエレピ、ショーターのソプラノ・サックス、ビトウスのベースが自由に動き回ります。今で言うところのワールド・ミュージックのもつ力強さがあって、終盤はご存知のフレーズが繰り返され、ちょっと陶酔感を誘う気持ち良さがあります。最後は感動のビック・バンで終了って感じです(笑)。
A面2曲目「マノレート」はショーター作曲でお得意のミステリアス・ナンバー。これもパーカッションが大活躍で、その上を浮遊するショーターのソプラノがとっても美しいです。ビトウスの力強いアコースティック・ベースもアクセントになっていますね。ザビヌルはそれらの間に音を埋めてゆき全体をまとめあげます。この辺りの手際はさすがザビヌル。
A面3曲目「アディオス」はザビヌル作曲で「イン・ア・サイレント・ウェイ」にとても似た従来どおりのウェザー・サウンド。3分弱の短い曲ですね。
このアルバムはB面も同じような構成の曲になっています。でもB面3曲目はちょと面白いですね。ドラムがせせこましいリズムをずっと刻んでいて、その上にザビヌルのエレピとショーターのソプラノが抽象的なフレーズをのせるという、ちょっと不思議なナンバーです。
このアルバムのポイントは、アンドリュー・ホワイトⅢのエレクトリック・ベースによるファンク・グルーヴとマルチ・パーカッションの作りだす躍動感だと思います。それらがルーズな感じを出していて、ザビヌルとショーターも比較的ラフにやっているようなので、きちんと構成されがちなウェザーのサウンドの中ではちょっと異端であり、そこが良いところです。
ブログデザインは変わったけど、内容は全然変化なしですね(笑)。
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コメント
ライナー・ノーツは岩浪洋三さん(当時のウェザーのライナーは岩浪さんが多い)・・・オイラのお友達だった吉祥寺ファンキーの故・野口伊織さんは「当時、岩波さんはこの手のジャズの良き理解者のように扱われていたが、ホントは何も理解していなかった」と後日、本人から告白されたと言っていました。きっと、本当だったと思います。「ライナーを書くと評論家にも色がついてしまう」の例ですね。その後、岩波さんは、ただのフュージョン野郎になって行きました。苦しかっただろうな〜(笑)。
投稿: tommy | 2008年6月28日 (土) 02時19分
tommyさん。こんいちは。
野口さんともお友達だったのですか。tommyさんの交友関係の広さは凄い!
書いたものの影響力は大きいですよね。本人の意識を越えたところで世間の見方が出来てしまうところがある。それをうまく利用する人もいれば、それで損をしてしまう人もいますよね。
岩浪さんは意外と割り切って仕事をしていたのではないでしょうか?今の岩浪さんを見ているとどこかそんな感じがするのですが・・・。
投稿: いっき | 2008年6月28日 (土) 13時40分
野口さんには亡くなる前3年間くらい〜すごく可愛がって貰いました。ジャズ仲間ではありません。野口さんは「ジャズの仲間はいっぱいいるから、ただの遊び友だちになろう」と言って、車で拉致されて(笑)、あっちこっちの店で美味しいものをゴチしてくれました。「ラファロ」を開けたのを、きっと野口さんも喜んでいると思います。とても、物腰が柔らかく、オシャレでスマートでカッコイイ方でした。〜ジャズの話は、できるだけしないような関係。野口さんの事を思うとセツネー。
岩浪さんも、当時はいろいろ大変だったと思います。今は随分丸くなった(笑)。今のウェザーの見え方の方がきっと正常ですね。「時間が経つ」と言うことはどんな評論家よりエライです(笑)。
投稿: tommy | 2008年6月28日 (土) 23時43分
tommyさん。こんばんは。
野口さんとの関係ってそんなふうだったのですか。イイ話ですね。野口さんの人柄については、いくつかの本で読んだことがありますが、亡くなられてしまったことが本当に残念だと思います。一度お会いしてみたかったです。
投稿: いっき | 2008年6月29日 (日) 02時05分