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エルダー弾きまくり!

エルダー・ジャンギロフはキルギス共和国出身の「天才少年ピアニスト」とか言って衝撃のデビューをはたしたわけですが、昨年のアルバム「リ・イマジネーション」(2006年rec. SONY BMG)はそれほど話題にはなっていないと思います。今回から「ジャンギロフ」が覚えにくいので、名前を「エルダー」だけにしています。私は前から気になっていたので例によってアウトレット(輸入盤)で安く購入しました。

P175話題にならないのはこの手のやつが今うけないからでしょう。まず前2作のように誰でも知っている人(マイケル・ブレッカーとかロイ・ハーグローブなど)がメンバーに入っていません。替わりに曲によってはD.J.ロジックやマイク・モレノなんて曲者が入っていたり、ジェームス・ジナスがエレクトリック・ベースを弾いていたりします。エルダーがキーボードまで弾いていて、全11曲中9曲がエルダー作でその曲想はフージョン・ライクなものです。アコースティック・ピアノ・トリオしかうけないこのご時勢じゃあね~。

自作曲がなかなか面白いんですよ。パット・メセニーにも通じるアメリカン・カントリー風なもの(荒野を走る列車やカウボーイが馬に乗って疾走する感じとでも言いましょうか?この人実はアメリカ生まれなんじゃないの?)があったり、D.J.ロジックが入っている曲なんかはクラブ受けしそうですし、めちゃ甘なラブソング(ピアノ・ソロ)があったりといろいろです。各曲のイメージについて本人のコメントが書いてあるのですが、これが今時の若者の感性なのでしょう。

このアルバム1曲目からとにかく弾きまくりです。さすが天才ピアニスト、脅威のテクニックで指動きまくりです。左手のコードも重厚でガンガン弾いているところから、私はマッコイ・タイナーのあの「フライ・ウィズ・ザ・ウインド」が思い浮かびました。別に曲が似ているとか弾き方が似ているとかいうのではなく、畳み掛けてくるピアノの音のイメージが似ているということです。

そんな中で「アウト・オブ・ノーホエア」はアコースティック・ピアノ・トリオでしっとりと弾くわけですが、これがまた情感たっぷりの味わい深いものになっていて、決してテクニックだけのピアニストではないことがわかります。また尊敬するオスカー・ピーターソンに捧げたという「プレイス・セント・ヘンリー」ではブギウギ・ピアノ的奏法でジャズ・ピアノの伝統へのつながりを見せていたりもします。

このアルバムには「エルダー」の瑞々しい感性が溢れています。まあやりたいことをたくさん盛り込んじゃっていますが、若さゆえということでおおめに見てあげましょう。斜に構えるようなところがなく自由に伸び伸びやっていることに私は好感が持てます。上原ひろみとかと同じ臭いを感じのですがいかかでしょう?

P176_2「フライ・ウィズ・ザ・ウインド」(1976年rec. Milestone)についてもちょっと紹介します。メンバーは、マッコイ・タイナー(p)、ロン・カーター(b)、ビリー・コブハム(ds)というピアノ・トリオにヒューバート・ローズ(fl)、ストリングス・オーケストラです。

とにかくA面1曲目のタイトル曲が強烈です。マッコイが弾きまくりで手数が物凄く多いのです。コブハムのヘビー級マシンガン・ドラム+ストリングス・オーケストラに一歩も引けを取らないとは・・・。A面2曲目のサンバのリズムに乗ったマッコイの演奏も1曲目と同じように弾きまくりです。マッコイのソロではこれぞマッコイ節炸裂です。この2曲で、ヒューバート・ローズのフルートが周りに負けじとフルートらしからぬ力強さを見せているところもなかなか良いです。A面だけでお腹いっぱい。もう結構・・・。
今日はこんなところでおしまい。

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