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先週のジャズ喫茶「いーぐる」の連続講演

そろそろ先週行ったジャズ喫茶「いーぐる」の連続講演、益子さんによる「21世紀ジャズへのいくつかの補助線~第4回・即興について」について書いておきましょう。このシリーズ、私は第1回から全て参加したのですが、いよいよ一区切りするということで少々残念です。ただ講演者の益子さんは今後も不定期にこの「21世紀ジャズへのいくつかの補助線」シリーズは続けていく予定とのことです。

私は筆記具を忘れてしまったためメモがとれず、記憶を辿りながら書いているので思い違いがあるかもしれませんがご容赦下願います。また進行順に従ってだらだら書くこともご容赦願います。こちらは「いーぐる」のホームページです。http://www.02.246.ne.jp/~unamas/eagle.html 「diary」を参照願います。
”興味がない方は以下無視して下さいな。”

今回はよりわかってもらうために口頭による説明を多くしていました。まずはウェインの最近の演奏がなぜ面白くないのかを検証するため、マイルスのロスト・クインテットの中のウェインの演奏を聴くために、アルバム「ライブ・アット・フィルモア・イースト」から「ディレクションズ」。熱い!熱すぎる演奏です。ウェインをはじめとしてメンバー全員が全力で自己を表現しています。コレ聴いたことがなかったけど良いです。早速買わなきゃ!ユニオンに中古があるはずです。

次はその面白くないウェインの演奏。アルバム「フットプリンツ・ライブ」から「マスクァレロ」。こちらはウェインが何かの雰囲気をつくろうとして、ソロをとるよりメンバーの出方を伺っているようで、積極的に自己表現することを第一の目的としていないようだとのことです。これが「即興性」の後退につながっているのではないか? この背景には個人と周囲の人との関係性が過去と異なってきていることがあるのではないかということです。この辺りの哲学的な考察は後藤さんが強く興味を抱いているようなのでお任せしましょう。

その1例としてティム・バーンのアルバム「サイエンス・フリクション」から「Huevos」。こちらはティム・バーンがリーダーとしてアルト・サックスでソロをとりながらメンバーの演奏を導いていくところがあり、これが積極的なソロを抑えているようだということです。確かにそのように聴こえました。これはジャズを知らない若い人に聴かせたら「カッコイイ」という反応があったとか、なまじ旧来のジャズに慣れた人にとっては抵抗感が強いみたいですが・・・、ティム・バーンと聞いて「不協和音」とか思い浮かべたあなたです。

そのライブでの演奏ということで、アルバム「ザ・サブライン・アンド.サイエンス・フリクション・ライブ」から「Van Gundy's Retreat」。私はサイエンス・フリクション(グループ名でもある)に関心がなかったのですが、これらを聴いてアルバムを購入しようと思っています。

次はグループYeah Noのアルバム「スウェル・ヘンリー」から2曲「シー・ハズ・フォー・ソーンズ」「Camper Giarno」。こちらはフロントの2人クォン・ブーのトランペットとクリス・スピードのテナーが楽器は違うのに音色が似ていて、一体化して共同で演奏を進めていくところに注目です。こういうやり方も「即興性」の後退のように聴こえます。

過去にも似たような演奏があったということで思いつくのが、マイルスのアルバム「ネフェルティティ」からタイトル曲。過去に評論家がこの演奏にはアドリブが全くないと言っていたものです。しかし良く聴くとマイルスとウェインが微妙にずらしていたりして、これは考えようによってはアドリブではないか?またリズムのハービー、ロン、トニーは物凄く奔放にやっているのもアドリブだろうということです。

アドリブと言えば、コード進行に基づくものを突き詰めたコード細分化によるものから、モードによるものへと符号簡略化が進むのですが、自由度が大きくなるにつれて才能が全てということになり、皆が皆それでやっていくのはつらいものです。さらに全て自由にするとフリーということになるのですが、それを突き詰めると不毛の荒野になってしまいます。そこで「触覚的なサウンド・テクスチャー」や「リズムの複雑化」が現代の流行なのではないかということです。ここに「フロント・ラインとリズム・セクションの逆転現象」が現れます。

その例として、グループAlasNoAxisのアルバム「AlasNoAxis」から2曲「オプティカル」「アンバチャーム」。益子さん一押しのグループですね。テオ・ブレックマンベン・モンダーのアルバム「アット・ナイト」から「カーボン」。テオ・ブレックマンは独特のパフォーマンスで声を出すようで要注目とのことです。私も別のアルバムでこの2人を聴いて気になっています。もう1枚ビル・マッケンリー「ローズ」から2曲「ザ・アビス・オープンズ・アップ」「ザ・シティ。ドラムがポール・モチアン、この人は今やこの手のシーンの最重要人物ですね。

最後に一押しサックス奏者トニー・マラビーサックス・トリオによる3曲です。グループ:トーン・コレクター同名アルバムから「マッチボックス」。 まだ日本未発売の自己のアルバム「タマリンド」から「フローティング・ヘッド」。どちらもフリーの演奏で、触覚的なサウンド「グリッチ」に注目です。 グループ:Open lose「ストレンジ」から「ソニック・ライツ」。これはもう少しメロディアスな演奏です。トニー・マラビーは強力なインプロバイザーです。益子さんたちの超一押しですね。

だらだらと書きましたが、ここまで読んでいただいた方どうもありがとうございました。

以上はテキストだけでなく音を聴かないとわからないと思います。ここでかかったアルバムをいくつかお持ちでしたらニュアンスはわかるかもしれませんね。
こういう新しい感覚によるジャズを聴こうとするコミュニティーはジャズ喫茶「いーぐる」しかないでしょう。後藤さんの「変容する感覚」に対する積極的な働きかけは凄いと思います。その場に参加することは私にとっても刺激的な体験なのです。

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