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モブレイ特集他

昨日行ったジャズ喫茶「いーぐる」の「ハンク・モブレイ特集」はハードバップをたっぷり堪能してきました。

ハンク・モブレイ特集」は阿部さんが担当されたのですが、私は阿部さんの特集には今回始めて参加しました。「いーぐる」連続特集はいろいろな方が担当するので、その人の個性が出るところも楽しいのです。阿部さんの場合は真面目さが出ていて、必要最小限の解説をした後、曲を次々かけていくスタイルでした。ある程度ジャズ・ファンに知られているモブレーなどの場合はこういうシンプルなやり方で演奏を堪能させるのが良いと思いました。

モブレーはデビューからしっかりスタイルが出来上がっていて、最後までそれを崩さなかったところが良いところであり、また時代に取り残されることにもなったのでしょう。モブレーには堅物な職人気質を感じます。時代を追わないものの良さや味わいは分かる人には分かるという類のものでしょう。メディアに取り上げられやすい時代を作った人を聴くのはもちろん大事なのですが、メディアに取り上げられにくいその時代の方法の中で輝いた人も聴いておくほうが愉しみが広がります。

選曲のせいもあるのかもしれませんが、モブレーの即興演奏はオール80点みたいな感じを受けました。悪いものはないんだけれどとんでもなく良いものもないかな。それと言いたいことを言い切っている感じも受けましました。それが出来るということは上手いということでもあるのです。下手では言い切れませんからね、モブレーは決して下手ではなく上手いのです。こういうタイプは聴き飽きないし聴くほどに味が出てくるので、押さえておいて損はないと思います。

それにしても「いーぐる」のオーディオは音が良い。特にダグ・ワトキンスのベースが「グ~ン・グ~ン」(あとで後藤さんが言っていた)と気持ちよく鳴っていました。チェンバースも良いのですがあの音を聴くとワトキンスに惚れますね。後藤さんは「いーぐるの音はベースが出過ぎだ。」と言うのですが、私は今くらいが好みです。

P195 さて話は変わりますが昨日やっと見つけたヘンリー・スレッギル「トゥ・マッチ・シュガー・フォー・ア・ダイム」(1993年、Island Records/日本ファオノグラム)を紹介します。ヘンリー・スレッギルと言えば70年代に話題になったフリー・ジャズ・グループ「エアー」のリーダー格だった人です。

基本メンバーは、グループ=ベリー・ベリー・サーカス:ヘンリー・スレッギル(as)、マーク・テイラー(French horu)、ブランドン・ロス(el-g,ac-g)、Masujaa(el-g)、エドウィン・ロドリゲス(tuba)、マーカス・ロジャース(tuba)、ジーン・レイク(ds)です。それにゲストとしてバイオリンやculoやヴォーカリストが加わります。楽器編成を見ただけで拒絶反応を起こす方もいるのでは? ディスクユニオン御茶ノ水ジャズ館で見つけました。¥1,155。Amazonでは新品¥7,393なので買わなくて良かったです。

1曲目「リトル・ポケット・サイズ・デーモン」は、ツイン・チューバによるベース・ラインとドラムとツイン・ギターが作るファンク・リズムにのって、アルトやギターやフレンチ・ホルンがソロをとるなかなかエキサイティングで楽しい曲なのです。M-BASE:ブルックリン派の延長上にあるものだと思います。チューバによるベースはマーチング・バンドでは当たり前なのですが、ジャズの場合も意外と良いんですよ。アーサー・ブライスのグループでもやってましたね

2曲目「イン・タッチ」は、ユダヤ的な曲でヴォーカルが入る部分とファンク・リズムの部分が交互に出てきて、何とも不思議なマッチングを見せるおもしろい曲です。 4曲目「ベター・ラップド/ベター・ウンラップド」は、ファンク・リズムの上でヴァイオリンやギターがフリーなソロを取る部分とアフリカン・パーカションとヴォーカルの部分が交互に現れる不思議でおもしろい曲です。 6曲目「トライ・サム・アモニア」のスレッギルのソロはカリプソですよ。ロリンズやナベサダが頭をよぎります。

こんな感じで新しい感覚に溢れる楽しいアルバムです。スレッギルがかかわったフリー・ジャズ、ファンク、ユダヤ、アフリカ、カリプソなどの要素がここに統合されたのでしょう。決して頭でっかちにならず肉体的で躍動感があるのも良いところです。ヘンリー・スレッギル、やっぱり只者ではありません。15年前にはこういうジャズもちゃんと日本のレコード会社から出ていたんですね・・・。ライナー・ノーツを書いているのはこの手のジャズと言えばの青木和富さんです。後藤さん推薦盤だけのことはあり良いです。偏見を持たずに聴いてほしいです。

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